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2013年11月 アーカイブ

2013年11月01日

うつ病を無くすには平等社会

 NHKスペシャル「病の起源」で「うつ病」(行動意欲の低下が2週間以上続く症状。日本では100万人がこれに)のことを取り上げていた。
 うつ病の原因は脳の中にある扁桃体の活動がもたらすストレスホルモンの過剰分泌にあるという。
そもそも扁桃体は小さくてか弱い魚類から始まって爬虫類・哺乳類・人類が進化する過程で、天敵から身を守るために生まれた。その扁桃体があることによって天敵に遭遇するとそれ(扁桃体)が危険を察知して活動しストレスホルモンを分泌する(防衛本能)。すると全身の筋肉が活性化し運動能力を高め、素早く天敵から逃れる。天敵が去れば扁桃体の活動がおさまり、ストレスホルモンの分泌が止まる。
 ところが、天敵の危険にいつまでもさらされ続けると、それが止まらなくなり、ストレスホルモンが過剰分泌し、脳の中の神経細胞に必要な栄養物質が減少し、神経細胞が栄養不足に陥って、脳が縮んでしまう(委縮)。つまり、うつ状態になる。
 天敵に対して仲間と集団をなすことによって危険から身を守る。ところが、集団から隔離され、孤独状態に置かれると、不安・恐怖にさらされ続け、これがまた扁桃体の活動を激しくさせてストレスホルモンの過剰分泌をもたらし、脳を委縮させうつ状態に陥らせる。
 記憶(脳の中の海馬に蓄えられるが、扁桃体は海馬に連動)―その多くは忘れ去られる(海馬から消え去る)が、衝撃的な出来事はいつまでも記憶に残り(海馬にこびりつき)、恐怖の記憶は消え去ることなく、繰り返し思い出される。その度に扁桃体の活動、ストレスホルモンの分泌をもたらす。
人類は言葉を覚える(言語をつかさどるブローカ野という部位が発達する)と、言葉で他人に伝え聞く。それで、自分が直接体験しなくても、他人から聞いた恐怖を記憶し、不安を覚える。これがまた扁桃体の活動、ストレスホルモンの分泌を促す。
 おカネを分け合う実験(①自分が2円、相手が83円で自分が損する場合、②自分が66円、相手が6円で自分が得する場合、③自分が177円、相手が164円でほぼ公平な場合の三つのケース)で、①(自分が損)と②(自分が得)ともに扁桃体が激しく活動して(その活動量が大)、③(公平)だと扁桃体はほとんど反応しないのだそうである。
 公平な行動は進化的に有利なのだ、というのである。
 こういったことが「うつ病」の脳内におけるメカニズムのようである。

 アフリカのハッザという部族の人々にはうつ病を患う人はいないのだそうである。彼らは集団で、ライオンなどの猛獣から身を守り、狩猟採集して食糧をみんなで平等に分け合って暮らしている。
 うつ状態テスト(暮らしの満足度、幸せ感、希望と不安、自信、よく眠れるかなどを質問。31 点以上は重いうつ状態、11点以上は軽いうつ状態)で日本人は8.7 、アメリカ人は7.7、それに対してハッザの人々 は2.2なのだそうである
 人類の歴史で原始社会からメソポタミア文明などに始まる文明社会になって、平等社会が崩れ、私有、職業の分化、貧富格差、支配・被支配が生まれるようになって、うつ病が生まれるようになった、というわけである。
 現代人でも、専門職(弁護士や医師など、自分で判断する仕事に携わっている)はうつ病の発症率は少なく、技能職も比較的少ないが、営業職・事務職など上司の命令で仕事する職業は発症率が(専門職・技能職の2倍)高い。社会的な立場の低い人は、高い人より常に強いストレスにさらされている、というわけである。

 うつ病を治すには、生活を改善し、人間本来の暮らしを取り入れること―分け隔てのない仲間との平等な結びつきを治療に応用(PLCという生活改善療法―スタッフとの信頼関係を築き地域活動に参加するなど社会的な結びつきを強める)、定期的な運動(ジョギングなど―委縮した脳の神経細胞を再生させる)、昼は太陽の光を浴び、夜はしっかり眠るなど規則正しい生活がストレスホルモンの正常な分泌をとり戻す、とのことである。

 うつ病は資本主義の競争・格差社会、人間関係が希薄で孤立しがちな社会につきもので、その根本原因を無くすには、互いに家族のように助け合い分け合って暮らせる平等社会(これって共産制社会じゃん)が望ましい、ということになるのでは。

11月のつぶやき

●女房が畑から獲ってきた白菜を一個台所に運び入れた、その葉っぱの間から、孫が小さなトンボを見つけた。イトトンボだという。白菜の葉っぱを一枚ちぎって皿にあげ、ざるをかぶせて一晩飼って、当方が写真を撮ったが、翌日天気がよかったので孫は放してやったという。
●この間、女房と一緒に当方が運転して、ある集いに出かけた。駐車場で、どこに止めるか、あっちか、こっちか、助手席から「こっちでなく、そっちだってば、何をもたもた、アタマわるいもんだな」・・・・・「やかましい!」終に爆発。車から出て、公衆の面前で大声で怒鳴りつけた。
 昨日見たニュース(NHK)の中で、たまたま「怒りっぽい人は心臓病の再発率が、怒りっぽくない人の半分も少ない」とのこと。「ストレス発散の効果なのだろう」ということだった。女房「なるほどな」・・・・
 但し、怒りをぶっつける肝心の相手は女房ではないということだけは確かなはずなんだが。
●秘密保護法―衆院可決 女房つぶやく、「世の中 悪くなる一方」。嫌な時代がまた訪れるのか・・・・安倍自民党を大勝ちさせたおかげで、こういうことになる!これからまだある。なんということだ!
●ウイルス性胃腸炎―幼稚園児の孫から始まって親・兄弟が次々ダウン、あげくにこっちにきた。おう吐と下痢、二日絶食、どうやら治まってご飯と晩酌にありつけるようになった。やれやれ・・・・
●怒り―秘密保護法―かつての治安維持法や軍機保護法の再来―暗黒時代に逆戻りへ、となるのか。
 こんな法案、なんで今なの?それはかねてより企図されてきたものだが、中曽根内閣時代「スパイ防止法案」は廃案の憂き目にあっている。しかし、ここに至って衆参とも自公政権与党が圧倒的多数を占めるようになった今だからこそ可決・成立のチャンス到来で、この機を逃してなるものか、ということなのだろう。維新・みんな等との修正協議など「強行採決」批判をかわす取り繕い。圧倒的多数議席と言っても、最高裁から「違憲状態」と判断を下されたような不公平選挙で当選した議員たちだ。そんな国会でこれが決まってしまうのかと思うと・・・・・こんちくしょう!
 見てくれる人のこんなにも少ないブログだが、「彼ら」からは見られているのかな(?)
●孫たち自分の趣味・特技の話をしていた。「婆々の趣味はな~んだ?」と訊くと、「畑」、ピンポン。当方が「爺々の趣味はな~んだ?」と訊くと、「勉強」、ピンポン
●NHKのニュース・ウォッチ9、女子アナがミニスカートをはいているのを見て女房が口説いていた。「こっちは炬燵だというのに、あんな格好されると寒くなる」と。
 報道ステーションを見ながら、このブログ打ち込みをやっていると、♪希望の苗を植えてこうよ、地上に愛を育てようよ♪とサザンの歌が流れてきた。”New Golf”フォルクスワーゲンのコマーシャルではないか。
●タイヤ交換―婿殿がやってくれて、それを手伝った。それを彼が運転して、当方が助手席に乗って駅まで送って行ったが、渋滞、汽車には間に合った。
●11日、軒に、畑に初雪。咲き残っていたアジサイが雪をかぶっていた。田んぼ道の歌いながら散歩も今年はもう終わりか。
●また葬式があった。当方より若い。快活で、高校時代はブラスバンド、社会人になってからもバンドを組み、ドラムやボーカルをやっていたものだ。寺で葬儀の後、生前カラオケで歌った彼の声をCDにとっていたのをプレーヤーで流していた。上手い。遺影もあるが、こうした「遺声」もありなんだな。
●新学期が始まる学校を担任が遅刻して、放っておかれた生徒はどうすんだ、まずい、あわてて起きてズボンをはこうとしたが、ズボンが違う、どうしたものかと焦る・・・・目覚ましが鳴って目が覚め夢だと気がついてホッとした。なんで今頃こんな夢を。
●それにつけても、イーグルスの監督・選手たちは偉い!「被災者に元気と勇気を」という熱い思いに駆り立てられて挑み、励み続けて最後の勝利をつかんだ、なんともすごい!その使命感と精神力。大リーグの上原も偉い、米沢中央高のサッカー(初の県優勝)も大したもんだ。
 川上哲治は亡くなった。当方・子供時代、赤バットで、青バットの大下と並び称された代表的スラッガー。その頃のヒーローやスターの生き残りは、これで全ていなくなった、ということかな。
●子・孫に残せるものはろくにないけど、(誰かが何かにそう書いていたが、そうだ)9条をはじめ憲法だけは・・・・・・・・と、孫のリクエストに応えて「憲法の歌」を唄って聴かせた。
●ダリアは色とりどりの大小の花が付け変わり咲き続けている。あじさいが二輪まだ踏ん張っている。
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●♪息をすれば胸の中 木枯しは鳴き続ける されど我が胸は熱く夢を追い続けるなり あゝさんざめく 名もなき星たちよ せめて あざやかに その身を終われよ 吾も行く心の命ずるままに 吾も行く さらば昴よ♪
 そうだ、名もなき無数の星たちの一人なんだ。砕け散るまで精一杯 光続けなくちゃ! たとえ誰からも見向きされなくても。
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                      飯盛山
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             飯盛山から見下ろす会津若松市街 鶴ヶ城が見える
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               飯盛山の中腹にある正宗寺「さざえ堂」
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                 白虎隊19士の墓
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2013年11月05日

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                     福島市 荒川河川敷(運動公園)
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                      レッド・ウルフさん
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2013年11月06日

開放的平和国家から軍事的秘密国家へ―特定秘密保護法案(加筆版)

(1)「厳しさを増す安全保障環境」―中国・北朝鮮との戦争・テロに対処
  情勢認識―安倍政権は北東アジアの安全保障環境は「厳しさ」(中国・北朝鮮の脅威)が増していると→「防衛」体制強化→秘密保護強化
  むこう側から見れば日本が「脅威」。(韓国の民間シンクタンク・峨山政策研究院―の世論調査では、同国市民の6割もが日本に対して軍事的脅威を感じている。)
  軍事的緊張を高めるやり方    
  (元外務省国際情報局長・孫崎氏は、「いま世界は、秘密の強化よりも偶発的に戦争が起きないよう、相手国に能力や意図を正確に知らせることが潮流になっている。米国と中国の関係でも。日本に必要なのは秘密保護よりも情報開示」だとしている。)
(2)国家安全保障戦略(NSS)―防衛・外交・経済の総合的な戦略
 原案―軍事分野に積極的に踏み出していく(軍事に対する縛りを解く)方向性(朝日社説の論評)
   武器輸出三原則の見直しの必要性を明記。
   防衛大綱には自衛隊に敵基地攻撃能力や海兵隊機能をもたせること等も。
日米軍事一体化―集団的自衛権の行使容認(9条解釈改憲)を視野に。
   国家安全保障会議(米国のNSCをまねて創設)―首相・外相・防衛相・官房長官4閣僚で構成―外交・安全保障の「司令塔」となる(官邸に情報集約、自衛隊最高指揮官たる首相のトップダウン体制)
   特定秘密保護法案 軍事情報・機密情報を日米で共有管理―米国(世界規模のスパイ・通信傍受・盗聴などで情報収集)から提供された機密情報を守る。日本側から米国へ機密情報を提供する―それらの断片情報の漏えいを防ぐため―秘密を取り扱う公務員を適性評価のための身辺調査<家族・親戚や交友関係・思想・趣味・飲酒癖・借金状態などまで>・監視などのことを定める。漏えいは最高10年の懲役(アメリカ並みに重罰)
   これらはかねてよりアメリカ側から求められてきたもの。
    (イラク戦争に際しては、ブッシュ政権下のNSCにはイラクのありもしない大量破壊兵器など大統領の開戦に前のめりだったその思惑にそくした情報だけが上がって、それを疑うような情報は度外視された。小泉首相は米国のその虚偽情報を真に受けて真っ先に開戦支持を表明して派兵したわけである。)
    (米国は日本をも監視対象にして大使館・米軍基地を拠点にNSA<国家安全保障局> やCIA<中央情報局>が通信傍受・盗聴―スノーデン元CIA職員の内部告発<NSAの機密文書を持ち出してウェブサイトに公表>で明らか。)
    (原発施設内に出入りする従業員の身辺調査を米国が要求。日本の電力会社が公安警察と一体で共産党員や支持者を特定し監視。)
 これまで既に国家公務員法(「守秘義務」違反、罰金50万円、懲役1年)・自衛隊法(懲役5年)・日米防衛秘密保護法(懲役10年)で―そのうえに、さらに「特定秘密保護法」で(懲役は最高10年に)
 教唆・扇動―ブログやツイッターで発信・拡散なども罪に。
 秘密を得ようと打ち合わせ、話し合っただけ(未遂)でも処罰(「共謀罪」)
特定秘密」―4分野①防衛②外交③特定有害活動(「安全脅威活動」、スパイ活動)④テロ活動 23項目それぞれに「その他重要な情報」と付け足されており、なんでも「その他」に入れられて秘密にされてしまいかねない。
     行政機関の長(各省大臣、警察庁長官など)が指定
     指定期間は5年だが何度でも延長できる。30年を超えても内閣の承認あれば解除されず、将来にわたって公開される保証がない(かつて軍の関係資料や文書が焼却されたように機密のまま廃棄されることも)。
     2011年末時点で、防衛秘密の指定事項数234件
     2010年末で、極秘文書:約8万2600点、特別防衛秘密:約12万9000点 
           各省の「消秘」173万9000点
   外交・安全保障に重大な影響を与えるとされている「特別管理秘密」総数は14年末現在で
     約42万件(特定秘密になるのは、その1割という政府高官も)。
     いずれにしろ、政府全体で万単位の情報が特定秘密に指定。 
     指定されなくても、その外側にある情報も隠ぺいされる(恣意的に情報を国民の目から覆い隠せる)―政府にとって都合の悪い情報が隠される
       秘密の指定・解除による情報操作・世論操作にも
        ふつうの市民の暮らしをめぐる調査活動も違法とされかねない
        真相究明、真実を知ろうとする調査・研究も抑制―社会を委縮させる
      
 谷垣禎一(現法務大臣)―以前1987年『中央公論』に(国家秘密法案-=「スパイ防止法案」に反対して)「わが国が自由と民主主義にもとづく国家体制を前提とする限り、国政に関する情報は主権者たる国民に対し基本的に開かれていなければならない。この国政に関する情報に防衛情報が含まれることも論をまたない」「刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと、人の活動をいたずらに委縮させることになりかねない」と書き、スパイ防止法案に反対していた。―開放的平和国家の立場に立っていたはず。
 民主主義国家―国民が主権者、国民が(代表者・議員だけに任せず)話し合って決めるのが本来のあり方―それに必要な情報は国民に全て知らされなければならない(それが前提要件)―安全保障を含む国の政策の決定過程は主権者である国民に公開されなければ民主主義は成り立たないということだ―だから国民には「知る権利」「言論の自由」(オープン)、メディアには「取材・報道の自由」が必要不可欠なのだ。
 「ツワネ原則」:6月南アフリカのツワネで国連と70ヵ国以上の専門家で話し合う。
   軍事など必要なものは秘密にでき、それに対する市民の「知る権利」を制限することはできる。だとしても人道や人権に関わる国際法に違反する情報アクセスの制限は許されない。またそれが正当ならば、政府はそれを証明しなければならない(政府に証明責任)。
   すべての情報にアクセスできる独立した第三者の監視機関が必要。
   秘密にする期間を限らなければならず、解除後に検証できるようにしなければならない。
   人権などの公益性の高い内部告発をした人は保護されなければならない。
   等々のことを原則とした―これが「世界の潮流」と言えよう。   

 なのに
 政府が特定情報(指定)を隠して秘密にし、それに国会議員・ジャーナリストや市民(運動家)がアクセスしようとするのを忌避、漏えい・流出した公務員とそれを求めた議員やジャーナリスト・市民は処罰。
 「何が秘密かも秘密」(何を秘密にするかを政府が勝手に決め、国民には何が秘密かを知るすべがない)―秘密とは知らずにそれに触れてしまえば捕まる。防衛や最先端分野の仕事に関わる下請け業者・従業員が仕事上、機密に触れる場合があるが、彼らがそれで捕まったりも。
     基地や原発施設の写真を撮っただけでも、或いはそれらに関わる情報を得ようと誰かと話し合っただけでも逮捕されかねないことに。

 国会が「特定秘密」を議論する場合は「秘密会」で行い、それに参加した議員はその秘密を他で(同僚議員や秘書などに)漏らせば罰せられることになる。
 国会議員は国政調査権に基づく活動が十分できなくなり、ジャーナリストは(報道・取材の自由に十分に「配慮」し、「著しく不当な方法でなければ」取材は正当な業務として認めると明記はしても、それを判断するのは取り締まる当局側で)自由な取材ができなくなってしまう―政府に対して監視・チェック・批判が十分できなくなる―違反・処罰を恐れて二の足を踏む(委縮―忖度して<相手の意を酌んで>アクセス・追求を控える)。
 情報公開法で、公開の可否をめぐる訴訟に際して裁判官が職権によって非公開文書をその目で調べて非開示にすべきものかどうかを判断できる(インカメラ審査)の規定がないかぎり、市民が秘密文書の開示を求めても、裁判所は応じてくれない。その規定があったとしても、役所は裁判所への文書提出を拒むことができるのでは開示を求められないことになる。 
 裁判の過程で特定機密は開示されないとなると、「被疑者」や「被告人」はいったい何の被疑事実で自分が捕まったのか、何で裁かれれているのか、弁護人も判らず、裁判所のなかのごく一部の人(インカメラ手続きで非公開を前提に秘密事項の提供を受けた裁判官)しか判らない、ということになる。
 (1989 ~95年、那覇基地の自衛隊施設に関して建築工事計画書の付属資料を市民が情報公開条例に基づいて公開請求、それに那覇市当局が応じようとしたのに対して国側が「防衛上の秘密にあたる」として訴訟。その建物はごく普通の建物だということが明らかだったので、地裁判決は「資料が公開されても防衛行政に著しい支障が生じるとは認められない」として訴えを退けた。しかし、同法が成立すれば、今後そのようなケースで、国が秘密と言えば何でも秘密とされ、開示を求めても突っぱねられることになる。)
 (2007年~自衛隊情報保全隊の国民監視―イラク派兵反対運動など団体・市民を調査・監視、内部告発で発覚―差し止め訴訟―12年仙台地裁―5人の原告に対して人格権の侵害を認め、損害賠償を国に命ずる判決―仙台高裁で控訴審中。
 このようなケースも、もしこの秘密保護法が成立すれば、訴訟できなくなる―内部告発した者、それを公表し訴訟を起こした側が「秘密」を漏えいしたとして処罰される結果になるから。
 これらに対するマスコミ等の取材も自衛隊や警察など当局側の公式発表以外には取材できなくなる。秘密保護法は自衛隊などの違憲・違法な行為を隠す口実を与えるものとなる。―同差し止め訴訟原告弁護団事務局長・小野寺氏)
 
  民主主義は毀損され、憲法で開放的平和国家であるはずの我が国は軍事的秘密国家に化することになってしまう。どこかの国のように、或いはかつてのこの国のように。
   上智大・田島泰彦教授は「秘密主義国家」「情報独裁国家」になってしまうと。
   アメリカは「スパイ国家」という指摘も(朝日は「盗聴国家」と書いている)。


2013年11月15日

戦争のための秘密保護法案(加筆修正版)

(1)軍事情報と公安情報の秘密保護を必要としている政権
 一般には秘密(非公開・口外を禁じる)を必要とするのはプライバシー(個人情報)と組織の内部情報(職務上知り得た秘密をみだりに漏らしてはならない―公務員などの「守秘義務」)とがある。(後者の場合、「守秘義務」の範囲が広すぎるという問題があるが。)それに犯罪捜査情報と公安情報とがある。後者は反体制の「思想犯」「政治犯」等を対象としている公安警察の情報で、民主主義体制を暴力で覆そうとする過激派やテロリストなどの動静に関わる情報の秘匿は必要だろうが、民主主義擁護の立場にたち選挙で一定数の国民の支持を得て国会等に議席も有している政党や労組・市民団体などにまで調査対象を拡大して調査・監視しているのが問題。
 そして軍事機密というものがある。しかし、スパイ・通信傍受・盗聴などの情報収集とともに機密保全(秘匿)を必要とするのは敵対し警戒を要する国(戦争が想定される国)に対してであり、信義・信頼に基づく平和友好には、それは不要であるばかりか、あってはならないもの(第1次大戦の講和会議を前に、アメリカのウイルソン大統領が提唱した14ヵ条平和原則の第一番目は「秘密協定・秘密外交の禁止―公開外交」だった)。隠し事があっては腹を割った対話・交渉などできないからである。
 第二次大戦後、我が国は憲法で、諸国民との信義・信頼関係を基に平和友好関係を結び、非戦・非軍事による安全保障を基本方針とすることを定めた。
 安全保障というと「国家と国民の安全を守る」即「防衛」(軍事)と結びつけがちだが、軍事が国民の命を守る」というのは詭弁である。なぜなら軍事は戦争。戦争というものは殺し殺される命のやりとりにほかならず、国家(政府)を守るために国民の命を犠牲にする。(それが先の大戦で国民が味わった苦い経験。)
 安全保障の要諦は戦争をしないことであり、軍事を控え、敵をつくらないことである。(戦後、国民はそのことを悟って憲法に「諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した」のだ。)軍事(兵器や装備・作戦・暗号など)には機密が付き物であるが、軍事を控え秘密(隠し事)を控えて他国との信義・信頼に基づく平和友好をはかることこそが安全保障の要諦なのである。

 ところが、その後、米ソ対立・冷戦下で互いに敵視政策をとり、我が国は米国側に組し、米軍基地と自衛隊の存在を容認し、それに伴う「特別防衛秘密」等(核密約や沖縄返還に伴う密約も)容認してきた。
 安倍政権は、それを、さらに中国・北朝鮮などに対して敵視政策をとり、日米同盟強化(集団的自衛権の行使容認など)とともに米国などとの軍事機密の共有・管理の強化を図ろうとしているのである。(安倍首相の言う「積極的平和主義」とは、その言葉とは裏腹な軍事的対決主義にほかならない。)
 安倍政権が今「秘密保護法」を必要としているのは、中国・北朝鮮などに対して敵対・警戒路線をとってのことであり、これらの国や国民との平和友好路線を投げてかかっているからなのだろう。

 秘密保護法案、なんで今なの?といえば、安倍政権は中国・北朝鮮と軍事対決し、戦争になるかもしれないという事態が迫っていると考えているからなのだ。そのような事態はなんとしても避けなければならないということよりも、戦争になってもしかたない、或いは戦争も辞さないとの腹づもりで戦争を想定した体制を早急に整えておかなければならないと考えている。だから集団的自衛権の行使容認の解釈改憲、NSC(国家安全保障会議)の設置とともに軍事機密の防衛・管理強化を急務としているのだろう。

 尚、「安全保障」即「防衛」と短絡的に考える向きには、軍事は(自衛隊も日米安保条約も米軍基地も)必要だという考えで、それに伴う「防衛機密」(軍事秘密)そのものはあって然るべきで、「我が国の安全保障に著しく支障を与える秘密漏えい防止のために「特定秘密保護法」そのものの必要性は認める。野党でも民主党・維新・みんなの党はその立場。

 大手メディアでは読売・産経が賛成、朝日・毎日は反対、日経も異議。
維新・みんな両党との修正協議については、
 朝日―「『翼賛野党』の情けなさ」「『補完勢力』どころか『翼賛野党』と言われても仕方あるまい」「いずれの修正も実質的な意味は乏しく、問題の根幹はまったくかわらない」
 毎日―「まるですりより競争だ」
 日経―「この修正は評価に値しない」「この修正がなされても、国の秘密が恣意的に指定され『知る権利』が侵害されかねない法案の構造的な問題はなくなるわけではない」「すり寄ったと勘繰られてもしかたあるまい」
 これらに対して
 読売―「仮に捜査当局の判断で報道機関ひ捜査が及ぶような事態になれば取材・報道の自由に重大な影響が出ることは避けられない。ここは譲れない線だ」として、後は賛成。
 産経―「機密の漏えいを防ぐ法整備は必要」「法案の成立見通しを評価」「修正協議は妥当だ」と。
 NHKは委員会審議を中継。ニュースではそこからピックアップして、野党質問とそれに対する首相や関係閣僚の答弁のワンフレーズ、それに維新・みんな等との修正協議の場面と党首のコメントをワンフレーズだけピックアップして流し、それぞれの言い分を伝えているだけで、共産党などの反対論は取り上げず、賛否どちらに理があるのか論評がない。(NHK会長いわく「政府の公式見解を踏まえてニュース・番組を制作している」―要するに政府見解に即して報道しているということだ)


(2)本末転倒の秘密保護法案
 法案は安全保障の名の下に政府・行政当局が特定秘密を指定し、その漏えいを防止するために秘密事項に関わる公務員や民間企業従事者その他の身辺を調査・監視し、彼らと彼らに近づいて秘密情報をつかもうと取材・報道するジャーナリストその他(いずれも国民)に対して、漏えい(内部告発とその公表も)とその教唆・扇動(秘密を暴こうとして「どうなんだ」と訊いたり、それに関したことを人々に訴える行為)があれば重罰を科して取り締まろうとするものである。
 主権者たる国民には政府・行政機関の行為に過ちなきように監視(調査・チェック)し、違憲行為を告発する権利がある。そのために必要不可欠なのが国民の「知る権利」なのである。そしてその権利(知る権利)を補強(国民が政府・行政機関の行為・実態を的確に知ることができるように知識・情報を提供)する役割を担うのが研究・教育者やジャーナリストたちなのであって、彼らがその役割を果たすうえで必要不可欠なのが、(政府・行政機関の行為・実態を自由に調べ人々に伝えることが出来る)研究・教育の自由なのであり、取材・報道の自由なのである。
 現行憲法は国民主権の原則とともにこれら国民の権利を定めている。それに憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように」「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を定め、諸国民との信義・信頼に基づく平和友好によって安全保障をはかるという平和主義の原則を定めているが、国民が政府の行為に過ちなきように監視・チェックするという場合、とりわけ重要なのは安全保障に関わるこの点での政府の行為である。政府が、「安全保障」のためと称して、国民も諸国民も知らないうちに、秘かに戦争につながる行為を行うなどの過ちを犯すことのないように、国民が政府を監視・チェック・調査しなければならないのである。また憲法は基本的人権を定め、政府・行政機関は国民の「知る権利」とともに、プライバシー権(個人情報の秘匿・保護)、言論・表現の自由等の人権を侵害してはならず、この点でも国民は政府・行政機関を監視・チェックしなければならず、違憲行為は追求・告発しなければならないのである。
 ところが、この法案は、このような憲法原則とは全く逆に政府の方が自らの秘密行為(軍事・外交機密)を隠し通すために国民を調査・監視し、秘密を暴こうとする国民に罪をきせて裁くというものである。これはまさに本末転倒だ。

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最上義光の騎馬像の路傍に鎮座  公園内には他にも数匹 カラスどもとと共に

秘密保護法の弊害

①何から何まで秘密にされ、秘密に触れる行為だと見なされかねない←特定秘密の指定範囲があいまい・無限定で、「行政の長」(その配下の官僚)の恣意的な判断で決められ、現場で担当職員・警察官や自衛官らも「それは特定機密に当たる」と自分の思い込みで判断するから。
 気象情報なんかまで(太平洋戦争中は軍機保護法により天気予報が禁じられ、台風情報も秘密にされた。)
 (フクシマ原発事故に際し、スピーディ<放射能拡散予測>のデータは発表されなかった。また内閣官房が運用する情報収集衛星の画像が現行の「特別管理秘密」に指定されていて、東電に提供には提供されず、事故対応に活用されなかった。)
②「知る権利」が制約―ヘタに訊いたりできない。ジャーナリストがヘタに取材・報道できなくなる。学者・研究者・作家などが(外交や防衛、公安関係史料などについて)ヘタに物を調べられなくなる。
 「民はよらしむべし、知らしむべからず」になってしまい、民主主義が成り立たなくなる。
③国会議員の調査活動―行政のチェックが制約されることになる。
④内部告発(内部から不正の告発)ができなくなる。
⑤ヘタに(うっかり)ものが言えなくなる―言論・表現の自由が損なわれる。
  市民運動なども自由にできなくなる。
⑥秘密取扱者の「適性評価」のために行われる身辺調査(家族・親戚から知人・友人にまで及ぶ)―広範な市民のプライバシーが侵害

これらが、皆びくびく、委縮してしまう―「君子危うきに近寄らず」「見ざる、聞かざる、言わざる」になってしまう

●「大丈夫、それは思い過ごし。そこまで、そんなことまでしたりはしないから」といっても、しないという保証はない―みんなこの法律に引っかけられてしまいかねない。
 当初は(国会審議に際する答弁などで)そういうことはしないと大臣が言っても(「君が代」も当初は強制はしないと言っていたのに、強制されているし)、やがて法律が独り歩きし、秘密を取り扱う担当職員・警察官・自衛官などの段階でそれが行われることになる―恣意的な判断、杓子定規の法律運用―それが彼らの仕事だとして任務に忠実・熱心な現場の担当者は、秘密の「漏えい」・秘密取得のために行う「共謀」(仲間と相談したとか)「教唆」(そそのかしたとか)「扇動」(人に呼び掛けたとか)のどれかに当たる行為、或いは秘密の「管理を害する行為」に当たるとの理由で、その捜査対象と見なした人物を秘かに調査(あちこちから聞き取り、「協力者」から情報提供を得、密告を受ける等)・情報収集・尾行・監視・内偵し、逮捕・訴追に邁進することになる。
 その人物は、それが「秘密」とは知らなかったとしても、「客観的な状況から特定秘密であると認識している」と見なされてしまう。
 人々は相互不信・疑心暗鬼になり、「監視社会」・「暗黒社会」になる。
   「・・・・を見たらスパイと思え」
   「・・・・を見たら反日分子と思え」(今すでにヘイトスピーチで叫ばれているのでは?)
   「イスラム教徒をみたらテロリストと思え」(現に警視庁公安部が東京在住のイスラム教徒全員の個人情報を調査していた―そのデータが流出するという事件が起きていでる)

2013年11月19日

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                      山形市 霞城公園
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    最上義光  生誕400年

2013年11月21日

本末転倒の秘密保護法案

 主権者たる国民には、政府・行政機関の行為に過ちなきように監視・チェックし、違憲行為を告発する権利がある。そのような主権者・国民にとって必要不可欠なのが、政府・行政機関の行為・実態をよく知ることが出来るように、国民に「知る権利」が保障されることである。そしてその権利を補強すべく国民に情報を提供する役割を担うのがジャーナリストなのであって、そのうえで必要不可欠なのが取材・報道の自由なのである。
 憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように」「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を定め、諸国民との信義・信頼に基づく平和友好によって安全保障をはかるという平和主義の原則を定めている。とりわけ重要なのはこの点なのであって、政府が「安全保障」のためと称して国民も諸国民も知らないうちに秘かに戦争につながる行為を行うなどの過ちを犯すことのないように、国民が政府を監視・チェックしなければならないのである。
 ところが、この法案は、これとは全く逆に、政府の方が国民を監視・チェックし、自らの秘密を漏らしたり、暴いたりした者を処罰するというものである。これはまさに本末転倒だろう。

2013年11月25日

我が国は「普通の国」でよいのか

 NHKの日曜討論で自民党の高村副総裁は秘密保護法について、この種の法律は「普通の国はどこも持っている」などと論じていたが、我が国は「普通の国」などではないはず。
 なぜなら、内外諸国民に未曾有の犠牲を強いたその反省の上に、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように」かくも徹底した不戦平和憲法を制定している国は極めてまれなのだから。この憲法で「諸国民の公正と信義に信頼して」安全と生存を保持することを決意して戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認したはずの国に軍事機密などは本来あり得ず、秘密保護法もあり得ないのである。
 ところが、政府は日米同盟の下に米軍基地を置きつつ「自衛隊」の名の下に再軍備、それが常態化してきた。今ここにきて両国の軍事一体化をさらに強めるため共有する軍事機密の厳重管理を必要とし、秘密保護法制定にやっきとなっているのである。これを「普通の国」がやることだと称しているのだが、「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」と憲法で唱っていながら、自らそれに背いて名誉を貶め、隣国の不信と疑心暗鬼を招く結果になっているのである。
 戦争の惨禍と不戦平和努力の誓いをすっかり忘れ去っている、それこそが「平和ボケ」。
 我々国民として今必要なのは、「戦争は秘密裏に行われ、国民がその秘密に触れると厳罰に処せられ、やめてくれと言おうにもやめさせることが出来なかった」というあまりに苦い歴史を噛みしめることであろう。

秘密保護法の恐ろしさ

 秘密保護法の弊害で最も重大なのは権力が強大化し暴走する結果を招くことである。それは権力の手足となる官僚や官憲がこの法とともに独り歩きして暴走しがちとなるからである。
 この法は国の安全保障と公共の安全・秩序維持のために国家・行政機関の機密情報の漏えいを防止することを目的とし、その秘密は限定して指定されるというが、その基準と範囲はあいまいである。
 当初は国会委員会審議で、「このようなケースの場合は特定秘密に当たるか」との質問に担当大臣が「それは該当しない、対象外だ」と答弁していても、いったんそれが施行されてしまえば、(国旗・国歌法は法案審議に際して強制はしないと答弁していたにもかかわらず、それが成立するや学校現場では事実上の強制が行われているのと同様に)所管の官僚以下、現場では担当官・警察官・自衛官等は恣意的に判断して「これは特定秘密に当たる」「特定秘密保有者の管理を害する行為に当たる」と解釈して、或いは杓子定規に「違反は違反だ」と法を運用して独自に動くことになる。
 その結果、政府に批判的な政党や市民運動、真相究明に当たるジャーナリスト・研究者が警戒・監視されるのもならず、なんのつもりもない普通の市民さえも何らかの関りがあるとみなされれば、リストアップされ、マークされる。(「知る権利」も「報道の自由」も「配慮」はしてますよ、と言えば済む話で、意に介すことはほとんどあるまい。)追及・捜査にあい、逮捕・拘留を受けるようなことにもなれば、裁判に至らなくても大打撃を被ることになる。
 これに人々は慄いて委縮し、誰しも「君子危うきに近寄らず」「見ざる、聞かざる、言わざる」となってしまう。そこが恐ろしいのである。

 

2013年11月27日

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      イトトンボ
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ストーブの季節なのに なんで今いるの
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