BLOGOS(LINE株式会社が運営する提言型のニュースサイト)掲載の田原総一朗インタヴュー記事―「『疑惑がありすぎる国会』政治家が嘘をつくのが当たり前になった」から。
<要約>
「疑惑追及にまともに答えない元大臣たち」―前法務大臣と妻の参院議員、元経産大臣
「この国の政治家は、嘘をつくのが当たり前になった」
「このような風潮は、森友・加計問題のときから顕著になった。かつてならば政権が崩壊してもおかしくないほどのスキャンダルだったが、安倍首相らは疑惑にははっきり答えないという姿勢に終始した。」「森友学園問題の時は、財務省が決裁文書を改ざんしていたことが発覚した。民主主義の国では到底許されないこと。ところが、政治家が誰一人として責任を取らなかった。本来ならば麻生財務大臣が責任を取るべきなのに、辞任しなかった。」「加計学園問題にいたっては、当事者たちがみな嘘をついている。安倍首相は加計学園理事長と長年の友人と公言していたが、問題が明るみに出ると「そのことは知らなかった」と否定した。その直前に何度も一緒にゴルフをしているのに「知らない」というのは不自然」。「安倍首相が嘘をつくから、『本件は首相案件』といったとされる首相秘書官や加計理事長まで、みな嘘をつくことになった。嘘がまかり通って、誰も責任を取らない。そんな異常事態が続いている。」―「『モリカケを突破できたから何をやってもいいんだ』と開き直っているように思える。」
「『桜を見る会』の疑惑はむちゃくちゃだ。」―「開催要綱によると、招待範囲は皇族や各国大使・衆参両院議長・閣僚などのほか、『各界の代表者等』と定められていた。しかし実際には安倍首相の後援会の会員が多数出席していた。参加人数も、要綱では「計約1万人」となっているのに、実際は約1万8000人が出席していた。それにともない開催費用も年々膨らみ、約1700万円の予算に対して、支出が約5500万円と3倍以上になっている。国民の税金で安倍首相の後援会の会員らを接待していた、といってもいい状態だったわけだ。」「さらに問題なのは、疑惑が発覚したとたん、招待客の名簿がシュレッダーにかけられたことだ。シュレッダーで細断されたのは、共産党の議員が国会質問のために資料提出を要求した1時間半後。これは『証拠隠滅』に等しい行為だ。紙の名簿が細断されてしまっても、デジタルデータがあるはずだが、菅官房長官は「データはサーバから削除されて復元が不可能」「バックアップデータは公文書ではないから資料要求の対象ではない」と説明し、招待客の名簿を明らかにしようとしなかった。理解に苦しむ説明だ。嘘をついているとしか思えないが、こんな対応がまかり通っている。」
「桜を見る会、大臣の不祥事、そしてIR汚職。これはもう『疑惑がありすぎる国会』だ。」「この疑惑国会で、野党はどこまで安倍首相を追及できるのか。正直なところ、野党の追及だけでは限界がある。もともと日本の政界は、野党の力によって政権が代わってきたわけではなく、与党・自民党の主流派・非主流派の批判によって、歴代の内閣が倒されてきた。ところが、選挙制度が小選挙区制を中心にしたものへと変わり、当選するためには党の公認が不可欠となったため、自民党の議員たちがみな官邸の意向を気にするようになった。森友・加計問題にしても、桜を見る会にしても、安倍首相の責任が厳しく問われるべきだが、自民党内から安倍首相を批判する声はほとんど出てこない。みな、安倍首相のイエスマンになってしまっている。『安倍さんは辞任すべきだ』という意見が出てもいいはずだが、出てこない。唯一批判しているのは、石破元幹事長ぐらいだ。ただ石破氏は、党内では孤立している。」
「嘘をつくのが当たり前の首相や大臣。異論を口にできない与党の政治家。疑惑だらけなのに、そんな状況を政権奪取のチャンスとして生かしきれない野党。」
「いま日本の政治は大変な危機に陥っている。」<感想>まさに国難か?
中国・北朝鮮が脅威?中東ではイランが脅威?2017年の解散総選挙に際して安倍首相はは北朝鮮の脅威などを「国難」として「国難突破解散」と称した。そして9条に自衛隊を明記改憲を正当化。(それらの国と対戦しようとするアメリカ、その同盟国部隊となる自衛隊。それらも脅威であり、国難を招きかねないのだが)。
中国から新型コロナウイルスの侵入、これも国難か?―それに乗じて憲法に緊急事態条項を書き加えるべきだとして改憲を正当化。
先の総選挙に際し「国難突破解散」を掲げた安倍首相に対して「お前が国難だ!」「安倍は辞めろ!」のプラカードが上がったりもしたのだが、「いま日本の政治は大変な危機に陥っている」という田原氏から言わせれば、「いまが国難だ」ということになるのでは。その国難から脱するにはどうすればよいのかだ。