« 2013年02月 | メイン | 2013年04月 »

2013年03月 アーカイブ

2013年03月01日


1週間後 ゴジラは消えた  さようなら

まずは交渉に入ること―対中国・対北朝鮮

 憲法上の日本国民の決意―「二度と戦争はしない」の確認から―軍事的手段に訴える選択肢なしと
 実際問題としても、現代戦争は勝っても負けてもよい結果を生まず、惨害と遺恨を残すだけ。戦争で決着をつけるという問題解決こそが非現実的なのだ。
      交渉なくして経済的・軍事的圧力だけでは解決つかない。

中国に対して
 1972 年日中国交正常化(周恩来・田中会談)、78年日中平和友好条約(鄧小平・福田会談)以来、尖閣は中国側としては中国領であることを認識しつつも、日本による実効支配の現状を容認し、これを軍事力で変更するようなことはしないという暗黙の了解(事実上の棚上げ)で合意してきた。
 2010年(尖閣沖で中国漁船と海保巡視艇の衝突事件があって)前原・当時外務大臣は国会等で「棚上げは中国の主張。日本は同意していない」と答弁
 2012年、石原・当時都知事が尖閣(個人所有だった島)を東京都が買い取ると言明。それに対して野田・当時首相は国が買うと(国有化)決定。それに対して中国側が反発、島は中国領だと主張、監視船を尖閣海域にくりだし、日本側が主張している領海と「接続水域」に侵入を繰り返し、海保巡視艇とにらみ合い(互いに監視・警告)―長期化・常態化(毎日のようにそれがニュースになっている)。
 本年1月30日には中国海軍フリゲート艦が日本海自の護衛艦に照準用レーダー照射(日本側が抗議、中国側は事実を否定)―安倍首相「一方的な挑発行為」と非難。「事態をエスカレートさせないよう自制を求める」、「中国は戦略的互恵関係の原則に立ち戻るべきだ」としつつも、「領土・領海は断固として守り抜く」と言って、予算も防衛費を増額。
 (尚、レーダー照射については―軍事アナリストの田岡俊次氏の見解―冷戦時代の米ソ間では、互いに砲を向けたり、サーチライトやレーザー光線を当てたり、通信妨害をしたりの「嫌がらせ」「突っ張り合い」はしょっちゅうあって「海上事故防止協定」結んでそれらを禁止することにした。英仏など他の主要国もその協定を結んで、日本も結ぶようになったが、中国は結んでいない。それにその協定の禁止項目にはレーダー照射は入っていないという。)

 マスコミは日中間で「情報戦」「心理戦」に入っていると。
 軍事評論家は軍事衝突すれば日中どちらが勝つかと解説―自衛隊関係者は「短期間の局地戦ならば日本が優勢」と(①艦艇などの装備が優れている②パイロットの飛行時間が中国より長く練度が高い③米軍との連携など)。これに対して中国側は「日本側は中国軍のミサイルの威力を考慮していない」とし、両国で海戦になった場合、最初に自衛隊の基地や港をミサイルで破壊して、戦闘能力を失わせる等の見方をしている。(朝日2月4日「中国軍解剖」)。日本の軍事評論家の中にも、配備・保有機数からみて日本側が東シナ海の制空権・制海権を握るのは難しいと見る人(田岡俊次氏)。
 元外交官・防衛大学校教授の孫崎亨氏(著書「不愉快な現実」講談社現代新書)は「自衛隊独自では中国軍に対抗できない」、それに「中国が尖閣諸島を占拠しても、米軍は出てこない」(中国は台湾を念頭に少なくとも戦闘機330機、駆逐艦16隻、潜水艦 55隻を配備している。そうした状況では自衛隊にとてもこれに対抗できる力はない。中国のミサイル(80 の中・短弾道弾、350の巡航ミサイル)は嘉手納・横田・三沢など在日米軍基地を破壊できる。滑走路が破壊されれば、戦闘機は機能しない)と書いている。

 アメリカは「尖閣は日米安保の対象」とは言っているが、いざとなった時、尖閣のために命がけで戦ってくれるかといえば、それは疑問。中国はアメリカにとっては経済的に日本以上に大事なお得意様であり、軍事トラブルには巻き込まれたくないと見られる。
 日米中3国の力と利害関係―GDPは、2010年、中国は日本を追い抜き、2020年にはアメリカを追い抜き、軍事力(軍事費・技術水準)でも追いつく可能性。
 アメリカの対中輸出は対日輸出を大きく上回り、対中債務も対日債務を上回る。一方、中国の日本への輸出はアメリカ・EU・ASEANへの輸出を下回っている。

 危険―現場における軍の暴発→武力衝突(一触即発)の危険があることは事実
 両国関係悪化―外交チャンネル(対話・協議)は日本政府の尖閣国有化以降、中断。経済的・文化的交流が著しく後退(貿易・観光など激減)。

 日本側は自民党政権→民主党政権→安倍・現政権を通じて「尖閣は日本固有の島であって日中間に領土問題は存在しない(だから交渉の余地なし―筆者)」と。
 しかし、国際的に日本領と認知されているわけではなく、アメリカも1996年以降一貫して「尖閣諸島の主権問題では日中のいずれの立場も支持しない」としており、現実には「係争の地」。

 「領土問題は存在しない」などと言って交渉を突っぱねるような(施政方針演説では「私の対話のドアは常にオープンです」とも言っているが、中国側からは尖閣問題の交渉なら「門前払いだよ」と言っているように受け取られ、「日本は思い上がっている」と反発を招くような)そんな言い方をせずに、領土問題が現実に存在することを認め、国際司法裁判所への付託をも含めて交渉に入るべきなのではないか。
 その間は両国ともに以前の日本側の実効支配の状態に戻るようにして、日本側は島に施設の建設、公務員の常駐などは行わずに、海保の巡視活動だけに留め、中国側は今やっているような監視船を頻繁にくり出して日本側実効支配海空域に侵入することを控える。そうして物理的・軍事的対応を控える、ということにすればいい―そう思うのだが。

北朝鮮に対して
 北朝鮮の為政者にとって、ひたすら求めてやまない究極目標は「その生存が直接脅かされないこと」即ち国家及び政権が崩壊させられる恐れのないようにすることであり、その(「生存を直接脅かされない」という判断を下せる環境を整えてゆくことなのだろう。
 北朝鮮にとってその最大の脅威はアメリカ―アメリカとは朝鮮戦争は、休戦協定は結んでいるが平和協定は未だに結んでおらず、戦争は終結していない。なので、アメリカとその平和協定を結び、安全保障を得ること、そして国交正常化し、両国間の貿易・経済関係を盛んにすること、それこそが最大の要求。その安全保障が得られない限り、核兵器を「抑止力」として開発・保有するしかないと。
 日本に対しては戦前来うけた植民地支配の清算、戦後補償を要求。

 これに対してアメリカは北朝鮮が核・ミサイル開発・計画を放棄することがまず先だとして平和協定などの交渉には応じない。
 日本は核・ミサイル放棄とともに拉致被害者の解放を要求。

 05 年6ヵ国協議の共同声明―北朝鮮は「すべての核兵器と既存の核計画を放棄」、アメリカは「北朝鮮への攻撃・侵略の意図ない」と約束。ところが06年、北朝鮮は核実験を強行。 これに対して国連安保理が制裁決議
 09 年、北朝鮮は再び核実験、国連安保理も再び制裁決議
 12年2月、北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結すると。ところが、「ロケット」発射実験(二度)―北朝鮮側は、それはミサイルではなく衛星ロケットだと。それに対してアメリカ・日韓側は「長距離弾道ミサイル」に違いなく、国連制裁決議違反として非難。
 それに反発(日韓などの衛星打ち上げやアメリカの核実験を禁止せず、北朝鮮だけ安保理制裁決議するのは、「二重基準の極致」であり「国際法違反」だと)アメリカの「敵対行為」に対する「断固たる自衛措置」だと)して13年2月には核実験(三度目、ミサイル弾頭用に小型化)


 日米韓側はそれを北朝鮮の常とう手段の「瀬戸際外交」だとして、交渉には応じず。
北朝鮮は軍事的対決しかなくなっている。(これからも核・ミサイル実験を重ねると。)

 対話・交渉はすべて中断―互いに圧力(制裁・挑発行為)一辺倒
 拉致問題は全く進展なし。

 日本が北朝鮮に対して求めるもの、必要不可欠とするもの―北朝鮮が①日本を攻撃しないこと、核開発を行わないこと。②拉致被害者を解放すること。
 日本は北朝鮮からの攻撃抑止のために自分の側の軍事的抑止力(日米同盟・日米韓軍事演習・ミサイル防衛、敵基地攻撃力など)にしか知恵をめぐらさないが、それは相手にとっては軍事的圧力としか映らず、反感を招く。
  
 選択肢は交渉しかない。(「交渉こそが抑止力」、それは中国に対しても同じ)
 日本がとるべき政策―北朝鮮の生存を直接脅かさないこと、その環境を整えていくこと、そして不信感を解くこと―できるだけ早期に関係正常化―国交を結び、経済関係―相互依存関係を深め、日本に軍事攻撃を行ったら大損するという関係を結ぶこと。
 日本が、今やっていることは、その逆(経済的・軍事的圧力一辺倒)。

 北朝鮮にはアメリカ・日本に対しても根強い恐怖感・不信感があり、そのために核にしがみつく(北朝鮮にとっては、核は唯一のカード)。
 その北朝鮮に本当に核を放棄させるためには、国際社会が本気で「核なき世界」実現をめざして、全面的な核兵器禁止条約(国連総会では圧倒的多数で可決している)を実効あるものにして、そのうえで「われわれは、もう核を捨てる。だからそちらも捨てなさい」と言うしかないのである。
 幾度か対話・合意があったにもかかわらず北朝鮮側が違反を繰り返して御和算にしたことに対する制裁(武器輸出の禁止や関係する個人や団体の資産凍結などの措置)はやむをえないとしても、それをやるなら①国際社会が一致して、抜け穴のないように実効性をもって行うこと、②制裁は体制(政権)を崩壊させるためではなく、核を放棄させるための交渉のテーブルにつかせるために行う、ということにすべきだ。
拉致問題も、交渉なくして解決はつかない。

●「断固として」「毅然として」とか「強い日本」とか、強がりの言葉と物理的・軍事的対応ばかりの事実上圧力一辺倒ではらちがあくまい。(拉致問題でも、蓮池透氏は日本政府の事実上の圧力一辺倒を批判している。)
 中国に対しても、北朝鮮に対しても、まずは交渉、それ以外にない。


3月のつぶやき(随時、上に加筆)

●安倍内閣支持率―7割も(朝日は65%)・・・・・・・・ああ、アベバブル
 危機迫る―北朝鮮危機、沖縄の基地移設、改憲、TPP参加、原発再稼働・・・・・
                               ああ、アブナイカク
●朝日世論調査―政党支持率―自民党44%、民主 6%、公明 3%、維新2%、みんな2%、共産2%、その他0%、支持政党なし35%
 参院選で投票する政党―自民47%、維新12%、民主9%、みんな6%、公明4%、共産3%、生活1%、社民1%、その他2%、分からない15%
 安倍首相の経済政策に期待できると思う人65%
 一大政党をとりまく翼賛政党がほとんどで、世論は安倍自民党とその翼賛政党に傾き、改憲派が3分の2を上回りそうだ。はてさて、この国の民度はいったい・・・
●トップ写真に載せたが、大震災犠牲者の追悼式、復興のつどい、加藤登紀子コンサート。いずれも主催し取り仕切ったのは井上君・新関君ら(当方が学校いた当時、生徒だった卒業生)。彼らは阪神・淡路震災当時立ち上げて支援活動したボランティア山形の中心メンバーであり、東日本大震災でも直後から米沢を拠点とする官民支援活動を主導した立役者といってよい。たいしたもんだよ。
 追悼式・復興のつどい、ともに会場は置賜文化センター。そこは、大地震があったあの時、当方はその一室で、ある会合に参加していた、その同じ建物。会合を中断して外に飛び出したが、おさまったと思って、また中に戻って再開。携帯を借りて家に連絡をとろうとしたが繋がらない。早めに切り上げて帰宅の途についたが、車はやや渋滞。家に着いて中を見ると、女房と孫たちは震災報道中のテレビを見ていて無事、棚に並べてあった置物が幾つか倒れ落ちていたが、たいしたことはなさそうだ、と安堵したものだ。
 あの大震災があったこの日、ニュースに、ある町では防災・避難訓練が『震度5強』を想定して執り行われたとあった。女房、つぶやいていわく、「あの時米沢は『震度5強』だった。こっちは孫と飯台の下にもぐって震えていたというのに、そっちはいつまでも会合を続けて帰ってくっちゃねがったもな」。また口説かれたか。
●北海道のオホーツク海に面した町で猛吹雪。父親がうずくまって娘を抱き温める姿で亡くなり、娘が生きて発見された。夕食時、テレビでそのニュースを見ながらその子と同じ年頃の孫娘に語った。「母親は一昨年亡くなっていて父子二人暮らしだったんだって。その子はこれから一人で生きていかなてはならないんだな・・・・・お前は大丈夫だ、爺ージがいるから」と。それにつけても、夏音というその子、生き抜くんだよ!そして我が孫も夏音ちゃんのことを思って逞しく!
●孫が「何これ」「ゴジラって何?」というので、ゴジラ映画のビデオを見せた。
 すると画面に原発地帯の風景が出てきて、そこをゴジラがのし歩き、原子炉建屋を壊して炉心を抱え上げて放射能を吸引している様子。頭上を渡り鳥が飛んでいくと、それに誘われてゴジラは去ってゆく・・・、という場面が出てきた。
 福島原発のあの光景を連想した。なんと、ゴジラ映画には原発の危険を見せつける警告の意図も込められていたんだな。
●雪ゴジラの口に蝋燭を立てようとして梯子をかけて上がったら、星明かりに白い鳥の群れ十数羽が雁行をなして飛んでくるのが目に入った。雪像を撮ろうとしてポケットにデジカメを持っていたが取り出して構える間もなく消え去って行った。夕闇に北の方へ飛んでいくのは白鳥か、雁行をなしていたからハクガン? 
●例年にない2月末の大雪。雪像の制作に挑んだ。ゴジラ。かつて高校在職中、上杉公園周辺で模様される雪灯篭祭りで、野球部の1年生を率いて作ったゴジラのことを思い出して。
 まずは、女房の頼みに応じて横穴掘りから始めた。「かまくら」ではなく、収穫して畑に埋めておいた大根を掘り上げるためだ。それを果たし終えた後、創作に取り掛かった。
 隣近所では屋根の雪下ろしに余念
きたのほうへがない様子。冷たい眼差しを気にしながら、孫のためならエンヤコーラ・・・・・・よく頑張ったもんだ。

2013年03月08日

選挙制度改革は国民投票で

 最高裁から違憲状態と指弾されている一票の格差是正が迫れており、かつ消費税増税の思惑から「国会議員みずから身を切る」と称して議員定数削減案を提示している政党が幾つかある。自民党は衆院比例定数を30議席減らす選挙制度改革案を出そうとしている。
 現行の小選挙区比例代表並立制は小選挙区の方にウエイトが置かれ、自民党にはそれが有利に働いて4割台の得票で8割もの議席にありついているが、その小選挙区のウエイトを、比例定数を減らして、さらに大きくしようとしているのである。
 少数政党の共産・社民は比例代表制こそが最も民意を反映し死票も少ない最適な方法だとして、むしろその方を中心とした制度に抜本改革すべきだと主張している。
 いずれにしろ選挙制度改変を現職の政党議員が決めるのではどうしても党利党略になってしまうし、そもそも選ばれる側の都合でそれを決めるのがおかしいのであって、選ぶ国民の側が決めるべきもの。
 イギリスやニュージーランドでは選挙制度の制定・改変に際しては国民投票を行っているが、我が国でそれをやってもおかしくはあるまい。選挙制度審議会など第三者機関で原案を検討し選択肢を示して国民投票で決する、といったやり方である。いかがなものだろうか。

2013年03月10日




3月10日         HAPPY 愛LANDS

                       米沢市長

         主催者代表 ボランティア山形代表理事 井上肇氏

                        福島からの避難者代表

2013年03月11日

CIMG3582.JPG
        火の海  ゴジラのしわざ?
CIMG3568.JPG
3.11 気仙沼はこうだった



主催者代表  ボランティア山形代表理事 井上肇氏

                     司会 新関寧氏

                       避難者代表 上野寛氏

                 スクリーンに中央追悼式の中継映像 (この時 地震速報)

2013年03月13日

北朝鮮の核・ミサイル開発の目的は?(修正・完成版)

 3月7日国連安保理は北朝鮮が先月強行した3度目の核実験を非難して経済制裁を強化し、各国にその実施を義務付けた決議を(中国を含む)全会一致で採択した。(ただし、その決議には「対話を通じた平和的で包括的な解決」を促進し、「事態を悪化させるいかなる行動も控える」とも。)
 ところが11日、米韓は合同軍事演習(「キー・リゾルブ」、その後「フォール・イーグル」も)を(定例のものだとしながら)開始(韓国国民からは、この演習に反対する抗議の声が上がっている。尚、韓国は1月30日に人工衛星搭載ロケット打ち上げを3度目にして成功。2月13日には、「北」の核実験を受けて北朝鮮全域を射程とする巡航ミサイルを実戦配備、それに加えて射程を延長した弾道ミサイルも開発を加速化することを明らかにしている)。
 北朝鮮はこれらに反発して朝鮮戦争の休戦協定は「白紙化された」「今や戦時態勢にあり」と宣言し、南北不可侵合意も破棄するとして板門店の南北直通電話と国連軍との電話回線を遮断した。朝鮮半島の緊張がエスカレートしつつある。・・・・・・・「レッドライン」を越えた?
 
 そもそも北朝鮮はいったい何が目的でそんなことを。
 3月12日付朝日は、11面に、見出しを「北朝鮮、緊張演出」として次のようなことを書いている(貝瀬記者)。
 北朝鮮は「今後、体制保障に向けた交渉に米国を引っ張り出そうと、緊張を極限まで高める『瀬戸際』の駆け引きに出ると見られる。」「北朝鮮の目標は休戦協定を平和協定に転換し、体制保障を勝ち取ることだ。そのためにはカギを握る米国を交渉に引き出すしかない。北朝鮮はこれまでも核開発などで緊張を高めることで、米国を協議に応じさせてきたが、目標は実現できていない。
 今回協定の白紙化を宣言したのも、緊張を高める戦略の一環だ。」
 「韓国政府関係者は『最初は領海内での射撃や短距離ミサイル発射などで様子を見て、徐々に脅しを強めていく可能性がある』とみる。大陸間弾道ミサイル級と推定される新型ミサイルの発射実験や、さらなる核実験の可能性を指摘する声もある」と。
 つまり北朝鮮の目的は平和協定と体制保障なのだというわけである。 
 国力(経済力・軍事力)の弱小な北朝鮮にとっては、その(体制保障の)保証がないかぎり、「核抑止力」以外に国家(体制)を守る手段はないと思っている(「イラクのサダム・フセインは核兵器を持たないばかりにやられた」と)。だから、ただひたすら核ミサイルにすがりついているのだろう。
 ところが、アメリカには北朝鮮のキム独裁政権の体制保障などしたくないし、こんな国との国交正常化などどうでもいい、撃つなら撃つがいい、北朝鮮のミサイルなんか、どうせ大したことはない(韓国や日本には多少の被害はあってもアメリカは大丈夫)との思いがある(とみられる)。
だから日米韓側はこの北朝鮮が望んでいる平和協定・体制保障などのことには取り合わず、ただ「挑発行為は許さない」と言って突っぱねるのみで、もっぱら経済制裁と軍事的圧力の強化でしか対応を見せていない。安倍政権は北朝鮮と中国の軍事挑発・軍事脅威に対抗しなければならないとして、ひたすら日米同盟体制の強化―普天間基地は名護市辺野古に移設強行を企図、オスプレイを自衛隊にも導入企図、集団的自衛権の行使(米軍への協力のための武力行使)容認に加え、国連の集団安全保障(「国連軍」)への参加を企図。それにプルトニウム生産のための原発維持も。

 北朝鮮は、強がりは言っても戦争になれば、たちまち惨敗して体制崩壊することは分かっているだろう。だからと言って戦争しないわけでもあるまい。追い込まれれば苦し紛れに「窮鼠猫をも噛む」で「破れかぶれ」になって先制攻撃の挙に出、戦争に突入することはあり得る。
 それに対して米日韓の方はといえば、「戦争になったらなったでかまわない。負けることは絶対ないし、楽勝できるという余裕があるので、何が何でも戦争は回避し、平和協定と体制保障の交渉に応じなければならないという切実感はない」。
 しかし、戦争になれば、ワシントンが「火の海」になることはあり得ない?としても、ソウルが「火の海」になることはあり得るし、日本が戦災に見舞われることもあり得る(もしかして既に実戦配備している中距離ミサイル「ノドン」或いは「ムスダン」が日本のどこかの原発か東京などに飛んで来ないともかぎらない)。
 
 米日韓側は、(イランの核開発とともに)北朝鮮の核開発に対しては「直ちに放棄」ということにこだわるが、アメリカの核は(中ロ英仏の核とも)全く度外視している。
 それに、北朝鮮とともに中国の「脅威」に対する「抑止力」が必要だとして、中国や北朝鮮との間に緊張があることによって、その脅威・緊張を、アメリカはアジア戦略上の軍事覇権(圧倒的な軍事力)維持に利用でき、日本も日米同盟体制の維持強化(9条改憲)に利用できるという思惑が日米側には働いている。
 そのような態度・思惑をもち続けるかぎり、事は収まらないだろう。

 北朝鮮の「休戦協定の破棄」「戦時態勢」宣言、新型ミサイル(KN-08)の配備、さらなる核実験の示唆―それらを単に「強がり」「だだっこ」「わるあがき」「やけくそになっている」などと侮って取り合わなかったり、それらを重大・深刻に受け止めはしても「受けて立つ」という対抗的な軍事対応をとるのでは、かえって北朝鮮の「挑発行為」(反抗的対応)をエスカレートさせ、ひいては攻撃を誘うことになって開戦。そんなことになったら・・・・・。
 そんなことにならないようにするには、侮ることなく、身構えて対決することもなく、真摯に向き合って北朝鮮が望む平和協定と体制保障の交渉に応じる。そして核・ミサイルを放棄させ朝鮮半島を非核化する、という交渉に踏み切る以外にはあるまい

 それとも、「戦争・戦乱になってもやむをえない、あんな政権といくら交渉しても埒があかないし、あんな「ならずもの政権」の体制保障なんてとんでもない、転覆するか崩壊を加速するしかない」といって、このまま制裁圧力と軍事的圧力を強める方向でいくのか?
 拉致問題の早期解決にとっては、はたしてどちらがいいのか。

 尚、『世界』4月号にジャーナリストの平井久志氏は次のようなことを書いている。
 北朝鮮は「朝鮮半島の非核化」を論議する対話には応じない(米国を含め世界の非核化が実現されるまでは朝鮮半島の非核化は不可能だから)としながらも、「朝鮮半島を含む地域の平和と安全を保障するための対話と協議」には応じるとしている。(05年の六者協議で合意した「9.19共同声明」―北朝鮮は、それは「もはや存在しない」としているが―その4項には「朝鮮戦争の直接の当事者は、もう一つのフォーラムで朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議する」としていた。)
 日本は(朝鮮戦争の当事者ではないためフォーラムには参加できないが)02年の「日朝ピョンヤン宣言」(核・ミサイル問題を含む安全保障上の問題とともに拉致問題も協議を行っていくとした合意)を活用すべきで、日朝二国間協議をおこなうべきだと。
 同誌(『世界』)の「ドキュメント激動の南北朝鮮」には次のようなことが書いてある。「拉致被害者家族からは核問題とは別途に拉致問題を確実に協議できる道筋を確保してほしいという切実な声が明らかにされている。」「安倍首相は『対話と圧力』としばしば語ってきたが、実際には圧力をかけ続けてうまくいかなかったというのが、これまでの安倍首相のやり方であった」と。
 平井氏は「一方的な制裁強化だけでは挑発と制裁、さらなる挑発と制裁という悪循環を繰り返し、危険の水準を高めていくだけだ」とも書いている。

 北朝鮮が休戦協定を破棄、「戦時態勢」に入ると宣言したことは、いわば「再宣戦布告」も同然であり、軍は攻撃開始命令を待つのみ、という事態に立ち至っている。
 このような時に、アメリカも韓国も、そして日本も、そういう北朝鮮に対して、相手が攻撃をしかけてくるのを、迎撃態勢を敷いて(準備を整えて)「やるならやってみろ。やったらお終いだぞ」とばかりにただ黙って待っているだけでよいのか。

 たしかに、攻撃・開戦したら、たちまち反撃されて北朝鮮国家(体制)は崩壊する。そうなることは、相手も解っている。だから無謀な攻撃・開戦にはしるようなことはすまいし、そのうち制裁が効いて苦しくなり音を上げて泣きついてくる、それまで黙って見ていれば(静観していれば)いい、というのだろうか。
 しかし、苦し紛れに自暴自棄的(破れかぶれの)攻撃の暴挙に出てくる可能性もある。そうなったら、戦災に巻き込まれる韓国国民の被害は計り知れないし、日本国民の被害も軽微では済むまい。「それはやむをえない。そうなったらなったで、しかたない」といって済まされるのか。済まされまい。そのような事態はなんとしても回避しなければなるまい。
 だとすれば、黙って座して待っているのではなく、今すぐにでも緊急協議(二国間でも何国間でも)を呼びかけて交渉にはいるべきなのだ

 17日北朝鮮の労働党機関紙は「(北朝鮮は日本が独自制裁を検討していることなどに反発して)日本も(核先制攻撃など)攻撃の対象になる。」「(朝鮮半島で戦火が起きたときに)自衛隊が介入する場合、日本は無事だと考えるなら、それに勝る誤算はない」と報じている。それに対して、日米間側には「挑発や脅しには乗らない」と言って突き放すばかりで、対話・交渉の意思はみられない
 ああ、危機迫る
 

2013年03月19日

道徳教育で「いじめ」はなくならない

 3月15日の山形新聞の「私の主張」欄に「子どもに道徳教育重要」という投稿があった。それには「いじめ・不登校・中高年はの精神的な病による自殺」など、それらは「戦後アメリカから与えられた憲法に基づく民主主義の下で」、「教育勅語を手離し、道徳教育をおろそかにした」結果だ。そこで、「新教育勅語」で日本古来の倫理・道徳・武士道精神を伝える道徳教育が必要だと。

 このような認識には錯覚があり、そのような道徳教育は時代錯誤ではないだろうか。

 当方は戦後間もなく小学校に入学して新憲法と教育基本法の下で教育を受け、学校では「教育勅語」式の(「修身」ような)道徳教育などなかった。あちこち転校し、小中高とさまざまな学校に在校したが、どの学校でも、ケンカやいじめ等はあっても、今のような深刻な問題はなかった。
 長ずるに及んで高校の教職に携わり定年まで勤めた、その間に、いじめ・不登校問題等が全国的な問題になり始めるようになって、当方もそれらの問題に直面したことはあった。しかし、それは戦前のような道徳教育を教えなかったせいだとは考えられない。
 
 どうして学校で子どもたちの間に今のような深刻な問題が起きるようになったのか。そこには社会の激変がある。
 戦後、当方の学校時代はみんな貧しかったし、昔のような道徳教育などなくても、人に手伝ったし、助け合ったし、思いやりも、夢もあった。
 それが日本経済の高度成長時代になって、貧困から脱し「一億総中流」などといわれるようになった、その間もそのような深刻な問題は起らなかった。
 が、やがて大量消費時代なり商品が氾濫、テレビ時代からコンピュータ時代になり娯楽・ゲームなど子どもや若者を取り巻く社会環境は激変する。一方で高校全入・準義務教育化にともない受験教育(落ちこぼれを生む競争教育)が激化、子どもたちは教師とともにテスト・テストに追われ、勉強(ドリル)や塾通いに追われ、合間にテレビやゲームで気晴らしといった毎日と化していった。そして、じっくり自然や読書・芸術・スポーツ・深みのある勉学に親しむゆとりが失われていった。
 そこにきて、日本経済は成長が止まって競争が激化、格差・貧困が広がって「総中流」社会は崩れだした。人々の間には不安・ストレス(「いらいら」・「むかつき」)が蔓延するようになった。
 そこに、陰湿ないじめ、校内暴力・不登校・虐待・自殺など問題が深刻化するようになったのだ。
 このような社会環境の変化、社会の在り方を問題にし、変革の手を加えないかぎり、道徳教育(「きれいごと」で説教)だけでは解決つかず、ましてや「忠孝」道徳(「修身」教育)などでこうした問題がなくなるなどということはおよそあり得まい。

About 2013年03月

2013年03月にブログ「米沢長南の声なき声」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2013年02月です。

次のアーカイブは2013年04月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34