米沢 長南の声なき声


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憲法カフェ発会の趣旨(動機)
2020年03月19日

Ⅰ、憲法をめぐる情勢
(1)安倍改憲の動き
 昨年12月、臨時国会閉会後の記者会見で「来る通常国会の憲法審査会で、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させたい」「憲法改正は、必ずや、私自身(任期は来年9月まで)の手で成し遂げたい」と。
 1月6日、年頭記者会見で「憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えにはまったく揺らぎはありません」と。
 1月7日、党本部広報部が改憲ポスター発表―キャッチコピーに「憲法改正の主役はあなたです」と。これを全国に張り出し、改憲集会展開へ。
 1月20日、通常国会施政方針演説で「その案(改憲案)を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか」「憲法審査会で、ともに、その責任を果たしていこうではありませんか」と。
 1月27日、衆院予算委員会の答弁で「この(日本の防衛の)中核たる自衛隊をしっかりと憲法に明記し、その正当性を確定することこそ、まさにこれは安全保障、防衛の根幹」だと。
 新型コロナウイルス感染拡大に乗じて「緊急事態条項」を設ける改憲論が自民党・維新にも―1月28日、衆院予算委員会で首相、「今後想定される巨大地震や津波等に迅速に対処する観点から憲法に
緊急事態をどう位置づけられるかは大いに議論すべきものだ」と。

 (自民党憲法改正推進本部―昨年9月、党人事で新体制、新たに「憲法改正推進遊説・組織委員会」設置、全国各地で講演会開催へ。)
 2月20日、推進本部会合で細田本部長、衆参憲法審査会での与野党論議の推進をはかると。
自民党大会に臨む2020年運動方針案に改憲案を明記し、「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」と。
 党大会は3月開催の予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で延期。改憲スケジュールは思惑通り進すまない可能性も。
 3月17日、延期した党大会に代わる両院議員総会。党大会開催のめどは立たず、当面の新型コロナ対応に加え、政権幹部が気をもんでいるのが、夏の東京五輪・パラリンピックの行方。「このような時に改憲を持ち出すことは適当ではない」と(二階幹事長)。
 改憲なんて「それどころではない」というのは、そもそも、今回の新型コロナという病災に見舞われているこの間に限ったことではなく、づうっとそうなのだ。この以前も、これ以後も、国民にとっては、憲法をどうしても改正しなければならないという必要に迫られてきているわけではなく、「それどころではない」もっと大事な問題が多々あるのだ。
 ところが安倍首相はオリンピックと同様に、任期中になにがなんでもそれをやり遂げたい一心なのでは。
 首相の任期が切れるのは来年9月末だが、それまでに国民投票を行うには、遅くとも来年の通常国会で改憲発議までこぎつけなければならないわけ。
(2)改憲手続法(国民投票法)は既に(2010年)施行されている。
(3)憲法9条を護る米沢市民の会(9条の会)の現状―最近(19年度)は、総会は開かれず休止状態。それを少しでもカバーする会があって然るべきなのでは。(それらのことも本会開設の動機の一つ)

Ⅱ、憲法に関する当方の認識と問題意識
①現行の日本国憲法の存在意義(当方の憲法観)
 1931年満州事変から日中戦争を経て太平洋戦争終結1945年に至るまでの十五年戦争のあげく、敗戦にともなう占領下に1946年この憲法が制定、47年から施行されて今年で73年目。この間、冷戦、朝鮮戦争が起きて米軍が占領下の日本の基地から出撃、マッカーサー総司令官の命令で警察予備隊が創設され、対日講和条約(占領解除)と同時に日米安保条約が結ばれ、引き続き米軍が基地に駐留。警察予備隊は「自衛隊」として拡充・強化されていき、安保条約改定を経て米軍との軍事的な同盟関係も強まっていく。
 憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意」、「日本国民は国家の名誉にかけ、全力をあげて、この崇高な理想と目的を達成することを誓う」と唱って制定されたが、それは未だ達成されないばかりか、後退・逆行さえもあって、未完のままである。
②我々国民にとって必要な態度・努力
 12条には国民の「自由及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」とあるが、国民主権・基本的人権・平和主義(3大原則)もともに「国民の不断の努力によって保持し」、達成・実現を期さなければならないのである。
③ところが、安倍首相ら自民党政権は改憲に執着
 その憲法観―現行憲法は「押しつけ憲法」で「いじましい、みっともない憲法」
   9条(1・2項はそのまま)に自衛隊の存在をそこに追記して明記することによって「自衛隊は違憲かもしれない等の議論が生まれる余地をなくし、すべての自衛隊員が誇りをもって任務を全うできる環境を整える」ようにすると。    
   既に(9条をねじ曲げて)解釈改憲を重ね、自衛隊と日米安保を合憲化してきた、その上に明文改憲を策す。
④改憲が必要な理由として挙げられる事柄
 「連合国に押し付けられた憲法だから」―はたしてそうか?
 「時代に合わなくなったから」―はたしてそうか?
 「国民生活の現実に支障や不都合が生じてきたから」―はたしてそうか?
 「自衛隊や日米同盟による国の安全保障や国際貢献に支障や不都合が生じてきたから」―はたしてそうか?
⑤若者―主権の担い手(主権者)、人権の主体、憲法を引き継ぐ後継者として改憲問題を国政とともに主体的に考え(自らの問題として意識)、判断が求められる。

本会(憲法カフェ)の課題―若者の参加・主導―運営に工夫・配慮
  年配者の参加―現行憲法制定時代に学齢で(中学1年生用のテキスト「あたらしい憲法のはなし」を習ったなど)制定事実をよく憶えている年配者であれば「憲法語り部」として傾聴できるのだが・・・・・
 肝心なことは現行憲法の理想・目的の達成努力を実践的に学び、引き継ぐことだろう。


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