米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


中国・北朝鮮の「脅威」とは
2021年04月18日

[中国]専制主義・覇権主義―「野望」 (アメリカの覇権主義も―米中の覇権争い)  
 南シナ海・東シナ海における「一方的な力による現状変更」
  「海警法」により一方的に管轄区域を設定し、海上警備に武器使用を強化。
 香港の民主派市民に対して「国家安全維持法」で弾圧―「一国二制度」を覆す
 人権問題―ウイグル人弾圧
 台湾問題―反国家分裂法―台湾が独立を宣言した場合は非平和的手段(武力)を用いると。
 「内政不干渉の国際法上の原則」を主張(しかし、人権問題は内政問題ではなく国際問題)
[北朝鮮]―専制主義・「先軍政治」
    核・ミサイル開発・保有
    拉致問題

 しかし、そもそも中国にしても北朝鮮にしても、日本に対して、どうしても戦争しなければならない(そのために軍備を増強しなければならない)理由(必然性)ははたしてあるのかだ。
 また、日本も中国や北朝鮮に対して、どうしても軍備を増強して戦争に応じなければならない理由(必然性)があるのか、である。
(1)中国の場合は、広大な領土内に多民族(漢民族の他にチベット族・ウイグル族・モンゴル族・満州族・朝鮮族など55の少数民族)を統治し、その反乱・離反に対処(抑止・阻止)するために軍事力を必要としている。台湾に対しては国共内戦以来、台湾は独自の国家(中華民国)と軍を持ち、中華人民共和国に対峙しているが、その分離・独立を阻止し、統一を回復するために、軍事力を必要としているわけである。
 それに対して、第三国が干渉、台湾軍を支援するであろうアメリカ等の軍事力に対抗するためにも強大な軍事力を必要としていると考えられる。
 中国が想定する戦争はこのような内戦とそれに介入してくる干渉軍との戦争なのだと思われるが、それ以外に何かあるだろうか。
 尚、日本に対しては、日本が実効支配している尖閣諸島をあくまで自国領土だとして海警船に武力行使させて強引に奪い取るために戦争を仕掛けるその必然性はあるだろうか。海上自衛隊あるいは米軍が背後に控える海上保安庁巡視艇を相手に(戦争にアメリカを引き込んで日米両軍を相手に)。或いは、たとえ自衛隊と米軍の軍事介入を日本が安保政策を転換して取りやめたとして、非軍事・警察機関にすぎない海保だけを相手にして戦争をしかけたりするだろうか。国連憲章は「武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全・・・・に対するものも・・・・慎まなければならない」(2条の4)として、紛争の平和的解決を義務付けているが、その国連憲章に背いて(国際社会の非難・制裁をうけて)まで、岩だけの無人島と周辺の海を縄張り(領海や排他的経済水域)とする、それだけのために。中国にとって、そのような行為(尖閣諸島奪取のための強引な武力行使)は、それによって得られるメリットとそれによって被るデメリットの損得計算からみて、とても割が合わないものと考えられ、不合理であり現実性に乏しいだろう(つまり、あり得ない)。
 だとすれば、日本が中国と戦争になるとすればどのような場合かといえば、それは日本が日米安保条約に基づいて沖縄などに米軍基地を置き、自衛隊が米軍を支援する体制にある限り、いわゆる「台湾有事」即ち中国が台湾の分離・独立を阻止すべく軍事行動を起こし、それに対してアメリカが台湾軍を支援して軍事介入をした場合に、中国が日本の米軍基地と米軍を支援する自衛隊を攻撃してくる、という場合であろう。そのような台湾有事に際する米中戦争に日本が巻き込まれるケース以外には日本と中国との戦争はないだだろう、ということだ。
 
(2)北朝鮮の場合は、第二次大戦まで朝鮮半島を領有していた日本が降伏後、米ソが南北分割占領し、ソ連を後ろ盾とする朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とアメリカを後ろ盾とする韓国とがそれぞれ独立して対峙したあげく激突して戦争になった(朝鮮戦争―韓国を米軍が支援、北朝鮮を中国が支援)。休戦協定で今は休戦状態にあるものの、韓国には米軍が駐留し続け、未だに終結しておらず、北朝鮮は戦争再開に備えて核・ミサイルを開発して保有するに至っている。
 その北朝鮮が日本を攻撃するとすれば、米韓との戦争が再開された時であろう。なぜならその時、米軍は先の朝鮮戦争の時のように日本の基地からも出撃するだろうからであり、その在日米軍基地が弾道ミサイルの標的となるわけである。それ以外に、北朝鮮が日本に攻撃をしかける理由はあるまい。

 いずれにしろ、日本にとって中国や北朝鮮が「脅威」と思われているが、その根本原因は、日本がアメリカと安保条約を結んで同盟国となり、米軍基地を置いているからにほかなるまい。

(3)日本の現状―憲法9条(戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認)があるにもかかわらず日米安保条約で米軍の駐留基地を認め、軍事組織(自衛隊)を保有―違憲状態―現政権は改憲を策す。



ホームへ戻る