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2020年04月 アーカイブ

2020年04月01日

新型肺炎ウイルス禍―どこから、どうなって、今は(随時加筆)

2019年12月、中国湖北省武漢市で「原因不明のウイルス性肺炎」として最初の症例が確認。以降武漢市内外へ広がる。
2020年1月7日、新種のウイルスと確認。
       9日、最初の死者。
      16日、神奈川県で感染者確認―中国人
      20日、広東省でヒト-ヒト感染が確認(当初は武漢市の生鮮市場で売られるコウモリや蛇などの野生動物が感染源とみられたが)。
      23日、武漢市が都市封鎖宣言―人の出入り制限(2か月間)。
      25日、日本で武漢在住の30代女性旅行者、感染確認。
          中国で「春節」入り(大型連休へ)。
      27日、中国政府、海外旅行を禁止
      31日WHO(世界保健機関)―国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言
    2月1日、横浜港から出港したクルーズ船「ダイアモン・ドプリンセス号」から1月25日に香港で下船した香港人男性の感染確認。    
       3日、「ダイアモンド・プリンセス号」が横浜港に帰港(1月20日出港→香港~ベトナム~台湾~沖縄から)。19日まで係留―その間、検疫(日本政府の指示により5日から14日間、隔離措置)
(神戸大医学研究科感染症内科教授で、乗船して現場を目の当たりにした岩田健太郎医師によれば、船内では場当り的な対策に終始し、陰性とされて下船した乗客がその後陽性となるケースが国内外で相次いでいる、その結果日本中に感染が広がったと―3月28日現在、日本国内で確認された感染者数2436人のうちクルーズ船の乗客・乗員712人、死者65人のうち10人が乗客・乗員。)
       8日、武漢で60代の日本人男性1名、新型肺炎で死亡。
      11日、国際ウイルス分類委員会は新型コロナウイルスをSARS-COVに対してSARS-COV-2と命名。
          WHOは新型ウイルスによる疾患をCOCID-19と命名。
         中国本土の死者、計1011人、感染者4万2000人超えると発表。
      13日、日本で初の新型肺炎死亡者(80代女性)、確認。
      24日、政府の専門家会議―新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた専門家の見解を示す―「これから1・2週間が感染が急速に進むか収束できるかの瀬戸際」と。
      25日、文科省「生徒が発症したら一部または全部の臨時休業などの対応を自治体が判断するように」との方針を示す。  
      27日、首相、(3月2日から春休みまで)全国一斉休校を要請。
         (各県各地域によって感染状況が増えつつある所と全く無い所と異なるし、専門家会議には一律休校の意向はなく、25日の文科省の方針も無視。唐突で独断的で場当たり的との批判あり。生徒たちにとっては卒業式や学期末・年度末の締めくくりの大事な時期が台無しになる。代替措置も、科学的根拠も欠く―神戸大医学研究科の岩田教授によれば、小児患者が発生していない中で、休校によって感染をゼロにするとか、一日何人まで減らすとか根拠に基づいた目標設定もなく、ただ「やる」というのでは、その成否は事後的に判然としない。)
      28日、WHO―新型コロナウイルス感染、世界規模で流行する危険性―「非常に高い」最高レベルと評価。
      29日、首相、「全国一斉休校」等の要請について記者会見。
    3月5日、中国全土からの入国制限
      6日、韓国からも入国制限。
      11日、WHO事務局長―この感染症は「パンデミック(世界的大流行)相当」と。
      13日、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に新型コロナウイルスを加える改正案が可決―首相の判断で「緊急事態宣言」をだすことができ、広範な私権・人権制限が可能になる―外出の自粛、「学校・社会福祉施設、興行場」等に対し「使用などの制限もしくは停止」、土地所有者の同意なしの臨時医療機関開設のための土地使用など私権制限を行えるようになり、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由などの基本的人権を制約し、経済活動に大きな影響をもたらす―国民の不安を利用して、緊急事態における国会の関与抜きに行政判断での人権制限を認めさせ、首相の独断に法的根拠を与える危険。
      14日、安倍首相―上記の「新型コロナ対策特措法」の成立を受けて記者会見―「現時点で宣言する状態ではないと判断している」と。
      17日、世論調査(朝日新聞)
          新型コロナウイルスをめぐる、これまでの政府の対応―
                      評価41(一ヵ月前は34)、評価しない41(50)
          首相の全国一斉の臨時休校要請―評価60、評価しない30
          感染拡大で生活が苦しくなる不安を感じるか―感じる46、感じない52
          安倍内閣―支持41(39)、支持しない38(40)
      19日、専門家会議―「持ちこたえているが、一部の地域で感染拡大がみられる」として、この状態が続けば爆発的に患者が急増する「オーバーシュート」につながる恐れがあるとの懸念を示す。
    クラスター(患者集団)を早期にみつけ、感染の可能性がある人を探し出す作業が必要。
         大規模なイベントのリスク―対応が整わなければ中止や延期を。
         学校の一斉休校については「効果を測るのは困難」としながらも、感染が拡大している地域では「一定期間休校にすることも一つの選択」とし、
         感染が確認されていない地域では、学校での活動、屋外でのスポーツなどリスクの低い活動から実施と。
 学校再開の目安は①科学的所見を踏まえた合理的な目安に基づくこと、②実際どうするかは、感染をめぐる個々の状況に応じ、学校の意向を踏まえ、自治体が判断する、③「三つの条件(換気が悪い密閉空間、多くの人が集まる密集、近距離での会話や発声)が同時に重なる場」の回避などのこと。
 イタリアの死亡者数が中国のそれを上回り世界最多に。
      20日、169か国に感染者415,876人、死者18,574人  。
      24日、文科大臣「4月新学期からのがくが校再開に向けた方針」を示す。
        安倍首相、IOC会長との電話会談で延期を決定(来年夏に)。
      23日、グテーレス国連事務総長―全ての紛争当事者に即時停戦を求め、新型コロナ対策に集中するよう呼びかける。
      28日、アメリカの感染者10万人超、中国を抜いて世界最多に。
      29日、政府がアメリカ・中国・韓国の全土とイギリスなど欧州全域からの入国拒否、及びこれらの国々への日本からの渡航中止を勧告する方針。
      30日、スペインの感染者数も中国を上回る。
31日、山形県内初の新型コロナ感染者が米沢で確認(神奈川県から市内の自動車教習所に免許合宿に来ていた学生)。

                                  
                                                                                                                                

2020年04月09日

新型肺炎ウイルス禍―どうなって、今は(その2)(随時加筆)

4月1日、専門家会議―感染者が都市部で急増を指摘し、オーバーシュート(爆発的な拡大)が起こる前に医療現場が機能不全に陥ると予想されるとして医療提供体制の抜本的対策を早急に講じるよう提言。感染の拡大に応じて3地域に分けて対応する考えを示した。      
     ①感染拡大警戒地域―大幅に増加―外出自粛、10人以上の集会への参加や多人数の会食を避ける。学校の一斉休校も選択肢。
     ②感染確認地域―定程度の増加幅に収まっている―屋内で50人以上の集会やイベントへの参加を控えること。
     ③感染未確認地域―感染拡大のリスクが低い―屋外のスポーツや文化・芸術施設の利用、参加者が特定された地域イ ベントは注意しながら実施。
 子どもについては(現時点の知見では)地域において感染拡大の役割はほとんど果たしていないと考えられている。学校の休校や再開は、地域や生活圏ごとのまん延の状況を踏まえて判断すること。学校再開の場合の工夫として時差通学や分散登校など。
 臨時休校とするのは①子どもや教職員に感染が判明した場合で、学校外での感染が明らかで構内感染の恐れが低ければ「実施する必要性は低い」、②感染拡大警戒地域に指定された場合で、都道府県の衛生部局と相談のうえ、学校運営の工夫(時差通学・出勤など)で対処する場合と、臨時休校に踏み切る場合とを想定。
2日、山形県では小中高とも新学期の授業再開の方針。同県内は「感染確認地域」とされる。県内がこの区分にとどまり、学校関係者がの感染が確認されていない場合は、こまめに換気するなど、学校内でクラスター発生を防ぐ対策を講じたうえで再開。部活動は平日のみの1日2時間以内に制限。居室では座席間を1メートル以上離したり、交互に着席するなど児童・生徒の間隔を広げる。それが難しい場合はマスクを着けて授業を受けさせるとのこと。
 3日、米沢市では先月31日感染者が一人(神奈川県から自動車免許合宿に来ていた学生)出てしまい、その影響とみられるが、同市教育委員会は市内小中学校の再開を15日以降に延期することとした。
 5日、山形県内の感染者10人に増える。
    山形県教委、県立高の始業式・延期を決める。チェックリストを設けて態勢が整った学校から再開するよう各校に通知(生徒が過去2週間に首都圏などの感染拡大地域にいたり、それらの地域から来た人と濃厚接触したりした場合、翌日から2週間は出席停止とするから等のチェック項目。)
 6日、山形県内の感染者13人に。
 7日、山形県内の感染者19人に(感染経路は大多数が東京からのルートか仙台からのルート)。       首相、緊急事態宣言(新型インフルエンザ等感染症対策特措法に基づく発令の要件「全国的かつ急速な蔓延により、国民生活および経済に甚大な影響を及ぼすか、その恐れがある」として)―
       対象区域―東京都・大阪府・神奈川県・埼玉県・千葉県・兵庫県・福岡県
       期間―1か月程度(5月6日までメド)
       知事が(その権限と判断で)それぞれの都府県内の住民・事業者に対して次のことを要請もしくは指示(従わない場合は、罰則はないが、事業者名などが公表)
         ①不要不急の外出自粛
         ②学校・保育園・公会堂・図書館・博物館・自動車教習所・学習塾・映画館・劇場・百貨店・居酒屋・バー・キャバレー・カラオケボックス・ライブハウス・パチンコ・ゲームセンターなどの休業や使用制限
         ③音楽・スポーツイベントなどの開催自粛。
         ④医薬品や医療機器・マスクなど販売・保管の要請・収用(物資を隠したり、立ち入りを拒んだりすれと、罰金や懲役も)。
         ⑤臨時医療施設のための土地・建物を所有者の同意なしに強制使用。
       問題点―自粛・休業要請は補償(損失補てん)とセットであるべきなのでは(野党が主張するも、首相は否定的)。政府の緊急経済対策―住民税が課せられない所得まで収入が減少するなどした世帯に限って30万円給付だけ。売上半減以上の中小企業には200万円、個人事業主には100万円給付だけ。いずれも限定的で、給付が受けられない人が続出。しかも一回限り。自粛・休業の要請は、そのために収入が途絶える事業者・個々人に対する補償なしには実効性があがるまい。
         IT大手や携帯電話大手などの企業がもつデータ(個人情報)を政府が提供を呼びかけ、企業がそれを応じる動きも出ていること等。
この宣言に乗じて憲法に緊急事態条項を定めるべく改憲を促す発言―この日、首相の宣言発表に先立って開かれた衆院運営委員会おける質疑で、維新の会・議員から「緊急事態の際、国が国民生活を規制する強制力を担保するために憲法改正による緊急事態条項の創設が不可欠だ」との問題提起があり、首相は「今般の対応を踏まえつつ、憲法審査会の場で活発な議論を期待したい」と応じた。 
 8日、全国知事会が国へ事業者が休業やイベントの自粛によって負った損失を補償するよう緊急提言することを決める。
    中国では新型コロナによる死者が6日にはゼロとなり、この日武漢(中国本土の感染者の6割、死者の8割近くを占める)で都市封鎖(駅・高速道路・空港の閉鎖)を2か月振りに解除(外出規制などは継続)。
    毎日新聞よる世論調査   
      緊急事態宣言に対して評価72、評価しない20
      タイミング 妥当22、遅すぎる70、早すぎる1
      指定対象  妥当34、もっと広げるべき58、もっと限定すべき2
      期間5月6日までに解除できる22、できない77
      発令されたことで、外出やイベント参加など、
                        これまでより自粛する86、変わらない13
      収入が大幅に減った人に一世帯当たり30万円給付 妥当22、不十分46、過剰だ8
      安倍内閣 支持44、支持しない42、答えない15
      政党支持―自民34、立憲民主9、国民民主1、公明3、共産4、維新5、社民1、
              れいわ3、N国1、その他1、支持政党なし36
 11日、山形県内の感染者(31日から 12日間で)33人に達する。感染経路は①米沢での1人は神奈川県から自動車教習に。②新庄の6人は東京から帰省した一人から、その実家の家族・親戚へ。その家族の1人から大蔵村の同僚へ。③上山の2人と米沢の4人、南陽の2人、高畠の5人、飯豊の1人(合計14人)は、いずれも東京から来た友人と山形市内で会食した2人(上山の1人と米沢の1人)の家族・同僚・友人などの関係者へ(1次感染から3次感染へ)。④鶴岡の5人は、その内の仙台市内の同じ飲食店(ハブ)に行ってきた二人から(家族・友人へ)。⑤酒田の3人は、首都圏に相次いで出張してきた一人から(家族へ)等々、首都圏か仙台の5ルートと、見られる。彼ら以外には上山の2人と山形の1人は今のところ感染経路が不明。
 12日、県内感染者はさらに5人増えて38人となった。中山町1人。山形市・上山市・米沢市・大蔵村各一人はそれぞれ既に確認されている感染者と関連。
 米沢の小中学校は5月まで休校が延長。
 13日、山形県教委は県内の高校とともに小中学校の臨時休校を来月10日まで延長を要請。
    世論調査(NHK)―
      新型コロナ感染に「大いに不安を感じる」49、「ある程度 不安感じる」40、
                             「あまり不安を感じない」2
      政府の対応 「大いに評価」8、「ある程度 評価」38、
               「あまり評価しない」36、「まったく評価しない」14
      緊急事態宣言のタイミング 「適切」17、「遅すぎ」75、
                        「宣言を出すべきでなかった」2
      事業規模108兆円の緊急経済対策 「大いに評価」8、「ある程度評価」41、
                    「あまり評価しない」30、「まったく」14
      世帯主の月収が一定の水準まで落ち込んだ世帯などに限って世帯あたり現金30万円を給付―「大いに評価」8、「ある程度評価」35、「あまり評価しない」34、「まったく」16
      イベントや活動を自粛した事業者の損失を国が補償することに―
                                「賛成」76、「反対」11
      布製マスク配布 「大いに評価」3、「ある程度評価」18、
              「あまり評価しない」29、「まったく」42
      人との接触7~8割減は可能か 「できると思う」41、「できないと思う」48
      安倍内閣を「支持する」39、「支持しない」38
      政党支持―自民33,3 立憲民主4,0 国民民主0,5 公明3,3 維新1,6 共産2,9
              社民0,6 れいわ0,5 N国0,2 その他0,7 支持なし45,3
                             わからない・無回答7,3
 14日、山形県内の感染者、前日から5人増えて43人に。4人は大蔵村でいずれも前に挙がっている感染者の家族か同僚か関連事業所職員。一人は山形市の飲食店従業員で前に挙がっている感染者と同僚。
 15日、山形県内の感染者、前日から6人増えて49人に。5人は米沢市で、いずれも同じ食品工場の前(6日と10・12日)に挙がっている感染者と同僚。(そこでの感染者は10人となり、同工場内がクラスター<集団感染>となったとみられる。)一人は山形市で同市の他の感染者との関連性はない。
 16日、山形県内の感染者、前日から5人増えて54人に。2人は大蔵村で4日感染者が出た特養老人ホームの入所者。1人は新庄で3・4日に感染者が出た家族の同居者。2人は米沢で前日(15日)に確認された感染者のうちの1人と同居家族。
   首相(政府の対策本部として)、先に発出した緊急事態宣言(7都府県に限定)を全国に拡大することに。(ゴールデンウイークが明ける5月6日まで、不要不急の帰省や旅行など各都道府県間にまたがる移動を自粛、人と人との接触機会を7~8割減らすなど。)また先の緊急経済対策では「収入が大幅に減った人に限って一世帯当たり30万円給付」としていたのを「1人当たり一律10万円」の現金給付へと方針転換を打ち出す。
 17日、山形県内の感染者、前日から4人増えて58人に。2人は大蔵村で、感染者が既に数人出ていてクラスターになったとみられる特養老人ホームの職員と他の職員の同居家族で、もう2人は鶴岡の方だが、大蔵村・老人ホーム職員の同居家族の親族とその同居家族の方。
 18日、山形県内の感染者、2人増え60人に。1人は大蔵村の特養老人ホーム職員の家族で。もう1人は高畠町の高校生で、米沢の食品工場の感染者の家族。 
    日本国内の感染者がこの10日間で倍増し、1万人をま超える。
 19日、米沢市(「道の駅米沢」のコンビニ従業員)に61人目の感染者。
 20日、山形県内で感染者3人―大蔵村に1人(特養老人ホームで感染した職員の同居家族)、米沢市に1人(前日の感染者の同居家族で、クラスターが発生した食品工場の従業員)、山形市に1人(感染経路は不明)―64人となる。
 22日、山形県内で感染者1人―山形市の人で前々日に同市で感染が判明した方の同居家族。
 24日、山形県内で感染者1人―南陽市の人で米沢の食品工場で先に感染が判明した従業員の同僚。
 28日、山形県内で感染者1人―山形市の人で県内過去(20日感染確認)事例の濃厚接触者の同居家族。
   朝日新聞の世論調査(3月上旬から4月中旬実施)
     安倍首相(来秋に任期満了)の次の首相は安倍政権の路線を引き継ぐほうがよいか―
               「引き継ぐほうがよい」34、「引き継がないほうがよい」57
     安倍首相の次の首相に最も必要なものは何か―「公正さ・誠実さ」40、
         「リーダーシップ」22、「政策・理念」20、「調整能力」11、「発信力」4
 29日、山形県内で感染者1人―米沢市の人で先に職員に感染者が出た医院の医師。
 30日、参院本会議で、新コロナ対策費を盛り込んだ今年度補正予案が可決、成立―①すべての人に一律10万円の給付金、②売り上げが半分以上減った中小企業に最大200万円、個人事業主に同100万円を「持続化給付金」として給付、③地方自治体への臨時交付金―都道府県の休業要請に応じた業者への協力金として充当、④休校中の学習支援金―小中学生に1人1台のパソコンなどを確保する構想を前倒し、⑤雇用維持のため従業員の休業手当に充てる雇用調整助成金の助成率を引き上げ、対象もパートタイム労働者らに拡大、⑥全世帯に布マスク2枚配布、etc


2020年04月23日

憲法改正と非常事態(修正版)

 今回の新型コロナウイルス感染対策に際しては特別措置法に基づいて首相が緊急事態宣言を発令し、非常措置として国民に対して休業・外出・移動の自粛など様々な指示・要請が行われている。国民世論はそれを歓迎し、中には「もっと徹底してやるべきだ」とせっつく向きもあり、それに乗じるかのようにして、憲法に緊急事態条項を設ける改憲を促す政治家が与党に限らず出てきている。
 「国家の最大の使命は国民を守ることであり、そのよりどころとなるのが憲法だ」という。日本国憲法には25条の1項に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」として国民の生存権を定める一方、2項には国に対して社会福祉や社会保障とともに「公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と義務付けている。
 緊急事態に際する例外的措置として国や自治体による国民の権利・人権の制限を一時的に容認する特措法或いは感染症対策基本法のような法律も必要ではあろう。休業・休校の措置や外出・移動の自粛(規制)によって感染拡大が抑えられ、結果的により多くの人々が感染による命の危険から免れることができるようになるからである。しかしそれには、個々人からみれば、人によってはそのような規制措置によって致命的な(そのために感染症からは免れても、生きがいや生活の糧を失い、経済的・精神的に追い込まれ、或いは他の重い傷病者は感染回避が優先されて治療や処置が後回しされ、命さえも危うくなる)損失を被るという様々なリスクやマイナス効果をもともなう。そこで、その(感染症対策として採られた)措置を主導した首相や政府による状況判断、緊急事態宣言の発出、具体的措置のありように対して、それが主権者国民にとって適切であったのか、過誤がなかったのか検証・評価し、責任を問わなければならないわけである。それは国会で行われ、場合によっては違憲審査権をもつ裁判所で行われる。
 今回の首相の緊急事態宣言と知事による外出自粛・休業要請などの具体的措置は特別措置法に基づいておこなわれているが、それら法律と憲法とは厳然として区別しなければなるまい。(特措法に基づく「緊急事態宣言」と、憲法に新たに「緊急事態条項」を設けて対応することは、その性格が全く異なる、ということだ。)
 憲法とはそもそも、統治規定を定めたものではあるが、人権規定をも定めたものであり、国民個々人の人権を国家の支配権力から守り、権力の暴走を抑えるために制定されたものである。それは最高法規として、これに反する法律や政府の行為を(違憲立法審査権などによって)無効とすることができる、という筋合いのもの。(以前からある感染症法や災害対策基本法、それに今の特措法は、あくまで憲法の制約のもとにある法律なのだ。)
 日本国憲法は12条に「この憲法が国民に保証する自由及び権利は国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のために利用する責任を負う」とし、13条に「すべての国民は個人として尊重される。生命・自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」と定めている。ここで「公共の福祉」というのは、自分と同じく生命・自由および幸福追求の権利を持つ他の人の人権のことであって、国や地方公共団体などの権益(国益・公益)のことではない。自由・権利を濫用してはならないというのは、他人の自由・権利を害してはならない(要するに他人の迷惑にならない)ということであって、首相や知事など公権力の意向に反してはならないということではない。自分の自由・権利の濫用にならないように「自粛」するのは、あくまで他人の迷惑にならないようにするためなのであって、国や公共団体などの公益のためではない。(だから、首相や知事には国益や公益を理由に個々人に命令する立場にはなく、国民に対して向ける言葉は「要請」であって「命令」ではないわけだ。)
 「公共の福祉」を理由に自由・人権・私権を制限する法律は色々ある。表現の自由(その濫用)に対しては刑法(名誉棄損罪)や公職選挙法(不当な選挙運動の禁止)、居住・移転の自由に対しては感染症法・医療法(感染症による入院・隔離措置)、営業の自由に対して独占禁止法や医師法(無資格者の営業禁止)、財産権に対しては土地収用法(道路・空港用地を、保証金を払ったうえで収用)など。
 それに今回適用されている新型インフルエンザ等感染症対策特措法―首相が「全国的かつ急速な蔓延により、国民生活および経済に甚大な影響を及ぼすか、その恐れがある」と判断すれば「緊急事態宣言」をだすことができ、広範な私権・人権制限が可能になる―外出の自粛、「学校・社会福祉施設、興行場」等に対し「使用などの制限もしくは停止」、土地所有者の同意なしの臨時医療機関開設のための土地使用など私権制限を行えるようになる―首相の「宣言」に応じて都道府県知事が、それぞれの判断で、それぞれの都道府県内の住民・事業者に対して次のことを要請もしくは指示(従わない場合は、罰則はないが、事業者名などが公表)
         ①不要不急の外出自粛
         ②学校・保育園・公会堂・図書館・博物館・自動車教習所・学習塾・映画館・劇場・百貨店・居酒屋・バー・キャバレー・カラオケボックス・ライブハウス・パチンコ・ゲームセンターなどの休業や使用制限
         ③音楽・スポーツイベントなどの開催自粛。
         ④医薬品や医療機器・マスクなど販売・保管の要請・収用(物資を隠したり、立ち入りを拒んだりすれと、罰金や懲役も)。
         ⑤臨時医療施設のための土地・建物を所有者の同意なしに強制使用,
等々を行う権限を首相及び都道府県知事に認める法律である。
 これらはいずれも、国や公共団体が国益や公益を害されないようにするためではなく、あくまでも、ある人(個人或いは法人)の権利の濫用によって他の人の権利が侵害されることのないようにするために主権者国民の代表者(議員)によって制定された法律に基づいて措置が講じられるというものである。
 これらの法律およびそれによって実行された首相や知事たちの措置は憲法に照らして妥当なものだったのか、違背してはいなかったか、検証されなければならず、場合によっては違憲審査されなければならないわけである。
 このような諸法律の立法とそれに基づく措置(権限の行使)に際しては、首相をはじめ国務大臣・国会議員、知事ら地方自治体首長その他の公務員は、あくまで最高法規である憲法の定める「生命・自由および幸福追求にたいする国民の権利」については、立法その他国政および地方自治の上で最大の尊重を必要とするわけである。
 法律というものは個人や法人の自由な権利と活動を規制して縛りを加えるものであるが、それに対して憲法は個人の人権を統治者(民主主義国家では国民の多数派から選ばれた統治者)の権力濫用(多数派の横暴)から守るために権力を縛るものなのであって、法律とは性格が根本的に異なり、このような憲法のほうが最高法規として法律を縛るものでもある(国会で賛成多数で可決成立した法律でも、裁判所から違憲と判断されれば無効となる)。いわば法律が個人や法人の権利を縛るのに対して、憲法は権力を縛るものなのである。(それが立憲主義。)
 このような最高法規たる憲法に「緊急事態条項」を書き加え、それに政府の非常時権限を定めたりするとどうなるか。(今回の特措法では、いかに緊急事態とはいえ、行政府の長として、憲法が「国民の権利については国政の上で最大の尊重を必要とする」と定めている以上、「緊急事態宣言」の発動も、下手をすると不適切で違憲・無効だとして糾弾されるかもしれず、極力慎重とならざるをえず、腰が引けることにもなるわけであるが、それが憲法に「緊急事態条項」として定められれば、それに基づく首相や政府の権限行使はもはや「違憲」でもなんでもなくなるわけだ。)
 自民党の改憲案では、「特に必要があると認められるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、「緊急事態の宣言」を発することができる。その「宣言」は事前または事後に国会の承認を得なければならない。「宣言」が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は(閣議決定だけで)法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。政令の制定および処分については、事後に国会の承認を得なければならない等となっている。(それは政府に権限を集中させ、憲法の下での権力分立と人権保障を一時的に停止する措置をとることができるという「国家緊急権」を認めるもの。戦前の大日本帝国憲法では、天皇による「緊急勅令」などが認められていた。治安維持法の最高刑を死刑に引き上げ、適用対象を広げる改正案が、帝国議会で審議未了で廃案になったにもかかわらず、内閣が緊急勅令によって成立させた、といった苦い経験がある。)
 そのような緊急事態条項が憲法に書き込まれることによって、その条項の運用が憲法上の要請とり、政府によってこの条項が積極的に活用できることになり、濫用を許してしまう結果となる。何か「緊急事態」がある度に「宣言」が発令され、それが常態化し、「要請」といっても実質的に「命令」ということで、国民もそれが当たり前のこととしてそれに応じなければならないようになってしまう。つまりそれだけ政府には非常時権限として国民がその命令に否応なしに従わざるを得ないような強い権限が憲法から認められたことになり、多数派政府の都合によって何かある度に「緊急事態」がもちだされ、国民の方はその度ごとに人権が制限・毀損されても「仕方ない」となってそれに甘んじる結果となってしまうだろう。(首都大学東京の木村草太教授は上記()内のような自民党案の問題点を次のように指摘している。「緊急事態」の定義が法律に委ねられているために、「宣言」の発動要件が極めて曖昧になってしまっている。そのうえ国会承認は事後でも良いとされていて、手続き的な歯止めはかなり緩い。これでは内閣が、「宣言」が必要だと考えさえすれば、かなり恣意的に「宣言」を出せることになってしまう、と。)

 憲法に「緊急事態条項」が書き加えることによって、その条項が首相の強権発動と国民の統制(人権制限)に活用されるようになる、それと同様に、9条に「自衛隊」が書き加えられることによって、政府によるその軍事活用が(海外での武力行使に至るまで)これまでのように憲法違反に問われることもなく国民によって容認されるようになる、というのが首相ら改憲論者の意図なのだ。
 「国家の最大の使命は国民を守ること」だからといって、政府はそのためには手段を選ばず何をしてもいいというわけではない。それは当然のことだろう。あくまでも憲法の理念に基づき、その許す範囲内で行わなければならない。また憲法に緊急事態条項(権力分立と人権保障など立憲的な法秩序を一時停止して政府が緊急措置をとる権限を認める条項)が定められれば、戦争や病災も含めた大災害から国は守れても、国民(生存権など)は必ずしも守られるかどうかは保証の限りではあるまい。
  

2020年04月30日

新型コロナ―休校か検査か、必要不可欠なのはどっち?(加筆版)

 学校は「三密」になる施設とはいえ、いつどんな人が集まるか分からないような不特定の人々の集まる施設や場と違い、感染者など検査しようと思えば検査して特定できる所なのであり、感染者がいれば登校停止させ、学級閉鎖、休校もあり得るが、感染者がいなければ休校する必要などないわけである。

 神戸大医学研究科の岩田教授によれば、小児患者が発生していない中で、休校によって感染をゼロにするとか、一日何人まで減らすとか根拠に基づいた目標設定もなく、ただ「やる」というのでは、その成否は事後的に判然としないわけである。
 政府の専門家会議も3月19日の時点では、学校の一斉休校については感染が拡大している地域では「一定期間休校にすることも一つの選択」としながらも、「効果を測るのは困難」としていた。    
 4月1日の専門家会議では、「子ども」については(現時点の知見では)地域において感染拡大の役割はほとんど果たしていないと考えられているとし(*)、臨時休校とするのは、子どもや教職員に感染が判明した場合で、学校外での感染が明らかで校内感染の恐れが低ければ「実施する必要性は低い」としていた。
 *ウエブ「新型コロナウイルス、子供からうつる?-SWI swissinfo.ch」に「子どもは感染拡大役割を果たしてはいない」ということに関連して次のような記事が載っている。
  「両親など大人から感染した子どもはいるが、子どもたちが媒介者になる確率は大人より低く、子どもの感染率も低い。また子供は無症状が多く、入院した子どもは大人より少なく、死亡者もまれだ。したがって休校は感染防止にはそれほどの効果はない。」「但し結論ははっきりしない」とも。
 感染者のうち20歳未満の割合―スイス3%、米国2%、中国2.2%、イタリア1.2%、スペイン0.8%―但し、子供は無症状が多いため報告件数が実態を反映していないことがあり得て、大半の国ではデータが足りておらず、不確実な部分があるということのようだ。
 
 日本では、子供に限らず、全体としてPCR検査数が少なく感染実態が不明確なのだが、
5月6日の読売新聞オンライン・ニュース(「10歳未満の感染、4月以降急増・・・・」)によれば、小学生以下10歳未満の感染者が5月4日の時点で242人(うち東京63人、大阪22人、愛知15人)になっている。これは休校が続いている間、保護者らから家庭内で罹るケースが多いからだという。富山市立小学校では4月~25日(休校中だが、6日始業式・8~10日が登校日で机の間隔を広げ、マスク着用を徹底していたという)その間、同じクラスの児童や兄弟が計5人、教諭1人が感染。市当局は「(学校内でのクラスターの発生は否定)校外での感染が広がった可能性が高い」との見解。日本小児学会理事・長崎大の森内浩幸教授は「子供の重症化リスクは高くない。親が過敏になってストレスを与えないように気を付けてほしい」と。

  いずれにしろ、生徒を検査して感染確認もなしに実態がないのに、やみくもに休校にするのは問題。
 「感染の恐れがあるから」「もしかして万一感染があるかもしれないから」といった不確かな「最悪の事態」を想定して休校。「最悪の事態を想定して対策を講じるのが危機管理の要諦」というわけ?しかし、学校に感染が及び集団感染するかもしれないといった、この場合の「最悪の事態」を想定するには、単なる不確かな可能性や憶測からではなく、現実にその学校では確かにあり得るという蓋然性(確率)や事実関係に基づいて想定しなければならないわけである。それを確かめるにはPCR等の検査が必要であり、そのうえで「確かに、その学校に感染者がいる(と特定)。その生徒(或いは職員)を隔離し、集団感染が広がらないように学級閉鎖、さらに学校中に感染が広がる最悪の事態を想定して休校もやむを得まい、というようにPCR検査等による科学的客観的根拠を踏まえての「最悪の事態」想定でなければならないわけである。 
 それを、ただ単に「最悪の事態を想定して対策を講じるのが危機管理の要諦」だからといって、やみくもに休校して、結果的に学校で感染(拡散)がなくて済み、感染拡大が防止されたなら、それでいいではないか、などという結果オーライで済むのだろうか。そもそも学校で感染事実がないのに安易に休校なんかして責任者(首相から文科相・学校設置者・教育委員会)は休校させて結果何事もなくて済めば責任を問われずに済むからいいと思うのかもしれないが、おかげで、子どもを家庭に丸投げされて、てんやわんやさせられ、難儀を被っている保護者と本人はたまったものではないその実害―授業(教科学習)の遅れ、家に引きこもってゲーム依存、学校で様々な体験をする(そこから様々な学びを得、心身を鍛える)機会を失う損失、運動不足・心のケアなど心身の健康・衛生の管理、給食など栄養の管理、安全管理も損なわれ、家庭に閉じ込められて親子・兄弟・姉妹の間でストレスを抱え込まされて、DVや虐待などトラブルも生じている、等々、実に多義にわたる(学校教育から得られるべき数々のものを失う)損失。その損失をいったいどうしてくれるのか。その責任を問わなければならないのだ。
 そういうと、たとえ休校のために、学校教育から得られるべきものを全て失っても、感染死を免れた命には代えられまい、「すべては命あってのものだろう」などと理屈が立てられる。
 しかし、学校教育を受ける権利だって健康で文化的な最低限度の生活を営む生存権つまり命に関わる国民の権利なのであり、「休校か、感染死か」どっちが大事かなどという二者択一の問題ではないのだ。「カルネアデスの舟板」(難破船から海へ投げ出され、目の前の板に自分1人だけならそれにつかまって助かるが、2人がつかまれば沈んでしまうので、やむなく相手の手を引き離して見殺しにする、その場合は「緊急避難」としてその行為は正当化される)という故事のような「生きるか死ぬかしかない」といった極端な二者択一を迫られての緊急避難でもないのである。休校しなければ感染死を免れないというわけではあるまい。生徒・教職員をPCR検査して感染者が誰もいなければ休校にする必要はないわけである
 要は検査を徹底することだろう。
 検査にはPCR検査・抗体検査・抗原検査などあり、PCR検査にはドライブスルー方式(車に乗ったまま検査を受けられる)とかウオークスルー方式(テントを張った中で受けられる)など簡便な方法がある(韓国で大規模に実施して感染拡大を抑え込み、当初は感染者数・死亡者数ともに日本を上回っていたが、逆転して日本よりも少なくなっている)。
 日本では、PCR検査が車内でできるワンボックスカー(移動型検査システム)が、最近になって(5月4日)千葉県の鎌ヶ谷市で国内初の導入が行われることになった。
 今回我が国―政府の方針―では、これまでPCR検査は(検査をやり過ぎると医療崩壊が心配だとして)クラスター(集団感染)を追跡するのに必要なだけに絞り、感染の可能性の高い人と重症化しやすい人だけに絞って行うやり方(新型コロナ感染の相談窓口を各保健所の「帰国者・接触者外来相談センター」に一本化。そこで、発熱7度5分が4日以上続いてるなどを目安に判断して検査受け付け、「帰国者・接触者外来」になっている病院で検査)をとってきた。このやり方では、地域の(かかりつけの)医師が、検査が必要と判断しても保健所に断られたりし、また見つかっていない軽症者や症状のない感染経路不明の感染者が急増し、院内感染もあちこちで続出、かえって医療崩壊の危機を招いている、というのが実態。そこで検査体制の見直しに迫られている。かかりつけ医が、検査が必要と判断したら保健所を通さずに新設のPCR検査センターに紹介して検査を受けられるようにすべきだと。
 現在、全国で検査能力は1日1万5000件i以上で、首相は2万件を目標に体制整備を進めているといっているが、今のところわずかに8000件。(ドイツでは1日14万件の検査能力があり、韓国では1日2万3000件の検査を実施しているのに。)
 (そもそも日本ではPCR検査数が極端に少ない―OECD加盟国36か国中35位。
 人口1000人当たりOECD加盟国平均23.1人なのに対して日本は1.8人。
 アイスランド135人、イタリア29.7、ドイツ25.1、スペイン22.3、アメリカ16.4、韓国11.7、イギリス9.9、フランス9.1)
 このような脆弱な検査体制を早急に改善・拡充しなければならず、検査技師の増員と検査キット(器材)の確保など拡充・強化が必要。それこそが最も緊急を要するところなのだ。(ワクチン・治療薬の開発を急ぐことも、勿論のことだが。)
 学校では、校医による健康診断、予防接種もある。休校でそれさえも行えないなどというのは、いったいどいうことだ!今は廃止されているが結核予防のツベルクリン反応検査・BCGワクチン接種や天然痘ワクチン接種(種痘)など学校で全生徒に行われていたものだ。PCR検査あるいは抗原検査も学校でやれないのか。ドライブスルーやウオークスルーそれにワンボックスカーでもやれるなら、検査スタッフと検査キットの大量確保も必要となるが、不可能なことではあるまい
 PCR検査センターを全国自治体に新設し、それぞれの地域の医師会に運営を委託するとすれば、その設置・運営委託費は一か所当たり月5000万円、全国数百か所で(400か所として)200億円程度布マスク全世帯配布に充てられる金額は466億円(それにミサイル―イージス・アショアは東西2基で5千億円超)だが、それだけの予算があればPCR検査センターを全国各地につくって大量検査することはできるはず
 「接触機会削減」などよりもPCR検査の拡充のほうに力を注ぐべだ―小田垣孝・九州大学(社会物理学)名誉教授によれば、「PCR検査―現在の検査数では、接触8割減で感染収束に23日を要する。10割削減でも収束には18日かかる。
   検査を2倍に増やせば、接触5割でも、収束まで14日早まる。
       4倍に増やせば、接触削減などしなくても8日で収束する」と計算。
   PCR検査を受けておらず、感染しているのにその自覚がないまま、無症状や軽症のため通常の生活を続け、周囲に感染させて市中感染が広がる。だから接触削減が必要になる。
 PCR検査を受けて陽性と判定されれば隔離される。その検査が増えるほど感染は抑えられる道理なわけである。
 だから、接触機会の削減よりも、PCR検査と隔離の拡充のほうが感染防止対策として有効なのだ、というわけ。

 とにかく、やみくもに一斉休校などして学校教育を犠牲にするよりは、PCR検査・抗原検査など、そういったことの方に全力をあげるべきなのでは、と思うのだが如何なものだろうか。
 授業は学校なんかでやらなくても、家でオンライン授業がやれればそれで済むかのように、簡単に思っている向きがあるが、教育の基本は個別学習ではなく、集まって触れ合って気持ちを通じ合わせながら一緒に学ぶところにあるのであって、それこそが学校教育なんだから。

     


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