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2010年07月 アーカイブ

2010年07月04日

議員定数削減問題も争点

 マニフェストに議員定数削減を取り上げている各党
①民主党:参院40程度削減
 衆院比例定数80削減―07年参院選の得票結果をもとに試算すると自民・民主だけで95%独占。09年総選挙の結果で試算すると共産党は現在の9から4に減、社民党はゼロに。
 小選挙区制では、それぞれの選挙区から自民・民主二大政党のどっちか一人しか選ばれず、その当選者以外に投ぜられた票はすべて「死票」になる。昨年の総選挙では、小選挙区からは、民主党が47%得票で74 %もの議席を獲得してかさ上げされ、自民党は39%の得票を得ながら 21%議席しか得ていない。小泉郵政選挙の時は逆だった。
 民主党マニフェストでは、その小選挙区定数はそのままに、比例区の方を(比例代表選挙こそが民意を正確に反映するのに、その方を)削減―少数党の議席数は大幅に切り捨てられることになる。
 比例定数をこのように大幅に減らして小選挙区制の比重がさらに大きくなると、相対的に一番多い得票を得た政党がそれほど多くない得票率でより多くの議席をガバッと獲ってしまう。(衆院比例80削減すれば、昨年の総選挙結果で試算すると、民主党は42%の得票で68%もの議席を獲得でき、法案が参院で否決されても衆院で再議決できる3分の2以上の議席が得られることになる)
 二大政党にますます有利となり、二大政党制(両党が替わりばんこに政権に就く)に固定―自民・民主両党支配―多数派独裁へ―アメリカ・イギリスと共通性―中国・北朝鮮などは一党独裁だが、多数派独裁という点では(「二大政党」は別な党だといっても政策的には大きな違いがないとなると)これらの国と同然だということになる。
 消費税増税問題、普天間問題(辺野古移設、日米同盟堅持)、改憲問題など、自民・民主は基本的には政策が同じで、両党だけですんなり決まってしまう。これらに反対している共産・社民などは切り捨てられる。
 菅首相は参院選後の次期臨時国会に法案を提出する考え
②自民党:衆参定数を3年後に1割削減、6年後に3割削減
③公明党:衆院は新しい中選挙区、参院はより民意を反映する選挙制度改革で定数削減。
④みんなの党:衆院180人削減(300人に)、参院142人削減(100人に)。 
⑤新党改革:国会議員定数を半減。
⑥たちあがれ:衆院定数80議席削減、比例代表廃止。参院定数42議席削減。
⑦日本創新党:国会議員定数を半減。 
各党の議員定数削減の理由(思惑) 
①財政危機を理由に消費税増税―国民に「痛み」を求める―その代償措置で、「国会議員自らが血を流す」「身を削る」のだというわけ。そういう言い方をされると、単純な有権者は直ぐ「そうだ」となる。
 テレビ朝日・報道ステーション(7月1日)古館キャスター、菅首相に「是非進めて頂きたい」と。
 異論:一高校生が投書(6月29日付朝日)で「議員を減らして財源を削減しても、民意が反映されなければ元も子もない」と。
 削減したからといって、真に国民・庶民の代表として相応しいまともな党・人物だけが選ばれるという保障はなく、まともな党・人物は選ばれないということにもなる。
 経費削減も、80人減で議員の歳費・立法事務費・秘書給与など56億円しか削減ならない。「身を削る」というのであれば、議席に応じて税金を分け取りしている政党助成金320億円のほうこそカットすべき。
②日本の国会議員「多すぎる」―しかし、それは嘘。人口比でアメリカよりは多いが、ヨーロッパ諸国よりは少ない。人口10万人当たりの国会議員数0.57人は世界で最下位の部類。イギリスは人口は日本の半分だが、下院定数は650名で、日本の衆院480名よりはるかに多い。
 (公務員数も日本は、先進国の中では少ないほうなのだ)
 
 民主政治は、そもそも主権者・国民が全員直接参加するのが理想なのだが、(古代ギリシャの小さな都市国家なら全市民が議場に集まれたが)人口の多い国ではそれが不可能。なので、一堂に集まれるだけの数の代議員を選挙で選んで委任。代議員の数は多いほど民意が反映される度合いが大きいが、少なければ民意反映の度合いは小さくなる。要するに議員定数は多ければ多いほど良いのであって、少なければいいというものではない。(数が多いと違う意見が入り乱れて、すんなり決まり難いから少ない方がいい、といった発想をするなら、寡頭政治あるいは「常に満場一致」とも言うべき専制政治のほうがいいということになる。) 

 小選挙区制で比例区定数削減が決まってしまったら、小数派にとっては大変なことになる。日本は多数派独裁=ファシズムの国になってしまう。
 この問題も重要な争点の一つだ。


2010年07月11日

広告料にあてる政党助成金こそムダ

 本紙に民主党の全面広告が、昨日に続いて、投票日の今日も出ていた。それには菅代表の名で「私は市民運動から政治をはじめました。誰よりも庶民の側に立ってきた自負があります。」「私は財政再建に挑みます。徹底的にムダづかいを根絶した上で、党派を超えた議論をはじめます。消費税を含めた税制の抜本改革を・・・・。もし消費税率を変える時には必ず国民に信を問います。」「国民のみなさんだけに負担を押しつけません。」「国会議員定数を大幅に削減」する、それらのことを「あらためて強く決意しました。」とある。
 しかし、そこには、大企業の法人税をさらに引き下げようとしているのに、そのことは書かれておらず、金持ち優遇税制を廃止するとも書かれていない。米軍再編費・「思いやり予算」など軍事費のムダ、それに政党助成金などのムダを削るとも書かれていない。削るのは国会議員定数で、「声の小さい」庶民(弱者・少数派)の声を託する議員の議席を切り捨ててしまう、ということだ。
 この新聞広告の広告料も、同党の多数議席に応じてより多く配分されている政党助成金から支出されているのだろう。このようなやり方は、沖縄県民の切実な要求より日米合意を優先するかのようなやり方とともに、はたして「庶民の側」に立っているのかといえば、とてもそうは思えまい。

2010年07月12日

参院選の結果

 与党民主党が敗北(過半数とれないばかりか、大幅後退)、自民党が復調、みんなの党が躍進、護憲派(共産・社民)さらに小さく。
 ただ、自民党復調・みんなの党躍進といっても、それは政権交代を果たしながら期待を裏切った民主党に対する批判票が両党に流れたということであって、自民党の政権復帰を望んだというわけではない。国民は、いったいどの党がいちばんまともなのか、未だよく判らない模索の過程にあり、これからどうなるかはっきりしない流動性がある。
 しかし、いずれにしろ、この結果は、庶民にとっては、状況は何も変わらず、前のまんま。それどころかもっと悪い方向にいくだろう。
 *家計―生活難
 *雇用・労働―派遣労働など非正規
 *営業―困窮
 *社会保障―年金・医療・介護の不安
 *子育て・教育―競争・管理教育
 *沖縄県民をはじめとする人々への軍事(安保)の重圧
 これらは何も変わらないか、かえって危うくなるのかもしれない。
 民主党政権の国会運営は「ねじれ国会」で混迷・遅滞することになるだろう。
 政策課題ごとの与野党間「談合」―「パーシャル(部分)連合」など行われるだろう。
  *消費税増税・法人税引き下げを民主党と自民党との間で。
  *議員定数削減も(「議員自ら身を削る」のだという殺し文句で、少数野党議席はムダだとして切捨てる。これと引換えに消費税増税をねらう)
  *普天間基地の辺野古移設も
  *自衛隊の海外派兵恒久法も
  *改憲(憲法審査会)も
  *公務員改革は民主党とみんなの党との間で。
 政界再編もありだ。
 メディアが取り上げるのは、専ら政局(駆け引き・談合)。そして「懸案」(メディアがそう思っている)の消費税増税・議員定数削減・辺野古移設・海外派兵恒久法・改憲など、「二大政党」自民・民主両党を中心にそれぞれどう巧く運ぶか、ということばかり。

 このような選挙の結果は、庶民にとっては全く残念というほかないだろう。
 特に「二大政党」(民主・自民両党)と「第三党」(みんなの党)はいずれも議員定数削減を企図し、メディアもそれに同調しており、3党が談合してそれを決めてしまったら、弱者の声を代弁してくれる議員がいなくなってしまうことになる。そんなことになったら大変だ。護憲派政党が排除されて、改憲阻止もできなくなってしまう。

2010年07月18日

国より家の借金が心配な子も

 「小6の娘も心配 借金大国日本」という投稿で、「文具にも10%の消費税がかかることは嫌だろうに」、「借金は自分たちの肩にのしかかってくる」、「消費税は上げないで大丈夫なの?」、「自分たちは痛みを引き受けようとしない国民にがっかり」とありました。
 しかし、この問題については、テレビの報道番組などで知るだけではなく、もっと子どもに教えなければならないことがあるのでは。
 一つは、家庭によっては「国の借金」なんかよりも家の借金のほうが心配であり、また将来を心配するよりも、その日その日食べて生きていくのがやっとで、5円・10円でも値上げされると困るという家の子もいるのだ、ということ。
 もう一つは、税金は、消費税だけではなく、法人税・所得税その他色々あり、増税しなければならないのはむしろそちらの方なのでは、ということ。
 もう一つは、「国の借金」は、それで国民みんな等しく恩恵をこうむっており国民皆のせいだ、というわけではなく、ある分野の人々に偏しており、国民間には税の負担能力にも隔たりがある、ということ。
 それに、税金は公平でなければならないが、消費税は所得の有無・格差を度外視して一律な税率で課する税で、負担能力の乏しい人ほど重くて不公平な税なのだ、ということ。
 子供にはこれらのことをきちんと教えなければならないのではないか、と思うのです。

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