米沢 長南の声なき声


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戦争根絶には国連憲章と日本国憲法9条とでどちらの方法をとるか
2024年05月14日

 世論調査(憲法記念日前の朝日新聞の調査)では、憲法9条を変える方がよいか否か(変える方がよい32、変えない方がよい61)とか、憲法9条の1項と2項をそのままにして新たに自衛隊の存在を明記するという自民党の改憲案に対する賛否(賛成51、反対40)とか、「いまの憲法では、日本を防衛するうえで支障がある」という意見に共感するか否か(共感59、共感しない37)、「いまの憲法9条があることで、日本は戦争をしないですんできた」という意見に共感するか否か(共感76、共感しない21)などの設問がある。
 それなら、次のような設問もあって然るべきなのでは。
設問「第2次大戦後、現在に至るまで世界のあちこちで戦争や武力紛争が起きて、今もウクライナとパレスチナで行われており、これからも日本の近辺で行われそうな気配があるが、戦争を根絶して恒久平和を実現するにはどうすればよいと思うか。次の二つ内どちらの方法をとるのがよいか。」
 ①現状の国連の下で、各国とも武力・軍備を持ち合い、国連憲章で禁じている違法な侵攻を仕掛けた国に対して(安保理常任理事国になっている)主要な軍事大国の軍を主力として加盟国が兵力を提供し合って共同制裁。その制裁措置を取るまでの間は武力行使を仕掛けられた当事国或いはその同盟国に個別的・集団的自衛権に基づく抗戦・武力行使を認める。
 ②国連憲章を改正し、どの国も武力(武器・兵器・軍隊)を保持しないようにして軍備を全廃する。

 ①は国連が第2次大戦後発足して以来、国連憲章に基づいて採ろうとしたやり方だが、現在に至るまで戦争・武力紛争は絶えることなく、今起きている戦争も止められずにいるやり方。
 ②は日本国憲法が9条2項で「交戦権」否認とともに定めている「戦力」の保持を禁じて(軍備を撤廃して)戦争と武力による威嚇・武力行使をできなくするやり方(日本国憲法9条の本来のやり方)。ところが、日本政府はこれまで「自衛隊」という武装組織を(「戦力」には当たらないとして)創設・保持し、アメリカとの安保条約で米軍に駐留基地を提供し、個別的自利権のみならず限定的ながら集団的自衛権行使までも認めている。それは国連憲章に合わせたやり方で、本来の不戦・非軍備の9条を事実上改憲(解釈改憲)し、さらにこれから明文改憲まで企図し、(軍備全廃の先駆けともいうべき)日本の憲法9条2項を空文化・骨抜きにして、(機能不全に陥っている)国連憲章の方に合わせたやり方だから、そのような政府・自民党のやり方はむしろ①の方のやり方となる。この場合の選択肢②はあくまでも日本国憲法9条の解釈改憲・自衛隊・日米同盟容認前の本来の9条のものする。)

 戦争根絶・恒久平和を実現するためには、①と②のどちらが正解か、ということだが、正解が②(本来の9条)の方だとすれば、改正すべきは9条改憲ではなく国連憲章の方であり、この方を日本の憲法9条に倣って改正すべきなのでは。


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