<以下は国際ジャーナリストで「9条の会」の世話人も務める伊藤千尋氏の著書『9条を活かす日本―15%が社会を変える』新日本出版社による>
悪政を覆す方法―選挙で50%以上の票を獲得できればよいが、選挙まで待たなくても15%の市民が立ち上がれば、社会の空気を変えることができる―「15%の法則」。
10%強の人々が一斉に目立つ行動をとれば、世の中すべてがそうしているように見える。
例:9・11の時の星条旗―ロスアンゼルスの中心部、街を走る車はすべて国旗の小旗をつけている・・・・ように見えた(新聞もテレビも「すべての車が国旗を掲げて愛国の意志を表明しています」と流した)が、実は(交差点に立って数えてみると)11~13%だった。
ベルリンの壁崩壊の時―きっかけは東ドイツ第2の都市ライプチヒの中心部にある教会で月曜の夕方行われる祈りを終わって出た市民200人が、そのまま自由化を求めるデモを始め、その後も毎週月曜にデモ。人数が5千人、2万5千人へと膨らんだが、ここまでは警察が武力で鎮圧。しかし、7万人(ライプチヒの全人口の10%強)に膨らむと警官は手出ししなくなった。当局の目には市民がみんなデモをしているように見えたのだ。それが12万人(20%)に達すると警官は交通整理をしてデモに協力するほかなかった。デモはベルリンに飛び火し、首都で史上最大の100万人に達し、数日後ベルリンの壁は崩壊した。
南米チリの選挙―1990年(国民投票によって)民主化した後の選挙結果分析―
有権者の3割―固い右派
3割―固い左派
4割―中間派―自分では何もせず、政治の流れに引きずられる。
選挙では、その中間派を引き寄せた方が3割と4割の合計7割を占めて勝利。
右でも左でも、中間派にまで影響力を及ぼすのは、結束してエネルギーを持った時。
3割が結束するためには、その半分の15%が強く行動に出た時だろう。
右派3割、左派3割、中間派4割という割合はどこの国でも似たようなものではないか。
(国民の3割は保守的で3割は革新的、残る4割は無関心か或いはどちらにもなびく中間層)
どこの国でも15%が結束した勢力が、その社会を政治的にリードするのでは―15%の市民が一斉に明確な行動を起こせば、直ちに社会の空気を変えることができる。
「一斉に明確な行動」―「みんながそういう思いで、そうしているように見える」アピール力を持った行動―デモ、「アベ政治を許さない」の札を付けるとか・・・・。「街角で訴えても、無視して通り過ぎる人がほとんどで、この声が届いているのか不安―反応が感じられない―しかし、訴えは通じないように見えても実は通じていた。その人々の耳にも聞こえているのだ―あきらめずに声を上げることが、いつの日か壮大な人々の行動を呼び起こし、国政を変えていくのだ。」
「最大の悲劇は悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である。沈黙は暴力の陰に隠れた同罪者である」―キング牧師
「行動する良心たれ。行動しない良心は悪の側にいる」―キム・デジュン整然とした非暴力の抗議行動、思想や信条を超えて幅広い人々が集まる。
マスコミは報道しなくても、SNSなどネットや口コミで知り、共鳴して集まる。