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2009年03月 アーカイブ

2009年03月02日

この大不況、どうしたらよいのか

(1)どうしてこんな不況に
 これまで、小泉内閣の下、02年から景気は回復局面が続き、「いざなぎ越え」などと、さも「構造改革」が実ったかのように錯覚された。しかし、07年までのこの間、好調だったのは輸出(1.6倍の増加)であり、それに対して国内需要は1.1倍にとどまった。(02年総需要の10%ほどの輸出が15%に増加し、90%を占める国内需要とほぼ同額増加して)輸出が景気回復を主導したのである。
 この間、庶民は低賃金で購買力が抑えられ、自動車・電機など大企業製品は国内では売れなくても海外で売れ、輸出大企業は多いに儲かってきた。

 アメリカでは、(一般に将来の値上がりを見込んで住宅など不動産や証券を購入して貯蓄の代わりにし)ローンやクレジットに慣れた消費者は、好況が続いている間は、将来の収入増をあてにし、住宅などの資産価値の値上がりを見込んでそれを担保に(住宅の値段が上がるとその担保価値も膨らんで借金の枠が広がり)借金を繰り返し、日本製品を買い消費生活を楽しんできた。しかし、「住宅バブル」がはじけ(住宅ブームが終わって)、ひとたび住宅価格が下落すると、売りに出る住宅が下落のスピードを加速させ、担保価値を下げ、借金が資産の価値を上回る「債務超過」の家庭が急増するようになって、クレジット消費にブレーキがかかる。
 住宅ローン会社など貸し手のほうは貸し手のほうで、債権を(「住宅ローン担保証券」として)証券化して転売し(そうすれば借り手が返済不能になった場合の損を抱えこまずに済み、手っ取り早く現金が手に入る)、それを買った証券会社や投資銀行は、それを自動車ローンなど他のローン債権と混ぜ合わせて複雑な金融商品(債務担保証券)をつくり、世界中の投資家や金融機関に売りさばいた。(サブプライム・ローンとは、低所得者向け高金利型住宅ローンのことで、借り手が返済できなくなったら、住宅を担保に新たなローンに借り換えさせる仕掛けになっている。)
 ところが、住宅不況になって住宅価格が下落すると住宅ローン債権は不良債権化し、サブプライム関連の証券化商品は値崩れし、暴落して、それら金融商品を抱え込んだ金融機関や投資家は、商品の買い手がおらず、売るにも売れなく大損失をこうむり、リーマン・ブラザーズなど証券会社や投資銀行には倒産・破綻に追い込まれるものが続出することになった。これが「アメリカ発の金融危機」である。
 米国経済の先行きに対する不安から投資家が株離れを起こして株価は急落、ドルが売られ円買いに向かって円高(100円を割り込み90円台に)を招き、日本からの輸出製品は高上がりし、ローンに懲りての買い控え(消費低迷)に加えてさらに売れゆきがガタ落ちする結果を招くことになった。

 我が国における不況が、どうしてこんなに深刻化しているのかといえば、その原因は、我が国経済(我が国の主要企業)が、株主(その6割は外国人投資家)の利益確保を最優先し、労賃や下請け単価を切り下げてコストを抑え、労働者・庶民の購買力・国内需要をないがしろにして、専らアメリカなど海外の消費需要をあて込んで、輸出に依存してきたことにある。そのアメリカで消費需要がガタ落ちし、輸出が激減して減産・臨時休止に追い込まれ、リストラ、労働者の大量解雇が強行されている。
 この大量解雇を容易にしたのは、規制緩和による派遣労働・契約雇用など非正規労働の拡大である。
 昔(戦前来)飯場や蟹工船などへ人を送った「口入れ屋」や「手配師」は戦後禁止され(職業安定法44条「労働者供給事業の禁止」、労働基準法6条「中間搾取の禁止」)、直接雇用が原則となったが、やがてソフトウエア開発など幾つかの専門業種に限って派遣労働が認められ始め、その業種が増やされていった。経営側に立っている論者はそれを「雇用の柔軟性」「働き方の多様化」などと正当化しているが、非正規労働者は不況時の生産調整(減産)・雇用調整(リストラ)のための「調整弁」なのであり、1999年の派遣法改正で派遣労働の原則自由化され、04年の同法改正で製造業でも派遣労働が解禁されたのはそのためにほかならなかったのでる。
 ヨーロッパでは正規・非正規の間で均等待遇(同一労働・同一賃金・同一権利)の原則が徹底していて差が少なく、解雇された時のセーフテー・ネット(失業手当・生活支援を得ながらの職業訓練、社会保険などのカバーリング)も完備していて、労働者は首を切られてもあまり困らないような体制を整えているのに比べて、我が国ではそれらが全く不十分・不徹底で、雇用契約解除・解雇即(寮から追い出されて)「ネットカフェ難民」・ホームレスの境遇に転落する人々が続出している。
 派遣労働者でも「日雇い派遣」(携帯・メールなどで連絡を受け、その日その日さまざまな職場へ送り込まれ、明日の仕事の保障はない)などは、生活保護水準以下の貧困状態(ワーキング・プア)に置かれている。
 日本では非正社員は、正社員に比して勤労意欲・愛社精神・技術の継承などの点でどうしても劣り、彼らを大量に使っている日本企業は、労働コストは安上がりでも、国際競争力は低下する。
 今、「リストラの嵐」(大量解雇)が吹き荒れ、クビを切られて寮を追われた人々は労組やNPOの人達が急きょ設けた「派遣村」(仮説避難所、炊き出しと毛布が用意)でしのいでいる。
(2)企業の社会的責任
 私企業は私的営利組織ではあるが、社会的存在でもあり、社会的責任(CSRコーポレート=ソーシャル=レスポンスビリティー)が求められ、社会から次のような役割と貢献が求められる。
①消費者・利用者・取引先(顧客)のニーズに答え、産物やサービスを提供する。
 そのさい、品質・安全性・環境保全に責任が求められる。
②人々に雇用(仕事と収入源)を提供する―賃金を上げ、人件費が上がれば、コスト高になり価格を押し上げ、売上が下がる心配があるが、各企業とも労働コスト引き下げ競争・賃上げストップか賃下げ・人員削減などやり合えば、全体として労働者(彼らは同時に消費者)の賃金収入が減り、購買力・消費が抑えられ、商品は益々売れなくなって不況が進む一方になる(最終的には自分で自分の首を絞める結果になる。いわゆる「合成の誤謬」)ので、むしろ、各企業とも従業員に物を買える賃金をきちんと与えてこそ、社会全体として購買力が高まり、売上が増える。(大量解雇・賃金抑制はこれに逆行するやり方であり、景気悪化への悪循環になる。)
③法人税などの納税・社会保険料負担によって国や自治体の財源を支える。
(我が国の大企業の税・社会保険料の負担率は、自動車大手ではドイツより7%、フランスより11%低い。社会保障の財源に占める企業の保険料負担はフランスの4割台、ドイツ・イギリスの3割台に対して日本は2割台にととまっている。)
自治体は企業誘致をおこない、その会社に対して減税措置を講じ、雇用補助金を出したりもしている。
④その他、付随的なものとして慈善的社会貢献事業(フィロンソロピー)もある―スポーツ・芸術・文化活動支援や学術研究への助成金、社会福祉団体への寄付、ボランティア派遣など。
(これらは企業にとっては、短期的にはマイナスになっても、長期的には企業価値を高め、競争力を強め、利潤拡大に寄与する。)
 企業にはこのような社会的役割があるのだ。
 会社には定款(業務の根本規則を記した文書)があり、会社設立の目的や社の使命が定められてあるが、それにはあくまで、人々に製品やサービスを提供し多くの人々のために役立つべしといったことが書かれ、けっして金儲けの為とか株主を儲けさせる為などと書かれはしない。(金儲け・配当金だけにやっきとなり、他をないがしろにすれば定款違反・違法経営となる。)
 株主権とは「残余請求権」といわれるが、それは、賃金支払や債務返済をした後に残る残余利益に対する権利が株主に認められる権利であり、株主配当などよりも従業員への賃金支払のほうが優先されなければならない、ということにほかならない。

 しかし、現実には企業経営者の考え方に問題がある。経団連の御手洗会長ら日本の財界はアメリカ式(株主資本主義)の考え方で、企業経営を金儲け最優先に考え、株主の利益を最優先、次いで役員報酬を優先して他をケチろうとするのである。
 企業の利益は①内部留保(積立金)を残したうえで、②株主③経営者④労働者に分配されるが、この10年①と②③への分配は何倍にも増やされ、④の労働分配率は下げられてきた。(2001~07年、内部留保は1.35 倍、株配当は3.35倍、役員報酬は1.32倍増えたのに対して労働分配率は 14.7%減った。)

 かつて我が国では、経営不振に陥っても、まずは株主配当のほうを減らし、連続2年赤字になって初めて雇用に手を付けるのが暗黙の「ルール」であって、解雇は万策尽きてやるものとされた。
 トヨタ自動車の前会長で経団連の前会長であった奥田氏は、99年当時(文芸春秋10月号で)「クビ切りするなら切腹せよ」と言っていたのだそうであるが、そのトヨタが先頭を切って期間従業員などの大量(昨年中に数千人)クビ切りをやっているのである。
 茨城県のある自動車部品製造会社の社長(米沢商業出身で、NHKテレビで紹介された)
は、役員報酬を20%カットする一方、「従業員は宝だから」と言って、労働時間を減らして賃金は下げはしたものの、一人もクビを切らないで頑張っているのだそうである。
(3)どうすればよいのか
 今、政府は定額給付金(一人12.000円、子ども・老人に2万円、高額所得者や資産家にまで、総額2兆円)を配って消費喚起・景気刺激をはかろうとしている。
 しかし、その費用対効果はいたって低く(せいぜい1兆円の消費増、0.2%の成長率アップ)、焼け石に水にすぎないと見られ、同じ2兆円を出費するなら雇用対策などにあてるべきだろう。
 しかも2011年以降、景気回復後としながら消費税アップを行うと明示している。消費税は庶民の消費節約、買い控えのほうに作用し、景気を冷え込ませる。
 これらは、いずれも愚策である。消費税は、生活必需品などゼロにするか減税してこそ景気は上向く。
(早稲田大学院公共経営研究科教授の福島淑彦氏―週間朝日3月6日号―によれば、次のようである。
定額給付金に財政支出しようとしている2兆円は、約2.5ヶ月分の消費税収に匹敵する(過去10年の1年当たりの消費税収は9.5~10兆円だから)。
 2兆円の消費税は40兆円の消費と対応しており、2ヶ月半、期間限定して消費税をゼロにすれば、経済効果は定額給付金による効果よりもはるかに大きい。それに期間限定であれば、高額な商品への「駆け込み需要」生じる。消費税の税収は、期間分減少することになるが、この間の需要増加をきっかけにして市場にカネが出回れば景気回復につながる、というわけである。)

 「百年に一度の危機だ」などと、まるで天災でもあるかのような感覚で、「大変だが、誰のせいでもない仕方のないことだ」といった感覚で語られる。しかし、これらの危機は、財界・大企業とその意を受けた自公政権の政策の結果なのである。
 そこで、どうすればよいのかといえば、その政策路線を転換して、労働者の賃金、庶民の家計所得・購買力を引き上げ、社会保障・セーフテーネットの拡充によって将来不安を除き、消費マインドを向上させて内需を拡大し、輸出依存からすることである。(元第一勧銀総研専務理事の山家悠紀夫氏―「世界」2月号「日本経済、どこへ向かうべきか」―によれば、国内総生産に対する消費の比率は55%で、輸出の比率は16%であるから、消費を1%増やすことができれば、輸出3%の落ち込みを十分に補える。消費を3%増やせれば、輸出が10%落ち込んでも大丈夫というわけ。)
 
 尚、大企業は赤字決算といっても、それは単年度損益計算書の上でのことで、それでつぶれるわけではないどころか、年々の繰越利益の溜め込み・積立金などの内部留保というものがあり、それは製造業大企業(資本金10億円以上)だけで(07年度末)総額120兆円にも達している。(労働者派遣業の業界団体は3月末までに40万人の非正規労働者が職を失うと推計しているが、平均年収を300万円とすると、40万人×300万円=1兆2千億円だから、内部留保120兆円のたった1%を取り崩せば、彼らは職を失わずに済むのである。)
 (昨年10月の労働総研の試算によれば、①非正規(365万人)の正社員化②サービス残業の全廃で新たな雇用118.8万人③完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得で新たな雇用153.5万人、これら三つを行えば、労働者の賃金が21.3兆円増、国内総生産24.3兆円増でGNP2.52%アップするとのことである。)

 個人消費(GDPの55%を占める)を増やし内需を拡大するには(「週間朝日」3月6日号、「世界」2月号などを参考に、それらに掲載された識者の所説を借りれば)次のような具体策が考えられる。
具体策
●賃金―最低賃金の引き上げ―時給、現在703円を1,000円(イギリス・フランス・デンマーク並み)に。(同志社大学経済学部の橘木教授説)
●雇用維持、派遣労働規制の強化―99年の派遣法改正(派遣労働の原則自由化)以前に戻す(製造業への派遣、登録型派遣など禁止)
●正規・非正規の間で均等待遇(同一業務は同一賃金、それに厚生施設などの利用にさいする差別をなくし、雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険などの加入権を同等に認める)を原則として身分格差を少なくし、解雇された時のセーフテー・ネット(雇用保険の加入要件・給付期間・給付率などを改善し、再就職先が見つかるまでの間に失業手当・生活費支給とともに希望する職業訓練を受けられるシステム)を充実させ、ヨーロッパ並みに、労働者が首を切られてもあまり困らないような体制を整える。(東大経済学部の神野教授説)
●残業・長時間労働の規制強化
●ワークシェアリング(一人当たりの労働時間を減らして仕事を分かち合うことによって雇用確保をはかる)は労働時間の短縮し長時間労働を無くすためには有効。ただし、それで正社員の賃下げにしかならない(一方で「非正規切り」をやっておきながら、ワークシェアリングを口実に正社員の賃下げをはかる)のでは意味がない。
●雇用保険の拡充―雇用保険の積立金が潤沢にある、その資金を活用、受給要件の緩和、受給期間の延長などして雇用保険の捕捉率(保険受給者数/失業者数)を大幅に引き上げる。(山家氏説)
●生活保護の捕捉率も引き上げる。ワーキングプアなど生活保護水準以下の生活を強いられている世帯で受給を希望する世帯は全世帯が生活保護を受けられるようにする。(山家氏説)
●医療・介護・障害者福祉その他の面で困窮者支援―政府の社会保障関係費がドイツ・フランス等に比べGDP比で約10%も少ない現状の社会保障をヨーロッパ諸国並みの水準に引き上げることを目標に政府支出を増やしていく(50兆円増)。財源は、当面、政府が借金することでよい(国内に余資が約250兆円もあるのだから大丈夫というわけ)。同時に政府支出で削れるもの(軍事費、公共事業関係費など)を削り、負担余力のあるところ(法人税を増税、所得税の累進性の強化、資産課税の強化など)に負担を求める。(山家氏説)
●公共事業も道路やダム建設などではなく、学校や福祉・医療施設その他、生活密着型の事業を拡充、これらの事業への雇用増員。
●環境や自然エネルギー関連の、或は知識集約型の新たな産業と雇用を創出する。

以上、こうすりゃいいんだ、と、こうしていくら打ち込んだところで所詮むなしい独り言。しかし黙ってはいられない。せめて「声なき声」を発信しているのだ。

2009年03月13日

雇用問題、米沢では

米沢革新懇の38回懇話会が3月7日、置賜文化センターで開催され、それに行ってきた。それは次のようなものだった。

 講師―米沢市産業部商工課 金子好洋氏
 テーマ―「米沢地区・雇用問題」
 内容項目 ①現在の経済背景
      ②雇用環境
      ③派遣社員の現況
      ④米沢市の現況
      ⑤国の取り組み
      ⑥米沢市の取り組み
 要約
1、経済背景
アメリカにおけるサブプライム・ローン問題→金融危機→株価大暴落→世界同時不況
日本―GDP大幅なマイナス成長見通し(-12.7%―60兆円減)
2、雇用の現況
有効求人倍率(1月)―全国0.67倍
           山形県0.45倍(過去10年間で最低)
            米沢市0.34倍
3、非正規労働者の雇止め状況
昨年10月~今年3月 15万7,806人 うち派遣社員10万7,375人
             山形県4,558人―全国で10番目に多く、東北で福島県に次ぐ
4、非正規雇用 全国で20年間に2倍以上に
 08年 33,9% 内訳 パート730万人
          アルバイト158万人
          契約社員139万人
          派遣社員85万人―雇用調整に使われる
          その他9万人
年代別で多い順 ①65歳以上(定年退職後の再雇用などで)②15~24歳③55~64歳
企業が非正規を増やした理由 ①人件費(賃金)の節約
              ②仕事の繁閑に対応
              ③即戦能力のある人材の確保
              ④専門的業務に対応
              ⑤いったん派遣として雇っておいて働きを見て本採用
              ⑥好不況に合わせた雇用調節
 「09年問題」―派遣契約の期間制限(最長1年間だったのが)06年3月以降から3年間に延長、その期間満了がこの3月から来る。
 同じ派遣先で3年間継続して働けば、その派遣先の会社に直接雇用義務が生じるので、その何日か手前で派遣を打ち切られ雇止めになる―それがこの3月以降、大量発生する(大量解雇という事態に立ち至る)ことになる。
(派遣がいったん打ち切られてもクーリング期間3ヶ月以内の中断であればそのままその派遣先で3年間継続あつかいだが、中断-その間、その時だけ「請負労働」として偽装するか派遣先の会社で「直接雇用」あつかいにして引き続き働かせる-が3ヶ月を超えれば振り出しに戻ってその時点からもう3年間「派遣」として働かせるられるという、そのやり方で、直接雇用を避ける。)
 米沢のサクサ・テクノ(旧田村電機)では、昨年中、派遣社員を直接雇用(正社員)に切り替えた。(NHK「クローズアップ東北」で紹介)

 電機業界での人員削減 日立 派遣切り8,000人
            パナソニック正規・非正規合わせて1万5,000人
            ソニー派遣切り8,000以上
            パイオニア 全体では30%削減、米沢工場では今のところそのまま
5、米沢市の現況
 米沢でこの問題が具体的に聞こえてきたのは12月初め頃、八幡原の会社フロームで従業員を休ませることにしたらしいとか、ミリケン・ジャパンが近々、米沢工場を閉めるらしいとかの情報が入った、そこからだ。
 急きょ、市内10社を中心に電話で聞き取り調査したところ、派遣社員など600人以上削減されたことが分かった。
 市内の製造業188社にアンケートしたところ、64社だけから回答、その結果、この先4月以降も含めて正規・非正規合わせて1,050人が削減される見込み。
 帰休(自宅待機)も、かなりの数にのぼり、国の雇用調整助成金(従業員を辞めさせないで、休ませてでも雇用を維持している企業に助成金)を申請している企業が大幅に増えている。週休2日を3~4日に増やしている企業もかなりある。
 輸出関連が厳しく、八幡原の電機・機械メーカーが窮地に立っている。

 企業アンケートでは、景況は「悪い」が84%、「良い」は3%(米織2社)だけ。
 先行き不透明で、さらに悪化の見通し(上昇に転じる見通しはなく、どこまで落ちるかわからない)。業界全体の再編を見据えての、企業としての体力が問われ、年度末の決算期をどう乗り切るかが問題。高齢化で退職者が多くなり、技術継承の上からも対応策が必要。ワークシェアリングも視野に。帰休(自宅待機)措置で何とかしのぎたいが、この機会に優秀な人材確保を心がけ、従業員の研修会をやっている企業も。
 企業からの市や関係機関への要望は、運転資金の支援など融資制度の充実を求めるものが多数。受発注(仕事を取ってくる)活動の支援も。国・県の支援・助成制度が補正予算の度にコロコロ変わっているが、その情報をまんべんなく流してほしい、と。
 (尚、これらの市内企業アンケート結果のまとめは、市報2月15日号に載っている。)

6、国の景気対策―20年度1次補正~2次補正~21年度予算へと「3段ロケット」で総額75兆円
①雇用対策
・離職者への住宅支援(社宅提供事業者への助成)約1万3千戸
   (米沢では窪田の雇用促進住宅から5戸、相生町の県営住宅から3戸提供)
・派遣から正社員として雇用した事業所への助成
・雇用創出基金、約4,000億円→各地方公共団体へ交付(山形県に約70億円、米沢市に約8千万円)
②定額給付金2兆円
 米沢市には総額13億数千万円(配るための事務経費4,000万円)
 各世帯への申請書発送は3月中(高畠町では2月27日に発送済)
 横浜市など、給付金を市民から市に寄付してもらって雇用対策等にあてるところも。
7、米沢市の雇用対策
①「緊急経済対策本部」12月18日設置―置賜総合支庁・米沢職業安定所と連携して取り組みへ。
・臨時職員採用―1~6月、市役所での事務補助・軽作業に延べ50名(応募者77名)
・21年度工事(小中学校の耐震工事など)前倒し発注―総額だいたい6億円
・プレミアム商品券-米沢市商店街連盟が発行(総額1億円)、それに市が支援(1千万円)
・「働くひとのための緊急相談窓口」開設―これまでで約150件の相談がきている―相談内容は仕事・職・アルバイトさがし、住宅・生活資金など、ホームレスに瀕しているなど深刻なものや愚痴のような訴えも。
 内職の相談も増えており、課の担当者が企業を回って内職をもらってきて紹介に努めているが、縫製関係がやっとあるくらいで,4~5時間がんばって6万5千円ぐらいしかならない、という状況。
・「天地人博&温泉モニターツァー」3回実施―仙台圏から観光客呼び込み
・「上杉雪灯篭まつり」に交通整理要員などアルバイト雇用
・仕事さがし緊急プロジェクト(中小企業のために首都圏などに出向いて仕事を取ってくる取り組み、県・市・大学・企業と連携して)実施
・ハローワーク・県の助成制度などの紹介
ハローワークは朝から大混雑で、端末操作だけでも1~1.5時間待ち。
・ふるさと雇用再生事業・緊急雇用創出事業の実施―国の雇用創出基金からの交付金で
・労働者生活安定資金―本市と労働金庫が協調して低利で融資
(これらのことは市報1月1日号の折込チラシと2月15日号、それに市のホームページにも記載)

②今後の雇用対策―短・中・長期の対策がそれぞれ必要
      (今いまの生活-緊急避難-のための対策と安定雇用のための対策)
 新しい分野の産業(環境・農林業・介護など)に雇用創出
    農工商の連携した取り組みに国が補助
    照明産業―八幡原に有機エル研究所―照明器具用の発行パネル開発
 ワークシェアリングの検討
 こういう時こそ人材獲得・育成←団塊世代の活用(技術・知識の伝承)
以上

質疑
・米沢にホームレスは?―商工課では把握していない(社会福祉課ではどうだか)
  松川の橋の下とか、駅の東西の通路などにいるのか(定かではない)。
  ネットカフェがあって、ニートなど利用してはいても、彼らがホームレスとは限らない。
・市内製造業企業アンケートは、188社中64社からの回答で、従業員削減予定数は1,050人だそうであるが、製造業だけで、しかも3分の1の回答だけでこのくらいだとすれば、全体ではその3倍(3,000人)以上になる、とも考えられるのでは。だとすれば大変な数字だ。
(市報2月15日号には1月9日~15日時点の調査で従業員削減予定が正規126人、非正規924人とあるが)正規・非正規とは言っても、回答する企業側では、その概念が(直接雇用・常用雇用・有期雇用・パート・派遣社員・契約社員など)はっきりせず、それら内訳は定かでなく、確かな人数を公表・回答してくれない向きもあるので、なかなかつかみ難い。
・市が特典を与えて誘致した企業ならば、雇用の実態をきちんと把握して然るべきだ。市として責任をもって、電話だけでなく直接足を運んで訊いてくる聞き取り調査も必要なのでは。
・米織など景況の良い企業もわずかながらあるようだが、それらも含めてこれから伸びそうな業種さがしが必要。
・天地人博も、観光客は「伝国の杜」と「城址苑」にしか金を落として行かないのかどうか、はたしてどれだけの経済効果をもたらしているのか検証が必要なのでは。
・ミスマッチ―製造業で働いていた人が、一般事務や、介護など福祉現場は人手不足だとはいっても、それらへの転職を敬遠する。転職(異業種に再就職)するための職業訓練や、資格を取得するための研修の場もなくはないし、それを促す助成制度もあることはあるのだが。
・57歳で職安通いをしているが、中高年者を雇ってくれる会社はなかなか見つからない。―中高年を雇う企業に対して国が助成する制度も(2次補正で)できたことだし、何とか。
・介護福祉現場は早朝・夜間勤務まで時給650円と安い(最低賃金は629円だが)。―行政からの指導・監督は?―それは市というよりは県の管轄。
・55歳、町工場で働いてきたが、2月半ばの社告で、2月中は土曜のほかに木・金を休みとし、3月には月・木・金・土とも休みになって、第3週は全休、稼動は7日間だけになった。給与は、2月は7割、この3月には6割支給、4月以降はどうなるか分からず、暗に退職を促されているかのようだが、このまま居座っていていいものか、不安な日々を送っている。―雇用調整助成金制度があるが適用は?(申請しているのかどうか)。商工課に電話相談だけでなく、直接出向いて相談をされては。
・高畠町のほうで、クビになったということを家族に言えなくて、いつものように勤めに出かけたようにして自殺したという事例が最近起きているが、そのような事態が米沢でも起きないように然るべき対策を講じてほしい。―商工課では窓口相談など対応策を講じているが。―市は緊急事態として早急に然るべき体制を整えてほしいものだ。
・米沢に若者が少なくなっている。米工定時制を卒業し、米沢に残って、派遣社員として勤めたが、契約期限が来てしまい、この先どうしたらよいものか迷っているという。このような若者が、仕事が無くて米沢を脱出しなければならない、というふうにならないように、市あたりで何とかできないものか。
・緊急対策といっても、これといった特効薬は市町村レベルでは、なかなか困難、国の景気対策も遅かった。
・定額給付金も、どこかの市(横浜市など)のように、米沢でも、その金(13億何千万円)を単に配るだけでなく、寄付を募って(然るべき受け皿をつくって、給付金は要らないという人から集めて)雇用・福祉対策など緊急に必要とされる事業に振り向ける、といった方法を市長は考えなかったのだろうか。―そんなことをしなくても、地域で買い物に使ってもらえばいいのでは。―いや、ただバラまくのではなく、本当に必要な人に有効に使ってもらえるように、今からでも市長に話してみてほしい。
・市議会で雇用問題の質疑が4日にあったはずだが、そこでどういう話になったものか。この懇話会としても、要請をしていかなければならないことだ。
・昔「失対事業」というものがあったものだが、そのようなものを温暖化対策の事業としてやってはどうか。クルマを使わずに済むように自転車を安心して乗れる道路の整備をしてもらいたいとう要望もあり、そのような道路(自転車道?)の整備事業などもあってもいいのでは。それに、ペレット・ストーブの普及(国が3分の1助成?)に関して、他地域産のペレットは高くつくが、米沢にいっぱいある里山の間伐材を地産地消として利用してペレット燃料を製造する、そのような新しい企業起こしもあって然るべきなのでは。

 といった内容であった。米沢における雇用問題の現況はこのようなものだ、ということ。  

 

2009年03月18日

定額給付金は寄付へ

 定額給付金の一律給付で高額所得者にまで配るというやり方には、多くの人々に異論があり、麻生氏のような大金持ちまでが、「景気刺激策として地元業者の売上に貢献するため」と称してぬけぬけと受け取る、その厚顔さ、さもしさ、強欲さには腹が立ってしかたない。金持ちなら、持ち金を使えばいいのであって、給付金は、本当にお金に困っている人や切実に資金を必要としている事業者への支援に当てるために、寄付に回すべきだろう。
 当方は生活にゆとりのない一介の年金生活者だが、もっと大変な人たちのために、給付金は寄付に回したいと思っている。
 当市ではかねてより「ふるさと応援寄付」というものがあり、その使途として観光・地域文化・環境関連などいくつかのメニューがあるのだが、それらに雇用対策・福祉・教育関連などを加えてくれれば、そこに寄付するつもりでいる。
 自分の選挙区内では寄付を禁止されている政治家は、「第二のふるさと」など自分にゆかりのある他の市町村に寄付する、といった然るべき方法があるだろう。

2009年03月19日

企業献金を受けない第三党を

 二大政党ができ易く両党間で政権交代をし易くする小選挙区制に切り変えられて以来、それに同調するマスコミは両党により多くの紙面や画面を割いてきたように思われる。その上、国民の税金から出す政党助成金も議席数に応じて分配するということで、両党にその大半がつぎ込まれてきた。さらにその上に、両党には企業献金が行われてきた。
 経団連は両党の政策に対する「5段階評価」を行ってそれに応じた献金を会員企業に呼びかけ、各企業は両党に対してどちらかに多い献金を行ってきた。
 企業から政策評価されて献金を受け取っている政党は、それに応えようと努め、それらの企業に利益をもたらす政策行動をとることになる。営利企業が政治献金をするのは見返りを求めてのことであり、政治買収にほかならないのである。 
 そのような企業献金と政党助成金によって支えられるような二大政党制に我が国の政治は依拠すべきではなく、企業献金は全面的に禁止して個人献金しか認めないことにするか、さもなければ、企業献金を受け入れて財界寄りの政治をやりがちの政党に対して、企業献金を受け入れずに国民本位の政治に徹することのできる第三党を応援して台頭・躍進させるか、しなければならないのではないだろうか。

 尚、西松建設の違法献金で秘書が逮捕された民主党の小沢代表は、他の野党の中にかねてよりそれを主張してきている企業・団体献金の全面禁止を、ここに至って主張しだしているが、それが実現できれば、それにこしたことはあるまい。

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