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2013年06月 アーカイブ

2013年06月01日

6月のつぶやき(上に加筆)

●洞穴の中に居る(この俺)。入口に熊が顔をのぞかせ、ガオー!後ろに出口が空いていて逃げようとするも、金縛り。あがききって跳び出したらバシーン!頭を打ち付けて目が覚めた。
 女房、「襖でえがったな」
●自分のクラスの教室で、なぜか教壇ではなく生徒たちの席の後ろに腰掛けさせられていた。なぜかI先生が居て、やおら生徒たちの前に立って「今日から担任が変わったから」と。校長に尋ねると「先生にはお辞めいただくことになりました」と。職員室に戻ると、前に辞めたはずのS先生がいるではないか。「そういうことだったのか」・・・・ハ!夢か。ああ、定年退職して13年も経つのに未だこんな夢を。しかも実体験にはない奇想天外な・・・ロマンが足りないんだなあ・・・
●日本国憲法の英訳が書かれてあるのがあったので、前文と9条だけをサインペンで書き写して、既に日本語で書いたのが貼り付けてある居間の空いている壁に貼りつけた。早速、女房・子どもから口説かれた。「また~ここは家族がくつろぐ居間なんだからな!」
 「いや、孫たちのためど思って書いてやってだなだ、なあ○○○(中1)」
 「(中1)・・・・・・(ノーコメント)」

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                        さつき
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                    孔雀サボテン
●居間で中1の孫と二人だけ。憲法の貼り紙を指して、歌って聞かせよう、と言って歌って聞かせた。
「学校の合唱コンクールで、これを歌えたらたいしたもんだぞ」と言ったら、「曲はもう決まってるから」と。
 そういえば合唱コンクールで生徒は歌ったな。「若者たち」「風」「銀色の道」「いい日旅立ち」「君にのせて」「怪獣のバラード」etc。
 田植えがどうやらすっかり終わった田んぼ道を散歩。「憲法の歌」それに今日は小椋佳・堀内孝雄の「遥かな轍」。♪♪こうとしか 生きようのない 人生が ある せめて 消えない 轍を残そうか♪♪(昔、カラオケでも歌ったことがあるが、ネットで歌詞を調べて紙に書いて暗記し直した。覚えにくい歌詞だ)
 女房は、山菜とりから帰っていた。妹と行って途中離れ、熊用心に『何だじゃなく』唄いながら取ってきたそうな。俺が行って唄ってやりゃえがったかな?♪♪ある日 森の中 熊さんに出会った♪・・・・・・冗談はよそう。
●夕飯中、中1の孫がやおら「宣戦布告されたら、日本はどうするの?」と訊く。「どうもしない。ほら(貼り紙に9条が書いてある)、『国権の発動たる戦争と武力の行使は、永久にこれを放棄する』『国の交戦権は、これを認めない』と。だから宣戦布告されても、受けて立つことはできないということだ。ということは相手も、日本に宣戦布告しても日本は応じないので意味がなく、戦争しようにも戦争にはならないということだ。しかし、宣戦布告なしに攻撃をしかけてきたり、侵略してくることもあり得る。かつて日本が中国にしたように。仮に、そうやって日本が攻撃や侵略をしかけてこられたら、国に交戦権はなくても、国民の抵抗権はあるので、国民はあらゆる手段を用い、警察でも自衛隊でも(「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定める憲法とは矛盾するが)、現にあるものはすべて活用して抵抗することはできるわけだ」と、ここまでは話した。いずれ、もっと詳しく・・・・・「今、この日本に攻撃や侵略をしかけて得をする国はどこもあるまい。世界中から制裁をこうむるはめになるし、その損失を含め、すべてを計算に入れれば全く割に合わないことは分かりきったことだろうから。大事なのは、宣戦布告されたらとか攻撃や戦争をしかけられたらどうするかではなく、しかけられないようにするためにはどうしたらいいかだ。自衛隊とアメリカ軍とで防備を固め、日本にいくら攻撃をしかけてもどうせはね返されるばかりだから、それは無駄だと思い込ませるようにすればいいのか、それとも、警戒や恐れを抱かせるようなことは避けて、日頃からどの国とも仲良くして、敵をつくらず、戦争をしかけられることのないような関係を築いていくのがいいか、どっち利口だか、だろう」といったことも話さなければなるまいな。

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                      バラの香りが ええんだな       
●NHKニュースを聴きながら、女房、「『アベノミクスに踊らされているな!』って投書さ書くんだで! たく もう」と、当方を煽る。
●もう一つ、この月は山菜の季節。わらび・あいこ・しおで・・・・。取ってくるのは女房。しかし、訊くと、女房は片足の指を悪くして力が入らず、山登りが思うにまかせなくなって、しおで等はあまり取れなくなったという。がっかりだな・・・歳も歳だし、無理もさせられまい。
●花は、今度はバラの番―2回の軒下まで達していた上の方を切り落としたため貧弱になったが。満開が楽しみ。
●憲法九条を守ろう県民大集会―ノーベル賞科学者・益川教授の講演―当方と同世代、親しみを覚えた。やはり世代感覚が合ってるな・・・・
戦争―殺されるのも悲惨だが、殺すのはもっと悲惨なものだと。あ!そうなんだ・・・

2013年06月03日

●我が家の居間に貼り紙(孫どもに、と。女房のつぶやき「ここは教室じゃないんだ」)

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             憲法の英訳
We,the Japanese people ....と英語で覚えて世界に広めるんだ なあ 孫どもよ
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このところ、吾妻の山を仰ぎながら田んぼ道の散歩で、これを歌っている
         ♪♪日本国民は 国家の名誉にかけ 全力を あげて この崇高な 理想と
           目的を 達成 することを 誓う~!
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                  彼の歌だけを聴きに行ってきた

2013年06月04日

●福島被災地巡検に行ってきた。飯館村~南相馬は3回通っているが、小高地区~浪江町は初めて。途中、車中で測ってくれた放射線量は、原発から30キロ圏の飯館村が一ばん高く1.8μSvまで上がった(米沢は0.06、旧伊達町は0.4、南相馬は0.28)。
 小高~浪江は20キロ圏内で「警戒区域」とされ、立ち入りが禁止されていたところだが、2か月前に解除(帰還困難区域・居住制限区域・避難指示解除準備区域の3区域に再編)。しかし、いずれも未だ上下水道や汚染ゴミ処理が困難で、地震で傾いたり屋根や壁の崩れた人家はそのままで、商店はほとんど営業しておらず、人々が帰還して暮らせる状態にはなっていないようで、信号機がつき、自動車は通りはしても、人影は見られなかった。
 浪江町海岸部の請戸小学校近くまで行った。そこから南方向、かなたの林の向こうに数本の鉄塔に白っぽい屋根も見える。原発、その排気塔と原子炉建屋だ。荒涼たる風景。ところどころに建物や漁船・自動車などの残骸が放置され或いは集め置かれている。この区域で百数十人の命が失われたのだ。
 ところが請戸小学校の児童は全員無事だった。当日は卒業式だったが、教師たちの的確な判断と誘導のおかげで6キロも先にある山に一人残らず避難できたのだという。しかし小学校の校舎は廃屋となって漁船や自動車のスクラップとともにポツンとたたずんでいた。
 ここでは、津波で多くの人が犠牲になったが、直後は未だ生きていて、自衛隊の一隊が集結し、救出しようと思えば救出できたかもしれない命も、原発事故の放射能被曝の危険があるため、捜索活動が打ち切られ、放置される結果になったのだ、という。
 現場に来て辺りの光景を目の当たりにしながら話を聞くと、事態はどんな有様だったのか想像できるのだ。

                       飯館村公民館  今、ここに人はいない

     飯館村立臼石小学校 ここにも生徒はいない  田んぼはどこも草ぼうぼう

2013年06月05日

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                        浪江町  請戸橋 津波で折れた電柱

                          かなたに福島第一原発


                          慰霊碑


                        請戸小学校の校舎廃屋

2013年06月07日

憲法のこと等―新聞に載った方々の投稿(写真を加える)

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                    4月30日朝日新聞 声欄
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                   5月7日 BS朝日 「午後のニュース・ルーム」
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                    6月1日 朝日新聞紙面審議会

 当方は新聞の切り抜きをして、ためておいている。度々投稿もして朝日などに何回か載せてもらったことがあるが、皆さん、このところ憲法のことや、歴史認識に関する首相や維新の会代表らの発言問題についての投稿が多く、中には「ほ~」とか「ん~なるほど」と感心させられるものが幾つかある。次にそれらの(新聞は家でとっている朝日新聞などに限られるが)各文の抜粋を列挙したい。(5月中に載った投稿で、改憲問題と「侵略の定義」、「従軍慰安婦」問題など関し、当方が注目したもの。)(列挙した新聞は、二つ以外は全て朝日新聞)
●5月1日74歳男性「憲法掲げ『日中不戦』訴えたい」
 「かつて勤務していた高校の修学旅行で、北京を訪ねたことがある。その折、市内の高校と生徒同士がスポーツ交流、仲良く語り合った姿に、平和な時代の尊さを思い、胸が熱くなった。・・・・・。/長春(旧満州国の首都)の大学の教壇に立った時は、文革の嵐がさめやらぬ頃で、現地の草の根の人々と生活を共にし、苦楽を分かち合ったことが深く印象に残っている。/・・・尖閣問題をめぐり、一部の政治家やメディアがことさらに反中・嫌中をあおろうとしている。・・・。/しかし、軍事力によって守られる平和などありえない。戦争放棄を世界に向かって宣言した日本国憲法こそは平和の砦であり、人類の理想である。中国の草の根の人々に、憲法の非戦の思想を熱く語りかけていく。そのことを通して私は、日中友好の新たな取り組みを始めたいと思う。」
●5月3日87歳男性「改憲による自由侵害を恐れる」
 「1945年5月25日の東京の空襲で、旧制高校2年の私は、防空壕の中まで猛火が迫った時、初めて死を意識し『何としても命を守りたい』と思った。そして、池に飛び込み生き延びた。『戦争に勝つため必死で戦え』と教育されたが、・・・・・。/現憲法の『平和のうちに生存する権利』(前文)、『すべて国民は、個人として尊重される』(13条)という主張は、戦中の私の『命を守りたい』という思いをそのまま満たすものだ。/・・・・・自民党の憲法改正草案は表現の自由を認めつつも、『公益及び公の秩序を害する』活動を禁じるとしている。これでは戦中のような統制が復活し、自由は侵さてしまう。」
●5月3日93歳男性「戦争体験を語り憲法を守りたい」
 「私は1941年、近衛歩兵連隊に入隊した。代々木練兵場の観閲式で白馬に乗った天皇陛下の姿に感動し、命を捧げる決心をした。幹部候補に合格し、各地を転戦した。・・・・だが敗戦後、不正義な侵略戦争と知った。/上海で敗戦を迎え、46年に運よく帰国した。すぐに『平和憲法』が制定された。これで日本は二度と戦争はしない国になったと喜んだ。だが、あの戦争に参加し、戦友や部下を失い、自分は生きて帰ったという『ひけめ』から戦争の体験を身内にも話さなかった。/しかし、これは大変な間違いだったと気づいた。・・・・戦争に参加した旧軍人たちよ、一人でも多くの国民に戦争の悲惨さを語り伝え、共に『平和憲法』を守るために力を尽くそうではないか。」
●5月3日13歳女性(中学生)「歴史を学び憲法の大切さ知る」
 「『歴史』を学ぶことには、どんな意味があるのだろうか?・・・・歴史を学ぶことで、私たちは過去に起こした過ちを繰り返すのを防ぐことができるということです。/・・・・歴史を学ぶのは年号や出来事を知るためではなく、その出来事が起きる背景となった人々の思いを受け止め、後世へと受け継いでいくためだと思います。/・・・・私たちは、二度と戦争をしないという強い思いが込められた憲法を変えることなく、今まで日本に平和をもたらしてきた人々の思いを、今後も受け継いでいかなければなりません。」
●5月3日64歳女性「違憲議員による改憲は許せぬ」
 「隣国の非難を分かっていながら(靖国神社)参拝した国会議員たちは、外交行事が中止になるなど、国益が損なわれている現状をどう考えるのか。・・・・/3月一票の格差を巡り、各地に高等裁判所で『違憲』・・・の判決が相次いだ。/・・・・憲法前文には、『正当に選挙された国会における代表者』とある。『違憲議員』に、憲法改正をさせることは許してはならない。」
●5月4日86歳男性「改憲派は昭和の歴史見直して」
 「私の叔父は太平洋戦争の最中、・・・・。補給の途絶えたニューギニアで、まさに泥水をすすり草を食む状態となり、そこで力尽きて餓死したそうです。・・・・/こんな死に方が、安倍晋三首相のいう『国のために尊い命を落とした』ということなのでしょうか。・・・・・(『陸軍軍人の死者は約240万人、うち7割が餓死だった』という。)それは当時政権にあった者たちの判断の甘さから国に見捨てられた犠牲者なのです。/・・・・今の憲法は叔父のような多くの犠牲者の上に成り立っているのではないでしょうか。戦争を経験した私たちが、この憲法のお蔭でどれだけ心穏やかに戦後を生きてこられたのか、若い改憲論者の政治家の皆さんは考えたことがありますか。もう一度謙虚に昭和の歴史を見直してください。そして近隣諸国との友好のために知恵を結集してください
●5月5日46歳男性「改憲のための96条改正は異様だ」
 「改正案は、改憲の発議に必要な要件を現行の衆参両院の3分の2以上から過半数にまで引き下げようとするものだ。・・・・。/だが、この『過半数』はいかがなものか。衆院では小選挙区制の影響もあり、与党となる政党は過半数の議席を占めているのが一般的だ。すなわち政権が交代するたびに何らかの憲法改正が発議される可能性を意味している。/法律とは異なり、憲法は権力の暴走に歯止めかけることを目的としている。このことを踏まえれば、時の政権の恣意によって憲法に改定が加えられることは、憲法の存在意義を失わせ、日本国家が依拠する立憲主義の根幹さえも揺るがすことになる。」
●5月6日68歳男性「首相の強気な言動に違和感」
 「特に、閣僚たちの靖国神社参拝を中国と韓国が批判したことに対して、『どんな脅かしにも屈しない』と発言したことに驚いた。中国と韓国が何を脅かしたというのだろうか。/かつて日本が、アジア諸国に対して行った戦争や支配の大きなよりどころとなったのが、靖国神社だった。・・・・。/今も靖国神社は、こうした行為の全てが、やむをえないもの、正しいものだったという立場に立っている。構内にある博物館『遊就館』に行けば、そのことはいやというほどわかる。A級戦犯の合祀は、こうした姿勢の必然的な結果に過ぎない。/その靖国神社に日本政府の要職にある人たちが参拝することに対して、かつて日本から甚大な被害を受けた中国や韓国が不快に思い、警戒心を抱くのは当然ではなかろうか。」
●5月8日52歳男性(高校教員)「配慮足りない『侵略定義』発言」
 「『いじめ』の定義は何か。教員は、被害者が、『いじめだ』と感じたら、加害者がいくら『悪ふざけだった』と言っても、『いじめ』だと見る。受けたものの主観で判断さるべきで、それが教育的な配慮だ。/安倍首相の『侵略の定義』発言は、いじめ問題で、『いじめの定義は学界的にも教育的にも定まっていない。人と人の関係でどちらから見るかで違う』と言っているに等しい。/それに発言は、そもそも史実に反する。先の大戦の発端となった満州事変の当時、中国は国際連盟に日本の軍事行動の不当性を訴え、連盟は『満州国』を否認に対し、日本以外の国が圧倒的多数で賛成した。当時の国際社会は、『日本の侵略』という主張を認めたのだ。『どちらから見るかで違う』というのではない。」
●5月10日55歳男性(高校教員)「改憲論者の背後に隠れる目的」
 「改憲論者の意見・・・『現憲法は連合軍に推しつけられた』『自衛隊は軍隊だから、それに憲法を合わせろ』『新しい時代に合っていない』『新しい権利を保障していない』『道州制を導入するには現憲法では出来ない』など・・・どれも見当はずれだと思った。/例えば、自衛隊については『自衛隊は軍隊ではない』と言い続けてきたのはどの政党なのか。・・・また、時代に合わないというのも、時代に合った人権を守る法律を憲法の本旨を踏まえて作らなかった政治の怠慢でしかない。・・・・・。/改憲論者の背後に隠れている目的は基本的人権の制限であり、国民への義務の押しつけであり、軍事産業を大手を振って育てることで得られる『国益』だろう。」
●山形新聞5月10日57歳男性「日本の憲法9条に感動」
 「中国から日本に来て初めてテレビを通じて『憲法9条』を耳にしました。早速本屋に行き、日本国憲法の単行本を買いました。・・・『再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意する』、『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は・・・・・・永久にこれを放棄する』、『国際社会において名誉ある地位を占め、全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れること。この崇高な理想と目的を達成する』。/・・・・読みながら感動のあまり熱い涙がこみ上げてきました。・・・・/・・・・・憲法9条を世界に広め、いつかは・・・・。/まさに『全世界の国民が等しく』平和の中で生存できるその時代の達成は夢ではないと思います。」
●赤旗5月11日76歳男性「先生が憲法の話」
 「中学1年の時・・・・・先生が、ある日突然涙ぐんで『事情があって今日で君たちとお別れです』と言って、最後の授業で憲法の話をされました。/その時は難しくてなにも分かりませんでしたが・・・・/つい最近覚えた曲に、この時の情景とそっくりの歌があり、驚きました。9条を歌った『あの日の授業』という曲です。/憲法を改悪する動きがある昨今、この平和憲法を孫子の代まで守っていかなければと、寝たきりの自分に叱咤激励している私です・」
●5月11日74歳女性「憲法を変えない党に投票したい」
 憲法学者の佐間忠雄さん・・・・は戦時中、零戦パイロットになったが、(長男除外で)出陣の希望を聞き入れられなかった。これでは出陣して死んだ兵士は犬死にではないか。だが、佐間さんが『彼らは日本国憲法に化身して、平和の礎となった』と・・・・。/・・・戦死者の魂が込められた憲法を変えたがる政党には絶対に、投票したくない。でも、改憲勢力は強く、どの党が対抗できるのか。」
●5月14日80歳男性(作家・森村誠一)「犠牲を払って得た憲法 尊重望む」
 「改憲の論拠は他国から侵略されて交戦権を持たぬ国がどこにあろうかという点であるが、今日、戦争の構造は異なっている。/戦争の原因である一国の意志を他国に強制することは、世界の反感を集めて不可能である。・・・・。/人類の天敵・戦争は必ず民主主義を圧迫し、基本的人権を奪う。人類初の核兵器の洗礼を受け。300万の犠牲を払って得た人権保障憲法を、一代の政治家が安易にいじくるべきではない。」
●5月17日89歳男性「橋下氏は慰安婦の苦難知らぬ」
 「旧日本軍は、明らかに慰安婦を威力をもって支配していたのである。/学徒兵として太平洋戦争に参加した私は、ソ満国境守備隊に赴任した。要塞のある『虎頭』は小さな町。そこから少し離れた所にある『完達』の町に、慰安所はあった。新任の将校に与えられる任務の一つに、慰安所の巡察があった。/慰安所に連れてこられた女性たちは、みな朝鮮半島の人たちであった。朝鮮半島の女性たちは、慰安婦となることを強制された人たちだったと私は思う。戦争が終わり、慰安所にいた女性たちが、どのような運命をたどったのかと思うと胸が痛む。」
●5月18日42歳女性「9条改正は外国人にも不安」
 「北朝鮮から子どもと来て4年が経ちました。日本に来る前、保護されて中国に1年間いました。日本行きを知った小学生の子どもが「怖い国には行かない」と泣きながら強く抵抗しました。子供は幼い頃から北朝鮮で日本植民地下の残酷さをテレビや学校で見聞きしていたからです。私も同じ不安な気持ちでした。/・・・・/不安な日々の中で、大学の通信教育部で法律の勉強をしました。去年、憲法のスクーリングで初めて日本憲法9条の授業を受けました。目を大きくして耳を傾けて聴きました。うれしかったです。・・・・。/早速、子どもに憲法9条の話をしました。『日本人も戦争で大事な家族を失い、二度と戦争をしないことを憲法で明確に定めている。安心してもいいよ』。目を見て子どもが安心したのを感じました。/日本の憲法は世界中が手本にすべきだと思いますが、最近、9条改正が議論になり、再び不安になりそうです。」
●5月20日52歳女性(高校教員)「語られない戦争がある」
 「米寿を迎えた母が、一度だけ戦争の話をしてくれたことがあります。終戦直後、中国から引き揚げてきた兵士が、母にきつい口調でこう言ったそうです。『若い娘が外をフラフラ歩いていちゃいかん。米兵がきたらつかまるぞ。何されるか分からんぞ。日本は負けたんだ』/その兵士がさらにこんなことを言ったといいます。『俺たちは中国でひどいことをしてきた。占領した土地で、民家に押し入って金品を奪い、娘たちをさらって慰みものにした。逆らう者たちは、見せしめに木につるして銃剣で刺し殺した』『今までよその国で勝手放題にやってきたことを逆にやられるに違いない』/今となっては、真偽を確かめようもありません。ただ、戦争の語り部として体験を語られる方々は、『ずっと話したくないと思っていた』と言われます。同じように、『思い出したくない』と思っている体験者も多いでしょう。そうした公式の記録には残っていない体験談にこそ戦争の真実があるのかもしれません。」
●5月20日93歳男性「歴史学者からも一言言わせて」
 「圧倒的多数の研究者は、可能な限り多くの史料に接し、それを批判的に検討し、できるだけ正確に歴史を解釈し事実を知ろうとする。それに対し、少数ではあるが、歴史に対して予断を持ち、都合のいい史料だけを拾って歴史を作り上げようとする人がいる。両者は、学界的に等価値では断じてない。しかし首相はこれを同等と考えているようにみえる。/さらにいえば、歴史を学びながら他者の痛みが自分の痛みになるように、人間として普通の想像力が働かない人は、結局歴史から何も学べないのではないか。日本の犯した過ちを認めないのは卑怯だと思う。そんな人たちの作る日本は『美しい』のだろうか。」
●5月22日87歳男性「慰安婦は多民族蔑視の制度」
 「私は戦時中、旧陸軍の2等兵だった。一番驚いたのは、階級が上の朝鮮人兵士が、我々日本人新兵のふんどし洗いなど、身の回りの世話をしてくれたことだった。そうしないと、日本人の古参兵から殴られるのだ。/民族差別の究極の表れが、朝鮮人女性や中国人女性を慰安婦にしたことだろう。中国戦線で戦った私の義父は日記をつけていた。そこに『支那ピー1円』『朝鮮ピー1円50銭』という記述がある。南方戦線にかりだされた漫画家の水木しげる氏によると、『ピー』は慰安婦を指すという。女性たちは民族ごとに値段をつけられた。・・・・。/・・・・政治家たちが過去や現在の多民族への蔑視について無神経な発言を繰り返せば、日本は世界で孤立してしまうのではないか。」
●5月24日68歳女性(1990年から3年間米国ケンタッキー州に滞在したことがあるという方)「平和憲法の理念、世界に広げて」
 「現地の新聞の時事漫画で、登場人物に『日本の憲法9条を変えるより、世界中の国が、それを取り入れたらいいのに』と言わせるのを目にした。・・・・・・・/戦争の悲劇を繰り返さないために、平和の範となる9条を変えるより世界に広める努力をしてほしい」。
●5月24日49歳男性「橋本発言、原爆正当化論と共通」
 橋下氏の「『慰安婦は必要だった』という見解は、・・・・米国人が『広島・長崎に原爆を投下したのは正しかった』(同日同欄にあった別な高校生の投稿で、彼が小学生の頃、米国の学校で学んだ時の先生の言い方では「原爆を落とさなかったら戦争は長引き、被害は大きくなっていただろう」―筆者補足)とする考え方に似ている。双方に共通している点は、戦争中の非人道的な行為について、あの時代は必要だったという強者の論理である。・・・・/また「『世界各国の軍が女性を利用していた』として日本だけが非難されるのはおかしいという趣旨の発言・・・・これは、たとえて言えば、窃盗犯が『盗みをしたのは俺だけではない、他の人もやっている』と開き直るのと同じだ。世界からは『盗人たけだけしい』としか思われない。」
●5月25日20歳男性(大学生)「政治家は歴史を忘れたのか」
 橋下発言(「従軍慰安婦は必要だった」)は「元慰安婦の方から自らの意に反して従事させられたとの証言があるというのに、人権軽視も甚だしい。また、96条改定はあまりにも憲法を軽視した政策である。日本は過去に様々過ちをおかした。そのため二度と過ちを繰り返さないよう、先人たちは新たな規範を作ったのではないか。それを、たかだか戦後六十年経って忘れてしまったのか。/・・・・・今こそ、日本国民は、時勢や政治家の言葉に流されず平和な国を維持するために行動すべきだ。」
●5月25日77歳男性「戦争を知らぬ世代が動かす日本」
 首長・国会議員・大臣が「憲法の擁護義務などまるでないように改憲を唱えるもう一度、戦争の惨禍を体験しないと平和のありがたさがわからないのだろうか。」
●5月26日65歳男性「政治家は侵略の定義を学べ」
 安倍首相は「『侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない』などと言っていますが・・・・。/1943年、・・・・米英中の3国代表が採択したカイロ宣言は『日本の侵略を制止し、かつこれを罰する』としています。/74年には、国連総会で『侵略の定義に関する決議』が採択されました。『侵略とは国家による他の国家の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する、又は国際連合の憲章と両立しないその他の方法による武力の行使』であり、具体的な侵略行為として『一国の軍隊による他国の領域に対する侵入もしくは攻撃、(略)その結果もたらされる軍事占領、または武力の行使による他国の全部もしくは一部の併合』などと明記されています。それを日本は『知らない』では済まされません。」
●5月26日73歳男性「人権尊重する憲法 堅持願う」
「自民党の憲法改正草案・・・12条で『自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない』、・・・・/現行憲法が人権に対し、『公共の福祉』の制約を控えめに示しているのに比べ、自民党案の『公益』『公の秩序』の概念は非常に先鋭で、表現の自由など人権を制約する方に重点を置いている印象を受ける。/国防軍、公益・秩序名目での人権制約、警鐘を乱打しても足りぬ。」
●5月26日54歳男性「空文化しつつある憲法25条」
 「安倍内閣が生活保護申請の際、行政に親族の扶養調査権を与える生活保護法改正案を閣議決定した。/日本の生活保護受給者は今年2月に215万5218人となり、過去最多を更新した。それでも日本は人口にしめる割合が1.6%と低く、ドイツは9.7% 、英国は9.3%だ(2010年統計)。日本は受給資格を満たしているのに受けない人が多い。親族の資産調査まで始まったら申請者はもっと減るだろう。/自民党の憲法改正草案の24条は『家族は、互いに助け合わなければならない』という文言を新設している。この改憲案が通れば、憲法25条で保障されてきた生存権はますます空文化していくだろう。
●5月27日76歳男性「『押しつけ』憲法 真実でない
 「戦後、壊滅状態にあった日本国家再建を目指して民間、学界、マスコミ、政府関係など様々な人や団体が憲法草案を発表しました。その様々な案を巡り国民的議論が沸騰しました。左は労働者中心の民主主義をめざす共産党系から、右は万世一系の国体護持派まで、実に幅広いものでした。/その中で政府は、連合国軍総司令部(GHQ)と共同で何とか統一した政府案を作り上げようと努めました。しかし、民主主義を少しでも徹底させたいGHQと、天皇君主制を少しでも強く残したい政府の間で折衝が難航したのです。/天皇を戦争犯罪者として追及する問題でももめました。最終的に『国民主権』下で天皇制を存続すべく『象徴天皇制』とする形で決着し、帝国議会両院での審議の結果、日本国憲法と戦後民主主義は誕生したのです。」
●5月30日55歳女性「『戦争の教訓』次世代につなげ」
戦争を放棄し、軍隊不保持をうたった平和憲法を持つ国は世界で2ヵ国。日本とコスタリカである。コスタリカは・・・・/国家予算の2~3割が教育費で、中南米では高い医療水準にあり病院などの医療サービスも無料だそうだ。・・・・/・・・・世界で唯一の被爆国である日本には全世界に平和を訴える責任があるはずであり、少なくとも今、憲法改正の手続きを変えてまで改正する必要性は感じない。」

 これらの投稿は、論拠や着眼点が実に的確だったり、実体験(軍隊経験や戦時体験、公布されて間もない憲法に身近に接した体験、中国や北朝鮮からの帰還者、海外在住経験など)から言葉に実感がこもっていたり、また当方が深く共感するものばかりだ。
 
 尚、5月中は、憲法や「靖国」・「従軍慰安婦」・「侵略」などの問題に関する投稿は、これら以外に、「96条変える必要があるか」・「96条先行改定なら憲法形骸化」・「憲法を変えるための政党なんて」・「『一度改正を』ではすまない」・「『押しつけ論』超す憲法探れ」・「男女平等をうたう条項に感謝」・「平和国家を目指す前文に誇り」・「『国防軍』の議論 急がないで」「9条改正し自国を守るべきだ」などもあった。
 朝日新聞は、投稿を、社説など自社の社論にかかわらず、一般にえこひいきなく、賛否両論を載せているようだ(例えば、消費税―社説では増税賛成だが、投稿はむしろ反対論の方が多く載っている)が、靖国・従軍慰安婦・侵略などの問題に関する首相や橋下氏の発言を支持する投稿は載っておらず、改憲賛成論は上に列挙したうちの最後の一つ(「9条改正し・・・」)だけ。それは、新聞社側が一方的にそれらをはずしているというわけではく、その立場からのしっかりした投稿が少ないということだろう。(「9条改正し・・・」なる投稿にしても、他に比べて論拠や説得力の点で弱い。)


2013年06月16日

安全保障―9条は護憲と改憲のどちらが現実的に合理的か(再加筆版)

軍事力と非軍事外交力のどちらに頼るのが賢明か
領土・主権を守るのにはどちらが確実か。
どちらが「枕を高くして寝られる」(安心)か。どちらが危険か。
どちらが、財政コスト的に有利か。
どちらに現実的合理性があるか
1、軍事力(「防衛力」「軍事的抑止力」)のほうに頼るやり方
 自衛隊(→国防軍)
 日米同盟(安保条約)―日米軍事協力・米軍基地・米軍の核戦力に頼る
 自衛隊が米国の軍事戦略の中に組み込まれる(役割分担)
 問題点
 ①日米側の軍事力は中国・北朝鮮などに対して圧倒的に優勢だが、核戦力については相対的な差の大きさ(核弾頭数はアメリカが8000発に対して中国240発、北朝鮮は不明なのだがせいぜい10発未満)は大して意味がない。なぜなら、仮に中国に対してアメリカが日本に加勢して核兵器を発射すれば、中国はアメリカのどこかの都市に報復攻撃を加え、100万人もの市民が犠牲になるが、それを覚悟でアメリカは日本のために核兵器を使うだろうかといえば、否だから(「核の傘」は機能しないということだ)。アメリカは日本を守るために何でもしてくれるというわけではないということだ。
 また、北朝鮮がノドンかムスダンに核弾頭をつけて東京に打ち込めば100万人が犠牲になる(ミサイル防衛で着弾前に迎撃して撃ち落とすといっても、そんなに巧くいくかわからない。実験で成功しているとはいっても、それは標的となる弾道ミサイルの発射の時間・場所・速度・落下地点などデータが分かっているからなのであって、実戦ではいつ、どこからどこへミサイルが飛んでくるかわからないのだから)。
 ②ある国・ある勢力(中国・北朝鮮など)に対して
              不信・対抗~敵対(「仮想敵国」視)することを前提
       ・・・・敵視政策―「敵をつくる」―友好・信頼関係を阻害
             それらの国の軍備増強・攻撃(軍事衝突)を誘発する危険
 ③互いに脅威―中国・北朝鮮が脅威といっても、むこうから見れば、こちら(日米)を脅威と―自衛隊は警察予備隊の名で発足して以来拡大増強してき、日米安保条約で超核大国アメリカと同盟関係を結んできた、それは大きな脅威―互いに不信・疑心暗鬼―一方的に相手の方に「軍備増強をやめよ」とか「核・ミサイルを放棄せよ」と言うだけでは、相手は応じない。
 ④米軍の核戦力(核抑止力・「核の傘」)に頼る―しかし、それがいかに強大であっても自暴自棄になって攻撃してくる(自爆テロのような)相手には抑止が効かない(北朝鮮は国家及び政権が武力攻撃で崩壊させられると確信した時には、あらゆる軍事的手段を尽くして反撃してくるからだ。それが核兵器の開発にもつながり、核兵器での攻撃にもつながる。)
 ⑤米国の戦略・軍事政策に左右される
     ―日本はアメリカの同盟国として軍事協力・共同歩調(自衛隊は米軍に追随)
       他の国々や勢力(反米勢力)からはアメリカが敵なら日本も敵とみなされる。
 ⑥ミサイル防衛―確実性に欠ける(百発百中 撃ち落とすことはできない)―「気休め」にしかならない。(たとえば北朝鮮は300発程度のミサイルを実戦配備しているといわれる。ミサイルは数分で飛んで来る。これらのミサイルが発射されたか否かすらほとんど掌握できないのだから、弾道の軌道計算はまずできない。それに、攻撃する側は、ミサイルから弾頭を複数―「おとり」も―発射してくるので、本物を見分けて命中させることは難しいし、複数のミサイルが同時に発射されて飛んできたら、それらを全て打ち落とすのは不可能<参考―元外交官・防衛大学校教授・孫崎亨「不愉快な現実」講談社現代新書>) そんなものに1兆円以上の巨額予算を米国に払っている。
 ⑦敵基地先制攻撃作戦―山中のどこにミサイル基地があるか詳しい位置が分からない(衛星打ち上げロケットの固定発射台と違い、ムスダンなどの実戦用のミサイルは山岳地帯に隠されたトンネルから、トレーラーの自走発射機に載せられて出てきて10分間で発射。偵察衛星―時速2万9千キロ近い速度で南北に地球を一周約90分で周回するから、昼間に1地点を撮影できるのは1日1回、せいぜい約2分間―で捉えるのは難しい。無人偵察機は、ジェットエンジン付きグライダーで長時間上空から監視できるが、飛行高度は約1万8千メートルだから対空ミサイルで撃墜される)。位置が分かったとしても間に合わない(日本海上の潜水艦などから「トマホーク」などの巡航ミサイルを発射したとしても時速880キロだから、内陸の目標まで約20分、ムスダンが10分で発射されるなら間に合わない)。
 ⑧尖閣諸島で今中国とやりあったら、この付近(中国にとっては「台湾正面」に含まれる)では中国空軍(南京軍区に16の空軍基地、それらに戦闘機が合計約320機、うち米国のF15・F16などと同等の新型戦闘機は180機、それに対して航空自衛隊は那覇空港に約20機、本土から追加配備20機合わせても40機、その差は少々の技術では補えない)の方が優勢で、制空権は中国側に握られ、海自の水上艦は行動を阻まれ、自衛隊の「海兵隊」による島の上陸はできず(水陸両用車が上陸できる海岸も、オスプレイが着陸できるヘリポートもなく、空中降下しかない)、上陸しても孤立(補給も帰還もできる保証ない)。アメリカは中国との死活的に重要な経済関係を断ち切ってまで日本の無人島のために戦ってくれるとは考えられない。
 要するに「尖閣諸島近辺で日中間の軍事衝突が起こった時に、日本が勝つシナリオはない」(孫崎氏)ということだ。

 以上、これらのことを勘案すると、軍事力に頼れば安心とは到底言えない
  <参考―データは週刊紙AERA6月17日号に掲載の田岡俊次・軍事ジャーナリスト「防衛大綱に非現実提言」から)
2、非軍事外交力のほうに頼るやり方(憲法9条に徹するやり方)―間断ない対話・外交交渉
 コスタリカのロベルト・サモフ弁護士(大学生の時、コスタリカ政府がイラク戦争の有志連合に名を連ねようとした際に、それは不戦憲法に違反しているとの勝訴判決を勝ち取った人物)が来日した折、ある市民集会で参加者から「コスタリカは軍隊がないのに攻められる心配はないのですか?」と訊かれて「コスタリカはそのような心配はありません。平和的な外交を展開しているからです」と答えたうえで、「逆にあなたに訊きたい。日本はなんか攻められるような原因があるのではないですか」と(笹本潤「世界の『平和憲法』新たな挑戦」大月書店)。
 北朝鮮―日本では脅威だと思っているが、向こうから見れば日米韓(アメリカとは朝鮮戦争以来、休戦状態にはあるものの未だに終結しておらず、日韓はアメリカの「核の傘」・ミサイル防衛網で守られ、基地を置き、しょっちゅう合同軍事演習)が脅威。
 日本は北朝鮮との間には拉致問題・核・ミサイル問題だけでなく、過去(日本が植民地支配によって与えた損害と苦痛)の清算と国交正常化問題もあるのだが、安倍政権は「対話と圧力」両用で対応すると言いながら、拉致・核・ミサイル問題だけで制裁一本やり、対話は(最近、飯島内閣官房参与の訪朝があったものの)ほとんど進展ない。
 中国に対しても、尖閣問題で、一方的な島の国有化を宣言し、かつ「日中間に領土問題は存在しない」と決めつけて係争地として「棚上げ」も認めないとして、(「対話の扉はいつでも開いている」と言いながら)対話を突っぱねている。
 そのような経済制裁・軍事的圧力一辺倒ではなく、対話・交渉路線をあくまで追求すること。
 ①「殺さなければ、自分が殺される、それが戦争だ」。抑止力と称して互いに武器・軍備(銃や砲・ミサイル)を持ち合えば、「撃たなければ、自分が撃たれる」(「武力攻撃事態法」は、相手国の攻撃が行われなくても、相手の攻撃が『予測される場合』に自衛隊を発動できる)となり、結局戦争になり、悲惨な結果になってしまいかねない(アフガン戦争、イラク戦争―アメリカはイラクが大量破壊兵器を持っていると思い込んで攻撃)。互いの家に銃など持たなければ、安心であり、国が軍備など持たなければ、何もされないし、他の国も軍備を持つ必要がなく、互いに軍備を持ち合わなくてもいいことになる。
 ②「何もしない国」に対して攻撃を仕掛けるような国は今ではどこもない―キッシンジャー元国務長官(『核兵器と外交政策』で)いわく、「核兵器を有する国は、それを用いずして無条件降伏を受け入れることはないだろう、一方でその生存が直接脅かされていると信ずるとき以外は、核戦争の危険を冒す国もないとみられる」―要は「その生存を直接脅かす」ようなことはしないということ。北朝鮮が核・ミサイル開発をやめようとしないのは「その生存が脅かされている」と感じていて、抵抗手段はそれしかないと思い込んでいるからであり、そのような北朝鮮に対しては、「できるだけ早期に国交を結び、経済的結びつきを強め、北朝鮮に対して日本との関係がプラスになるようにしていくべき」(孫崎氏)なのでは(拉致問題の解決も含めて)。
 ③諸国と協調・平和友好関係を結ぶ―「信義に信頼」―「敵をつくらない」
 ④領土問題など紛争があっても軍事衝突~戦争にしない。
 ⑤信頼醸成のためにやっておくべきこと―かつての侵略加害に対する償い(補償)―韓国・中国など政府は賠償放棄、そのかわり日本は経済援助協力、個人補償は無し。北朝鮮には何もしていないが、やるようにすべきである。
 ⑥発展途上国など諸国に対する経済援助協力(ODA)、紛争後の地域には復興支援(「平和構築」)に努めること。
 ⑦友好協力条約の締結―TAC(東南アジア友好協力条約―ASEAN諸国の他に日本・中国・韓国・インド・パキスタン・オーストラリア・ロシア・フランスそれに北朝鮮も加入して合計25ヵ国加盟―すべての国の主権尊重、相互の国内問題への不干渉、紛争の平和的手段による解決、武力による威嚇・武力行使の放棄を基本原則とする)が出来ている。これは日本の憲法9条に合致しており、それを生かして日本がイニシャチブを発揮すべき。
 ⑧国民の生命・財産は(ギャングやテロリストから)警察・機動隊・SAT(対テロ特殊部隊)が守る
  国土・領海・領空は(侵犯から)「国土警備隊」(←自衛隊の改編)・海上保安庁が守る(このところ尖閣諸島海域で常態化している中国の監視船の領海侵入に対応しているのは海保巡視艇)
  シーレーンは海賊などから海上保安庁が守る(公海上の犯罪に対処)

 中村哲氏(医師でNGOペシャワール会を主宰し、アフガニスタンで医療活動と灌漑用水路建設に従事)いわく、「アフガニスタンにいると、軍事力があればわが身を守れるというのが迷信だと分かる。敵をつくらず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。単に日本人だから命拾いしたことが何度もあった」と。
 伊勢崎賢治氏(元国連平和維持軍武装解除部長・現東京外語大教授)いわく、「軍閥たちに対して、丸腰の私たちが武装解除できたのは、原爆を落とされて不戦を誓った国から来た日本人だからにほかならない」と。        

3、両方(軍事力と非軍事外交力)に頼るやり方
 問題点―そのやり方でいくと、結局(いざとなったら力づくでと)軍事力に依存し、外交努力を尽くすのが中途半端になる。
 我が国のこれまでのやり方がそれだ。憲法上、平和主義を建て前としながらも、日米安保と自衛隊の軍事力に頼った安全保障政策をとってきた。それで平和主義に基づいた積極的な外交展開や国際貢献はほとんど見るべきものはない。(憲法前文で「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」と唱っていながら、ずうっとアメリカに追従し、最近ではNPT(核不拡散条約)準備委員会で核不使用の共同声明に署名をしなかったり等で、とても名誉ある地位を占めていると言えるような状況にはない。)
自国の憲法では戦争放棄・戦力の不保持を唱っていながら、自衛隊の名の下に軍備を持ち、日米安保条約で米軍基地を置き、アメリカの「核の傘」で守ってもらっている。そして他の諸国にはそれ(不戦・非核平和主義)を広めようとはせず、自国さえ平和であればいいという、一国平和主義になっている。(自分は自国の軍備と米国の核軍備にしがみついていながら、他国―北朝鮮や中国など―にそれを放棄・縮小せよとは言えないのだ。)これでは世界から信頼は得られず、軽んぜられる。(「一国平和主義」の後ろめたさをカバーしようと、国際平和貢献ならぬ軍事貢献の方にこれ務めている―湾岸戦争で掃海艇派遣以来、アメリカのアフガン作戦支援にインド洋へ給油艦派遣、イラク作戦でサマワに支援部隊、ソマリア近海の海賊対策、各地の紛争地における「国際平和維持活動」などに自衛隊派遣)。

  さて、1と2と3で、はたしてどちらが賢明か
                 どちらがリスク(危険)が大きいか
      どちらが中国・北朝鮮or国際テロ組織などからの攻撃を招き(誘発し)やすいか
      どちらが、国民の安全保障として現実的で合理的か

 

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