米沢 長南の声なき声


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どのようにして支持・不支持が分かれるのか(完成版)
2020年01月03日

 政治や事業など何か大事なことを人に託そうとする場合、人物や団体が複数あがっている選択肢があれば、親近感・信頼感のある方を選ぶ(→支持)
 為政者・政党を選ぶ場合は
[支持層]
  国際ジャーナリストの伊藤千尋氏によれば「右派3割、左派3割、中間派4割という割合はどこの国でも似たようなものではないか。(国民の3割は保守的で3割は革新的、残る4割は無関心か或いはどちらにもなびく中間層)」。
保守―30%―現政権支持・現体制維持―変化を求めない(対症療法的・部分的改革だけ)
            現状―あたりまえ
            先例踏襲―変えるよりも変えない方が楽で合理的だと
革新―30%(今の日本では立憲民主・共産・国民民主・社民・れいわ等合わせても10%台だが、それはバラバラな状態で各党別個に支持率をとっているからで、既に進めている野党共闘・統一候補の擁立・選挙協力から政権交代可能な野党連合政権としての共通政策・ビジョンを打ち出して、「野党連合」とひとくくりにして支持率を問うならば、それら野党の各党支持率を足し合わせた数を大幅に上回るパーセンテージとなろう)―それらが現政権に反対・現体制に不満―政権交代・変革を求める
         その積極的部分15%が声を上げ、行動を起こせば→人々の意識・文化を変え
         るエネルギーとなる。
保革どっちでもない―40%―「無党派」「無関心」―消極的―「他人事」「思考停止」
                          自分の考え・意思を持たない
                          保革どちらか、影響力の強い方に付く
 世論調査で政党支持率や内閣支持率調査、或は国政選挙などに際しての投票では、一般に有権者は各党・各候補の政策・公約を比較検討、熟知してその適否を判断して投票、つまり政策で支持・投票するよりは、その候補者・政党に対する印象・親近感・信頼性などの感覚的なもので支持・投票する向きが多いのでは。

[親近感(シンパシー・共感)]―現政権を支持する保守派と現政権に反対で野党を支持する革新派、それぞれが(3割づつ)存在し、一方は現政権与党の方に親近感を持ち、他方は現政権に反対な野党の方に親近感を持ち、支持を寄せるわけである。
 一般に親近感を持つのは、どのような人に対してかといえば―
   自分と同じような・似たような境遇の人
   自分の「好みのタイプ」
   趣味が共通
   価値観が共通―次のような色々な価値の中で優先しがちなのが共通
         実利 
         力(強さ)
         快楽
         人間的自由・人権
         モラル(公正さ・人道)
  自分の考えにマッチした考えを持った人 
  政治的には、政権に対して(賛成か反対か)自分と同様な政策の考えや感情を持った人には
                                      親近感もつ
 人間性―誠実―良心的な人(表向きはともかく実際上は全ての人が、そういう人に親近感を持
                               つとは限らないのだが)
       宮澤賢治が「雨ニモマケズ」で「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」ような人
       アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師のような人
        国連の難民高等弁務官を務めた緒方貞子のような人
       それとも安倍首相とかトランプ大統領のような人?
 「恵まれた人たち」・「恵まれない人たち」、強者・弱者、「勝け組」・「負け組」
                       どちらの立場に立つか、どちらに組するか
 応援・支援、味方になる―「弱きを助け、強きをくじく」
                     口先だけ「寄り添う」というのではなく
  
  親近感を持てないのは、どのような人か―
         嘘・誤魔化し、はぐらかし、隠す
         身びいき―私物化
         エリート意識―「凡人」を見下す―頭いい人(分析力・数学の能力のある人)ほど「確証バイアス」(仮説・自説を検証する際にそのエビデンス―根拠・証拠となる情報ばかり集め、自説に合わない情報はとりあわず、無視、軽視する)にかかりやすい―「自分が愚かでないことと騙されにくいことを、何よりも誇りにしている」独善家・冷笑家―短期的な現状のエビデンスを根拠に、不確実で不安定な世界の未来に賭けて行動した人の瑕疵(欠陥)を突き、行動しない自分の心を守ることを優先し、なにも起きないかのように振る舞う。
      傲慢不遜―人を恫喝・ヤジる
      自分に協力・味方する者は大事にし優しくするが、敵と見なした存在は露骨に攻め
                                       立てる。
    しかし、そのような人であっても、権力を持っているその方に組した方が自分の立場上(「寄らば大樹」で)有利だと思えば、そちらにつくということがあるわけである。
 
国に対する親近感―
  自分の生まれ育った国―家族・同胞・仲間・人情・山河(自然・風景)には愛着
             オリンピックやワールドカップ大会などで自国選手を応援する気持
             ちにはなるも、オリンピックなどは国籍や民族などのナショナリズ
             ムを超え、世界平和を希求し謳歌する「平和の祭典」なのであっ
             て、国力を競い、国威を発揚するためのものではない。
  自国民優越意識―他国民・外国人とくにアジア・アフリカ系外国人を見下す
  国のやること―政府のやること―には大人しく従う。
      「愛国心」―かつては「忠君愛国」の教育で(小学校の国語の教科書には
              「サイタ サイタ サクラガサイタ」「ススメ ススメ ヘイタ
              イ ススメ」「ヒノマルノハタ バンザイ バンザイ」「ニホン
             ヨイクニ キヨイクニ セカイデヒトツノカミノクニ」などと)
                               国家主義・軍国主義に。
 
 そこで問題は政治についてであるが、選挙の際に投票し、支持率調査で支持する政治家(候補者)・政党に対して国民(有権者)は保守系か革新系かなど、どんな政治家・政党に親近感をもって支持・投票するのかだ。

 支持・評価の判断材料となる情報やエビデンス(根拠)を提供してくれるメディア(SNSも含めて、NHK・読売・産経・朝日・毎日・フジ系・朝日系・日テレ系など大手や地方紙・政党機関紙も)や論者に対して―自分の考えとマッチした情報・エビデンスを提供してくれるメディア・論者・発信者に親近感をもつ。悪く言えば「自分に都合のいい情報・エビデンス」を選びがち。
 メディアや論者にも、自分の考えに近く親近感のもてるメディア・論者もあれば、そうでない(自分とは反対側の方に近い)ものもあるわけである。人によっては特定のメディアに対して親近感をもち信頼を置いて、それを情報源にしている者もいるわけである。
 一般にマスメディア(ジャーナリズム)は「社会の公器」として公正・中立が原則とされ、また「権力の監視」の役割をもつとされているが、中には政府の広報機関でもあるかのような「政府.与党寄り」なものがあり、政府与党やその同調者からみれば、そのほうが「真とも」であり、そうでない方が偏向だとみなされたりする。
 首相が各界の有名人・著名人・芸能人それに後援会員まで集めて「桜を見る会」など公費で主催したりして問題になっているが、メディア幹部や記者とは料理店で会食、互いに「親近感」をもって接する場を設けている。(情報交換の場、メディア側にとっては取材の場のつもりにしているのだろうが。)
 (昨年は24回、「読売」は5回、「日経」は6回
 最近では11月15日フジテレビグループ代表と会食
         18日「読売」の論説委員長・編集局長と会食
         20日内閣記者会キャップと会食
       12月10日「日経」の政治部長らと会食
          17日報道各社の首相番記者と会食)(これらのニュース・ソースは首相との会食には招かれることのない新聞社の記事情報)
 首相はほとんど毎日テレビ・新聞に顔が映る。時には野党から追及を受ける場面などマイナス・イメージに映る場合もあるが、野党は首相や閣僚の不祥事追求・批判など「揚げ足取りばかり」やっているかのように受け取られるのに対して、首相の方は内政・外交とも絶えず精力的に取り組んでいる姿がアップされ「やってる感」(頑張ってる感)が目に焼き付いてプラス・イメージとなる。たまにわずかしか映されることのない野党党首に比べれば、はるかに国民に親近感が得られる機会に恵まれている、というところにも首相在職期間を史上最長たらしめ好条件があるのだろう。

 国民(有権者)は為政者・政党を親近感・信頼感・期待感など感覚的なものによって選びがちだが、それにしても有権者にとって必要なのは(この為政者と批判政党の云ってること、理念や政策のどちらが本当に真ともなのか、この社会この国、この国の憲法は本当にどうあるべきなのか)真理・真実を見抜き、見分ける理性的な判断力なのであって、イメージやフィーリングによって騙され、惑わされてはならないのだ。

 この国の為政者、アメリカの為政者はどうなのか。ポピュリスト政治家とは―大衆心理を見抜いてそれを巧妙に利用。
 かつてドイツの為政者はどうだったのか。
 ヒトラー―「わが闘争(マインカンプ)」に曰く
   (東京法令出版『世界史コンパニオン』によれば)
   「大衆の支持を得ようと思うならば、我々は彼らを欺かねばならぬ。・・・・巧みな宣伝をたえず用いれば、人々に天国を地獄と見せることも、その逆に、最も惨めな状態を楽園のように見せることもできる。」
   「人々の大多数は、その態度及び性質に置いて女性的であるから、かれらの活動や思想は、冷静な考慮によって動機づけられるよりは、感情によって左右される。・・・・宣伝の効果は、したがって、常に感情に働きかけることにむけられねばならない。・・・・大衆の組織者は・・・・大衆の弱点と野獣性につけこむよう努めねばならない。」
 (ウエブサイト「ヒトラーの名言が世の中の真実を語っていて恐ろしい―NAVER」によれば)
   「大衆は小さな嘘より大きな嘘、何度も繰り返される嘘に騙されやすく、ドラマティックな嘘には簡単に乗せられてしまう。大衆は小さな嘘はよくつくものだが、大きな嘘をつくことは出来ないし、大衆の多くは無知で愚かだからである。偉大な嘘つきは偉大な魔術師だ」
   「女は弱い男を支配するよりも、強い男に支配されたがる」
   「熱狂する大衆のみが操縦可能である」「政策実現の道具とするため、私は大衆を熱狂させるのだ」
   「平和は剣によってのみ守られる」
   「私は間違っているが、世間はもっと間違っている」「弱者に従っていくより、強者に引っ張っていってもらいたい・・・・大衆とはそのように怠惰で無責任な存在である」。


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