ロシア・ウクライナ戦争―隣国のロシアから侵攻を受けたウクライナが懸命に抗戦し奮戦、それをアメリカなどNATO加盟国が盛んに軍事支援している様子―を連日ニュースで見せつけられ、この日本も隣国の中国や北朝鮮・ロシアなどから「攻め込まれたらどうする」「9条で日本は守れない」「憲法改正しないと戦えない」などと言い立てる向きがある。それに乗じて岸田首相の自民党に加えて維新の党など改憲派が攻勢をかけてきている
しかし、日本の場合は、ウクライナ対ロシアの関係とは全く異なり、中国・北朝鮮・ロシアなど「危ない国」とはいっても、必ずしも一方的に侵攻してきて、それに対して自衛隊と国民までも動員して抗戦し戦わなければならなくなるというような関係ではあるまい。
むしろ、日本が安保条約で同盟を結んでいるアメリカが台湾有事や朝鮮半島有事に際して中国・北朝鮮と交戦する事態となり、日本の基地から米軍が出撃し、自衛隊がそれを支援するとなったその時に、中国や北朝鮮が日本に対して反撃してくるということで、アメリカとの戦争にからんだこれらの国の日本への反撃なのであって、日本がこれらの隣国から侵略攻撃されて自衛・抗戦しなければならないということではあるまい。したがって、そのような中国・北朝鮮の侵攻に備えて改憲(9条に自衛隊保持を明記)しなければならないという理由にはならないわけ。
それどころか、自衛隊と日米安保(同盟)があることによって日本がアメリカの戦争に加担(米軍に基地を提供し、自衛隊が米軍を支援)しなければならず、それが中国や北朝鮮の反撃を招くのであって、その自衛隊を憲法9条に明記などしたら、かえってそれが戦争を呼び込む結果となり、「改正」どころか「改悪」以外の何ものでもないことになるのでは。