米沢 長南の声なき声


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第3極争いに見られない革新派
2012年11月07日

 今、日本には次のような政党がある。
 民主党・自民党・公明党・生活第一・みんなの党・共産党・社民党・たちあがれ日本・維新の会・国民新党・新党きずな・新党日本・新党改革・新党大地・緑の党
 「第3極」というと、マスコミは、専ら「維新の会」と「みんなの党」それに「石原新党」(たちあがれ日本が母体)が登場して、そればかりを取り上げている。石原氏は、これらの連合(「日本維新大連合」)を呼びかけている。
民主党と自民党の二大政党に飽き足りない人たちの中には、「第3極連合」としてそれに同調する向きも少なくないと思われる。
 橋下氏は連合・選挙協力には「理念・価値観での一致」が必要だと言い、石原氏は「原発や消費税はささいな問題」「小異を捨てて大同に」つけれ場よいと。
 彼らの一致する(大同をなす)理念・価値観とは、日本国憲法とは基本的に矛盾し、ともに改憲を志向している。(思想傾向は保守主義―国益と伝統を重視―だが、橋下は「みんなの党」と同様に経済的には新自由主義―規制緩和・民営化を志向。現行憲法はリベラリズムの立場で個人の自由・人権―思想・良心の自由や一人ひとりの個性・能力を育てる教育の保障、一人ひとりの生存権・生活権保障、労働者の組合活動や市民の政治活動の自由を尊重する立場で、先の戦争の反省から非戦・非軍事の平和主義の立場。それに対して国家・公組織の権力・権威の重視、法治主義による管理・統制、自由・人権の制限・抑圧、労働組合や市民運動の敵視、弱肉強食の競争・格差の肯定、自己責任の重視、エリートと非エリートの選別・格差を是認する人材教育など、それに戦争・軍事の肯定、これらの点で彼らの理念・価値観は共通する。)
 石原氏は「憲法破棄」とさえ言ってはばからないし、橋下氏はそこまでは言わないものの、タカ派的強権政治で、大阪で推し進めている競争主義的教育政策や教員・職員の管理統制(締め付け)、福祉・文化の削減政策など、憲法理念とは相いれず、96条の改正(国会の改憲発議要件の緩和―「3分の2以上」を「過半数」に)から9条改定の可否を問う国民投票の実施に至るまで改憲路線を目指している。
 この改憲路線は安倍自民党とも共通する(安倍氏は「戦後レジーム<現行憲法体制>からの脱却」をずうっと言ってきている)。
 したがってこの点では、「第3極」というよりは、むしろ安倍・石原・橋下の3頭連合路線と言えるだろう。
 この点が決定的な一致点すなわち「大同」なのであって、原発や消費税など彼らにとっては確かにささいな問題なのかもしれない。
 「みんなの党」は脱原発・消費税増税反対は掲げているが、改憲の点では同じである。「生活第一」も脱原発・消費税増税反対は掲げているが、憲法についてはどうなのだろうか。
 はっきりしているのは、共産党と社民党そして「緑の党」だろう。これらは反改憲(護憲)であり、かつ反原発・反消費税である。
 第3極というなら彼らが結集して改憲派保守陣営に対抗する護憲革新連合として共同戦線を組んでもおかしくない。
 イタリアなどヨーロッパではベルルスコーニュら中道右派連合に対して「オリーブの木」と称される中道左派連合(左翼民主党から「緑の党」・共産主義再建党にいたるまで結集)が見られ政権を獲得したこともある。
 しかし、今日本ではその気配はなく、共産・社民・緑の党ともマスコミから取り上げられることはほとんどない。
 それが残念でならない。
 このままでは、今、アメリカなど海外メディアから「日本の右傾化」と見なされているように、その方向へ向かっていく。それを、手をこまねいて見ているしかないのだろうか。

 いかし、今からでも遅くはない。革新派(共産・社民・緑の党)は「自分たちこそ第3極」を(マスコミにひいきされ持ち上げられている維新の会・石原新党・みんなの党などに何とかして負けないで)アピールして攻勢に出、躍進を勝ち取るように奮起すべきだ。


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