米沢 長南の声なき声


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「裏金総選挙」―「審判」選挙か「みそぎ」選挙か
2024年04月06日

 自民党の裏金問題の根源は、政治資金パーティーを通じた業財界の献金、即ち政治献金を通じた大企業・財界(カネで自らの事業に有利な産業政策や租税・金融政策を政権党から「買おう」とする業界)と自民党と間の長年の構造的癒着から来る金権腐敗にあり、その原因は長期政権。これまで長期にわたって自民党に政権を委任してきたのは選挙で同党議員を選んできた有権者・国民。それが今度の選挙では自民党に審判を下し、選び直しをしなければならない(4月後半の毎日新聞の世論調査では「政権交代」を望む声が62%)。そこで国会解散・総選挙が迫られているのだ(早くて6月)。
 但し、その政権交代選挙で非自民党が勝利して現政権に取って代わるにしても、ただ単に自民党でなければ(維新などの「第二自民党」でも)どんな野党でもいいというわけにはいくまいし、また自民党でも無派閥か、「裏金」には直接関わっていない議員ならかまわないというわけにはいかないだろう(それが「組織的犯罪」とも見なされている自民党の議員であるかぎり)。自民党に取って代わるのは、大企業・財界からは敬遠され、企業献金とは無縁な健全野党でなければなるまい。それにしても野党各党がバラバラ単独では到底勝てないし、統一候補を立てて選挙協力できるような共通理念・共通政策を掲げ、その実現を期して結束する共闘体制を組まなければ勝てないし政権交代はできないだろう。
その共通理念はといえば、それはほかならぬ現行憲法にあり、その国民主権主義・人権主義・平和主義などの理念に即した政策を追求し、それらを歪め後退させ壊してしまうような「反憲・改憲派」に対抗する「立憲・護憲派」共闘で選挙に臨み政権交代を期さなければならないということだ。
 「市民連合」(安保法制を廃止して、元に戻すという立憲主義回復を目指して結成)が昨年12月、次期総選挙に向けて立憲民主・共産・れいわ・社民など5党派に共通政策(①憲法も国民生活も無視する軍拡を許さない、②市民の生活を守る経済政策、③ジェンダー平等・人権保障の実現、④気候変動対策強化・エネルギー転換の推進、⑤立憲主義に基づく公正で開かれた政治など5項目)の合意を呼びかけているが、それら5党派それに新社会党なども加わった野党連合が「企業献金とは無縁な健全野党で、現行憲法を大事にする立憲・護憲派野党」連合と見なされるかだ。
 立憲・護憲派各党と市民連合の共通政策の核心は「現行の平和憲法を大事にする」というところにあり、その核心をなす共通政策は次のようなこと。
 「平和・安全保障政策で自衛隊と日米同盟については、集団的自衛権の行使を容認する安保法制の廃止、自衛隊は海外派兵のない個別的自衛権・専守防衛の範囲内にとどめ、このレッドラインを超える敵基地攻撃(越境攻撃)能力の保有も武器・兵器の輸出・供与の解禁もアメリカの対中国・北朝鮮戦略に従う自衛隊の米軍一体化も止める。そして明文改憲(現行憲法の平和主義・人権条項などの改悪)も阻止するということ。

 これらの共通政策を掲げて結集する「立憲・護憲派野党」と「市民連合」が自民党の裏金問題・金権腐敗に対して「審判」を下す選挙。その選挙の結果、自民党に断罪を下せるか、それとも自民党候補者は、得票率は多少下がりはしても落選は免れて、自民党は、さほど議席を減 らすこともなく、第一党の座を保ち政権党として「信任された」「罪が晴れた」となって「みそぎ選挙」のような結果になってしまうのかだ。
 総選挙で、それが後者(自民党の「みそぎ選挙」)のような結果になってしまうことのないように、主権者・国民は、この際「審判選挙」として選挙に臨み厳しい判定を下さなければなるまい。
 そのためには、企業献金とは無縁な健全野党で、現行憲法を大事にする「立憲・護憲派野党」と「市民連合」との結束・共闘体制を構築しなければなるまい。そして政権与党の自公と「第2自民党」的な維新それに国民民主党など反共野党に対抗し、今まで以上に大同団結して選挙戦に臨めるかが問われるのだが、その共闘(統一候補擁立・選挙協力)の体制固めなしに自民党に対して「敵失」に乗じるだけでは勝ち目はあるまい(政党支持率は朝日新聞4月後半の調査では自民23、立憲民主6、維新4、公明3、共産3、れいわ2、国民民主1、その他0、支持なし47)。
 それにつけても、この山形県小選挙区の当地域では、自民党現職候補(4期目で現農林水産副大臣、茂木派だが「裏金議員」と見なされてはいない)に対抗する野党か無所属の統一候補は誰かいないのだろうか、それがいないことには話にならない(「不戦敗―戦わずして降参」では、「審判」どころか「みそぎ」にしかなるまい)。


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