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2020年02月 アーカイブ

2020年02月01日


2020年02月04日

「桜を見る会」問題などで田原総一朗氏の論評

BLOGOS(LINE株式会社が運営する提言型のニュースサイト)掲載の田原総一朗インタヴュー記事―「『疑惑がありすぎる国会』政治家が嘘をつくのが当たり前になった」から。
<要約>
 「疑惑追及にまともに答えない元大臣たち」―前法務大臣と妻の参院議員、元経産大臣
               「この国の政治家は、嘘をつくのが当たり前になった」
 「このような風潮は、森友・加計問題のときから顕著になった。かつてならば政権が崩壊してもおかしくないほどのスキャンダルだったが、安倍首相らは疑惑にははっきり答えないという姿勢に終始した。」「森友学園問題の時は、財務省が決裁文書を改ざんしていたことが発覚した。民主主義の国では到底許されないこと。ところが、政治家が誰一人として責任を取らなかった。本来ならば麻生財務大臣が責任を取るべきなのに、辞任しなかった。」「加計学園問題にいたっては、当事者たちがみな嘘をついている。安倍首相は加計学園理事長と長年の友人と公言していたが、問題が明るみに出ると「そのことは知らなかった」と否定した。その直前に何度も一緒にゴルフをしているのに「知らない」というのは不自然」。「安倍首相が嘘をつくから、『本件は首相案件』といったとされる首相秘書官や加計理事長まで、みな嘘をつくことになった。嘘がまかり通って、誰も責任を取らない。そんな異常事態が続いている。」―「『モリカケを突破できたから何をやってもいいんだ』と開き直っているように思える。」
 「『桜を見る会』の疑惑はむちゃくちゃだ。」―「開催要綱によると、招待範囲は皇族や各国大使・衆参両院議長・閣僚などのほか、『各界の代表者等』と定められていた。しかし実際には安倍首相の後援会の会員が多数出席していた。参加人数も、要綱では「計約1万人」となっているのに、実際は約1万8000人が出席していた。それにともない開催費用も年々膨らみ、約1700万円の予算に対して、支出が約5500万円と3倍以上になっている。国民の税金で安倍首相の後援会の会員らを接待していた、といってもいい状態だったわけだ。」「さらに問題なのは、疑惑が発覚したとたん、招待客の名簿がシュレッダーにかけられたことだ。シュレッダーで細断されたのは、共産党の議員が国会質問のために資料提出を要求した1時間半後。これは『証拠隠滅』に等しい行為だ。紙の名簿が細断されてしまっても、デジタルデータがあるはずだが、菅官房長官は「データはサーバから削除されて復元が不可能」「バックアップデータは公文書ではないから資料要求の対象ではない」と説明し、招待客の名簿を明らかにしようとしなかった。理解に苦しむ説明だ。嘘をついているとしか思えないが、こんな対応がまかり通っている。」
 「桜を見る会、大臣の不祥事、そしてIR汚職。これはもう『疑惑がありすぎる国会』だ。」「この疑惑国会で、野党はどこまで安倍首相を追及できるのか。正直なところ、野党の追及だけでは限界がある。もともと日本の政界は、野党の力によって政権が代わってきたわけではなく、与党・自民党の主流派・非主流派の批判によって、歴代の内閣が倒されてきた。ところが、選挙制度が小選挙区制を中心にしたものへと変わり、当選するためには党の公認が不可欠となったため、自民党の議員たちがみな官邸の意向を気にするようになった。森友・加計問題にしても、桜を見る会にしても、安倍首相の責任が厳しく問われるべきだが、自民党内から安倍首相を批判する声はほとんど出てこない。みな、安倍首相のイエスマンになってしまっている。『安倍さんは辞任すべきだ』という意見が出てもいいはずだが、出てこない。唯一批判しているのは、石破元幹事長ぐらいだ。ただ石破氏は、党内では孤立している。」
「嘘をつくのが当たり前の首相や大臣。異論を口にできない与党の政治家。疑惑だらけなのに、そんな状況を政権奪取のチャンスとして生かしきれない野党。」
 「いま日本の政治は大変な危機に陥っている。」

 <感想>まさに国難か?
 中国・北朝鮮が脅威?中東ではイランが脅威?2017年の解散総選挙に際して安倍首相はは北朝鮮の脅威などを「国難」として「国難突破解散」と称した。そして9条に自衛隊を明記改憲を正当化。(それらの国と対戦しようとするアメリカ、その同盟国部隊となる自衛隊。それらも脅威であり、国難を招きかねないのだが)。
 中国から新型コロナウイルスの侵入、これも国難か?―それに乗じて憲法に緊急事態条項を書き加えるべきだとして改憲を正当化。
 先の総選挙に際し「国難突破解散」を掲げた安倍首相に対して「お前が国難だ!」「安倍は辞めろ!」のプラカードが上がったりもしたのだが、「いま日本の政治は大変な危機に陥っている」という田原氏から言わせれば、「いまが国難だ」ということになるのでは。その国難から脱するにはどうすればよいのかだ。

2020年02月05日

好き・嫌いの心情が判断基準(その1)

当方の場合
<好きな(共感・反りが合う・親近感・信頼感が持てる)人>
 ヒューマニスト、
 博愛心のある人(人を分け隔てしない人)
 思いやりのある人
 弱者・被害者・恵まれない人・敗者の側に立てる人、「弱きを助け、強きをくじく」意識をもつ人
 善人、公正な人、誠実な人(正直―嘘・ごまかしのない人)、「人が好い」人
 モラルを重んじる人―「正直者が馬鹿を見る」ことに怒りをもつ人、善悪に潔癖な人
 自尊心やプライドはあっても、高慢でなく自慢しない人
 個人の自己責任に対して集団の社会的責任や国の責任を重視する人

 このような政治家・政党・論者・メディア(情報源・新聞・書籍など)を選ぶ
   イデオロギー(思想傾向)がこれらを選ぶのではなく、心情がイデオロギーを選ぶ。心情(好き嫌い・快・不快など)傾向は生まれ育ち(境遇)からくるものだろう。

<嫌いな(違和感・反りが合わない・反感・不信感・「許せない」感を覚える)人>
 モラルより実利を重んじる人―実利のために嘘・ごまかし・情報隠ぺい・公文書改ざん等を厭わない人
 詭弁家―巧妙な言い方・話し方でごまかし騙す人、狡賢い人
 モラル・道義的責任を軽視する人
 独善的(自分ファスト)な人、自国第一の愛国主義者
 強欲な人、野心家、功名心の強い人
 強者・富者・高位者に与する人
 身びいき、えこひいきする人
 高慢・尊大な人―エリート主義的傾向をもった人、人を見下すような人
 人を差別する人、差別を容認する人
 競争主義・競争意識の強い人
 自己責任主義者―競争敗者・格差・貧困・不幸は(自らの悪い選択の結果で「自業自得だ」と)自己責任に着せる人

  このような政治家・政党・メディアは選ばない

 これは当方の場合だが、それが逆だという人もいるわけであり、むしろそういう人のほうが多数派だろう。だから、当方の嫌いな政治家・政党・情報発信者の支持率のほうが高い。
 実利主義や実力主義・競争主義を肯定する人のほうが多いということだ。
 「世の中、カネしだい、能力しだい」
 「力が正義」「勝てば官軍」
 競争は社会の活力を生む経済成長・国力発展の原動力。カネと力と才覚のある者が勝って人々の上に立ち、それらに劣る敗者が下におかれるのは当たり前で、しかたのないこと。
 熾烈な競争があって、そこで最大限努力し自らの能力を発揮して勝者となった勝ち組が恵まれ、能力もなく努力もしない者が恵まれない、その格差はあって当たり前で、しかたのないこと。
 資本主義の市場原理に基づいて自由営業・自由競争・自由取引・自由貿易でなければならない―武器の製造・売買であれ原発の経営・稼働であれ。自然や社会の環境維持・正常化だの平和的生存権の保障だのと、それらに規制・制限を加えて企業活動の発展を阻害してはならない。
 ということで、実利主義(ヒューマニズムとか公正だとかモラルだとかにとらわれるよりも実利が優先)や実力主義・競争主義を正当化。(例えば―安倍首相、「桜を見る会」問題で疑惑の追及を受けた質疑で「延々とこういうやりとりをやらなければいけないのは恐縮だ。重大な問題がたくさんあるにもかかわらず」などと答弁。経済同友会の代表幹事・SOMPOホールディングス社長、その国会審議をめぐり与野党に苦言、「時間の無駄。もっと重要な法案がある。何をしているのか」と。)

 このような立場に同調する人たちは、当方の心情からすれば相いれない政治家・政党・論者・メディアの方を評価し支持するのだろう。この国ではかれらが多数派なのだ。

2020年02月16日


2020年02月28日

好き嫌いの心情が判断基準(その2)―信なくば審議成り立たず

 政治家・政党・メディアに対して評価・判断する場合は、政治家なら識見・才智・弁舌・手腕・人物(人間性・人柄)、政党なら理念・政策・活動力、メディアなら啓発力、それに政治家・政党・メディアとも公正さ、これらの点でそれぞれ、どれだけ評価されるかである。
 政治家・政党・メディアなどに対する評価・判断―その発言・主張やそれが打ち出す政策や発信する情報に対する評価・判断と、それ以前に彼ら人物(人間性・人柄・メンタリティ―=性向や心情などの心的傾向)に対する評価・判断が必要。
 判断には「知性(才智)による判断」と「感情(心情)による判断」とがあり、その一方だけに偏らず、双方バランスを取りながら判断するのが的確な判断。
 裁判では裁判官は法律の専門家でその知性によって判断するが、それが、ともすると一般市民の常識から外れた判決になってしまうことがある、というので導入されたのが裁判員制度だが、それは一般市民の中から抽選で選ばれた裁判員を加えることによって裁判に市民感覚(市民感情)を取り入れ、判断に際する知性と感情のバランスを図ろうするものだろう。
 「信ずる」という場合、「言ってること・書いてることが尤もらしいから(信じたくないが感情を抜きに)信じる」という主知主義的な場合と「信じたいから(理屈抜きに)信ずる」という主情主義的な場合とがあり、後者の場合は、かつてヒットラーの演説に熱狂したドイツの大衆や、今はトランプ大統領のツイッターを真に受けるアメリカの大衆の中にそれが見られる。その意味で判断には知性と感情の双方からのバランスのある判断が必要なわけでる。
 その言説・主張・政策・情報が、はたして妥当なものか(つじつまが合って理屈に適っているか、事実根拠に基づいているか等)の判断には知性・才智が必要だが、それだけでは、たとえ弁舌や論述は一見もっともらしく思われても、嘘やごまかしがあったり、真偽が疑われたり、肝心なことが抜け落ちていることもあり、人によっては心情的に納得し難いことがある場合がある。そこで、それら(言説など)を発する政治家や政党・メディア構成員の人物(メンタリティ―=性向や心情などの心的傾向)に対する判断が必要となる。その判断は感情(心情)によっておこなわれる。それは、あたかも伴侶(生活のパートナー)を選ぶ際の判断が、相手の生活力・経済力・将来性などを見極める知性だけでなく、一緒にいると心がなごむとか、心が豊かになれるとか、信頼でき安心していられるとか、人間性を見極めるその判断が感情(好き・嫌い、性が合う・合わない等の心情)によっておこなわれるのと同じなのだろう。

 「政治家」というと、「偉い人」というイメージとともに、とかく「立ち回りがうまく、どこか信用のおけない人物」といったマイナスイメージでとらえる向きも多い。(朝日3月1日付『日曜に想う』に「政治家ではない人を『あの人は政治家だ』と言うとき、それは大抵ほめ言葉ではない。立ち回りがうまく、どこか信用のおけない人物像が浮かんでくる」と。)

 政治家・政党・メディアを評価・判断する場合の心情による判断は、当方の場合、その評価基準は、同テーマのその1に列記したようなことである。

 ところで安倍首相についてだが、才智(狡知?)・弁舌(「口達者」)・手腕(「やり手」・政治力)・強運(?)などの点ではともかく、人物(人間性・人柄)・公正さなどついての評価はどうか。
 安倍首相はいまや人物評価では首相信認に値しないことが明らかになっている、そのような事態に立ち至っているのでは。
 モリ・カケからサクラときて、疑惑問題で、このところ当方に限らず、「人柄」に対する不信感が強まり、支持率が下降気味。それでも(野党はもとより、与党内でも)「他よりよさそうだから」といった理由で下げ止まっており、また、それらを単なるスキャンダルに過ぎないとしてそんな問題にいつまでも時間を浪費せずに「もっと大事な問題を」ということで、(産経などの世論調査では「桜を見る会」をめぐる首相の説明に「納得していない」が78.2%なのに)「国会は『桜を見る会』と新型肺炎の問題のどちらを優先して審議すべきか」では89.0%が「新型肺炎」との答え。
 しかし、「桜を見る会」問題は単なる卑近なスキャンダル問題ではなく、国費で催される公的行事の私物化であり、公職選挙法違反及び政治資金規正法違反で罷免にも関わる大問題。この問題に関して予算委員会において首相は(「桜を見る会」前夜に安倍後援会が催したパーティーについて野党がホテル側に問い合わせた質問に対する書面回答に首相の説明が食い違いがあることを指摘され、首相にホテル側から書面で回答を得るよう迫られ、それには応じずに)答弁でいみじくも「(ホテル側の書面でなければ)信じていただけないというのであれば、そもそも予算委員会の質疑が成立しないわけであります」と述べたが、そのことは「信用を失っている」首相との予算委員会は、たとえ新型肺炎とか「国難」といわれるほどの大問題であろうとも、審議自体がそもそも成立しないのだということだろう。
 「桜を見る会」問題を、「政策問題とか、審議すべきもっと大事な問題があるとか」「こんなスキャンダル問題なんかよりも優先すべき重要問題がある」などといってスルーするわけにはいかないわけである。
 一事が万事、何を聞いても信用できない人物とでは、審議すべき課題にたとえどんなに大事な課題が控えていても審議自体が成り立たず、何も決められないということになる。つまり、何をさしおいても、先ずは首相が不信を払拭することの方がむしろ最優先なでは。

 <参考>2月27日付朝日新聞―津田大介「論壇時評」

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