米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


9条堅持か改憲か―安全保障をめぐって
2021年04月22日

平和」とは国々や国民の間に戦争など争いのないことであり、その原因をつくらないことである。一方「安全保障」とは国と国民の無事安全を保障することであり、国の主権・独立・領土保全と国民の生命(生存権)・自由を外敵の侵略・攻撃や戦争から護ることである。
 現行憲法は「第2章・戦争の放棄」としたうえで第9条に1項「戦争を放棄」、2項「戦力を保持しない。国の交戦権を認めない」ことを定めたもので、9条は「平和主義」条項ではあっても、直ちに「安全保障」条項というわけではない。
 安倍前首相の9条改憲案は、その9条に「9条の2」として自衛隊の存在を明記する加憲案であるが、それは9条の平和主義条項に安全保障条項を付け加えたようなもの。以前(2012年)の自民党憲法改正草案では、第2章を「安全保障」としたうえで、「(平和主義)第9条・・・・。(国防軍)第9条の二・・・・。(領土等の保全等)第9条の三・・・・」として、第2章全体を安全保障条項としていた。
 それらの9条改憲は「自衛隊」とか「国防軍」とかによる軍事的安全保障にこだわったものである。
 安全保障には軍事的な方法と非軍事的な方法の二通りがある。
(1) 現行の9条は非軍事的安全保障の方法をとる立場であると思われる。その方法とは
 ① 非軍事・非同盟
 ② 国連(侵略行為・武力行使の禁止―破ったら共同制裁)の集団安全保障システムに依拠
 ③ 平和外交と国際平和貢献の積極的推進
 ④ 敵をつくらないこと(敵対を避ける)。
 ⑤ 戦争の原因(争いの種)をつくらないこと―独善、資源や利益を占有・独占、軍備・軍事同盟を構える等のことを控える。

  そのリスク
    ①国連の禁止を破る外敵の侵略・侵害に対して防備・安全保障に不安(危険)
    ②「力の空白」(軍事的空白)(防備が手薄)に乗じて強引に踏み込んでくる恐れ。      
       ただし、防備は全く無防備というわけではなく、領域警備に限定した守備隊(然るべき装備を持つ国土警備隊など)は保持(災害救助業務を行う災害救助隊、国際的な災害救助隊(非武装のPKO部隊を含めた)災害救助隊などとともに―既存の自衛隊はこれらに改編)
       非軍事・非同盟の日本に対して国連の禁止をおかしてまで侵寇してくる(どうしてもそうしなければならない必要性・理由のある)国や勢力などあり得るのかだ。
(2) 軍事的安全保障を重視―自衛隊と日米安保の肯定派や改憲派の人たちの考えで、自衛隊と同盟国アメリカ軍の軍事力を「抑止力」・「対処力」などと称してそれに依拠する方法

  そのリスク①敵(仮想敵国)を想定すなわち敵をつくる(相手を敵視し、敵対する)。
        ②「自国の安全を高めようと意図して行った軍備増強や同盟強化が相手方に同様の軍事力強化措置を促し、実際には双方とも軍事衝突を欲していないにもかかわらず、結果的に激突(ひいては全面戦争という最悪の事態)に至ってしまう、という緊張を強いられる―「安全保障のジレンマ」

        ③同盟国が戦争に突入すれば、それに巻き込まれる危険―台湾有事(中国の台湾統一戦争への米軍の介入)や米軍の朝鮮戦争再開などに際して。
        ④(アメリカからの兵器購入負担とともに)米軍基地提供に関わる経費負担や住民被害も。
        ⑤軍事依存―軍事に頼りがちとなり、平和外交への取り組み・努力が疎かになりがちとなる。
        ⑥米軍の核軍事力(核の傘)にたより、核兵器禁止条約を拒否

(1)の非軍事的安全保障と(2)の軍事的安全保障とで、どちらが我が国の安全保障にとってリスク(危険)が少なくベネフィット(メリット)が大きいか。要するに、どっちが平和・安全なのかだ。


ホームへ戻る