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2020年07月 アーカイブ

2020年07月02日

新型肺炎ウイルス禍―どうなって、今は(つづき5)

7月31日、全国の新規感染者1567人でさらに過去最多更新。東京都463人、愛知県193人、
      福岡170人、沖縄県65人その他でも1日当たりの最多を更新。
  沖縄では県独自に緊急事態宣言(本島全域と離島での不要不急の外出自粛、県をまたぐ不要不急の往来自粛を要請)。
      政府の布マスク配布(全戸向けは260億円かけて6月に完了。介護施設・障害者施設などには、これまで計約6000万枚を配付しているが)介護施設などに追加配布することにしていた8000万枚の一律配布は中止(希望する施設にだけ配ることに)。
  30日、全国の新規感染者数1301人で過去最多更新。東京都367人、福岡県121人、沖縄県49人で、いずれも過去最多更新。
  29日、全国の新規感染者数1259人で過去最多。大阪府221人、愛知県167人、福岡県101人、
      沖縄県44人、京都府41人、その他計8府県でそれぞれ過去最多。
      これまでゼロだった岩手県にも2人。
  28日、大阪府、新規感染者数155人、愛知県110人、いずれも過去最多。
  25日、国内感染累計3万人を超える。
      沖縄米軍基地関係の新規感染者64人、累計229人に。それ以外の沖縄県内の新規感染者は14人、累計186人。
  24日、大阪の新規感染者数数149人で過去最多更新。
  23日、新たな感染者、全国総計981人、東京都366人、愛知97人、埼玉県64人で、いずれも過去最多更新。
  22日、新たなコロナ感染者、全国総計795人―過去最多。大阪121人、埼玉62人も過去最多、愛知64人、東京は累計1万人を超え、大都市圏で感染拡大―「第2波」と見られる。 
    この日から政府の観光支援策「Go To トラベル」(旅行料金・宿泊料金割引)開始。
  20日、新型コロナ感染の死者、全国総計1000人を超える。
  21日、ニューヨークではPCR検査、1日当たり7万件が可能。居住者であれば誰でも予約
なしに、無料で、何回でも検査を受けられる。美容師など特定の職種の人たちには検査を義務付け。アメリカは感染者数・死者数ともに世界最悪、ニューヨークは全米最多で死者は、それまでは1日600人にものぼっていたが、7月17日にはゼロ、19日も感染者数は10人前後で死者はゼロとなった。
  17日、東京で新たな感染者293人、過去最多(更新)。
     豪雨災害―3日熊本県を中心に九州から始まって東海地方にかけて見舞われた豪雨で2週間の間に死者77人、行方不明7人。
  16日、全国で新たなコロナ感染者620人(4月10日644人、同月11日には最多の720人)。
     東京では286人で過去最多。大阪66人、埼玉49人、神奈川47人、千葉32人で、いずれも宣言解除後最多。      
    山形県では75人目、米沢市の山大工学部の学生で東京に行ってきて感染したと見られる。
  15日、コロナ感染者、全国で新たに450人―緊急事態宣言解除後で最多。大阪(61人)、神奈川(41人)も最多。
     山形県でコロナ感染者が新たに1人―天童市の人で、13日感染が判明した寒河江市の飲食店従業員の友人。
  14日、沖縄基地で感染者100人。
  13日、山形県でコロナ感染者が新たに2人―いずれも首都圏(在住)から帰ってきて1人(男子学生)は白鷹町で運転免許合宿、もう一人は寒河江市の飲食店で短期就業していた。
  12日、東京都で新型コロナ感染者が、この日206人で4日連続200人を超える。この間、平日はPCR検査数が3000件台に増やされてきてはいる。又この間、東京の隣県(埼玉・神奈川・千葉)、大阪府などでも急増。
  10日、東京で感染者、新たに243人―過去最多。全国では430人で緊急事態宣言解除後最多。
     イベント制限緩和―参加者の上限は施設定員の50%範囲内で、1000人を5000人に増。
           プロ野球とサッカーJリーグ―無観客だったのから観客入れた試合に。
   9日、東京で感染者、新たに224人。
  7日、山形市で新型コロナに感染して入院してきた患者が死亡(県内初)。
    ブラジルのボルソナロ大統領(新型コロナを「ちょっとした風邪」と軽視していた)が検査で陽性反応(本人は「私は全く大丈夫」症状はほとんどないと強調し、公邸で執務)。
  6日、トランプ大統領、WHO(世界保健機関)を(「中国よりだ」と批判してきたが)に正式に脱退を国連に通知。
  5日、長井市にコロナ感染者、20代男性で市内の農協職員で前日の南陽市の感染者の同僚。
  4日、南陽市にコロナ感染者、山形県では2か月ぶりに70人目。20代男性、農協職員。感染は東京由来。
  3日、コロナ新規感染者、全国239人、1日当たりで200人超えたのは5月3日以来で、緊急事態宣言解除後では最多。東京は124人で2日連続100人超。
    大阪府―再び感染拡大でも、府立学校に対して一斉休校は求めない方針(「児童・生徒への感染は極めて少なかった」し、「効果測定は不可能」だと)―児童・生徒や教職員に感染者が出た場合は、その学校だけを3日間程度休校にするなどして対応すると。
  2日、東京で新たな感染者107人。100人を超えるたのは5月2日(154人)以来2カ月ぶり。      
                             (4月17日には206人だった)。
  1日、コロナ関連解雇3万人超える。総務省による5月の労働力調査で「失業予備軍」とされる休業者は423万人に上り、高止まりが続いている。
6月29日、コロナ感染者、世界全体で1000万人以上に達し(うち60%近くが新興・途上国)、死者は50万人を超える(先進国が約31万人、新興・途上国が約19万人)。最近は、新規感染者が1日で17万人前後、うち75%が新興・途上国の人たち。

日本のコロナ対策は成功したと言えるのか?
 安倍首相は5月25日の緊急事態宣言の全国解除にあたって記者会見で「我が国では・・・・罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでも日本ならではのやり方で、・・・・今回の流行をほぼ収束させることができました。正に日本モデルの力を示したと思います」、「我が国では、人口当たりの感染者数や死亡者数をG7・主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができています。これまでの私たちの取り組みは確実に成果をあげており、世界の期待と注目を集めています」と。
 米紙ワシントン・ポストは「安倍政権のずさんな政策にもかかわらず、日本特有のスタイルで成功した」と報じ、そのスタイルは「政令や法的罰則ではなく、要請と社会的圧力に基づく、日本的な独自のウイルス封じ込め手法」だとし、それについて北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授の次のような見方を伝えている―「誰もが感染源となって非難されたくないと思っている。これは日本社会の中にある社会的圧力(同調圧力―引用者)です。ガイドラインに従わず、ウイルスを拡散したら、社会から制裁を受けるというもの」。

 慶応大医学部客員教授で、WHO重症インフルエンザガイドライン委員の菅谷憲夫教授の見解(サイト「『緊急寄稿』日本の新型コロナ対策は成功したと言えるのか―日本の死亡者数はアジアで2番目に多い」より)―(データは米ジョンズ・ホプキンス大システム科学工学センターのデータに基づいている)
 感染者数も死亡者数も(以下いずれも人口10万人当たりの数)、アジア諸国は欧米諸国に比べて圧倒的に少ない。
 感染者数は欧米諸国の10分の1~100分の1―その原因①人種の差、②年齢構成の違い(アジアでは若年層が多い)、③BCG接種の影響、④欧米諸国では、高い感染力を持ち病毒性の強い、アジアとは別の「SARS-COV-2流行株」が出現した等。
 日本は(10万に当たり12.5人)、アジア諸国の中では5番目で、シンガポールや韓国などよりも少ないが(インド・中国などより多い)。
 (日本の感染者数が少ないのはRT-PCR検査数が異常に少ないことが影響し、信頼できる数値とは言えない(国際的に批判されている)―イギリスでは1日20万件(自宅などへ約80万件分の検査キットを郵送)にものぼるが、日本は1日2万件が目標。)

 死亡者数は、アジア諸国(欧米諸国―一番少ないドイツでさえも10万人当たり9.5人―の100分の1)の中では、日本は(0.56人)フィリピンに次いで2番目に多く、韓国(0.51)・中国(0.32)・インド(0.20)などよりも多い。
 (100年前の「スペイン風邪」といわれるĄ型インフルエンザウイルスの世界的大流行の時は、死者は世界全体で2千万~4千万人で、そのうちアジア全体では1900万~3300万人―中国だけで400万~950万人、インドだけで250万~2000万人、日本だけで40万人前後―だったが、欧州全体では230万人で、アジアのほうが圧倒的に多かった。それに対して今回のコロナ・パンデミックは真逆。)
 菅谷教授は、今回のコロナは、日本の死亡者は欧米諸国に比べて少ないというだけで、「日本のコロナ対策が成功した」という報道は誤りだと指摘している。
 尚、同教授は、インフルエンザは日本では例年、患者数1000万人、うち死亡者5000人(致死率0.05)で、今冬(2020~21年)はAホンコン型とB型による混合流行の可能性が高く、しかも今回の新型コロナの第2波と同時流行の可能性もあるとも論及。

2020年07月06日

なぜ日本は欧米より感染が緩やかで死者が少ないのか

 人口100万人当たりの新型コロナ感染死者数は世界平均が59.8人(6月21日現在、出典は札幌医大フロンティア研ゲノム医科学)。欧米の先進国が上位に並び、中南米も100人を超す。一方、アジアは軒並み10人以下で、日本は7.5人(フィリピン10.5人、インド9.6人で日本よりは多いが、韓国は5.5人、中国は3.2人で日本よりも少ない)。

●ノーベル賞理科学者の山中伸弥京大教授―感染拡大や死者の数が他の国に比べて抑えられている未知の要因(「ファクターX」)が存在するとして、幾つか挙げられるのは
① クラスター対応の効果
② マスク着用、毎日の入浴など高い衛生意識
③ ハグや握手、大声での会話が少ない生活文化
④ 日本人の遺伝子要因
⑤ ウイルスの遺伝子変異の影響
⑥ BCG接種など何らかの公衆衛生政策
⑦ 2020年1月までの何らかのウイルス感染の影響

●浜松医療センター院長補佐の矢野邦夫氏―手洗いやうがい、マスク着用(予防効果はないが、感染させるのを防ぐ)の習慣、キスやハグをしないこと等を指摘。
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科・寺嶋毅教授―日本人はその遺伝子と食生活から肥満になりにくい(肥満になると、肥大化した脂肪細胞から通常よりも多くの免疫細胞が分泌され、慢性的に血管に炎症を起こす。ウイルスに感染すると、重症化の原因とされる「免疫細胞の暴走」が起こり、血栓などができやすくなる。肥満な人は新型コロナによる重症化リスクが高い)。
●アメリカ全国保健統計センター―コロナ感染者の人種別の死亡率を公表し、米国内のコロナ流行地域で、アジア系住民の死亡率が低いことを指摘(アメリカ在住ゆえ生活様式は日本とは異なるはずなのに)。
●京都大・慶応大・大阪大など8つの研究機関の研究グループ(代表―慶大医学部・金井隆典教授)―人種間に多様性―HLA(ヒト白血球抗原で、いわば「白血球の血液型」)が新型コロナウイルスにおいて、人種によって重症化リスクに違いがあるとすれば、免疫の働きの差であり、HLAの差でないか(日本人は新型コロナウイルスの抵抗力を持つ遺伝子を獲得しているのでは)という仮説―研究結果第一報は9月。
<参考>週刊新潮6月4日号
●室内で靴を脱ぐ文化が感染を抑えたという見方もある。
花粉症が広がり、コロナ感染拡大前からマスクを着用する習慣が根付いている。但しマスクは、スギ花粉なら(20~30μm)、布マスクでも通さないから防げるが、ウイルスは(0.1~0.2μm)裕に通してしまうから医療従事者がつける「N95」とか「DS2」など「防塵マスク」でないと予防には効かない。一方、感染している人ならば咳やくしゃみ、或いは声を発してウイルスを含んだ飛沫をマスクによって飛散をくい止める効果はある。
● ロックダウンなど強権的な対策を採らなくても、補償なしの自粛要請だけで休業し外出を控える「従順な国民性」がプラスに働いたという指摘もある。
●しかし、新型コロナの場合は、いずれにしろ、これら日本人の生活習慣や文化・国民性だけでは欧米などと日本との(最大100倍の差)は「もっと根本的な違いがなければ説明できない。ポイントはヒトが持つ遺伝子では」と話す慶応大の金井教授。遺伝子によって免疫反応に違いが生じているとの仮説を立て、7大学が共同研究中。特に注目しているのが、免疫反応をつかさどるHLA。欧米でも同種の解析が進んでおり、照合すれば、東アジアで死者が少ない原因の解明につながる可能性がある。
●結核の予防ワクチンBCGをしている国はしていない国より死者数が少ない傾向がある。大阪大学の宮坂昌之教授によれば、BCGは「訓練免疫」という仕組みで人体に備備わっている自然免疫を活性化させ、重症化抑制に寄与している可能性があると。但し藤田医科大学の宮川剛教授は「強い相関関係があることを示すだけで、因果関係を示すデータはない」と。
●交差免疫説―過去に似たウイルスに感染して出来た免疫が、新型コロナも排除する仕組み。東大の児玉龍彦名誉教授は「風邪を引き起こす一般的なコロナウイルスと新型コロナは、塩基配列のほぼ半分が同じ。コロナウイルスは絶えず進化し、日本にも流入している。そのため新型コロナの抵抗力を持っている人が一定数いて、重症化率の抑制につながっているのではないか」と。
●大阪大の宮坂教授は「一つが決定的に重要というより、交差免疫、BCG、遺伝子などの因子が相互補完的に働き、重症化率を大きく押し下げている」と。
<参考>6月27日の朝日新聞“be report”

2020年07月08日

コロナ禍―小宮山・元東大総長の問題提起と見解

●一斉休校・国民の行動自粛は有効だったのか―「均一に接触確率を減らそうという基本策自体を修正すべきであり、医療施設・介護施設、家庭での高齢者などの防護に資源を集中し、一般の社会活動は再開すべきだ」。「私たち善良な市民は無駄な自粛をさせられているのではないか」、「社会の本質は人の交流」、「交流すれば感染リスクになるのは確かだが『コロナのためなら死んでもいい』(コロナから助かりさえすれば一切交流を絶ってもかまわない)というわけにはいくまい―検証が必要(コロナ終息後に限らず)。(「全員が協力してやるべき時に非難めいたことを言うべきではない」とか、「みんな頑張ったんだし、もう済んだことなのだから、今更いいじゃないか」というわけにはいくまい。)
●全国「一斉休校」要請は場当たり的―①感染抑制効果は二次的(子ども自身はあまり罹らない)。学校を閉鎖するなら、先ずは居酒屋・バー・ナイトクラブ・ライブハウス・カラオケ等のほうが先。②危機意識を喚起するためなら、他に手段はいくらでもあるはず。③一斉休校の副作用は大きすぎる。それをやっても経済的マイナス効果は小さいからやりやすいのだろうが、社会的副作用(次代を担う子どもの教育にとって長期的マイナス効果)は甚大。
 (台湾では、休校は1週間と決めて閉鎖し、この間消毒薬の配布、教員の教育など準備。開校後は感染者が出るとそのクラスだけ学級閉鎖、2クラス以上閉鎖になると休校とする方針をとり、結果的にほとんど休校させずに済んでいる。)
●我が国の現状ではコロナ感染率は0.1%で致死率は0.36%(との推察ができる)。新型コロナ感染症は(治療薬はないが)医療体制が十分なところではインフルエンザと同程度なのだ。
●PCR検査―日本では他国に比べ10~100分の1、OECD加盟諸国平均の9分の1しか測定(検査)してない―なぜ日本だけが検査を増やすことができなかったのか(医療資源―機器も人も技能も世界の劣等国であるはずがないのに)―背景に「強すぎる行政とそれに慣れてしまった国民」
●日本の課題―ガバナンスの問題―それが「強すぎる行政と、それに慣れてしまった国民」にあるとすれば、コロナを奇禍として自律分散協調系(現場の創発力発揮に期待、各地方自治体が政府に先んじて、或いは政府と異なる方針を打ち出すなど)へ」向かうのが望ましい。

<以上、サイト―「コロナ禍からの脱出」のための知の構造―小宮山宏・元東大総長・三菱総合研究所理事長―より>

2020年07月09日

先ずはPCRを全員検査して陽性者だけを隔離

 ドイツでは、現在ではPCR検査を週110万件行えるまでになっているとのこと(9日NHKニュース「おはよう日本」)。同国(で感染者が最多となった)バイエルン州(東京都の人口と同程度)では全住民に(無症状でも)無料でPCR検査を受けられるようにしている、とのこと。
 東大先端科学技術センターの児玉龍彦名誉教授によれば、日本だって(検査能力から云えば)、全員検査など、その気になれば数日で準備できるはず。なのに政府(関係専門家たち)は、どうしてそれができないのか?(白鵬大学の岡田晴恵教授も「わからない」)と(7月10日テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」)。
 「PCR検査1日20万件」―「国が200億円程度の予算で全国に全自動検査機200台を配れば(各病院にいる臨床検査技師は1日で使い方をマスターできるから)可能だ」と(7月3日テレビ朝日の同上番組でコメンテータの玉川氏)。

「PCR検査 主要国並み1日20万件に強化を」―知事・有識者の6月提言―
 6月18日、県知事(湯崎広島県知事ら14県知事)や経済の専門家(東京財団政策研究所の研究主幹で政府の諮問委員会委員の小林慶一郎氏ら)・医療の専門家(ノーベル医学・生物学賞を受賞した京大の山中教授ら)110人が賛同した「積極的感染防止戦略による経済社会活動の正常化に向けた緊急提言」を発表。
 提言では「外出の自粛や企業の休業を繰り返すような受け身の対応を避け、経済・社会活動の回復と両立する『積極的な感染防止戦略』を明確に示す必要がある」と指摘。そのうえで医療を提供する態勢を増強しながら、今年11月までにPCR検査の能力を主要国並みの水準となる1日当たり20万件に強化すべきだとし、「早期に発見できれば、重症化も防げる。積極的な検査の拡大で人命と経済の両立を目指したい」と。
 湯浅知事・小林氏らが提言について記者クラブで行った会見に臨んだ藤井彰夫・日経新聞社論説委員長のレポートによれば―「PCR検査の実施件数は主要国に比べ見劣りしたが、人口当たり死亡者数は少なく、『奇妙な成功』と海外メディアに評された。」「『人命か経済か』という二者択一の議論ではなく『命と命の問題』―経済活動が再び停止すれば、コロナ感染による死亡者以外に、景気悪化に伴う自殺など犠牲者が急増しかねない―経済・社会を動かしながら感染も抑止する二兎を追う戦略の柱は、検査の拡充と医療体制の強化だ。提言では『一日当たり20万件のPCR検査確保』などの数値目標を政府に求めた。安倍首相は『一日当たり2万件』と号令をかけてもなかなか進まなかった懸案。問題はその実行力だ」「今回の有識者提言は、今後は外出自粛など経済・社会活動の停止を伴わずに乗り切ることを求めている」。

2020年07月18日

9条堅持か改憲か―安全保障をめぐって

 「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意」、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を決意」(憲法前文)
 「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄」(9条1項)、「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」(同2項)

 そもそも9条(戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)制定(1946年)の意義

   平和的生存権の保障と非軍事的安全保障―我が国が、侵略戦争を仕掛けて惨害を与えたアジア・太平洋諸国をはじめ、同盟国ドイツ・イタリアによって侵略・惨害を被ったヨーロッパなど世界の諸国に対して安全と平和的生存権を保障―安心の供与
という平和戦略に立っていた。

 ところが米ソ冷戦から朝鮮戦争(1950年)が勃発米軍が占領下の日本を基地に(北朝鮮軍とそれを支援した中国軍に対して)出撃・交戦、その間に日本国内の治安上の空白(不備)を補うために「警察予備隊」を創設、それが休戦(1953年)後(アメリカは日本占領を解除、日本政府と安全保障条約を結んで基地と駐留軍を維持するとともに)「自衛隊」として改組・改称(1954年)されて現在に至っている。
 (尚、その合憲解釈の根拠に13条―国民の生命・自由・幸福追求の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする―を持ち出している―1972年10月14日参院決算委員会に対し政府が提出した資料『集団的自衛権と憲法との関係』―外国からの武力攻撃に対して、自衛の措置を講じ、急迫不正の侵害を排除するための必要最小限度の武力行使を行うことは、国家が国民の生命・自由等を最大限尊重するよう求めている「13条の要請」に基づくものであると。
 しかし、そもそも13条は国民の自由権規定として国家に国民の権利を侵害することのないように定めたものであって、国には国民を護る義務があるとしても、9条は、13条に国が国民の生命・自由等の権利を護るために武力を行使することを例外として認めているわけではなく、あくまでも9条の枠内で軍事手段以外の方法によることを国家に義務付けているのだと解すべきなのだ。
 ところが、政府は外国からの武力攻撃があった場合に「我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」を講じ、国民の権利を護るために武力を行使することは9条の下で「例外的に許容される」ものと解釈。)

 こうして憲法制定当初の原点から離れてゆき、9条による平和戦略(非軍事的安全保障)から遠のいて、日米安保条約の下に米軍と自衛隊との軍事同盟による軍事的安全保障(軍事戦略)へ転換していった。
 そしてソ連(今はロシア)、中国、北朝鮮と軍事的に(核・ミサイルなど兵器・兵力を双方とも「抑止力」と称して)対峙し、これらの諸国に対して(安心・安全の供与とは反対に)互いに脅威を及ぼし合っている。

 世界の軍事力ランキング―①米②ロ③中④印⑤仏⑥日本⑦韓・・・・・・・・⑱北朝鮮
            (米国の評価機関「グローバル・ファイアパワー2020年版」)
   軍事費  〃  ―①米(71兆円) ②中(19.8兆円) ③サウジ ④ロ ⑤印 ⑥英 ⑦仏
               ⑧日本(5.3兆円) ⑨独 ⑩韓
               (9日、米国防省が日本へFステルス戦闘機105機の売却を承認
                ―1機236億円、計2.5兆円―それが日本の購入経費となる)
   海軍力  〃  ―①米②中③ロ④日本⑤英・・・・⑧韓
   核兵器  〃  ―①ロ(6500)②米(6185)③仏(300)④中(290)⑤英(215)
               ⑥印(130)⑦パキスタン(150)⑧イスラエル(80)⑨北朝鮮(20)
  「強い国」 〃  ―①米②ロ③中④独⑤英⑥仏⑦日本⑧イスラエル⑨韓⑩サウジ
   (米誌「USニュース&ワールドレポート2020年版」世界の約2万1000人からアンケート)

 現下の「安全保障環境の悪化・危機的状況
   「2020年は米軍を巻き込む危機が最も起きやすい年に」(ニューズウイーク)
   「コロナ禍の今、米中衝突の危機はそこまで迫っている」(  〃  5月13日)―
   「米国内の流行は自国より中国政府に責任があると思う人55~60%いる(トランプが新型コロナを「中国ウイルス」と呼ぶことを同意している)」「米中冷戦の悪化は最も避けたい事態だが、衝突の危機はそこまで迫っている」と。
   トランプ大統領、曰く「(『中国ウイルス』―それは)我々が経験した中で最悪の攻撃だ。真珠湾や世界貿易センタービル(同時多発テロ)よりもひどい」
   「コロナ後の米中『対立から衝突』の可能性に備える必要」(田中均・日本総研国際戦略研究所理事長・元外交官)―対立(「新冷戦」)から「衝突(「熱い戦争」)もあり得ないことではない」と。大統領の再選戦略(選挙キャンペーン)に「中国カード」を使い、中国叩き(対中批判・制裁措置)。
   「日中が尖閣諸島で軍事衝突する可能性はあるか?―軍事衝突は蓋然性(確率)も低くはない―日本が衝突回避のため取り組むべき課題」「日米安保体制の確固とした抑止力が必要だ」と(同じく田中氏)。
   アメリカでは「大統領選挙で追い詰められているトランプ大統領が起死回生のカードとして『戦争カード』を(対象はイランなのか、北朝鮮なのか、或いは台湾海峡なのかだが、そのいずれかでカードを)切ってくる可能性があり、、『戦争内閣』という形で選挙をたたかうのが逆転するうえで一番有利だろうといったことが議論されている」(7月19日TBS「サンデーモーニング」で寺島実郎氏)

 そのような現下の情勢・「危機的状況」に乗じて、集団的自衛権行使(限定的)容認の解釈改憲から明文改憲(自衛隊明記)へ踏み込もうとしているのが安倍・自民党政権なのである―その9条改正案とは、1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持・交戦権否認)をそのまま維持したうえで、自衛隊について次のような条文を書き加えるというもの。
 「9条の2(第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。(第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」(2018年3月公表された自民党憲法改正推進本部の「たたき台素案」)―もしも、国民投票でこのような改正案が示されて投票することになったら、賛成票・反対票のどちらを投ずるのだろうか。

 そこで9条堅持(平和的生存権の保障、非軍事的安全保障)か、それとも改憲(軍事的安全保障)か、そのどちらの考えが正解なのか、検討してみることとしたい。
 (1)軍事的安全保障(―軍事的抑止力)―軍事力を「抑止力」とか「自衛力」と称して保持し、隣国や他国と同様に軍事力を持ち合うことによって隣国・他国(中国・北朝鮮・ロシア等)の攻撃・戦争意志を抑え込み、武力攻撃・戦争を回避しつつ(対立・紛争の火種を残しつつ、とりあえず)安全を保持―自国と同盟国(アメリカ等)の安全を保障―同盟国以外の国(中国・北朝鮮など)からは脅威を持たれる。
  武力を保有し、「いざとなったら(相手側に武力攻撃を仕掛けてくる気配があれば)武力を行使するぞ」という意志をも(念頭に)保持―いつか「それ(激突)があるかも」という不安・脅威・恐怖が相互に残る―今はその状態。
  こちら側が軍備を強化すれば、相手側も負けじと強化し、互いに軍拡(脅威が増幅)→緊張(不安)→たえず引き金・発射ボタンに手を(相手が撃てばすかさず撃ち返すか「やられる前にやる」)―軍事衝突→戦争に発展(限定的な戦闘でも、相手にとって銃弾1発は100発と同じ)というリスク。
  軍事力を持つと、武力に固執して、平和的な問題解決の方法を探さなくなる―力に頼りがちとなり、対話・交渉(妥協・譲り合い)が疎かになる。
 (2)平和的(非軍事的)安全保障
  軍備を持たず、どんなことがあっても戦う意思のないことを示す―9条(戦争・武力行使の放棄と戦力不保持・交戦権否認)は国の内外にそれを宣明。
  安全保障の方法―対話・交渉・交流(ヒト・モノ・カネ・エネルギー・環境・文化の交流―諸国民と利害・運命の共有)―-(非軍事的抑止力になる)
  各国と平和友好条約めざす(特定の国と同盟したり密接な関係を結んだりせず)―「敵をつくらず、脅威にならないこと」
  憲法9条こそが抑止力―「こっちがなにもしなきゃ、なにもしてこない」―日本が戦争に巻き込まれずに済んだのはそのおかげ(それがあったからこそ、日米安保でアメリカの戦争に―ベトナム戦争にも湾岸戦争にもアフガン戦争にもイラク戦争にも―自衛隊はアメリカから要請があっても戦闘参加は断ることができ戦争に直接巻き込まれることなくて済んだ)(「9条は自衛隊員の命を守る最強の盾になっている」わけだ)
  対立・紛争はあっても戦争・武力には訴えずに、あくまで話し合いで外交的解決(軍事力を背景としない外交)―互いに譲歩・和解に努め、対立そのものを無くしていく―そうしてこそ戦争の不安・恐怖のない状態でいられる(それこそが「平和」であり、「平和の裡に生存する権利」が保障されるというもの)―互いに(自他・全ての国々に)安全・安心を保障。
  国際貢献は非軍事・平和貢献に徹する―ODA(政府開発援助)、
   軍縮・軍備管理交渉(今までは消極的・不熱心)、核兵器禁止条約(未だ背を向けているが)推進。
   北東アジア平和協力構想・北東アジア非核(3原則)地帯構想(←朝鮮半島非核化から)の実現を主導

  9条は国権の発動たる戦争と武力による威嚇・武力行使を放棄し、国の交戦権は認めないとは言っても、国は警察権を持ち海上保安庁も対テロ特殊部隊もあり、国民には正当防衛権(不当な支配に対する抵抗権)もあり、無防備・無抵抗ということにはならない。
 自衛隊は国外からの領域侵犯を取り締まり、侵攻を阻止・排除する領域警備と災害出動など非軍事に徹する。武力で「攻めて来られた時に限って」相応(必要最小限)の武力を行使するものとし、「専守防衛」に徹する。外的が侵攻してきたら抗戦し、撃退(排除)はしても、追撃し敵地に攻め入って打撃を与えたり、致命傷を与えるような攻撃はしない。
 又、違法・不正な侵犯・侵略行為に対しては抗戦し、断固たる拒否と抵抗の意志は示しても、核・ミサイルによる原発攻撃や都市攻撃を招き、数多の市民・住民の生命と生活基盤を犠牲にしてしまう結果となる無謀な「徹底抗戦」は避ける。かつての(太平洋戦争の時)ように「撃ちてし止まん」(勝つまで止めない)とか「本土決戦」「一億玉砕」などと叫んで抗戦を続け、大空襲や原爆投下を招いて国民に未曽有の惨害をもたらした、その悲惨な戦争体験を繰り返してはなるまい。つまり自衛隊は「専守防衛」といっても軍事的勝敗にはこだわらず、あくまで国民の生命と生活手段・生活基盤を犠牲にすることなく生存権を護り抜くことを目的・任務としなければならないわけである。
 他国の軍事力(核戦力など)に頼ることはしない。同盟国など他国の戦争に関わって作戦に加担するようなこと(集団的自衛権行使)はしない。
 自衛隊は、その防衛力(軍事力)をもって威圧し脅威を与えるような「抑止力」とはしない(相手に戦争や軍拡の口実を与えるようなことにならないように)
 そもそも、自衛隊は交戦権が認められていないから軍隊ではない。それに自衛隊は、軍隊と異なり、武器をむやみに使用することはできず、一般人と同じく刑法で定める正当防衛・緊急避難の場合以外には、また警察官と同じく警察官職務執行法に定める場合(犯人逮捕などの職務執行に対する抵抗と逃亡を防止するため)以外には人に危害を与えてはならないことになっているからである。(それで殺せば殺人罪になる。)(上官の命令には従う義務があり、任務の遂行上、自分の生命を危険にさらすことをいとわないということはあっても、上記の正当防衛など以外には発砲して人を殺したり、殺されて死ぬことを強いるような命令は違法であり、拒否することができる。)

 さて(1)と(2)とで、「国民の平和的生存権」・自衛隊員も含めて日本人の生命が守られるためにはどちらがベターか。
 (1)と(2)とで、前者の方を正解と考える向きには、9条改定に賛成し、憲法改正の国民投票では賛成票を投じる方に傾くことになるだろうし、後者の方を正解と考える向きは9条改定に反対し、改憲に反対票を投じることになるだろうと思われる。

 さて、皆さんはどうお考えだろうか?
 


2020年07月31日

PCR検査について―ウエブ・サイトとワイドショーから4つ

(1)6月11日の「倉重篤郎のニュース最前線―日本の奇跡は完全に虚構だ!山梨大学長・島田眞路が怒りの告発」
 山梨大学(医学部付属病院がある)学内でコロナ対応に取り組み、PCR検査のためドライブスルーを大学構内に設けるなど医療体制を整備。
 日本の特殊なコロナ対応―PCR検査抑制策―「37.5度・4日間以上の発熱」などの症状がないと診察を受け付けず検査してもらえないとされ、「検査を増やすと、軽症感染者まで入院させることになり、医療キャパがもたなくなる」(検査すると陽性が増え、入院患者が増えてベッドが足りなくなる)という理屈から、クラスター対策に終始し、PCR検査の資源を重症化ケースに集中―そのやり方で「日本は新型コロナの感染者数・死亡者数とも圧倒的に少ない」として、それを安倍首相は『日本モデル』と自賛した。
 しかし、「PCR検査はコロナに感染か否かを唯一診断できる検査法で、偽陰性率が高いとの批判もあるが、これをやらない限り、『この病気』と診断できないわけである」。
 検査上限は世界水準からかけ離れた低値にとどまり、途上国並みの実施件数。そうしておいて「欧米に比べて感染者数・死者数が少なかったことをジャパニーズミラクル(日本の奇跡)」と奇異の目で見られているが、それはまさに「虚構」。感染実態が隠蔽された危機的状況にほかならない。
 感染者数についていえば、PCR検査件数をOECD諸国の中でも最低水準にとどめることで、数字に表れる感染者数を低く抑え込んでいるだけで、相当数の陽性患者が見過ごされてきた。死者数も、検査自体が少ないだけに実数を網羅できていないと見るのが常識で、表面化したのは氷山の一角だと考えるべきだ」と。

(2)7月21日のヤフー・ニュースで「校内感染検査 対応にばらつき 保護者ら不安『PCR対象拡大を』」という神戸新聞(電子版)の次のような記事が出ていた。
 「神戸の市立中学校で教諭がコロナ感染。担任生徒と教職員79名に限定してPCR検査。学校では検査対象(同教諭から授業を受けている他クラス・他学年も)拡大を求めても、保健所は『簡単にできない』と慎重で、保護者の不安を招いている。
 PCR検査は保健所が主体となって対象を決めている。国の基準は濃厚接触者のみだが、国は感染拡大第1波の経験をふまえてPCR検査数の拡大を推進しており、検査対象の線引きは曖昧。文科省も、学校で感染が判明した際の検査対象について明確な基準を示していない。
 行政側からは『PCR検査は一定の割合で誤判定もある。やみくもに増やせばいいわけではない』との意見も。学校からは『国は、指針ぐらいは示してほしい』との声は上がっている。」

(3)7月23日テレビ朝日の羽鳥モーニングショーで、「日本ではPCR検査がなぜ増えないのか」(そのわけ)について取り上げ、玉川レギュラーコメンテーターが、経済学者の小林慶一郎(東京財団政策研究所主幹で、かねて「PCR検査の体制拡充が最も有効な経済対策」と提言、政府新設の有識者「コロナ対策分科会」メンバー)にインタビューをしてきてレポート。
 それによれば「コロナ対策では厚労省の医系技官(医師免許をもった役人)と国立感染症研究所(感染研)などの専門家が感染症対策のコミュニティー(いわば「感染症ムラ」)をつくっている。彼らがPCR検査は『精度が低く、高確率で偽陽性・偽陰性が発生する』として、『偽陽性だった場合は隔離することになる。ハンセン病対策への批判が強い中、隔離で同じように人権侵害と言われたくない』と主張しているという。」(つまり厚労省医系技官と感染症研の専門家らが、ハンセン病患者が強制収容されたのに対する国家賠償請求訴訟のように、後で偽陽性なのに強制隔離したとして人権侵害で訴えられ、追及され、裁判で負けるというような結果を恐れてのことにほかならないわけだ。)(ハンセン病の場合は、誤認といっても国全体が病気そのものを「治らない病気」で「伝染性が強く」「遺伝病だ」などと誤認し、患者を全て療養所に終生隔離するという根本的な誤りを犯したのであって、その人権侵害と、コロナウイルス感染の偽陽性・誤判定で2週間程度の隔離措置がとられて被むる損害を「同じように」人権侵害と考える方がおかしいだろう。)
 そんなことが、厚労省がPCR検査の拡充に後ろ向きであることの理由。(厚労省は「PCR検査を狭めているのか」との質問に答えて「例えば日本国民にPCR検査をすると一定の割合で偽陽性が出るだろう。その場合、陽性になることで入院したり、医療資源をひっ迫させてしまうことを考慮しなければならない」からだと。つまり「国民の命」よりも「医療資源」の維持・確保の方にこだわっているわけ。)
 「検査すると一定の割合で偽陽性・偽陰性が出る」というが、その割合は、偽陽性は、海外では10万人に1人、武漢では3人(0.03%)であり、偽陰性も1%以下にすぎないのだ、という。

(4)東京でも世田谷区は23区のうち最多人口94万人で、感染者数も新宿区に次いで多く920人超。その保坂区長が30日テレビ朝日の羽鳥モーニングショーに出演して、同区でPCR検査を誰でも(無症状でも)予約なしにいつでも何度でも定期的に受けられるようにする方針(「世田谷モデル」)を打ち出した(ニューヨーク市が1日7万件検査の実施に取り組んだのを参考に)。特に医療・介護・保育・学校などのエセンシャルワーカーの人たちには「社会的検査」として、また理容・美容室・スポーツジムそれに飲食店などの人と接する特定の職業に携わる人たちに対しても積極的な検査を実施するように準備しており、今は検査件数1日300件だけなのを2000~3000件に一挙に拡大したい、とのこと。(世田谷区の区医師会が導入を検討しているPCR検査機は、1日最大1000件の検査が可能で、24時間稼働でき、最短3時間で結果が出るという。)
 本来なら国や都がこのような検査を拡充できる制度を作ってくれたらいいのだが、それができないのだったら区がやるしかない。公費負担の方向で財源を検討し、都とも交渉しているが、政府はマスクを追加配布するとかGo Toキャンペーンなどに予算をつぎ込むよりも、こちらのほうに予算を割いてもらいたい、とも。

 その折(ニュース)、7月30日、東京都医師会の尾崎会長が「怒りの会見」―「PCR検査を都内1400か所(人口1万人に一か所、都内の小学校と同じくらい)に拡大」との方針表明―PCR検査によって感染者を見つけて隔離する(症状の軽重に応じて入院もしくはホテルなど宿泊施設で療養か自宅療養させる)ことから始め、①先ずは(新宿のような)感染が集中している地域―エピセンター(感染震源地)―で集中的にPCR検査を実施し、無症状者も含めた感染者の洗い出しを徹底する。そしてエピセンターからその周囲への感染を防ぐ。②そのために地域を限定して14日間ほど休業補償を伴う強制力のある休業要請を行う、というもの。
「コロナに夏休みはない。国会を開き、国がすべきことを国民に示し、国民、都民を安心させてほしい」と早急な対応を訴えた。(国会は6月に通常国会閉会以来1カ月超休会―毎週1回の「閉会中審査」はあるも散発的な限られた時間で首相は答弁に立っていない。7月31日野党4党が臨時国会召集を求める要求書を提出。)

 行政側は、PCR検査は「やみくもに増やせばいいというわけではない」というが、学校の一斉休校こそやみくもにやればいいというものではないだろう。
 マスクは、N95などの防塵マスクならともかく、一般に使われている布マスク・ガーゼマスクやウレタンマスク(マスクの周囲を押さえて測定すると漏れ率89.58%)、或いは不織布マスク(フィルター部分のろ過性能の試験を通ったタイプなら52%)にしても、ただ普通の着け方だといずれも漏れ率100%で、フィルター効果はゼロ。「マスク着用、着用、着用」と促し、数百億円もの税金を使って国民全世帯に配っているが、それこそ「やみくも」も甚だしい愚策。

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