米沢 長南の声なき声


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今、必要な安全保障は?―非軍事的安全保障
2026年05月14日

 安全保障といえば「国防」で、とかく国を守る防衛問題と思われがち。そこで問題となるのは専ら自衛隊と日米同盟の防衛力・抑止力がどうのこうのといった話になる。つまり国家安全保障と軍事的安全保障という狭い考え方。
 そこには「安全保障のジレンマ」―「自国の安全」が「隣国にとっては脅威」となり、反対に「隣国にとって安全」は「我が国にとっては脅威」となる、という問題。それに防衛費の「コスパの悪さ」―「費用対効果」—納税者・庶民にとって割が合わないという問題。そして「国家の逆機能」―市民を守るはずの防衛(軍事)上の施策(スパイ防止法など)・措置(国民監視・検閲・盗聴など)によって市民の自由と権利が侵害され脅かされるなどの問題(弊害)がある
そもそも我々日本国民は諸国民とも皆同じ人間であり、人間にとって大事なのは「人間の安全保障」であり、軍事の弊害を伴わない「非軍事安全保障」だ。
 国民或いは国にとっても脅威・危険となるもの―他国の軍事的脅威、武装勢力・テロリズム・海賊・サイバー攻撃などの脅威以外に、自然災害、地球温暖化による気候変動、パンデミック、食糧・エネルギー危機など様々ある。
 軍事的脅威に対しては自衛隊と日米同盟とで軍備を構え防衛力強化、有事を想定して合同演習など軍事対応に当たっている。自衛隊は憲法9条(2項「戦力不保持」規定)解釈上「自衛のための必要最小限度の実力」に止まり「戦力」には当たらない(非軍隊)とされているが、その装備・能力では世界ランキングでも中の上か大規模クラスの戦力を有するれっきとした軍隊であり、そのうえ米軍駐留基地を置いてアメリカと軍事同盟を結んでおり、隣国から見ればアメリカに次ぐ脅威と見なされる。こんなやり方が軍事的国家安全保障である。
 それに対して、海上保安庁・対テロ特殊部隊(SAT)・警察機動隊など非軍隊の武装警察機関もあるし、自衛隊も非軍隊化(敵基地攻撃能力はもとより攻撃的兵器は廃してどの国から見ても脅威とは見られない「必要最小限の範囲内の防御力」に縮小)して「国土警備隊」(保安隊や沿岸警備隊)・「平和待機隊」(国連などの要請に基づく平和活動に当たる)などの非軍事組織に改編し、日米同盟は集団的自衛権の行使はもとより「核の傘」や軍事同盟から脱して友好条約的なものに変える、という非軍事的に対応するやり方もある。
 自然災害、地球温暖化による気候変動、パンデミック、食糧・エネルギー危機など、或いはサイバー攻撃に対するサイバーセキュリティ―など非軍事的脅威に対しては非軍事的対応になることは言うまでもない。
 いずれにしても、世界共通の軍事的脅威・危険(戦争・内戦・大量殺害といった緊急事態)に対しては国連の「常設警察機関としての武装部隊」(装備はポジティブ・リストと警察比例の原則に従いながらも、対処する相手の武力・武器に相応し制圧できる装備)(今の国連にはそのような常設武装警察機関が欠落しており、今後是非とも必要)が対応(迅速に部隊を派遣)。国際海上輸送安全保障―海賊・密貿易などに対処する地域的共同警察活動も。
 国ごとの国土警備活動、国連の警察活動その他(地域的共同警察活動も含め人道援助・難民救援・災害救助・救命医療支援・環境汚染防止・地雷撤去活動など)平和待機隊による「人間の安全保障活動」というものがある。それらが非軍事安全保障。安全保障は、人命の大量犠牲が伴う戦争を招くことにもなる軍事的安全保障ではなく、武装した法的執行機関たる国連常設の警察機関及び各国の警察機関も含めた非軍事の安全保障でなければならない。今、必要とされ充実強化さるべきは非軍事的安全保障の方であろう。

 <注>元首相・宮澤喜一の「国連常設軍構想」―湾岸戦争当時、時の首相は海部で、宮澤は副総理だった。米国政府側からは日本政府に対して「ショー・ザ・フラグ(旗幟を鮮明にせよ)」といって対応(多国籍軍への参加)を迫られたが、自衛隊派遣は憲法上不可能で、資金協力と停戦後の掃海艇派遣のとどまった。(その後PKO協力法が国会で成立して、国連平和維持活動・国際人道支援活動だけには自衛隊派遣が可能となる。)この間の宮澤構想は、国連に「常設軍」(武力紛争事態が発生したその時だけ、各国が保持する軍隊を派遣するといった臨時的な派遣軍ではなく、国連直属の常設軍)が創設されれば、日本としても憲法9条に抵触することなく、個人の自由意志で志願して国連常設軍の要員(国際公務員)としてなら送ることができるのでは、という内容での提案だったと思われる。
 <注>ポジティブ・リスト方式とは、戦闘などに際して殺傷・破壊など「正当防衛」「緊急避難」としてそうする以外他に方法がない必要最小限度の「やってもいい」行為や装備し用いてもよい兵器、それらのリストが法規で明記されていて、それ以外は全てやってはいけないし、装備し用いてはいけない、という方式で警察に適用。それに対してネガティブ・リスト方式は「やってはいけないこと」だけがリストに挙げられていて、それ以外は何しても、どんな装備・兵器を用いてもかまわない、という方式で軍隊に適用。自衛隊はどちらかといえば警察と同様、ポジティブ・リスト方式とされている。


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