米沢 長南の声なき声


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秘密保護法の恐ろしさ
2013年11月25日

 秘密保護法の弊害で最も重大なのは権力が強大化し暴走する結果を招くことである。それは権力の手足となる官僚や官憲がこの法とともに独り歩きして暴走しがちとなるからである。
 この法は国の安全保障と公共の安全・秩序維持のために国家・行政機関の機密情報の漏えいを防止することを目的とし、その秘密は限定して指定されるというが、その基準と範囲はあいまいである。
 当初は国会委員会審議で、「このようなケースの場合は特定秘密に当たるか」との質問に担当大臣が「それは該当しない、対象外だ」と答弁していても、いったんそれが施行されてしまえば、(国旗・国歌法は法案審議に際して強制はしないと答弁していたにもかかわらず、それが成立するや学校現場では事実上の強制が行われているのと同様に)所管の官僚以下、現場では担当官・警察官・自衛官等は恣意的に判断して「これは特定秘密に当たる」「特定秘密保有者の管理を害する行為に当たる」と解釈して、或いは杓子定規に「違反は違反だ」と法を運用して独自に動くことになる。
 その結果、政府に批判的な政党や市民運動、真相究明に当たるジャーナリスト・研究者が警戒・監視されるのもならず、なんのつもりもない普通の市民さえも何らかの関りがあるとみなされれば、リストアップされ、マークされる。(「知る権利」も「報道の自由」も「配慮」はしてますよ、と言えば済む話で、意に介すことはほとんどあるまい。)追及・捜査にあい、逮捕・拘留を受けるようなことにもなれば、裁判に至らなくても大打撃を被ることになる。
 これに人々は慄いて委縮し、誰しも「君子危うきに近寄らず」「見ざる、聞かざる、言わざる」となってしまう。そこが恐ろしいのである。

 


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