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2012年11月 アーカイブ

2012年11月01日


                     新潟県  米山  角栄道路

柏崎刈羽原発  遠望(構内は撮影禁止で、写真はここからしか撮れない)


        PR施設サービスホール内の模型  そこ以外の構内(実物)は撮影禁止

        


                      原子炉建屋内(5分の1大 模型) 

                      炉心(5分の1大 模型)

11月のつぶやき(上に加筆)

●久々に空は青く晴れ渡り、吾妻の山嶺には白い粉が降りかかり、山腹には「白馬の騎士」が浮き立って見える。振り返ると彼方に月山、その西に旭岳、東には蔵王が真っ白に聳え立つ。今日は英語で ♪♪And now the end is near・・・・・・・・I did it my way♪♪
 歌声が(自分の耳には)響きわたって聞こえる。気分ええな。
●風邪・咳きは10日あたりでようやく治まった。木枯らしがそよぐ田んぼ道を久々に散歩。♪♪どこかで 誰かが きっと待っていてくれる・・・・・・・・・風の中でも待っている♪♪(木枯らし紋次郎の歌) 
●軒下のスズメバチの巣を女房が取ってきて、「ほら」と言って見せた。蜂はいなかったのだ。
●やっぱり日本のマスコミはおかしい。
 11日反原発「100万人大占拠」と銘打って首都(官邸・国会周辺)から46都道府県で一斉に集会・デモが繰り広げられ、米沢でも初めてそれが行われた。なのにマスコミは(赤旗以外は)全く無視。翌日は、新聞は各紙とも一斉休刊日で、翌々日の新聞。朝日だけは翌々々日の山形版に、山形市内のデモが小さな写真付きで掲載、米沢でも行われたと数行書き添えられていた。
 図書館に行って各紙を調べてみたが、そうだった。NHKをはじめテレビも新聞も、おしなべて橋下(朝日新聞出版社側の謝罪)・石原(新党結成)・小沢(無罪判決)のニュース・記事で埋め尽くされていた。日本のマスコミ情報も、やはり偏っているんだな。
●反原発デモ 初めて米沢でも。日曜日だが、まちの広場、このあたりはかつての中心街だが、今はシャッター街で今日も閑散。それでも精一杯シュプレコール「サヨナラ原発!原発なくても電気は足りる!命がだいじ!子供を守れ!未来を守れ!地震大国 原発いらない!大飯止めろ!全ての原発再稼働やめろ!・・・・・・・・・・・」と。マスクをして咳きをしながら叫び、ウォーキング1.2キロ。
●朝日の「声」欄に「『疑わしき』で大飯原発停止を」というのが出ていた。このHPの「柏崎刈羽原発を見てきて思う」の冒頭のところに書いたのと同じようことが書かれていた。「『疑わしきは罰する』、つまり大飯原発の稼働を即刻停止すべきである」と。
●血圧計も寿命のようで、ちゃんと出なくなったので、女房は新しいのを買ってきた。測ってみると、いきなり164。一か月間、毎日測り続けて150以上出たことがなかったのに。風呂が沸かないうちに入って風邪に罹ってしまったせいだな。
●パソコンを買い直した。今まで使っていたのが10年近く経っていて、起動や切り替えが遅くなったうえ、画面の下枠(両方の蝶つがいと画面の間に)左右2か所とも亀裂が入ったので買い替えるしかなかった。あと10年もつか。このブログも。
●「ん~加齢臭する、近くさえがんね」と女房。「過敏症、鼻が狂ってんなだ!」と言い返す。いったいどんな臭いだというのだ。
●食卓を囲んで夕飯。いつもの7時のニュース、冒頭だけかけると、アメリカ大統領選挙。孫・小4がつぶやく。「オバマが勝つといいな」。「日本の総理大臣は?」と訊くと。「野田総理はやだ」。「じゃ誰ならいい?」。「知らない」。上の孫・小6、「岡田副総理がいい」と。
 これが、そこらここらの大人なら(アンケートで訊かれると)橋下か、慎太郎か、或いは安倍か石破、となるのだろう。ああ、日本の民度、日本のマスコミ・・・・・・
●吾妻の山並みにうっすらと白粉が降りかかり、「白馬の騎士」(山腹にあるスキー場が遠くから眺めるとそのように見え地元ではそう呼んでいる)が姿を現した。それを眺めながら誰もいない田んぼ道を散歩。とりうち帽子にジャンバーに軍手。
 ♪♪遠い遠い遥かな道は 冬の嵐が吹いてるが ・・・・ひとりひとり今日もひとり 銀色の遥かな道♪♪ だいぶ声がでるようになった。マイウェイ、昴、千の風、川の流れのように、風(はしだのりひこの)、いちご白書、それに仕事の歌♪♪イギリス人は利口だから水や火など使う ロシア人は歌を歌い自ら慰める♪♪・・・・・ああ、8曲も歌ったか


                我が家 バラとジャスミン そこにスズメバチの巣

       どうすりゃいいんだ? 今はまだ蜂は巣から出てきて襲うから危ないって 

2012年11月07日

第3極争いに見られない革新派

 今、日本には次のような政党がある。
 民主党・自民党・公明党・生活第一・みんなの党・共産党・社民党・たちあがれ日本・維新の会・国民新党・新党きずな・新党日本・新党改革・新党大地・緑の党
 「第3極」というと、マスコミは、専ら「維新の会」と「みんなの党」それに「石原新党」(たちあがれ日本が母体)が登場して、そればかりを取り上げている。石原氏は、これらの連合(「日本維新大連合」)を呼びかけている。
民主党と自民党の二大政党に飽き足りない人たちの中には、「第3極連合」としてそれに同調する向きも少なくないと思われる。
 橋下氏は連合・選挙協力には「理念・価値観での一致」が必要だと言い、石原氏は「原発や消費税はささいな問題」「小異を捨てて大同に」つけれ場よいと。
 彼らの一致する(大同をなす)理念・価値観とは、日本国憲法とは基本的に矛盾し、ともに改憲を志向している。(思想傾向は保守主義―国益と伝統を重視―だが、橋下は「みんなの党」と同様に経済的には新自由主義―規制緩和・民営化を志向。現行憲法はリベラリズムの立場で個人の自由・人権―思想・良心の自由や一人ひとりの個性・能力を育てる教育の保障、一人ひとりの生存権・生活権保障、労働者の組合活動や市民の政治活動の自由を尊重する立場で、先の戦争の反省から非戦・非軍事の平和主義の立場。それに対して国家・公組織の権力・権威の重視、法治主義による管理・統制、自由・人権の制限・抑圧、労働組合や市民運動の敵視、弱肉強食の競争・格差の肯定、自己責任の重視、エリートと非エリートの選別・格差を是認する人材教育など、それに戦争・軍事の肯定、これらの点で彼らの理念・価値観は共通する。)
 石原氏は「憲法破棄」とさえ言ってはばからないし、橋下氏はそこまでは言わないものの、タカ派的強権政治で、大阪で推し進めている競争主義的教育政策や教員・職員の管理統制(締め付け)、福祉・文化の削減政策など、憲法理念とは相いれず、96条の改正(国会の改憲発議要件の緩和―「3分の2以上」を「過半数」に)から9条改定の可否を問う国民投票の実施に至るまで改憲路線を目指している。
 この改憲路線は安倍自民党とも共通する(安倍氏は「戦後レジーム<現行憲法体制>からの脱却」をずうっと言ってきている)。
 したがってこの点では、「第3極」というよりは、むしろ安倍・石原・橋下の3頭連合路線と言えるだろう。
 この点が決定的な一致点すなわち「大同」なのであって、原発や消費税など彼らにとっては確かにささいな問題なのかもしれない。
 「みんなの党」は脱原発・消費税増税反対は掲げているが、改憲の点では同じである。「生活第一」も脱原発・消費税増税反対は掲げているが、憲法についてはどうなのだろうか。
 はっきりしているのは、共産党と社民党そして「緑の党」だろう。これらは反改憲(護憲)であり、かつ反原発・反消費税である。
 第3極というなら彼らが結集して改憲派保守陣営に対抗する護憲革新連合として共同戦線を組んでもおかしくない。
 イタリアなどヨーロッパではベルルスコーニュら中道右派連合に対して「オリーブの木」と称される中道左派連合(左翼民主党から「緑の党」・共産主義再建党にいたるまで結集)が見られ政権を獲得したこともある。
 しかし、今日本ではその気配はなく、共産・社民・緑の党ともマスコミから取り上げられることはほとんどない。
 それが残念でならない。
 このままでは、今、アメリカなど海外メディアから「日本の右傾化」と見なされているように、その方向へ向かっていく。それを、手をこまねいて見ているしかないのだろうか。

 いかし、今からでも遅くはない。革新派(共産・社民・緑の党)は「自分たちこそ第3極」を(マスコミにひいきされ持ち上げられている維新の会・石原新党・みんなの党などに何とかして負けないで)アピールして攻勢に出、躍進を勝ち取るように奮起すべきだ。

2012年11月11日


                 11日 全国一斉 集会・デモ  米沢でも


福島からの避難者の方


2012年11月15日

革新懇が護憲・環境・生活派の結集軸に

 革新懇(正式名称―「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」)―思想・信条や政治的立場の違いをこえて、政治革新の目標(①平和―非核・非同盟・中立②民主主義―自由・人権擁護・護憲③生活向上―国民本位の経済)と切実な要求で一致するすべての政党・団体・個人が力を合わせるための会。

 ついに野田首相は解散(16日)・総選挙(12月16日投票)を言明。
 選挙の結果、自公政権の復活・保守第3極(維新の会・みんなの党・太陽の党など)の台頭あるいは躍進が予想される。そして、それらの連立政権あるいは政権協力によって消費税増税の実行、原発再稼働、TPP参加、日米同盟の深化(普天間基地の名護移転、オスプレイ配備・「動的防衛協力」など)それに改憲(96条―改憲の国会発議要件、首相公選制・参院の廃止、9条の改定など)が次々と進められていく可能性が高い。国際社会は日本の右傾化として警戒する。
 そこには、次のような状況がある。
 今、日本社会には人々の間に閉塞感と政治不信から苛立ち・嫌気・空しさ・シニシズム(冷笑主義)といった空気が充満している。そこから、人々には、「こんな政権」「こんな国会」ではダメだと、とにかくがらりと変わり映えのする政治家・政権を望み、タカ派(強硬派、威勢のいい、勇ましいことを言う政治家など)への政権交代・国会議員の入れ替えを求める。或いは面白半分に(結果はどうなろうと、とにかく面白ければいい)劇場型政治家を求める。そして、むしろ真面目な人(共産・社民・緑の党など真面目そうな政党があることはあるが、あまりにも非力か無力だと思え、候補者はどうせ「泡沫候補」で投票しても無駄だ、と諦めた人、冷めた人、この国のあらゆる政党・政治家に絶望している人)は投票所には行かずに棄権する、といった状況。
 (尚、11月10・11日に朝日が行った世論調査では、「仮にいま、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思うか」といえば、次の通り。
民主12、自民29、生活第一1、公明4、共産3、みんな2、維新5、新党きずな0、社民0、国民新0、新党大地0、減税日本0、たちあがれ0、新党日本0、新党改革0、その他の政党4、答えない・分からない40)

 そこで革新派はこれらの状況をどう打開するか、が問題。それが無策で、何の戦略をもたないのであれば何をかいわんや、である。
 このような状況を打開し、上記のような選挙結果になることを阻止するためには、自公民・「保守第3極」など(改憲・消費税増税・原発再稼働・TPPなどいずれも容認)これらに反対な政党(反消費税増税・反原発・反TPPの護憲政党)の候補者を支持する団体・個人が力を合わせて、その政党候補者を当選させるべく結集する以外にないだろう。
 その結集軸というか媒体というか、受け皿の一つ(唯一のものかもしれない)がこの革新懇なのではあるまいか。

 また9条の会は反改憲・9条護憲派の結集軸となってその政党候補者を支持して当選させるべく積極的に選挙に関わるべきだろう。石原新党(「太陽の党」)は「自主憲法制定」を公約の第一に掲げてその改憲一点での大同団結を呼びかけているが、それに反対する立場からの大同団結があってもおかしくあるまい。

 革新懇も9条の会も、選挙を傍観することなく、自公民・保守第3極の対極となる革新政党―共産・社民・新社会党・緑の党(?)などのどれか―の候補者をなんとかして当選させるよう積極的に(結集軸・媒体・受け皿として)役割を果たすべきだろう。
 要するに、革新懇は、今度の選挙では、自分たちと同じく護憲・反原発・反消費税・反TPPで意見が一致する候補者に投票することにして、その選挙区で、そういう候補者が一人しかいないならば、たとえ彼が何党であっても(人によっては、過去のしがらみからは必ずしも支持政党ではない政党の所属であっても)彼に投票するようにする。そしてそれを会員は勿論のこと、なにかと連帯・協力関係にある団体・個人に対しても「是非彼に!」と投票を呼びかけることにしては如何なものだろうか。   
 さもないと改憲タカ派勢力の勢いにはとても抗しきれまい。
                    ・・・・・・・・・・・と思うのだが。
 


 

2012年11月20日

不公平なマスコミ―それに影響される有権者(上に再加筆)

<再加筆>
 マスコミは「二大政党」の他に「第3極」なるものを作り出し、世論調査にもわざわざその項を設けて答えさせている。
 NHKは誰が首相に相応しいかを「野田」と「安倍」と「どちらでもない」の3択で答えさせている。
 25日朝日の世論調査では「野田内閣支持か不支持か」、「どの政党を支持しているか」、「比例区ではどの政党に投票したいか」、「どの政党に議席を伸ばしてほしいか」を答えさせ、「原発利用」と「消費税引き上げ」と「TPP参加」をあげて、それぞれ賛成か反対かを答えさせ、これら3つだけを「争点」にしている。そして、それに加えて「第3極」の「政党同士の連携で政策の一致が重要か重要でないか」とともに、「維新の会」と「太陽の党」の合併の是非を答えさせている。
 朝日は各党の選挙公約を紹介していたが、28日には1頁を左右しきって民主・自民両党の公約を頁いっぱい詳細に紹介。ところが、30日には左側には上半分を「維新の会」に当て(下半分は広告)、右側にはその他の7党を(7分して)掲載。つまり、民自各1に対して維新には2分の1(要約)、その他の党には7分の1(要約の要約)しか当てないという不公平扱いである。
 あたかも、民自両党は「二大政党」だけに公約がいっぱい。維新は「第3極」だけに公約はその半分の多さで、その他の党の公約はわずかそれだけか、と思われてしまうような扱いなのである。
 (尚、この時点では「日本未来の党」の公約は未だ出来ていない段階)

 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は27日「総選挙にあたって争点提示型の公平な放送を要望します」と題した申し入れ文書を届けている。
 その中で、今回の総選挙は国民にとって死活の課題の方向性を問う極めて重要な選挙だと位置づけ、それらの課題を各政党の政策とその異同を分かりやすく伝えるよう求めている。
 そして最近のNHKの選挙関連放送は、民放や全国紙と同様、民主・自民・いわゆる「第3極」の動静や離合集散に焦点をあてた政局報道が主だと批判。こうした報道を繰り返すことは有権者の関心をこれら既存大政党に偏重させ、他の野党の政策や有権者の知る権利を阻害するとして、どの政党の政策・公約も平等に扱うよう求めている。
 28日には、「放送を語る会」と「日本ジャーナリスト会議」が連名で「有権者の判断に役立つ公正・公平で充実した選挙報道を求めます」との要請文をNHKと民放キー局に送付。
 要請文では、民主・自民の「二大政党」といわゆる「第3極」の政治家の動向に重点を置く報道が異様なまでに続いている状況は、選挙の争点をあいまいにし、これらの政治勢力への投票を誘導するもので、とうてい公正な報道といえないと批判している。
 そのうえで、政党の政策・主張の紹介は現在の議席数の多少で放送の量を配分するのではなく、公平におこない、「二大政党」と「第3極」偏重の報道姿勢をあらためるよう要請している。
 

<加筆>
 いくつかの視聴者団体(NHK問題大阪連絡会・NHK問題京都連絡会・NHK問題を考える会など)は「総選挙にあたって公平・公正な選挙報道を望みます」とする要望書を報道各社の送付している。要望書は、これまで多くのメディアが二大政党制を推進する立場で自民党と民主党による対立が政局の基本であるかのような報道を行い、「維新の会」を「第3極」として無批判に連日大きく報道していると指摘し、特定の党派の動向や主張の報道に偏ることなく、それぞれの党派の主張を公正・正確・平等に報道し、視聴者に客観的な情報を提供すること等を求めている。
 11月26日には、共産党がNHK、民放TV各局に対して「総選挙の報道・企画での政党の扱いにかんする要請」を行い、「二大政党」や「第3極」を特別扱いせず、各党を平等、公平・公正に扱うよう申し入れている。


<原文>
 じっくり情報を収集・吟味するゆとりのない有権者の多くは、子供と同様、テレビ・新聞が流す映像や語句から受ける印象(イメージやフィーリング)と学校で教えられた薄っぺらな知識とマスコミによってこれまで刷り込まれてき先入観だけで短絡的に判断しがち。
 ネットが普及しているとは言っても、日本ではまだまだテレビ・週刊紙・新聞情報などマスメディア情報が支配的だろう。
 そのマスコミは公平・中立か。公平・中立というのは全てを(選挙の場合は、公示から投票日までの選挙期間中だけでなく、その前後を通して全ての政党・候補者を)同等に扱うということだろう。しかし、各マスコミは限られた放送時間・紙面では、それが不可能であり、取捨選択をせざるをえず、ニュースバリュー(価値)づけをして、幾つかの「価値」の高いものに絞り、他の「価値」の低いものはカットということになる。その場合、何を基準に価値づけ・取捨選択するのかが問題。
 その基準は、それ(その取材対象)がより多くの視聴者・読者の興味・関心を引き、注目に値し、そしてその映像や記事を見てもらえ、読んでもらえるか(売れるか)である。
 視聴者・読者の興味・関心には二通りある。一つは、自分や自分に関わる人たちの日々の生活・将来の生活・運命に関わるもの、もう一つは単なる興味・面白味。
 国政選挙については、政治を真面目に考えている人は、国政に携わる政府と国会議員をどの政党、どんな議員に委ねたらいいのかを的確に判断するために必要な情報をメディアに求める。また興味本位・面白半分にそれをテレビや新聞・週刊紙で見る人は政局の劇的展開の面白さ、選挙戦・論戦の面白さ、どっちが勝つか負けるか、カッコいい・或いは面白味のある政治家の言動をメディアの映像や記事に求める。
 一方、NHK・民放・新聞・週刊紙各社にも社自身のポリシーがあり、この国をある方向に、そして世論をその方向に導きたいという世論形成・世論誘導の思惑をもつメデイアもあり、或いは、この国がどうなろうとそんなことは「知ったこっちゃない」かのように専ら政局、選挙戦・論戦政治スキャンダルの劇的展開、劇場型政治スター(ヒーローと悪役)の活躍・暗躍の有様などを興味本位に取り上げて、そういったことに終始するだけというメディアもある。
 興味本位・面白味を主にしているメディアの取材・掲載の取捨選択基準は対象の面白味にあることはいうまでもないが、真面目に生活をかけ世直しを望んでいる有権者・国民に各党の理念・政策・人物を的確に判断するのに必要な情報をできるだけ提供しようとするメディアの場合、放送時間枠や紙面に限りがあってそれに各党の情報提供に当てる量を加減しなければならない、その基準はそれぞれの党が国民に対してもっている影響力と政治動向を左右する影響力・勢力の大きい・小さいなのだろう。即ち政権党としての影響力、最大野党としての影響力、「第3極」としての影響力、その他批判政党としての影響力といった影響力の大きい小さい、前回選挙の得票率(実績)と世論調査の支持率の高い・低いに応じて、割かれる露出時間と紙面が配分される。(国民のあいだで、支持率が高く、国民に対して影響力の大きい政党に多くの露出時間・紙面を割くのは不公平・偏り・アンフェアとは言えない、とマスコミはそれを正当化するのだろう。)
 したがって、どうしても野田・民主党と安倍・自民党、公明党そして石・橋維新の会ばかりが、映像・紙面の圧倒的な部分を占める結果となる。

 支持者の多い政党には、国会における発言時間(本会議や委員会質問、党首討論などが、各党の議席数に応じて配分)と同様に、テレビへの露出(出演)時間と新聞への掲載紙面をより多く提供するのは、その支持者たちから見れば当然のことであり、それを議席がわずかで支持率が低い政党にまで均等配分するのはかえってアンフェアだということになるのだろう。

 しかし、そのようなやり方は、より多くの露出時間と紙面を提供してもらえるその党にとっては、いわばそれが既得権益として固定してしまい、二大政党+α(公明)いわゆる自公民3党などにとってはいつまでも有利であり、その他の政党にとってはいつまでも不利な状態に置かれることになる。
 少数党は、有権者・国民にその考え(理念・政策など)や歩んできた歴史の真実を、いつまでも伝えてもらえぬまま、先入観(その党に対する浅薄・不確かな知識・情報)だけで評価され、支持率は低いまま、小政党はいつまでたっても小政党ということになってしまっている。
 たとえば共産党などは、現存政党の中では最も古い(90年もの)歴史をもつのに、その間の歴史―戦前・戦中の暗黒時代にあって唯一、反戦と民主主義を主張し、アカ・非国民として弾圧されながら抵抗し続け、戦後開花した民主主義と不戦平和主義のその後の逆コースに抗し続けると同時にソ連や中国共産党の干渉にも抗し続けてきた事実とその役割―はろくに伝えられることなく、むしろ、挫折したソ連型・中国型共産主義の負のイメージの方が、アカ・イメージとともにマスコミその他によって焼きつけられてきた。(そして庶民からは「名前を変えたらいいのに」と言われたりしている。しかし、同党自身からすれば、他の政党が理念・政策をコロコロ変えて名前を変えてきたのと一緒くたにして党名を変えなければならない謂れあるまいと。)
 マスコミは、このような少数政党の詳しい歴史は伝えず、有権者・国民はほとんどよく知らない

 ところがマスコミには、ジャーナリズムの「公正・中立」原則に立つとは表向きで、内実は局や社自身が権力(放送局は総務省から5年毎に免許更新を受けなければならない)と財界(広告・CMのスポンサー)との利権関係にあり、その立場からの政治的思惑があることは否めない。
 財界などの立場からは、産業・経済政策も税制も金融政策・エネルギー政策も、彼らの事業にとって都合にいい政策をずうっと採り続けてくれる保守政権を維持してもらうことが宿願で、政権が革新派に変わってその体制が変革されることを恐れる。そこで彼らは、政権交代しても保守二大政党間であればよいとして、選挙制度を中選挙区制であったのから小選挙区制を導入(比例代表制と並立)して保守二大政党を作り出すことに成功したかに思われた。この選挙制度・政治改革に主要マスコミはそろって賛同し推進・協力した。
 ところが、やっと政権交代したかと思ったら、自民党に替わった民主党政権は失政を重ね、二大政党制は挫折。そこへきて大阪に「維新の会」が台頭し、それに乗じて、今度は「第3極」なるものを作り出し、いわば「三大政党制」に変えようとしているかのよう。
 そこで、マスコミは、その「第3極」づくり(迎合)にやっきで、連日、石原・橋下をテレビ・新聞に登場させ、局(フジテレビなど)によっては政党討論番組を3党(民・自・維新)だけでやらせている。「維新の会」を第3極としていわば特別扱い。「維新」「太陽」両党合併を決めた橋下・石原会談には記者が300人も集まったという。そこで彼らが取材してきた記事や写真がテレビ画面や新聞紙面を埋め尽くす。
 しかし、その派手なパフォーマンスや威勢がよく痛快そうな言動だけが伝えられ、そのファシズム的実態(当方から言わせると「イシ・ハシズム」)はほとんど隠されて、批判的に論評されることは少ない

 このようにマスコミからは国政と国民により影響力を持つ政党として報道に既得権益を与えられている自公民3党、それに「第3極」として脚光を浴び特別扱いを受けている「維新」党。それ以外の政党はテレビ・新聞にはあまり出る幕がなく、その党の真実と詳細が伝えられることはまずない。
 それが不公平・不公正でなくて何であろう。

 公示から投開票までの選挙期間中は、一応、全政党に討論番組への出演と党首や候補者の政見・動静などの記事掲載の機会が均等に与えられるが、それは12月4日から16日までの13日間だけ。政党は15党もあるのに。こんなわずかの期間にこれらの党の全てをマスコミだけから知り尽くすことは不可能であり、比較・吟味もできない。

 要するにマスコミからは数ある政党の一つ一つ、各党の候補者一人ひとりを正確に知ったうえで投票することは不可能であり、マスコミからは特定の政党だけに特化した極めて偏った情報しか伝えられない、というのが我が国のマスコミの実態なのだということ。

  そしてマスコミは、今度の選挙の対立構図を「既成政党か第3極か」とか「民主か自民か維新か三者のせめぎ合い」として描き、政治評論家は選挙結果を第一党が自民党で、自公政権が復活、第二党を民主と維新が争い、自公民の大連立の可能性もあるが、維新か民主のどちらかが野党第一党となる可能性が高いと予想している。
 また「第3極」争いで、石・橋維新とみんなの党・減税日本の「Aチーム」に対して、「Bチーム」として小沢党(生活第一)・鈴木宗男党(新党大地)・亀井新党が脱原発・消費税増税凍結・反TPPで連合して、そこに社民党・みどりの風も同陣営に加わるか否かなども取りざたされているが、今は「第3極」といえば石・橋維新のAチームの方を指している。

 このような安倍自民党、野田民主党、石・橋維新の会という3大政党が国会の3分の2議席を占めるとなると、日本はどうなるのか。日本のマスコミは、財界の意向に即して保守安定政権が実現すればそれでよく、それ以上のことはあまり論評していない。
 「強くてしたたかな日本」か「弱くてお人よしの日本」か、どっちがいいのか、などと短絡的に言われば「強くてしたたかな日本」の方がいいに決まっているとなるのだろうが、国際社会は「日本の右傾化」を心配し、それが「周辺諸国の不安要因」となる(日本人の多くはマスコミとそれに植え付けられたかつての冷戦思考にとらわれ、とかく対中関係が悪化しても日米同盟が盤石であるかぎり、孤立するのは中国の方だと思いがちだが、実は逆で、米中関係それに中韓・中台関係もは緊密で日本の方が孤立しかねず、それは財界にとっても心配の種)という指摘もある。
 
 さて、日本はどうなるのか
 沖縄をはじめ米軍基地・安保はいつまでそのままにして置くのか。マスコミは日米同盟(安保)は不変だとして、その枠内でしか論じない。
 そもそも国民(子ども・若者・高齢者も含めた庶民)の生活・生業はこの先いったいどうなるのか。マスコミは、財界の企業経営、政府の国家経営・財政運営の観点から論じる以外には、展望を示そうとはしない。

 「三大政党」(自民・民主・維新)はいずれも改憲志向であり、特に安倍自民党と石原維新の会は自主憲法制定に執念を燃やしている。日本国民自身にとっては、戦後の憲法体制が変えられてしまうかもしれない、というかつてない重大な局面に立たされることになる、と思われるのだが、マスコミはそれに言及することは少ない。
 消費税増税・原発・TPP・基地問題もさることながら、この改憲問題こそ最大の争点なのに。

2012年11月28日

改憲も争点

 選挙といえば、庶民にとっては、とにかく景気を好くして生業・暮らし・子ども・年金など何とか心配のないようにして欲しいといったこと。そしてマスコミが争点として挙げているのは原発・消費税・TPPそれに外交・防衛問題。
 しかし、もう一つ改憲問題があるのでは?
 自民党は政権公約に改憲を掲げ、維新の会は代表が現行憲法の「破棄」を持論としているほか、民主党・みんなの党・公明党その他も、共産・社民など以外は、条項や時期などに違いがあり程度の差はあっても改憲自体は容認している。
 今回の衆院選それに来年の参院選でも、これら改憲派が3分の2以上を制すれば改憲発議が可能となる。順序として、まずは96条の国会発議要件を「過半数」に切り替えて改憲をし易くする。そのうえで「環境権」など新条項「加憲」を手始めに、首相公選制・参院の廃止などから、しだいに憲法の本質に関わる改変(「権力を縛るもの」から、国民に様々な権利の制限・責務を課して「国民を縛るもの」に変質)、9条の改変(戦力不保持の削除、集団的自衛権をも含意する自衛権の明記)へと進む。その可能性が高くなる。
 この選挙の後には消費税増税の実施、原発の再稼働、TPP参加も待っているが、このような改憲も日程に上ってくるのだ。

2012年11月29日

未来の党が護憲派ならば

 「未来の党」が「卒原発」を求める人たちの「受け皿」として結成された。そこへ反消費税増税・反TPPなどを掲げながら脱原発で一致する小沢氏・亀井氏らの党派、それに「みどりの風」が合流することになった。
 しかし、国民が国政に対して切実に関心を寄せている問題は様々あり、選挙の争点は他にもある。それら個々の課題に対応するにも一貫した基本理念で共通するものがないと、単なるご都合主義で「野合集団」といった誹りを免れない。その理念とは憲法に対する考え方にあると思われる。そういう基本理念に基づいて原発や消費税あるいは外交・安全保障・社会保障・教育など個々の課題への対応や政策が選び取られ、違いが分かれる。自民党や維新の党などのタカ派的な政策(強硬外交・軍事主義、競争主義・管理主義など)はいずれも現行憲法に対する否定的な考え方・改憲志向と重なる。
 未来の党は、自民や維新など改憲勢力に対して護憲の立場で、現行憲法の平和主義とリベラルの理念に立って「卒原発」「守暮らし」などの諸政策を打ち出し、一致する諸政党を結集、或いは互いに連携・協力するようにしてほしい。即ち護憲勢力の一翼ひいては結集軸になってほしい。
 そうすれば、自公民・維新などに対して、それこそ「本当の第3極」たり得るだろう。

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