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2020年06月 アーカイブ

2020年06月01日

新型肺炎ウイルス禍―どうなって、今は(つづき4)

 6月1日、北九州市で感染者が5月23日以降10日連続で累計1133人確認(「第2波」と見られている)。その中に小中学生4校で11人。うち一校では同じクラスに5人―クラスターが発生したとみられる。その学校に近い3小学校では計1600人うち約280人が欠席。生徒の中には「検査しないと、自分が感染しているかどうか分からない」と訴える者も。
 学校はいずれも25日から開校されて、生徒はいずれも無症状で登校、それ以後に検査の結果判明。
 同市では、クラスター発生は5か所あり、うち産業医科大学病院では医療スタッフに感染者が9人。

 3日、(NHKニュースと朝日の記事)中国の武漢市(新型コロナの最初の発生地で、中国の感染死者の大半は同市の死者。1月23日からロックダウンで4月8日解除)で、5月14日から6月1日まで19日間にわたって、ほぼ全市民990万人がPCR検査を受け、その内感染(陽性)が判明したのは300人(0.003%)で、いずれも無症状者(300人の濃厚接触者の中に陽性者はおらず、当局は「感染の広がりは認められない」としている)。検査は1日当たり50万人。
 当局は看護師や地域の診療所の医師らに訓練を受けさせて検査体制を拡充。「社区」と呼ばれる網の目のように張り巡らされた町内組織も動員して団地の庭や街角の広場、商業施設の駐車場など様々な場所に検査場が設けられた。検査場には早朝から夜まで列ができ、1日の検査件数は最大で147件にも上った。速度を上げるため、10人の検体を一度に検査機にかけ、陽性が出れば10人全員を再検査するという方法をとった地域もある。
 経費は約9億人民元(日本円で130億円)で市が負担とのこと。
 4日、現在、日本政府が入国拒否している国・地域は111ヵ国・地域。
 9日、コロナ感染者、新興・途上国が先進国を上回る。
 10日、山形県がPCR検査能力を、現在の1日80件から、今月中に200件に引き上げることに。これまでは山形市にある県衛生研究所だけで行われてきたのを、置賜・庄内・最上の保健所にも検査機器を設置して1日20件の検査、さらに新型コロナ感染症外来が置かれている県内17か所の医療機関のうち、6ヵ所にも機器を導入。残りの11ヵ所では、民間検査機関を活用して検査できるよう態勢を整え、17機関で1日計100件の検査ができるように。
 12日、第2次補正予算が成立―総額32兆円―うち10兆円(空前の金額)が予備費―異常(予備費とは、そもそも「予見し難い予算の不足」にあてるために限った例外的措置で、使途が国会審議を経ずに政府に委任)。 
 持続化給付金(コロナ感染症拡大の影響で売り上げが半減した中小企業に最大200億円、個人事業主に最大100億円を給付)―第1次補正予算で2兆3176億円計上、第2次補正で給付金事務の民間委託の委託費として850億円を追加計上。
 5月1日から申請受付け開始、2週間程度で届くはずが、約180万件申請のうち(6月8日時点で)60万件には未だ届かず。(15日、野党合同ヒアリングで、経産省中小企業庁が、持続化給付金の申請が203万件にのぼり、うち52万件が未給付であることを明らかに。)
 それにその委託のやり方に問題―経産省・中小企業庁から一般社団法人「サービス・デザイン協議会」(電通と人材派遣大手のパソナ、IT大手のトランスコスモスの3社が2016年に設立)へ769億円で委託。さらにそこから電通へ749億円で再委託。その電通は子会社(5社)へ計645億円で外注し、それら子会社もまたそれぞれ別会社(パソナやトランスコスモス等)に外注、という不自然な受注の仕組み。
 15日、山形大学医学部が、6月1~4日に受診した患者1009人から採血してウイルスの抗体検査を実施した、その結果を公表―5人に(体内にウイルス感染にともなう免疫反応によってできる)抗体(感染歴があるとみられる陽性反応)が検出(陽性率0.5%)。山形県の人口当たりにすれば670~1万人で、県内の推定感染者数とみられるが、それは「多く見積もっても県内人口の1%以下にとどまり、第1波による感染は広がっておらず、県内では免疫を獲得していない人が多い」と推測される、とのこと。
 16日、厚労省が東京都・大阪府・宮城県の計7950人の成人を無作為に選んで抗体検査を実施した結果を発表―陽性率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%―ニューヨーク州12%、スペイン5%など欧米に比べ、日本は流行の規模が小さかったとされるが、感染者がそれだけ少なく、「ほとんどの人が感染していない」ということでもあり、、日本では秋にも心配される第2波で感染者が増える可能性があるとも。
 19日、都道府県をまたぐ移動、全国で制限解除。
   イベント制限も緩和―コンサートなど最大1000人まで―屋内では収容人数の50%まで。プロスポーツなどは無観客で―プロ野球開幕。
   接待を伴う飲食店やライブハウスなども、感染予防のガイドラインを守ることなどを条件に営業認められる。
  WHOが、18日の感染者増加数は約15万人で、1日当たりで過去最高となり、「世界は新たに危険な段階に突入(パンデミックが加速)している」と。とりわけアメリカ大陸でそれが顕著(新規感染者のうち半数を占める)だが、南アジア・中東でも急速な感染拡大が見られる。治療法やワクチンに関しては「開発は不可能ではないが、非常に困難な道のりになる」とも。
 22日、WHOのテドロス事務局長―「新型コロナウイルスと闘ううえで、国際的な指導力や団結の欠如が感染拡大以上に脅威になる」と警告。新型コロナ問題の政治化で事態が悪化したと指摘。


2020年06月05日

休校・休業の前に、先ずは検査

 感染対策で、これまで学校などは、2月27日安倍首相の「いきなり」の「全国一斉休校」要請以来、どの学校も校内における感染の有無確認もなしに、やみくもに休校措置が講じられてきたが、それでは感染防止効果は果たしてどれだけあったのか、測りようがないわけである。
 それに休校には子どもの心身に及ぼすデメリットと保護者に及ぼす影響が大きく、様々な弊害が伴っている。
 どうしても休校措置が必要ならば、先ずは生徒・職員全員を症状の有無にかかわらずPCR等の検査をして、感染の有無を調べたうえで、感染者は登校・出勤を停止(隔離)し、その学級、その学校を限定して閉鎖・臨時休校とする、という手順を踏むべきなのでは。
 それに、全校検査によって自分も、クラス内・校内のみんなも感染者でないことが分かれば安心を得ることができ、「人にうつすか、うつされるかもしれないから、学校に行きたくない、休校にしてほしい」などといった不安や心配を解消できることにもなる。
 今までのところ我が国では検査体制の著しい立ち遅れがあるが、早急に改善・拡充し、当面2波・3波に備え、さらなる再来にも備えなければならない。(中国・武漢など市民全員検査を実行している国もあり、我が国でも、学校生徒に全員検査を実施することなど不可能なことではあるまい。)
 休校・休業よりも、検査を徹底することによって万全を期したほうが合理的で得策なのでは(生命・健康と経済・教育・文化との両立でも、人的資源の投入・財政負担*の点でも)。

 *PCR検査への財政負担といえば、武漢市ではほぼ全市民(990万人)検査に日本円にして約130億円だったとのことだが、それをもとに単純計算すれば、日本で全国民(1億2600万人)検査したとしても1654億円程度。

2020年06月06日

休校の効果とデメリット

 朝日新聞の記事、5月28日には、「日本小児科学会の報告」として次のように報じていた。
 「学校や保育施設の休園に『感染防止効果は乏しく、子どもの心身に及ぼすデメリットが大きい』。今後再び休校などが検討される場合には『子どもや保護者に及ぼした影響も考慮し、慎重に判断すべきだ』と。
 子どもが感染した場合、多くは経過観察や対症療法で十分な軽症だった。
 インフルエンザと異なり、学校や保育施設で子どもが感染源となった集団感染はほとんどなく、子どもの感染例は親から感染したケースが大半。子どもはウイルスに感染しにくく、感染してもウイルスの排出は少ないことがかんがえられると。
 一方で、休校で教育機会が奪われたり、屋外での活動や社会的な交流が減少したりといった影響が大きく、抑うつ傾向の子どもが増え、家庭内暴力や虐待リスクの増加も懸念され『子どもたちにとっては、ウイルスが直接もたらす影響より、休校措置による健康被害が大きくなりかねない』と指摘。
 6月2日、同じく朝日新聞に―「子どもの重症化 なぜ少ない」として次のような記事。
 「世界で報告次々」―中国・米国・イタリアの調査では、感染が確認された人のうち、18歳未満が占める割合は2%に満たない。
 中国の調査では、感染や感染が疑われた子どものうち9割以上が無症状か軽症か中程度の症状で、重症化したのは約6%。
 1月下旬フランスのスキーリゾートで起きた集団感染に9歳の男子。症状は軽かった。感染がわかる前に複数の学校やスキー教室に通っていたため、すぐに170名以上の接触者が確認され、73人が検査を受けたが感染者はいなかった。
 英紙ガーディアンによると、4月半ばから小学校などを限定再開している欧州でも、学校を介した感染拡大の兆候は見られないと。
 米バンダ―ビルト大のティナ・ハータート教授によると、感染した子どもの多くは、ウイルスが鼻にとどまっている可能性があると。最近、この説を裏付けるような論文が米医師会雑誌の掲載。「子どもは感染に抵抗力を持つのか、ただ単に症状がでないだけなのか、大人と同じくらいウイルスを広めるのか、このウイルスの感染には分からないことが多い」ともいう。
 日本国内でも、感染者に占める子どもの割合は少ない。厚労省のまとめによると、5月27日時点で、10歳未満は278人(1.7%)、10~19歳は390人(2.4%)にとどまる。重症者や死亡者の報告もないと。ただ北九州市で、最近クラスターとみられる事例が小学校で起きている。
 新潟大の斎藤昭彦教授(小児科学)は、「そもそも患者が少なく、評価が極めて難しい」おいながらも、学力の低下、屋外活動や社会的な交流が減ったことで抑うつ傾向に陥ったり、家庭内暴力や児童虐待のリスクが高まったりするなど、心身への悪影響が大きいのではと指摘。第2波に備え、「流行していない地域での一斉休校の是非や、対策が本当に効果があったのかなど、検証が必要だ」と。

 日本小児科学会の理事で長崎大学の森内浩幸教授によれば―「日本でも、全感染者に占める子どもの割合は非常に少なく、又ほとんどはが同居する家族からの感染。
 ウイルスの量が大人に比べて少ない、ウイルスが体内に入り込むためくっつく物質(ACF2)の数が少ない、症状が軽いために、咳やくしゃみが少なく感染を広げにくい等の理由で子どもは重症化しにくく、周りに感染させにくい。国内では重症者は10歳未満が1例、10~19歳も1例のみ。北九州市の小学校で初めてクラスターが発生したが、現時点では学校や保育所でのクラスターは、国内外であるとしても、きわめてまれ。香川県の保育園では、職員11人が感染したが、子どもの感染は145人中2人。
新型コロナはインフルエンザのように子どもで広がって、大人に拡散するようなタイプの感染症ではない。
 海外の研究では、学校の閉鎖はほかの対策に比べて流行阻止効果は少なく、死亡者数を2~3%下げるだけ、という結果が報告。
 学校や保育園・幼稚園で感染を防ぐために大事なのは、症状(咳やくしゃみの飛沫で感染させてしまう可能性)のある子どもに休んでもらうこと。
 感染症の流行中は、病気の子どもを祖父母や基礎疾患のある人に預けるのはやめる。
 休校のデメリット―子どもの教育の機会を奪い、屋外活動や社会的交流が少なくなることで抑うつ傾向に陥らせ、家庭内暴力や虐待のリスクも高める」とのこと。

2020年06月07日

検査体制の拡充・徹底

 PCRなど(抗原検査もあわせて)の検査体制の拡充・徹底―感染者の早期発見(特定)して隔離(入院)―「積極的な検査戦略」 
 これまでは強い症状(37度5分が4日以上続いている等)が表れた有症者に限定(受動的な検査戦略)→
 広島・岩手・愛知など18道県の知事が「感染拡大を防止しながら経済・社会活動を正常化する『緊急提言』」
 ① ごく軽症も含むすべての有症者やすべての接触者への速やかな検査、
 ② 医療・介護・福祉施設の従事者・入院者・入所者には症状の有無にかかわらず検査。
 国からの財源投下(予算の確保)―PCR検査センターの設置・維持に必要な予算は日本医師会の試算では4694億円、18道県「緊急提言」では2000~3000億円が必要だとしている。ところが政府の第2次補正予算案ではPCR検査センター設置とPCR・抗原検査の実施として計上しているのはわずか366億円。
 中国・武漢市ではほぼ全市民(990万人)検査に日本円にして約130億円だったとのことだが、それをもとに単純計算すれば、日本で全国民(1億2600万人)検査したとしても1654億円程度。
 いずれにしろ数千億円を投入して実現すべき。
 そこで思うのだが、②に加えて学校の児童・生徒・職員にも全員に(症状の有無にかかわらず)検査をするようにすべきなのではないか。

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