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2011年02月 アーカイブ

2011年02月01日

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2月のつぶやき(随時追加)

●学校、卒業式の朝、前の晩どこかに泊まってジャージ姿、スーツは更衣室、鍵がかかっている、事務室に駆け込んで、「鍵!鍵を貸して!」、校長は冷たい眼差しでこちらを
向いた、階段を生徒がぞろぞろ下りていく、小便をもようす、家に電話してモーニングを持ってきてもらって間に合うか、ああ、小便が出る!チビった・・・・目が覚めた。
 毎朝、布団の中で聴くCDウォークマン、今朝はモーツァルトだったが、聴き終わってから起床時間までしばらくあったので、また眠ってしまったのだ。
 退職して10年も経つというのに、まだこんな夢を見せられるとは・・・・
●シャンソン歌手で俳優のイブ・モンタン(ちょうど10年前、今の俺と同じ歳で亡くなる)は、若さの秘密について問われ、「その人をあるがままに愛すること」と答えた後で、「世界に起きていることに関心を持ち、不正義に怒ることだ」と言ったという。そうだ。若さだ。
●自家の近くの川に、このところ毎日、一羽の白鷺がカルガモたちといる。その健気(けなげ)に生きる姿を撮ろうとして、雪をかき分けて近づき、カメラを構える。辺りでは人々がスノーダンプで除雪に勤しんでいる。
 悪戦苦闘したが、なかなか上手く撮れない。切り上げて家に帰ると、女房「デジカメなのぶらさげて、どごさ行ってきたんだが。昨日からあれほど頼んでだ・・・も  ・・・も、何一つすもすねで、タグ!生活能力ゼロだもな!」。
 ちきしょう!俺だってけなげに生きてんだ・・・(つぶやき)
 まあ、いいか。小さな事にはいちいち腹を立てまい。大きな事に怒るんだ。

2011年02月08日

TPP問題(加筆修正版)

 菅首相は「平成の開国」と称してTPP参加をめざし、6月までに、交渉参加について結論をだすことにしている。
 それを望んでいるのは経団連など財界であり、読売・朝日など主要メディアがそれを応援し、日本労働組合総連合会(連合)も支持を表明しているという。
 
 
TPPとは―「環太平洋連携協定」―すべての品目で、即時または段階的(10年以内に)に関税撤廃(FTAより高い水準の自由化めざし、原則として撤廃の除外は認めない)―「アジア太平洋自由貿易圏」形成へ。
 非関税障壁の撤廃、様々な分野の自由化・規制緩和ともなう― 金融・保険・繊維・皮革・電子商取引・公共事業・教育・医療・衛生植物検疫・建設・運輸・通信・エンジニアリング・観光・旅行・娯楽・文化・スポーツなどへの外国資本・外国人労働者の参入

 現在、4ヵ国(シンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイ)だけが締結。これにアメリカ・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・ペルーが参加表明・加盟交渉に入る。
 中国・韓国・タイ・インドネシアは一線を画す。
 韓国は米国・EU・中国とFTA(自由貿易協定)締結。
 日本はシンガポールなど上記4ヵ国とマレーシア・ベトナムそれにスイスとはFTA・EPA(経済連携協定)を既に締結、オーストラリアとはEPA交渉中。
 (FTA・EPAは、いずれも2国間協定、関税撤廃の例外品目を交渉によって認めるが、TPPは多国間で、例外品目を認めず、ゼロ関税にするのが原則)
 諸国間経済連携構想にはASEAN(東南アジア10ヵ国)に日中韓3国が加わったASEAN+3構想、それにインド・オーストラリア・ニュージーランドをも加えたASEAN+6構想(日本が提唱)があり、鳩山前首相も「東アジア共同体」を唱導していた。それに対して、その中にいないアメリカがTPPを足がかりに、これを主導してAPEC(環太平洋諸国)全体に及ぶアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構築をめざし、それに日本を引き込もうとしているものと思われる。
○肯定論 
 (東大教授の戸堂康之氏)日本全体(現状は閉鎖的)がグローバル化すれば国内の生産性・活力が向上―物づくり技術だけでなく効率的な生産方法・マネージメント・ビジネスモデルなども。
 参加しないと世界の競争から取り残される。
 TPPでアジアの成長を我が国に取り込める。
 企業―海外に打って出れば日本製品の競争力が高まる。
 海外直接投資で国内雇用は(直後には減るものの)、海外とのやりとりが増え人員が必要となるから、3~4年後には増えていく。
 海外から安価な輸入品が増え、物価が下がる。すると実質為替レートも安くなるから、輸出企業にとってはますます好都合に。
 参加することによって、自由貿易協定(FTA)戦略の出遅れを一気にとり戻せる。
 参加でGDPが1.23 ~1.39(6.1 ~6.9兆円)伸びる(内閣府の試算)。
 不参加なら、2020年、自動車・電気電子・機械の3業種の米国・EU・中国における市場シェア喪失して、GDPが1.53%(10.5兆円)減、雇用が81.2万人減。
 日本経済再生の絶好のチャンス
 農業が打撃をこうむったとしても、それはGDPでは1.5%にすぎない。
 TPP参加はむしろ農業再生(農業改革)のチャンス―グローバル市場を相手に日本農業を再設計―大規模化を推進(集落営農<協業法人>促進、株式会社に農地を開放)、高品質農産物輸出に活路―今後膨れ上がるアジアの富裕層向けに輸出。
 輸入米に門戸を開いても、日本のコメが国内市場から締め出されるようなことは考えにくい。
 食料自給率(1965年73%、今40%、穀物自給率は28%―世界でも最低レベル)
アップ(民主党政権は50%を目標)。
 *日本農業の現状(従来の自民党農政の結果)―高齢化・後継者不足が深刻
  価格保障政策は放棄、家族経営の切捨てへ。
減反政策(米価維持のためコメの需要減に合わせて水田の作付面積を減らす生産調整策―輸出用は対象外)―水田の4割を生産抑制。税金40年間で総額7兆円投ぜられながら、農業所得は20年前から半減。
 創意工夫と大規模化で自立しようと努力する主業農家の足を引っ張ってきた。
コメの販売実績によって翌年の生産枠が決まる―各地の農協はコメの安売りしてでも枠の拡大を競う―米価下落に拍車。
 民主党政権になって戸別所得補償制度―すべての販売農家を対象―主な所得が他にある兼業農家より主業農家の方が苦しく。規模拡大に応じて加算金あるも、退出するはずの零細農家も補償を得ようとして、貸していた農地の「貸しはがし」に走るようになり、農地の集約を阻害し、細切れ化を促す。(意欲ある主業農家に絞った直接支払い制度に切り変えるべきだ―朝日社説)

●反対論
 TPP参加したからといって、日本の輸出はそんなに拡大するわけではない―①参加国のうち、6ヵ国とは既にFTAを結んでいる。②未だ結んでいないアメリカの関税率は自動車で2.5%、家電で5%程度でしかなく、関税よりも為替変動による貿易への影響のほうが大きい(アメリカがドル安誘導と金融緩和政策を続ければ、同国への輸出は伸びない)。③韓国がこのところ輸出を伸ばしている原因は、FTAを結んだからではなく、韓国通貨(ウォン)の為替レートが、この4年間で半分近く下がっているからにほかならない。④日本の輸出企業の多くは、既に海外で現地生産のほうを拡大しており(自動車は56%)、TPPに参加しても、日本からの貿易は拡大しない。
 関税撤廃された場合の実質GDPアップは0.48~0.65%だけ(昨年11月の参院予算委員会での玄葉国家戦略担当相の答弁)。
 恩恵をこうむるのは輸出大企業(自動車・電気電子・機械産業の3業種)だけ―地場産業・生活関連産業など度外視。(輸出企業や海外展開している企業は日本全体の2,000分の1にすぎない。
 企業の海外進出は加速―国内の雇用の空洞化に拍車。
 海外からの安価な製品輸入でデフレはさらに進む。
 日本製品に競争力があったのは、消費者の要求水準が極めて高い国内市場で鍛えられてきたからだが、途上国市場ではいくら製品は売れても開発力(競争力)は付かないし、国内でも、デフレが進み、安さばかりが求められるようになって、「目利き」の消費者が減っていくと、企業は研究開発を怠るようになる。内需を拡大してこそ競争力を強める。
 日本は「輸出大国」ではなく(GDPに占める輸出の割合はだけ。貿易依存度は17%で、米国12.6%より高いが、韓国55%、中国36%よりも低い)、実は「内需大国」なのであって、内需を拡大して需要不足を埋めることによってデフレ脱却をめざすべき。
 (すべての産業の競争力を上げるには、リストラ・合理化などの生産効率アップではなく、輸出で稼いだ外貨を内需に使うことを考え、円安を生むしかない。)
 (京大助教授で元経産省課長補佐中野剛志氏によれば)輸出といっても、どの国に売るかといえば、実は限られている。米国は失業率10%で不況続き、中国は好景気といってもバブル(頼るのは危険)、他のアジア諸国は外需依存で国内市場は小さ過ぎ。このような中で(関税撤廃しても)輸出を増やすには、低賃金で技能の高いインド・中国の労働者と競争になり、製品価格を下げるため、さらに賃金を下げなくてはならず、一般国民を苦しませるだけ(利益は株主と企業に回るだけ)。また(大阪大フェローの小野善康教授によれば)輸出が増えても、今度は貿易黒字で(対外資産が積み上がって)円高になり、国内の相対的に弱い分野が必ず衰退する(例えば、タオル産業の生産性は、中国のライバル企業より優れていて―絶対優位―も、自動車の中国企業に対する優位さの程度がそれ以上―比較優位―であれば、タオル産業は衰退する)。(逆に、すべての輸出財に同率の関税がかけられても、比較優位は変わらず、その分円安になって、どの産業も影響を受けない。)
 日本で現在すでに関税ゼロになっている品目は全品目中の53.0%にもなっており、米国45.7% 、EU28.9 %、中国 6.4 %、韓国 14.1%などのいずれをも上まわっており、むしろ「開国」が最も進んでいる。
 農産物の輸入関税は既に低く、鎖国状態どころか世界一の農産物純輸入国になっている。
  各国農産物の平均関税率―インド124.3、韓国 62.2、メキシコ 42.9、EU 19.5、米国 5.5、日本11.7(米国に次いで2番目に低い)。
  高関税で守っているのはコメ(778%)、砂糖(252%)、小麦(249%)など農産物の1割だけ。大豆など4分の1は無関税。
 農業所得少なく、農業だけでは食べていけないというのが実態―後継者不足の根本原因。
 TPP参加(全品目関税撤廃)で、日本農業はさらに壊滅的打撃こうむることになる。
 巨費を投じて農家所得を補償しても、外国産農産物の輸入増加は止められず、国内農業の縮小は避けられなくなる。
  (農水省の試算では)農業生産4.5兆円減
            コメの生産量90%、 小麦99%、牛肉79%、豚肉70%減
            食品加工など関連産業も含めGDP7.9兆円減
            雇用350万人減
            食料自給率(40%)は13%に激減。
 大規模化をやろうとしても地理的・自然的条件から限界(農地の4割は傾斜地に)、アメリカ(我が国最大の北海道の平均耕地面積と比べても10倍)・オーストリア(同じく150倍)とは到底太刀打ちできない。
 北海道は世界的に見ても既に大規模化している―1戸当たり耕地面積20.5haで(米国は186.9haだが)EU(13.9ha)を上まわる。酪農では1戸当たり飼育頭数64頭(米国138頭、EU10頭)、肉用牛は178頭で米国(84頭)を上回っている。
 その北海道でさえTPP参加すれば、壊滅的な打撃こうむることに(北海道農政部が試算では道の損失総額2兆1,254億円、うち農業算出額5,563億円、関連産業5,215億円、地域経済への被害額9,859億円)。
 大規模な株式会社でも、08年31法人がいったん農業に参入しながら後に後退(農水省調査)。黒字の法人は11%だけで60%は赤字(08年、全国農業会議所のアンケート調査)。
 世界食糧危機にさいする備え(食糧安全保障)が、一層難しくなる。
 食糧主権の確保―自国民のための食糧生産を最優先。食糧・農業政策(輸入規制・価格保障など)を自主的に決定(それこそが世界の流れ)
  農業は国の基幹産業。どの国でも、食糧供給の安全保障のため戦略的産業として保護(助成金、農民に所得保障)、備蓄を義務付けている。現在日本の食糧備蓄は、コメ150万t( 2ヵ月分)、小麦100万t ( 2.6ヵ月分)、 5万t( 20日分)。
  日本は、むしろ農業保護が少なく、価格・所得の補償政策が極めて貧弱―米国(GDPに占める農業生産の比率は1.1%なのに)農業支援度は65%、ドイツ(GDP比0.8%で)62%、イギリス(GDP比42%で)42%、それらに対して日本は(GDP比1.5%で)27%だけ。
 農産物輸出―アジアの富裕層向けに高品質な我が国農産物の輸出が増やせているといっても、せいぜい「贈答用」に利用されているだけ(中国へのコメ輸出は当面20万tめざしているが、それは日本の生産者から60k8,000円と安く仕入れても、中国での精米価格は7万円程度になる)。
 輸入米は、国産米価格60k1万3千円にたいして、中国産米は1万円超(10年前の10倍)で接近しているといっても、アメリカ産米は(国内保護3兆円、輸出補助金1兆円がつぎ込まれ、安く輸出しても生産者には補助金が付くから)国産米の4分の1.
 農業の多面的機能(損得勘定だけでは計れない)―国土・自然環境・里山など保全、水源の涵養、景観、文化など―日本学術会議答申の試算では貨幣換算して年間8兆2,226億円余に相当。TPP参加すれば3兆7,000億円相当が失われる(農水省試算)。
 食糧に対する権利―そもそも市場任せ(市場原理主義)にはできないもの。04年国連人権委員会「各国政府に 対し食糧に対する権利を尊重し履行する勧告」を、日本も含めて圧倒的多数(アメリカ・オーストラリアだけが反対・棄権)で決議。

 国内雇用の空洞化に拍車―農業のほかにも中小企業・地場産業・商店街など寂れ、地域 経済が荒廃へ
 外国人労働者の参入が、看護士などにとどまらず、あらゆる分野に認められれば、海外から渡ってくる低賃金労働者が増え、自国民労働者の雇用減と賃金低下につながる。

 アメリカから諸分野で規制緩和・撤廃を迫られることに―農産物など輸入の際の安全検査・残留農薬などの食の安全基準の緩和―食品添加物・ポストハーベスト農薬・遺伝子組み換え食品などの規制の緩和、輸入牛肉のBSE対策―月齢制限など廃止、郵政資金の運営への米国企業の参加、自動車の安全基準を米国並みに引き下げ、高額混合医療の解禁、米国保険会社の参入、公共事業の入札条件緩和など。

 *農業再生策は必要―多様な家族経営(専業・複合経営・兼業など)を維持するとともに、大規模経営も、集落営農(集落を単位として農業生産過程の一部または全部を共同で行う―機械の共同利用や共同作業、それに特定の担い手に作業を委託する受託組織など多様な形態あり)も。若い世代の農業経営者が参入できるように。
 強制減反はやめ、過剰な主食用米の飼料米・醗酵飼料稲などへの転用生産誘導で耕作放棄地の解消。
 *ASEANを中心とした東アジア諸国(ASAN+3または6)との経済共同体(東アジア共同体)構想の追求は必要―日本とともに稲作で小規模家族経営を主としている各国とも、その産業の特性・食糧主権の尊重を前提に。

●2月26日、政府は市民向けのシンポジウム「開国フォーラム」(その一回目をさいたま市で開催。パネリスト5人は政府が選んだ学者や経済人)を開いたが、「あいまいな説明に終始」したという(朝日)。
 それをも含めて、3月1日現在に至るまで、TPP参加の肯定論は、反対論のそれに比べて、論拠に乏しく、どうなるか分からないという部分が多すぎるようだ。

<参考>世界1月号掲載の田代洋一・大妻女子大教授の論文「浮き足立つ民主党政権にTPP協議をまかせられるか」、同3月号掲載の谷口誠・元OECD事務次長の論文「米国のTPP戦略と東アジア共同体」
 当地で開催された市村忠文・フォーラム平和・人権・環境事務局次長の講演「TPP問題・市民生活と労働者に与える影響」
 朝日新聞その他
 

2011年02月14日

幸福って何だ?(加筆版)

二つの要素
(1)無事・安心―不安がないこと。
 将来にわたって、命と健康と文化的な最低限度の生活(生計)が保障されていて、不安がない。
 それには、 本人の自助努力によって安心を得るという部分もあるが、政府・自治体・コミュニテー・職場・家庭など社会が安心を提供するという部分もあり、政府には保障責任がある。
(2)感動・充実感達成感・自己有用感―生きている喜びが実感―生きがい・幸福感が得られていること。
 それには①何かに接して快楽・感動が得られている時、②何か(仕事・事業・家事・育児・勉強・学術・研究・スポーツ・競技・練習・芸能・趣味etc)に取り組んで充実感・達成感が得られている時、③「人助け」・「人の世話」など、人から感謝され社会から必要とされる社会的有用感が得られている時、などの場合がある。
  (これらは、いずれも各個人の自助努力・自己責任の部分)

 幸福を追求し実現するのは本人であり、本人が(自分にとって可能な限りの)最大幸福を追い求め、それを実現しようとひたすら努力する。それをサポート(応援)してくれる者や、パートナーとしてそれを共にしてくれる者もいろいろあり得る。政府が引き受けなければならないのは(1)の社会保障であり、安心社会を実現することである。そこに政府の責任がある。(菅首相が目指している「最少不幸社会」はそこのところを指しているものと思われる。)

*誰にも幸福追求の権利―幸福追求権(憲法13条―生命・自由および幸福追求に対する権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする)

 本人の自助努力・自己責任で幸福実現、国など社会にそれを保障する責任も―今の日本ではどちらが不足しているか?
 2月12日放映のNHK「日本のこれから」(「無縁社会」がテーマ)に出演したNPO北九州ホームレス支援機構理事長の奥田氏は「自己責任と社会責任は対立概念ではなく、対概念なのであって、社会責任(社会のバックアップ)あっての自己責任。」「若い人たちは自己責任を果たしたいと思っている。なのに自己責任論社会は社会を無責任化し、自己責任を果たさせないようにしてしまう」と(社会責任のほうが不十分だという考え方)。
 それに対して人材プロデュ-ス会社ザ・アール社長で経済同友会幹事の奥谷氏は「社会はちゃんと受け皿としてあるんです。日本では自己責任の部分を言わなさ過ぎ、むしろ社会責任ばかり言い過ぎた甘えの構造ができてしまった。そこに『自己責任』ということが後から遅れて出てきてしまった。それで今、厳しいというかたちになっているのでは」と(自己責任のほうが不足しているという考え方)。
 同番組のもう一人の出演者、批評家の宇野常寛氏は「かつては世帯主が正社員で、専業主婦に子ども2人というのが世帯モデルだった、そのような社会構造が巨大な変化を遂げている今、そのような精神論(奥谷氏の自己責任論を指していると思われる)ではどうにもならなくなっているのが現実なのでは」と。
 当方の見解―日本で不足しているのは社会責任のほう―人は(動物と同様に)誰しも子どもの時から本能的・潜在的に「自分でやりたい」「自立したい」という意欲をもち、「自助努力・自己責任」などは、他から言われなくても自ら望んでいることであり、何もかも人からやってもらいたいとか、社会に甘えたいとは思わないもの。ただ、それに必要な体力・知識・技能・ツール・環境など諸条件がないからできないだけのこと。だからこそ保育・教育・サポートが必要なのだ。それらは社会から提供されなければならない。そこに社会責任がある。日本ではその方が不足している(奥谷氏ではなく奥田氏の考えに賛成)。
 今の日本社会の現実・様相―「競争社会」・「格差社会」・「貧困大国」・「無縁社会」
  相対的貧困率―OECD加盟30ヵ国中ワースト4位(15.7%―6人に1人が貧困)、一人親家庭の貧困率はワースト1位(54.3%)―「貧困率の上昇は、安易に非正規労働に頼った企業と、時代にそぐわない福祉制度を放置した政府の『共犯関係』がもたらしたものだといえる。」「いくらまじめに働いても普通の暮らしさえできない」「能力も意欲もあるのに働き口がない。いくら転職しても非正規雇用から抜け出せない」という状況(09年11月4日朝日社説)。
  非正規雇用者数が毎年増加して09年1,721万人(雇用者の3人に1人)
  学校に行かず仕事に就いていない若者(15~34才)60万人 
  かつて「国民総中流」、今は少数の「勝ち組」と大多数の「負け組」に分かれる。
  いくら頑張ってもダメという人が沢山・・・・無力感・疎外感
  若者の未婚化―単身世帯の増加(一人身の世帯、20年後には3分の1以上に。生涯未婚、女性の4人に1人、50~60代の男性も4人に1人が一人暮らし―NHK「無縁社会プロジェクト」)
  
  孤立・無縁(家族・友人・地域・会社などから切り離され)、生きている意欲すら失っていく人が増加
(「誰にも引き取られない遺体」現在、年間3万2千人)
社会(国・自治体・コミュニテー・企業・NPOなど)の責任
   企業―雇用 非正規雇用者数が毎年増加して09年1,721万人(雇用者の3分の1)
   国・自治体―インフラ(産業基盤・生活基盤)の整備、国民教育、食糧・資源の確保、環境保全、災害対策、医療・保健衛生
   介護・福祉施設
   年金保険
   結婚の世話も(いくら自助努力しても恋愛結婚はままならず、むかしのように世話を焼き仲人してくれる人もいなくなっていて・・・結婚相談所など)

日本は競争社会であるべきか、友愛・協力社会であるべきか?
    競争社会は「(本音では)人の不幸を喜ぶ社会」
   殺伐たるストレス社会での「いじめ」、無力感・疎外感からの「引きこもり」はどちらから?
    
国民教育は競争教育であるべきか、友愛・協力教育であるべきか?
   (自立して生きられる力を育てるのは当然としても) 
 上記NHK番組で、出演者の一人・自営業者の方の発言に「親も子どもも弱い。それは『ゆとり教育』など教育が原因。ゆとりある社会などどこにあるか。社会は競争社会。そこでもまれて初めて社会に出てくる。そういう強い人間を育てる教育でなくては」と。
 その後で奥谷氏は「自分で生きていく力を付ける教育が大事。どうしようもない弱者を助けるセーフテーネットは必要でも、そのような社会制度が強すぎると、今の財源では消費税20%でも無理」「自立心をもっていなければならないのに、今の若い人は、先に人を頼り、人から何かしてもらうのが先に出てしまう受身のやり方になっている」と「自助努力」のほうを強調。

 当方の見解
  親と学校教師との間に意識のギャップ
  建て前と本音の乖離―親はとかく競争教育・受験教育志向、学校より塾に頼る―「この社会は『競争社会』『学歴社会』だ。一にも二にも勉強。さもないと「○○高校」「○○大学」には入れない、採用試験に受からないぞ。「友達と遊ぶ約束?そんなもほっとけ」、息抜きはゲーム(携帯・Bs・Wiiなど)だけでよい。手伝いなんかしなくてよい。犬の散歩は母さんがやるから」と。このような競争教育からは「生きる力」も「自立心」も伸ばしようがない。
 競争教育は、受験競争に勝つための教育で、受験学力に偏重し、生活体験学習・自然体験学習・人との交わり・協力・モラルなど二の次。
試験でも資格検定試験のようなものならいいが、選抜試験の場合、全員が合格し勝ち残ることなどあり得ず、勝者があれば必ず不合格者・敗者を生み、学校と人間をランク付け.
 そこで生徒たちに養われるのは、受験知識の暗記力・受験テクニックなど受験学力、他を蹴落として勝ち抜く冷徹・非情な強さ・賢さ(狡猾さ)。
 
 我が国に必要なのは、このような競争教育か、それとも社会生活と職業に必要な知識・技能を身に付け、自主・自立的精神とともに思いやり・協力精神を養う自立・友愛・協力教育か。

そもそも
 誰にも勤労の権利があるはず(憲法27条―すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う)
 誰にも教育を受ける権利があり、国にはそれを保障する義務があるはず(憲法26条)
 誰にも人間らしく生活する権利があり、国にはそれを保障する義務があるはず(憲法25条①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない) 
 なのに・・・・

 はてさて、わが孫たちはいったいどうなるのか、不安でしかたがない・・・

<参考>2月12日放映のNHK番組「日本のこれから」

2011年02月24日

政局 どうなるか(加筆版)

●予算案は通っても関連法案が通らない。するとどうなるか―予算は執行できず、最悪のばあい役所が閉まる―国民―困る人が出てくる―公務員給与・年金支払いもストップ?(北大の山口二郎教授によれば、アメリカに前例―94年クリントン政権当時、中間選挙の結果、議会に「ねじれ」が生じ、予算が通らなかった、その時、連邦政府の役所はシャット・ダウン)
 日本では、今だかつてそういう事態は経験したことがないという。政治評論家の中島勝氏によれば、特例公債法案が通らなかった場合、4月以降の国民生活や経済運営のどこにどういう支障をきたすのか、よく解っている人はほとんどいないのだ。予算を4割(国債で借金できなくなった分)を削って行政サービスを圧縮し、それではたして国民生活は耐えられるものか、「壮大な社会実験」になるのかもしれない、という。
●菅首相どうするか―解散・総選挙か
          総辞職か
●総辞職のばあい替わり手は?―前原?岡田?それとも外部から田中真紀子?亀井?
●総選挙のばあい、何が争点に―①消費税増税、②TPP参加(貿易の完全自由化)③日米同盟体制の維持・強化(普天間基地の名護移設)、これらに賛成か、反対か。
●総選挙のばあい各党・各派議員どうするか
  民主党―分裂へ―菅・仙石グループ
           鳩山・小沢グループ
           日本維新の会(原口氏ら)?
  自民党
  公明党
  みんなの党
  共産党―消費税増税・TPP・普天間基地の名護移設には、いずれも反対
  社民党―同上
  国民新党
  新党日本
  たちあがれ日本
  新党改革(舛添グループ)
 これらが、離合集散、新党結成へ(政界再編) 
●メディアは、どういう論調を展開するか―主要マスコミは、争点の三つ(消費税増税、TPP参加、日米同盟路線の維持・強化)には、いずれも支持で世論誘導へ。
●総選挙の結果どうなるか
  無党派層・多くの庶民は「どうせ・・・」と、棄権(投票率、激減)
  自民党―比較第一党―公明党その他(民主党分派orみんなの党・たちあがれ日本その他の「新党」)と連立政権
  自公政権が復活したとしても、参院では、自公だけでは過半数をとっておらず、また「ねじれ国会」になる―自民党は公明党以外の他党を連立に引き込む。
●新政権はどのような政策を?
  消費税10%増税と法人税減税を決定
  TPP推進
  日米同盟の強化
   普天間基地の名護辺野古への移設を推進
  
  こども手当は中止
  高校無償化も中止
  農家への戸別所得補償も中止
  高速道路の無料化も中止
  
  後期高齢者医療制度は維持
  派遣労働法も維持
  郵政民営化路線も維持
  大型公共事業の復活
  企業団体献金は維持―「政治とカネ」の問題は無くならない
  
  議員定数削減

  改憲を推進

●喜ぶのは大企業財界・アメリカ政府・官僚
●困るのは恵まれない庶民(弱者)―政治は悪くなりこそすれ、よくならず、閉塞状態は続く。多数派が選んでいる政権には頼れないし、その少数派・弱者に対する虐政には団結して精一杯抵抗しつつ、生活は身内と弱者・少数派同士で援け合いながら、自助努力で確保していくしかあるまい。
●政党政治への不信強まり、ニヒリズム蔓延の危険性あり。

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