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2013年04月 アーカイブ

2013年04月01日

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危機迫る―改憲(詳説・加筆版)

 改憲派の勢力が強まっている。改憲賛成―議員の59%→89%、有権者41%→50%
(1月28日の朝日・東大共同調査、09年との比較)
 最新(4月8日)のNHK世論調査では
  改憲の必要があると思うか―思う39% 思わない21% どちらともいえない33%
  96条改正(改憲発議要件の緩和)―賛成28% 反対24% どちらともいえない40%
  参院選で改憲勢力が3分の2以上占めることが望ましいと思うか
    望ましい20% どちらかといえば望ましい37%
    望ましくない12% どちらかといえば望ましくない20%
 国会の憲法審査会(改憲原案を審査、衆院50 名、参院45名)―衆院の憲法審査会では護憲派は共産党の委員だけ、幹事は自民・民主・維新・公明の4党だけで改憲派がリード。
 しかし、有権者の方には改憲理由は「「押し付けられたものだから」とか「もう何十年もたっているのだから変え時だ」といった抽象的な気分的なもので、具体的にどこが、どう支障をきたしているから変えるべきだというわけではないように思われる。
 9条については、昨年12月28日の毎日新聞では改憲反対の方が多く52%.

 問題点はどんなところにあるのか。
1、改憲理由
「押し付けられた憲法だから」というが
<制定の経緯>日本政府の委員会原案(松本私案―旧憲法を微修正しただけで天皇主権などそのまま)―マッカーサーが拒否、GHQ(連合軍総司令部)の民政局(ベアテ-シロタらスタッフ)が鈴木安蔵ら(憲法研究会など)民間の私案を参考にして草案の骨格を作成・提示―政府がそれをもとに草案作成―帝国議会(議員は戦後一回目の総選挙で選出―「日本国民の自由に表明された意思」に基づく)審議、主権在民の明記や生存権規定の追加など修正のうえ圧倒的多数の賛成で成立(賛成421、反対8―うち共産党の6人は、天皇制を残していることと吉田首相が侵略に対する自衛権までも認めないと答弁したことを理由に反対)―国民は大多数が支持(!946年5月27日の毎日新聞世論調査では「戦争放棄」に70%、象徴天皇制に80%)
 これを見ると、押しつけか、押しつけでないか、どちらとも言えそう。
 だが、「押し付け」というなら、問題なのは、むしろ、その後、朝鮮戦争~冷戦に際するアメリカへの軍事協力のための再軍備、そのための改憲(吉田首相はそれは拒否したが)と日米安保条約とそれに基づく米軍基地の押しつけだろう。
「時代にそぐわなくなったから」というが
 国民にとってはどうなのか―具体的にどこが不都合なのか?9条にも96条にも不都合があるのか?
 河野洋平元自民党総裁いわく、「今の憲法で不自由な生活を強いられている人はいません」と。
 不都合なのは自民党などの現在の為政者・権力側にとってなのだ。
 「押し付けられた」とか「時代に合わなくなった」というのは、支配層にとってであり、庶民にとっては、それは当たるまい。
2、どこを変えたいのか
<各党の改憲案>
①自民党
○改憲しやすくするために96条(改正要件―発議には衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を要する)を改変(通常の法律並みに過半数の賛成でも可能に)。(維新の会もみんなの党も同案―今国会中に国会提出を両党合意)
 憲法―最高法規―時々の権力者の都合で簡単に変えてはならないのが原則―権力の乱用を防ぐ歯止め―だからハードルが高いのが(米・独・仏などの諸国では)当たり前なのに。
○天皇を「元首」とする(みんなの党も)。
 天皇は国民の上に立ち、憲法擁護義務を負わない(国民が主権者であることをぼやけさせる)―現行憲法(99条)では天皇に(国務大臣や国会議員・裁判官その他の公務員とともに)「憲法を尊重し擁護する義務」を負わせているが、それを「天皇又は摂政を除く全て国民はこの憲法を尊重しなければならない」と変える。
○国民の義務を(現行憲法では勤労・納税・教育の3大義務だけなのに、それ以外にも)(「国を自ら守る」義務、日の丸・君が代尊重義務、家族助け合い義務、環境保全義務、緊急事態指示服従義務など)様々列挙し、国や公の機関の指示に従わなければならないとして課している。
○自由・人権―現行憲法では濫用は禁止、「公共の福祉」のために利用する責任を負うものとし(12条)、「公共の福祉」に反しない限り個人として最大の尊重を要すると(13条)―この場合「公共の福祉」とは、個人の上にある国益・公益など社会全体の利益のことではなく、「互いの人権」という意味で、「他の個人の人権」とぶつかる場合の調整原理をなすものであって、国家が国民の人権を制限するためのものではない。なのに、それを「公益及び公の秩序」という言葉に置き換え、それらに「反しないように」「反しない限り」として、個人は国家や社会全体の利益・秩序に従わなければならないというものに変質―国家や公共機関の裁量で国民の自由や人権に大幅な制限を加えることを可能にする。
○日の丸・君が代を国旗・国歌として尊重することを明記(みんなの党も)。
○9条に自衛隊を「国防軍」として明記。
 国防軍に審判所(軍事裁判所・軍法会議のようなもの)を置く―「国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪または国防軍の機密を犯した場合の裁判を行なうため」と。
○緊急事態条項―武力攻撃・内乱等による社会秩序の混乱、地震等による自然災害その他に際して総理大臣が緊急事態を宣言し、事前または事後に国会の承認を得る。宣言が発せられた時、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(それによって、国民やその施設の動員を義務付け、一時的に人権制限)―かつての緊急勅令や戒厳令のようなもの。(災害緊急事態は現行憲法でも想定されており、具体的には災害対策基本法に条項が定められているのに。)
 海外居留民保護―「国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない」と(かつてはそれを名目に出兵)。
②維新の会とみんなの党は首相公選制、一院制、道州制など統治機構の改編で改憲も。
 (維新の会は参院選で「改憲勢力3ぶんの2確保」を目標にしている。)
③公明党―現行憲法に環境権やプライバシー権などを付け加える(加憲)。
     9条と96条は改定には慎重。
<核心点は二つ>
9条改変をめぐる問題点
 自衛隊の軍隊化(自民党案では「国防軍」―集団的自衛権の行使―米軍の作戦に協力して武力行使、国連の集団安全保障・国連軍への参加を容認)
 問題点(議論の焦点)―軍隊・軍備の抑止力の是非―対中国・対北朝鮮・対テロなどに対して
  抑止論―軍隊・軍備は相手の侵略・攻撃を抑止する(無防備に乗じて侵略・攻撃を招かないように―「備えあれば憂いなし」或いは「抵抗・反撃の意志を示す」)―これにどう反論するか?
 反論―軍隊・軍備はあくまで戦争手段にほかならず、それを持つこと自体が戦争意思を持っていると国々から思われてしまい、警戒心を抱かせ脅威を与えて軍備増強を誘発し、かえって緊張を激化させ、戦争を誘発する危険をともなう。
 だから、相手側の武力行使や戦争を抑止する最善の方法は、戦争手段(軍備)を持たず、戦争意思を持たないこと(「戦争放棄」)だろう。要するに今の憲法9条を守ることにほかなるまい。
 予め軍隊・軍備を持つということは予め戦争意思をもつことを意味する。「事としだいによってはやるぞ」、「向こうが仕掛けてきたら受けて立つ」ということでいかなる場合でも戦争はしない、というのとはわけが違う。
 軍備をもたず、戦争意思を予め持つということはしない、ということは、いかなる国をも敵視せず、仮想敵国とはせず、利害対立・紛争問題があっても軍事力を背景にして交渉するのではなく、あくまで平和的・外交的解決に徹するということだ。
 それは自衛権まで放棄することとは別。相手が戦争を仕掛けてきても軍の交戦権による応戦はせず、降伏もしないということであって、侵略され占領されても、軍隊・軍備を持たず交戦権を持たないからといって、無為・無抵抗でそれに服するというわけではない。自衛権・抵抗権はあくまで保有し、「国土警備隊」など警察力を含め利用できるあらゆる手段を使って反撃・抵抗する権利まで放棄するわけではないのである。
 「無防備」は危険?―無防備といっても海上保安庁のような警察力(どこの国にもよくある「国土警備隊」とか「国境警備隊」)はある(現在の海保は強大な自衛隊があるために相対的に貧弱なものとなっているが、領海・領空警備・取締り・侵犯阻止に必要な艦艇や航空機その他必要な装備は持つ)。だから全く無防備というわけではないのであって、他国と戦争をする軍隊・軍備は置かないということとは別。 
 領地の争奪戦に明け暮れた戦国時代や植民地の争奪戦に明け暮れた帝国主義時代のように、虎視眈眈と互いに隙あらば攻め込まずにはおかないといった昔ならいざしらず、今は、軍隊・軍備を置いていない無防備な国だからといって、攻め込んだりすれば、世界中から非難され、国連をはじめ国際機関・各国機関から制裁を被り、かえって大損失を被り、自滅さえ招くことにもなる。
 国連は(未だ不備があるとはいえ)、それを中心に国際法秩序が確立されていて、一方的な軍事侵略・武力行使は禁止されており(国連憲章には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使をいかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と定められており)、無法行為は国際社会から制裁を被るというコンセンサスがある今の時代に、それ(「無防備」とか「力の空白」をついて攻め入るなど)はあり得ない。 
 北朝鮮が日本を攻撃対象にしているのは日本が無防備だからではなく、米軍の基地を置き、その同盟軍たる自衛隊があるからにほかならない。
 いずれにしろ、仮に日本に対して侵略・攻撃が行われたとしても、国民の激しい抵抗・不服従・非協力にあう上に国際社会の制裁を招き、何も得るところがないばかりか、かえって甚大な不利益・損失を被る結果になり、失敗は避けられない。いまさら自衛隊を「自衛軍」とか「国防軍」に変えなくても、また日米同盟などに頼らなくても、である。
憲法観―はき違え
 そもそも近代(立憲主義)の憲法は、聖徳太子の「十七条憲法」のような天皇への服従や相互間の和など官民に守らせる訓戒や心得などではない。また最高法規といっても、他の法規のように国家や自治体が国民にルールを課して守らせる(国民の人権を縛る)ものではない。それらとは違って、国民の人権を守るため公的権力を縛るもの(政府・自治体や公務員に守らせるもの)である。すなわち公的権力に歯止めをかけて、政府・自治体や公務員にそれを守らせ、権力の乱用を防ぐのが憲法の役目なのである。(合衆国憲法の起草者だったジェファーソンは「憲法は権力を縛る鎖だ」と言っていたし、明治憲法の起草者だった伊藤博文も「そもそも憲法を設くる趣旨は、第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」と言っていたという。)
 なのに、自民党の改憲案は国民の権利を制限し、国民に義務・責務を課する憲法に変質させものとなっている。
3、改憲戦略07年の国民投票法(強行採決)が外堀埋めだとすれば、96条 改定で内堀を埋め、そのうえで本丸9条へ2段階戦略
 来る参院選でも改憲派3分の2以上を制す。そのうえで、まずは改憲をしやすくするために国会での発議要件を(賛成3分の2以上から過半数に)緩和する96条改定を国会で発議して、それを国民投票にかけて改定を果たす。あとは国会で衆参それぞれ総議員の過半数で、「環境権」などの加憲を手始めに、天皇の元首化、国会の一院制化・首相公選制化などから9条改変に至るまで次々と発議、国民投票にかけて改憲達成に持ち込む。
4、護憲戦略―どうすれば改憲を阻止できるか(改憲派との闘いに勝てるか)―戦略が必要―護憲派が大同団結(小異にこだわらずに結束)―選挙で護憲派候補を応援して国会に送り、護憲派議員数を3分の1以上確保。国民投票でも改憲反対票を過半数獲得を果たす。                        
 日本国民が戦争で犠牲にされた数多の命を代償に獲得した憲法―それを命懸けて守る闘いなのだから。
 
 肝心なことは、(運動が自己目的ではなく)結果を出す(改憲阻止という目的を果たす)こと。
 
 以上

4月のつぶやき(上に加筆随時)

●久々に田んぼ道を歌を唄いながら散歩。「ああ 川の流れのように ゆるやかに・・・・・」何だっけ・・・・ 一冬のご無沙汰で忘れた歌詞を思い出しながら。あゝそうだ「いくつも時代が過ぎて ああ・・・・・」

我が家の桜 満開

                  よくぞ枝を拾ってきてくれたな~孫よ
●三国連太郎の映画「老いてこそなお」をNHKで見た。「家族ってなんだ」「何が無くても分け合って食べる(それが家族)」「ただ孫のために、何があっても、頑張って生きていくんだ」「孫よ、お前も頑張るんだ」「自分のことなんか考えない。ただ家族の幸せ、人が幸せになることしか」と言っていたように思う。三国連太郎80歳の時の映画だ。渡辺美佐子をおんぶして走りながら「頑張るんだ、頑張るんだ、孫よ、お前も」と。・・・・・感涙を禁じ得なかったな。
●米沢おやじバンドのシルバー・ビーンズのメンバーの一人、H・D・ジョン(ペンネーム)君のライブ・コンサートを聴いてきた。(西駅前の喫茶店パウゼで)例によってビートルズ・ナンバー10曲(Let it beやImaginそれにSomethingなど)聴かせてくれた。ギターを弾きながら、よく歌えるもんだ。血圧が上がるなんて言いながらも、ジョンレノンやポールマッカートニーばりに軽ろやかに。ギターもうまい。イギリス(リバプールなどビートルズゆかりの地)を旅行してきて、撮ってきた映像を流しながら道中記のトークも聞かせてくれた。たいしたもんだよ。
 (彼のホームページは「米沢 H・D・ジョン」で検索すると出てくる。)
●インターネットで今月から開局された「デモクラTV」。視聴手続き(会員登録―仮登録から本登録、視聴料の振込まで)手間取ったが、やっとできた。
 NHKや民放のテレビ、一般新聞・週刊紙などの多数派の論調とはガラッと違う論調―そういう考え方・視点・発想もあるんだということ。当方のような少数派は、NHKや朝日を見て感じる苛立ちが、この「デモクラTV」を見ると溜飲を下げるのだ。
 それにつけても、当方のような隠居の身とは違って、日々仕事或いは仕事探しや家事・子育てに追われる庶民にとっては、せいぜいテレビや新聞・週刊紙、或いはネットでチラッと見るだけで、「また株が上がったってか。アベノミクス―いいじゃないの」「北朝鮮・中国、嫌な国だな。日米同盟ー抑止力、やっぱり必要だな。改憲、しかたないんじゃない」「原発再稼働・TPP・普天間基地の名護辺野古への移設、しょうがないんじゃない」となってしまう。こんな「多数派世論」に迎合してなるものか。
●信越 自動車旅行 日本アルプスと桜の景色 友との語らい あゝ楽しからずや
●月初めには田畑を覆っていた雪も、一週間余でほとんど消えた。孫がフキノトウをとってきて、てんぷらを御馳走になった。春の風味もひとしお。
●kinkin.tv(愛川欽也が主宰するインターネットTV)のパックイン・ニュースが先月で打ち切られたが、その後継となる「デモクラTV]が6日からインターネットTVとして開局した。俳優の愛川氏は、これまでCS朝日ニュースターで「パックイン・ジャーナル」という番組をずうっとやってきて、それが去年打ち切られたが、インターネットTVで1年間続け、通産16年間にわたって毎土曜日2時間、司会を続けてこられた。当方なんかよりずっと高齢でまだ元気なのだが、本業に専念するということで、とうとう打ち切られた。残念だな、と思っていたが、同じ思いの人が沢山いたと見え、それまで常連パネリストとして出演してきた面々(山田氏・田岡氏・横尾氏ら)がその気になって立ち上げたのだ。「デモクラTV」と検索すると出てくる。視聴料は月525円だそうな。初回は仮登録で見せてもらったが、局側の機械トラブルで音声が出ず30分遅れの開始。テーマはやはり原発問題と改憲問題。NHKその他のテレビや大手新聞の論調とは一味違って、当方などには波長が合うのだ。これからも見なくちゃ。
●1ヶ月前、北海道(オホーツク海側)は猛吹雪で、父親は凍死、抱かれていて助かった娘のことが、朝日新聞の一面トップに出ていた。父親は着ていたジャンバーを娘にかけて覆いかぶさるようにして抱きしめながら歌ってくれたという。「ナッちゃんはね 夏音って言うんだ ほんとはね・・・・」と。それが途切れて果てた、その有様を想像して涙した。
 我に返ると、目の前には、その子より少し上の我が孫娘が、飯台の向こう側で勉強を「あ~、やりたくない」とつぶやきながらやっている。兄弟が近寄ってきてちょっかいをかける。やり返す。あ~あ、我が孫たちは春休みで、家はワイワイ。
 昼飯で飯台を囲みながら北海道のかわいそうな「ナッちゃんの歌」の話しをして聞かせた。一番上の孫はウーンとうなづきながら聞いていたが・・・・
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       米沢から眺める蔵王(右の建物は山形大学工学部)
●春が来た。田畑は薄汚れた雪で未だ覆われているが、もう間もなく消える。桜前線の米沢到来・開花は19日、満開 25日とのこと。春は一番いいな。

2013年04月13日


                       高遠城址


                      上田城址


                   木曽路めざめの床

                      妻籠宿 

                       妻籠小学校(旧校舎)

                     妻籠宿 脇本陣 囲炉裏の間

                     馬籠宿水力発電一号機

                      馬籠宿


                   南アルプス 北岳?

                   南アルプス 赤岳?

 八ヶ岳連峰

蓼科山 白樺湖

                       駒ヶ岳

アベノミクスの問題点―アベノリスク(加筆修正版)

アベノミクス―安倍首相が打ち出した景気浮揚策―「デフレ脱却」のため「三本の矢」―(1)「大胆な金融緩和」、(2)「機動的な財政政策」―大型公共事業、(3)規制緩和中心の「成長戦略」
  実は使い古しの経済政策(失敗経験)―過去20年にわたって続けられてきた政策で、「失われた20年」をもたらしたもの。
(1)「大胆な金融緩和」―これまでも既に行っているゼロ金利政策と量的金融緩和―日銀が、市中銀行が持っている国債などの金融資産を買い取って、貨幣を市中銀行に大量に流し込む(資金の供給量―マネタリー・ベース―を2年間で倍増)―モノの量よりお金(円)の量が増えて円の価値が下落―円高から円安へ転換
 円安の原因←①貿易赤字の定着、経常黒字の縮小
       ②為替相場のトレンド(そろそろそっちへ向かう頃合だと)
       ③国際的な投機筋(ヘッジファンドなど)が円売りにはしる
  円安になっても― 貿易収支の赤字(2月、輸出4%減、輸入12%増)
    ―円安で輸入コストがかさみ交易損失が膨らむ―貿易を通じて所得が海外に流出。
  ドル(ドル建て決済)は輸出よりも輸入の際に多く使われている(輸出に使われる決済通貨は米ドルが51.5% 、円38.4% 、ユーロ5.4%、輸入に使われる通貨は米ドル72.5% 、円22.9% 、ユーロ3.0%)。なので円安の影響は輸出のメリットよりも輸入のデメリットとして、より大きく表れる。
 日銀が国債(短期だけでなく長期国債も)・社債から不動産投資信託などリスク性資産までどんどん買い取る―金利が下がる―借り安くなる―銀行は貸し出しを増やし、企業の借り入れ→設備投資と雇用が増え、住宅ローンなどの借り入れも増えて活況へ向かうと。
 また、「インフレターゲット」(物価の前年比上昇率目標)2%として緩やかなインフレを意図的に起こす(リフレーション)―人々は「いずれ物価が上がるから」と(思い込んで)、物価が上がる前に早めに買い物しようとする人(駆け込み需要)が増え、景気が上向いていくと。

 しかし、期待先行で―投機家・海外投資家(ヘッジファンドなど―日本の証券市場取引額の6割)が、低利で借りたお金を株や外貨・債券・不動産(購入)に投じ、短期の売買・転売で儲ける(マネーゲーム)→株高(「アベバブル」)―実体経済(生産や雇用・消費など―リーマンショック前より鉱工業生産指数・輸出額とも下がっており、賃金も下がり、完全失業率が上がっている)とはかけ離れた熱狂(「根拠なき熱狂」)
 この金融緩和のやり方は、あたかも、居酒屋で、客が体調を考えて「これで十分」、もう飲めないというのに、銚子を際限なく追加するようなもの(山家悠紀夫氏)。企業も家計も銀行から資金を借りられる状況にはなく、日銀がジャブジャブお金を流し込んでも市中銀行に溜まるだけ。そのお金の多くは投機の方に向かう。(本来なら株式投資は生産的投資で、その企業の将来性や業績を中長期的スパンから見込んで行うものだが、投機は短期売買で利ザヤを稼ぐやり方で、「お金でお金をもうける」というやり方)。

二極化
 資産家・富裕層―株で設け―高額品・高級ブランド品を買いあさる―大手百貨店の売上は増える。
 円安で自動車産業など輸出型大企業には利益。
 内需型の中小企業は輸入原材料(仕入れ価格)・燃料・電気代の高騰で苦しく。
 庶民も輸入燃料のガソリン・灯油・電気代・小麦・大豆・食品の高騰で苦しく。
(2)「機動的な財政政策」―「国土強靭化」政策―大型公共事業―ゼネコンは活況―しかし一時的カンフル剤のようなもので、事業が終わった後まで続かない)。 
 建設国債発行で国の借金―巨額な財政赤字―はさらに増え、後にツケが回ってくる。
(3)成長戦略規制緩和―「企業が世界で一番活動しやすい国にする」(「そうすることによって企業の収益を上がり、それが雇用や賃金の拡大につながる」と―トリクルダウン説
 しかし、大企業の競争力は強化されても、その多くは輸出産業か海外進出企業で、内需は不振のまま。
 規制緩和―労働時間規制(ホワイトカラー・エグゼンプション―事務系労働者などの労働時間規制の適用除外など)、有期雇用・派遣労働の規制、解雇規制まで緩和を企図。保険外診療など社会保障の市場化も(保険のきく領域を狭め、介護保険のサービスも縮小)。
 2000年代に経験済み(小泉内閣から第一次安倍内閣へと引き継がれた「構造改革」路線)―「いざなみ景気」で企業の収益は大いに上がったが(利益は株主の配当と内部留保のほうに回り)、雇用(非正規雇用は増え35.5%と先進国では異常に多くなり、正規雇用は大きく減少)・賃金の拡大にはつながらず(1997年のピーク以降下降)個人消費を中心とした国内需要は増えず。
  法人税の引き下げ―それを納められるほどの売上・収益が乏しい中小零細企業には恩恵なし。
  TPPへの加盟も―デメリットやリスクのほうが大
  原発再稼働も企図―超巨大リスク
  「新産業の創出」―今のところ「絵に描いた餅」
 それら(金融緩和・公共事業・規制緩和)だけではデフレ脱出はダメ。以前にもそれをやってきたが、賃金を上げないできたためにデフレのままだった―第一次安倍内閣当時も含む02 ~07年、戦後最長で「いざなみ景気」といわれ、2%前後の成長、株価は1万8千円と好調だったにもかかわらず、雇用は悪化し、株主配当は上がっても賃金はむしろ下げられ(01~11年の10年間で10%ダウン)、利益は内部留保に回されるだけだった。

 デフレ(商品やサービスに対する貨幣の価値が上がって物価が下がる)―安倍政権は「それは市場に出回る貨幣量が少ないからだ」と短絡的な発想から、金融緩和で日銀が札を刷って市場にジャブジャブ流し込めば何とかなると。
 しかし、その根本原因は賃金の低下(1998年以来上昇率はマイナスに)と雇用悪化―不安定雇用・非正規雇用の増加―による内需・個人消費の減少―その脱出には賃金アップと雇用改善が不可欠―それなしに物価引き上げ、そのうえに消費税・社会保険料などの引き上げが加わって可処分所得(使えるお金)が減れば、個人消費はさらに減り、企業の売上も減る。そうなれば賃金・雇用はまた減って消費需要は減り、企業売上げが減る・・・・という悪循環になる。

 安倍首相は経団連など財界に「従業員報酬引き上げ」(「賃金ベースアップ」とは言わず、ボーナスなど一時金にとどまる)を要請
賃上げ
 春闘は大企業ではボーナスは満額回答で昨年を上回ってアップ、定期昇給は維持、しかしベース(基本給)アップは流通業界の一部にとどまる。
 アップは正社員だけ、非正社員には及ばず。
 それに7割を占める中小企業の従業員には及ばず。

要するに―アベノリスク
 ①物価上昇と不況がかえって深刻化
  ある試算では物価2%上がれば家計負担が9万円増えるとも。消費需要はさらに冷え込む。
 ②貧富格差の拡大
 ③赤字財政の拡大―長期金利の急上昇―国債の利払い困難となる。
  日銀による大規模な国債の買い取りは赤字財政の穴埋め(財政ファイナンス)と受け取られ、日本政府の財政規律に対する(「放漫財政」とか「節度を失っている」とか)ダメージを与え、「日本の国債はいずれは返済してもらえなくなる」という懸念が広がり、信用が落ちて国債の価値が下がり(国債の格付けが下げられ)(海外投資家などが一気に売りに出て)金利が急騰しかねない。

どうすればいいのか
 まずは雇用改善と賃金アップの方が先。
 政府ができることは、財界への雇用者報酬の引き上げ「要請」だけではなく、①最低賃金のアップ(現在の700円台から1,000円以上へ―中小企業でもそれができるように支援し、大企業との公正な取引ルールをつくってそれ以上の「下請け単価たたき」をやめさせるようにする)、②労働者派遣法を抜本改正するなど法規制を強化して非正規雇用の正規雇用化への切り替えを促進すること。
 そして個人消費と内需を拡大する。
 もう一つ大事なのは消費税(来年4月から4%、再来年10%―年間17万円負担増―に)。給料が上がっても消費税が取られるのでは、それは減殺されることになり、「デフレ脱却」は不可能となる。
 ―日銀の試算では、金融緩和による年間2%物価上昇と消費税アップとで、次のような順序で、物価は4年後には10%近く上がるという。
  ①14 年4月から消費税8%に増税されて物価が2%上がる。
  ②日銀の金融緩和で物価が3%(1年半分)上がる。
  ③15 年10月から消費税10%に増税されて物価が1.3%上がる。
  ④日銀の金融緩和で物価が3%(1年半分)上がる。

 アベノミクス―それはカジノ資本主義の、いわばバクチ経済政策ともいうべきもので、はたして丁と出るか半と出るか。
 中には儲かる人もいるだろうが、大部分の人は・・・・・・・・・・・・・。

2013年04月27日

安倍首相と馴れ合うマスコミ

 大手マスコミ各社トップと安倍首相の会食。
 1月7日読売の渡辺恒雄会長から始まって朝日・産経・日経・毎日・フジテレビ・テレビ朝日・共同通信など各社会長もしくは社長それぞれと安倍首相との間で会食が、都内の高級割烹やホテル内の料理店で2~3時間づつ次々行われ、その後さらに各社の政治部長や論説委員長・解説委員など幹部たちともそれぞれ安倍首相の会食がおこなわれたとのこと。
 このニューソースは3月31日と4月11日の赤旗の記事(インターネットで見れる。スクープというか、新聞では同紙以外には載っていないとみられる)だが、それによれば「こうした会合は割り勘ではないだろう。ジャーナリズムの世界では『おごってもらったら、おごり返せ』とされている。安倍首相にどう、おごり返すのだろうか」。
 「メディアも安倍政権の宣伝紙のようになっている。」「まったく客観性がなく、安倍の言っていることを並べているだけ」
 「欧米では、メディア経営者は現職の政権トップとの接触を控えるのが不文律」
 「(不偏不党にして)権力を監視するジャーナリズムの役割を放棄していると言わざるをえません」と。

 (かく言う筆者は赤旗が書いていることをそのままに並べているだけみたいだが、これらの論評は事実無根で的外れなのだろうか)
 インターネットで調べても、会食の事実否定はどこにも見られない。(会食でどんな話をしたのか、割り勘か奢りかなどのことは不明だとしても。)
 会食したからといって、或いは奢られたからといって、報道や論評に手心が加えられるようになるとは決めつけられないが、そうなる可能性は否定できないだろう。
 親しく対話することによって真意や胸の内を読み取ることができるなどの点で役立つといったこともあるだろうが、その副作用は必ず付きまとうと考えられる。
 どうしても、相手におもねる(へつらい、きげんをとる)書きぶり話しぶりになり、忖度した(気を回した)論評のしかたになって、鋭い批判や切込みができなくなってしまいがちになる、と考えざるを得まい。
 ジャーナリズムには権力の監視・チェックする役割が求められるが、日本の主要メディアには、こうなるとそれはとても期待できそうになく、むしろ、そのジャーナリズム―マスコミやメディア―をこちらが監視・チェックしなければならない、少なくともそれらの報道や論評を鵜呑みしてはならず、騙されてはならない、ということだろう。

2013年04月28日

日本の「右傾化」と外交の手づまり

 安倍政権下で次のようなことが行われている。
(1)閣僚や国会議員の靖国参拝―麻生副総理ら3閣僚は個々に、国会議員の168名は大挙して(まさに示威行動)。安倍首相は参拝は控えたが、「真榊」を奉納。「国のために命をささげた方々に尊崇の念を表すことは当然」のことだと。
 しかし、そこは単なる神社・慰霊施設ではない。明治いらい陸軍省・海軍省の共同管理のもとに、日本軍将兵の英霊を顕彰する(武勲をほめたたえる)ことを目的に設立されて、将兵を戦争に駆り立てる精神的支柱となってきた神社であり、戦後、連合国による極東軍事裁判でA級戦犯とされた戦争指導者も合祀され、日本の戦争を全てにわたって正当化・美化して顕彰している施設なのである(付属施設の「遊就館」は軍事博物館)。
 尚、天皇はA級戦犯合祀が合祀されて以来、そこへの参拝は控えている。
 そのような神社への参拝は、隣国の政府やアメリカのメディアなどからは、日本政府や政治家たちの「右傾化」とか「時代錯誤」と指摘されているのだ。
 それに対して弁明がおこなわれ、首相は「侵略の定義は国によって異なる」「歴史認識は専門家・歴史家に委ねるべきで外交問題にすべきではない」「脅かしには屈しない」と居直っているが、国々からは侵略の事実を否定し、戦後国際秩序を成り立たせている歴史認識のコンセンサスを否定するものだと受け取られているということだ。そして、韓国外相の訪日も日中韓財務相会議も取りやめとなり、日中友好議連の中国訪問も中止せざるを得ない事態となっている。
 (アメリカのメディアは、ワシントン・ポスト紙が「安倍氏は歴史を直視することができない。中国や韓国の怒りは理解できる」とし、ニューヨーク・タイムズが「日本の不要な国粋主義」と、いずれも社説で批判している。またウォールストリート・ジャーナル紙の社説は「だれが第2次世界大戦を始めたのか。この問題は、地球が太陽の周りをまわっているかどうかについての質問と並んで『解決済みの質問』とばかり思っていた。なのに日本の安倍首相は新たな解釈を下している。」「安倍氏の恥ずべき発言によって日本は外国での友人を持てなくなる」と批判している、とのこと。
 また、4月30日朝日の声欄にだが、三浦永光氏という方の投稿「安倍首相は侵略解釈を改めよ」に次のような指摘があった。「国連総会は1974年に『侵略の定義に関する決議』を採択しており『侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する・・・・武力の行使であって・・・・』など、8条にわたって規定している。・・・・・また、日本は51年のサンフランシスコ講和条約でアジア太平洋戦争での日本の侵略を裁いた極東国際軍事裁判の判決を受け入れることを明言した。安倍首相の発言はこれらの事実を無視するものだ。」と。)
(2)「主権回復の日」式典の開催―4月28日、それは61年前サンフランシスコ講和条約と日米安保条約が発効した日―戦後の占領統治は解除。しかし米軍の駐留と基地は継続。
沖縄は引き続き米国の施政権下に置かれた「屈辱の日」で、72年に返還されたが、そこには在日米軍基地の75%もが集中している、その基地は未だにそのまま。実質的に対米従属固定化―沖縄だけでなく日本全体にとっても(「全土基地方式」は続いており)「屈辱の日」なのだ。
 (尚、当時米ソ冷戦・朝鮮戦争中で、サンフランシスコ講和条約は全連合国との「全面講和」ではなく、アメリカ主導で、ソ連・東欧諸国・中国・インド・韓国・北朝鮮などを除いた49ヵ国との「単独講和」だった。その条約で千島列島の放棄をも認めてしまい、ロシアとは未だに平和条約を結んでおらず、千島列島は一島も返還されていない―北方領土問題) 
 安倍首相の政治的思惑―日米安保(対米従属)はそのままに憲法だけ「戦後レジームから脱却」―「自主憲法」制定(改憲)―めざす―国民の合意がない一方的な開催―そこへ天皇を招く(違憲の政治利用)。
 その式典では、安倍首相は式辞で「沖縄の人々の戦中・戦後の苦労に、通り一遍の(行動を伴わない―筆者)言葉は意味をなさない。・・・・・・東日本大震災・・・・世界中からたくさんの人が救いの手を差し伸べてくれた。・・・・中でも米軍は・・・・。私たちは日本を強くたくましくする義務がある。日本をもっとよい、美しい国にしていく責任を負っている。」と述べた。何か軽くてそらぞらしく、沖縄県民だけでなく全国民に深刻な問題を押し付け続けていることを、綺麗ごとで覆い隠しているように思われてならない。
(3)核不使用の国際会議共同声明の署名見送り―ジュネーブでのNPT(核不拡散条約)再検討会議の準備委員会で、南アフリカ・スイスなど74ヵ国が署名した共同声明―核兵器の非人道性を訴え「いかなる状況下でも核兵器は二度と使わないことが人類存続の利益になる」と―これに米中ロ英仏などとともに日本政府は署名せず(「日本を取り巻く安全保障環境が厳しい状況だから」―北朝鮮などに対し状況次第では核兵器は使わざるを得ないこともありから、という理由で)―それに対して広島・長崎両市長は抗議のコメント。
 日本政府はこれまでも核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議に一貫して棄権。
 唯一の被爆国でありながら日米同盟にこだわり、アメリカの核抑止力(「核の傘」)にしがみつく―それはかえって北朝鮮に核開発・保有を(「抑止力」と称して)正当化する口実を与えるもの。

 これらは国内外から反感・不信をかい批判にさらされている。そして外交とりわけ北東アジア近隣外交が手づまり状態に陥っている。それは国益を害する結果をもたらすことになる。
 

2013年04月29日


                          上杉公園

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