米沢 長南の声なき声


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9条と軍事的安全保障―それぞれの効用とリスクを比較衡量して適否を判断(加筆版)
2021年03月24日

(対中・対北朝鮮などを念頭に)
 安全保障の要諦は戦争が起きないようにすること―国が国民に安全を保障しなければならない(護らなければならない)ものは自由・人権など様々あるが、一番大事なのは国民の生命と財産(とりわけ世界の全ての国民にとって必要不可欠な公共財―海陸・大気・水・食料・エネルギー・森林・鉱産資源など、即ち地球資源と、生活や産業などの経済活動を営む上で不可欠な社会基盤すなわちインフラ―それらは個々人の私有財産や個々の国の国有財産として占有して国や個人が自由・勝手に使用・処分できるようなものではない全人類の共有財産)―これらを争奪・排他的独占の戦争から守ること。 
 そこで、次のどちらの方法が安全・安心か。
1、本来の9条(非軍事平和主義)を重視
   核兵器禁止条約
   非核地帯条約―東南アジア非核地帯条約
       中南米のトラテロルコ条約
       南太平洋地域のラロトンガ条約
       アフリカ地域におけるベリンタバ条約
       中央アジア非核地帯条約
       南極条約
   非軍事的地域集団安全保障
     東南アジア友好協力条約(TAK)―「武力による威嚇または行使の放棄」や「紛争の平和的手段による解決」を明記。
     ASEAN諸国のほか中国・ロシア・オーストラリア・インド等とともに日本も加入。
     9条に忠実的な論者はTAKの北東アジア版(北東アジア友好協力条約)を目指す。
 (1)その効用(メリット)
   ⓵戦争を回避でき、戦争に巻き込まれない。
   ⓶軍事費が掛からない。
   ⓷諸国民に安心・信頼感―敵をつくらず、敵対せずに、平和外交と国際平和貢献の積極的推進・イニシャチブが可能に。
 (2)そのリスク(デメリット)
   ⓵外敵の侵略・侵害に対して防備・安全保障に不安(危険)―「力の空白」(軍事的空白)(防備が手薄)に乗じて強引に踏み込んでくる恐れ
      ただし、防備は全く無防備というわけではなく、領域警備に限定した守備隊(然るべき装備を持つ国土警備隊など)は保持―災害救助業務を行う災害救助隊、国際的な災害救助隊(非武装のPKO部隊を含めた災害救助隊など)とともに(既存の自衛隊はこれらに改編)

Ⅱ、軍事的安全保障を重視―9条の形骸化(9条+自衛隊と日米安保)―改憲路線
世界の軍事力ランキング―1位アメリカ,2位ロシア,3位中国,4位インド、5位日本,
            6位フランス,7位イギリス, 8位韓国・・・・19位北朝鮮
           ・・・21位台湾
   軍事的地域集団安全保障(軍事同盟)
       NATO(北大西洋条約機構)
       日米安保条約(政府をはじめその肯定派は、これを国際的「公共財」と称す)
       米韓相互防衛条約
       米豪同盟条約(当初のANZASからニュージーランドが離脱)
      (かつては東南アジア条約機構・中東条約機構・ワルシャワ条約機構・中ソ友好同盟相互 助条約などもあったが解消)

 (1)その効用(メリット)
   ⓵自衛隊と同盟国アメリカ軍の軍事力は、いかなる脅威(どの国、どこの外敵)に対しても対応でき、相手を攻撃・撃破、或いは相手の攻撃を阻止・抑止することもでき、安全・安心でいられる(どの国から、どこから攻撃を受けても無事でいられるだろう、という安全保障が得られる?)。
 (2)そのリスク(デメリット)
   ⓵敵を想定すなわち敵をつくる(相手を敵視し、敵対する)。
   ⓶軍事衝突から戦争への危険あるいは、それらに巻き込まれる危険―台湾有事(中国の台湾統一戦争への米軍の介入)や米軍の朝鮮戦争再開などに際して。
   ⓷相手国も対抗し、それがエスカレートして、双方とも軍備増強(軍拡)―
 中国の場合、アメリカ(世界最強の核軍事力をもち、かつては中国・太平洋で日本軍と戦い、戦後は朝鮮・ベトナム・中東で戦争)や日本(かつてアジアで最強の軍事大国で中国・太平洋で戦争)に対抗し、軍事力を増強して南シナ海や東シナ海に進出。北朝鮮は休戦中の対米(朝鮮戦争)再開に備えて核・ミサイル開発・保有など。
   ⓸これら軍拡競争による軍事費の膨張。
    (アメリカからの兵器購入負担とともに)米軍基地提供に関わる経費負担や住民被害。
   ⓹軍事依存―軍事にたよりがちとなり、平和外交への取り組み・努力が疎かになりがちとなる―米軍の核軍事力(核の傘)にたより、核兵器禁止条約を拒否。

 さて、我が国の安全保障にとっては(中国や北朝鮮あるいはロシアなどに対して)(1)の「本来の9条・非軍事平和主義」と(2)の「9条改憲・軍事安保」とで、どちらの路線をとったらいいのか。それぞれの効用・リスクを比較衡量して(どちらが適切か)判断すればよいのではなかろうか。


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