米沢 長南の声なき声


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軍備の保持を容認している限り戦争はなくならない
2023年03月27日

国連が各国の軍備(武力)の保持を容認している限り戦争はなくならない
 容認理由―侵略や不正な武力攻撃に対して防衛する自衛のため等の理由
 しかし、どの国も自国の軍備と戦争目的を「侵略のためだ」とか「不正な目的のためだ」などと公言する国はあるはずないし、或いは国際紛争の解決のための武力行使であっても、「先制自衛」だとか、「自存自衛」のためだとか、「自衛」を口実とするであろう。防衛のための武力と攻撃のための武力とは、世界の様々な場所・地域や様々な時期によって相対的であって、「専守防衛」とか「他国に脅威を与えない」水準の防御的兵器・軍備とはいっても判然と区別するのは困難であり不可能。
 「敵基地攻撃能力」とか「反撃能力」とか、或いは「非殺傷兵器」とか「きれいな核爆弾」などと称したりして、武器を奪うだけとか、撃ち落とすだけとか、攻撃手段を破壊するだけの、攻撃を阻止するための兵器―そのような死傷者を出さない「非殺傷」兵器や戦法など、もしもあるならば、それだけに限って保持することを容認する、といったことはあり得るとしても、AIロボット兵器などの開発はあるにしても現段階ではそのような戦争技術も兵器もどの国も持たない。
 ウクライナ戦争でも、ロシア軍の兵器・戦法による攻撃で、ウクライナ兵の戦死者は昨年12月までで1万数千人、民間人の死者は7千数百人で、その一方、米欧NATOから供与されている兵器で戦っているウクライナ軍の攻撃で戦死したロシア兵は先月2月までで4万~6万人(負傷者と合わせて20万にとも)ということで、数の上ではロシア人の犠牲者の方が多いくらいだ。
 日本の自衛隊が保持している装備は「他国に脅威を与えない」専守防衛のための軍備と称して、同盟国アメリカ軍の「核の傘」と「矛」の後ろで「盾」を持って構えるという防御的兵器を持つに留まるとされてきたのが、今や「敵基地攻撃能力」つまり「矛」まで持たせる、といったことにもなってきている。又、アメリカの「核の傘」に守られるだけでなく、NATO加盟国並みにアメリカの核共有(運用)できるようにすべきだという安倍元首相の言説もあったり、オバマ大統領当時アメリカの核先制不使用が言われたのに対して、「それは困る」と云って日本側は思い留まるよう申し入れたりもしている。そして核兵器禁止条約には背を向けている。

 このように、「自衛・防衛のため」、「抑止のため」などと兵器・軍備を持ち合っている限り、戦争はなくなるまい。
 国連は「集団安全保障」として、侵略や不正な武力攻撃を仕掛ける国があれば、それに対して加盟国が兵力を出し合って国連軍を結成して対処する(軍事制裁)というやり方をとっているが、その方はこれまで、それを主導する安保理で常任理事国(米・ロ・中・英・仏5大国)のうち一国でも拒否権を行使(反対)すれば決まらないことになっているため、朝鮮戦争と湾岸戦争に際しては安保理常任理事国に欠席や棄権があって拒否権を行使した国がなかったおかげで武力行使容認決議がなされたために、アメリカ軍主導で幾つかの国から派兵が得られ多国籍軍などと称されはしたが、正規の国連軍結成は一度も実行はされてはいない。その代わり、侵略・攻撃を仕掛けられた当事国、或いは「仕掛けられる恐れがあるから」として仕掛けた当事国によって戦争が行われたケースは度々あって、今もウクライナでそれが行われており、これからもあるだろう。現状のままでは。


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