米沢 長南の声なき声


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「市民連合やまがた」の集会―つながろう!市民と野党
2019年02月12日

 それは9日山形市内で開かれ160名以上が参集。
 「市民連合」とは3年前安保法案の強行採決に憤激した市民が、その法制廃止と立憲主義の回復を求め、立憲野党との共闘と幅広い連帯をめざして全国各地で結成された。それは「思想・信条・政党支持の違いを超えた国民多数の革新的な運動の結集」のために結成された革新懇と軌を一にしており、革新懇が積極的に関わって然るべきだろう
 当面、本年相次ぐ統一地方選挙と参院選を控え、アベ自公政権の暴走と改憲派3分の2議席を阻止すべく野党は共闘・選挙協力し、統一候補を擁立して選挙戦に臨まなければならない。その決意のほどを各党と現議員に確認しつつ共に課題を考え合う、そのための集会だった。
 最初、元シールズのメンバーで東京の市民連合結成の呼びかけ人となり事務局を務めている諏訪原氏が講演。バブル崩壊・冷戦終結後生まれ世代としての新感覚・新視点から社会の見方、運動スタイルのあり方・課題を話してくれた。 
 そこでは、旧来の社会制度(企業と家族に依存した日本型生活保障システムなど)や(国家と個人の間に介在する)中間集団(企業や組合や家族・コミュニティーなど)による支えが失われ頼れなくなって社会が「個人化」。若者の多くは個々人が人生上のリスクに対して自己責任で対処するしかなくなっている。学生などはローン同然の貸与型奨学金を借りるか、アルバイトで余裕がなく、リアルな日常に政治の声は届いていないし、政治に関わるルートも見えない、そんな政治には関わらない方が楽であり「無関心」になるか、深く考えずに権力を持つ者に従うことが生存戦略となって「右傾化」しがちとなる。そのような状況に対する安倍自民党の「処方箋」は「日本をとり戻す」ことにあるが、それに対して私たちはどのような政治を対抗軸としてつくりだせばよいのか。「個人化した社会」の進展にフィットしなくなって機能不全に陥っている今の社会制度を新たに組み直す必要に迫られている。
 そこで政治や社会運動も市民(個人)参加型が求められる。SNSなどで(ゆるやかなネットワークを通じて)呼びかけ誘い合って路上(デモ)や広場(集会)に集い、自分自身の考えを自分の言葉で「私は・・・・」「私たちは・・・・」とスピーチ、そして「選挙で変えよう」「選挙に行こうよ」とコール。そうやってアクションを起こし、それを写真や画像で可視化(候補者の声や顔だけでなく、集まった支援者「みんな」の姿が見えるように)。そうして、それが「私たち」普通の市民のリアルな「政治文化」となるように。
 与野党の対立軸は「公」と「個人」のどちらを重視するかで、与党は「日本をとり戻す」というのに対して市民と野党は「個人をとり戻す」「憲法をとり戻す」と。
 野党共闘は、今のところ1人区での野党候補一本化の方針は確認されているが、具体的な一本化の作業は進んでいるとは言えない。(それにひきかえ自公側は全ての1人区で候補者を確定している。)政策を摺合せ、共通点を打ち出す政策協定に達しなけれならない。(それは選挙の時だけの短期的・便宜的な選挙戦略にとどまるのなく、その政策実現を果たす連合政権につながるものでなければなるまい―筆者)以上のようなことが講演で指摘された。
 続いて舟山参院議員が立って、自分の選挙の時には野党統一候補一本化で当選を果たすことができたが、今度の参院選の統一候補は未だ決まらず「やきもきさせて申し訳ないが、不戦敗で終わらせることは絶対ないので、もう少しお待ちいただきたい」とのことだった。
 その後、正面に舟山議員と各党代表5人、諏訪原氏と市民連合やまがた代表世話人が並んで、つないだ手を上に掲げ、それに向かって参会者全員が、配られたボードを掲げて「ひとつになろう 平和のために」「市民と野党で手をつなごう」と気勢を上げた。
 最後に、立憲民主・国民民主・社民・新社会・共産各党の県代表幹部が前に居並んでそれぞれ決意を述べ、会場からの質問、「先の衆院選挙での苦い失敗に鑑み、その二の舞になることのないようにして一日も早く政策協定と統一候補の決定にこぎつけて欲しい」等の強い要望を受けていた。

 これまでの経緯をたどると、先ず舟山議員を中心に立憲民主・国民民主・社民の3党に連合山形を加えた「5者協議」で統一候補を人選した上で、それに共産・新社会両党にも乗ってもらう(既に候補を立てている共産党には候補を取り下げてもらう)という手順で昨年12月中に目途を付けるつもりだった。それが、長引いてしまい、目下「候補者を男性数人に絞っている段階」だという(舟山議員が集会後報道陣にそう語ったと翌日の新聞に出ていた)。(共産党の県委員長は集会のその場で「初めから一本化に向け、我々をも加えた協議がスタートしていればよかったのものを」といったようなことを述べていたが、彼らの立場からは見れば、そのような手順には違和感があるも、オール「市民と野党」が結集して勝てるようにするには、それもいたしかたあるまい、といったところか。)

 野党間では理念・基本政策の違いと利害関係もあり、選挙協力・政策協定など共闘に向けた動きは難航しているのだろうが、自公の緊密な連携と優勢な多数議席に支えられて「盤石な安定」を保っているアベ政権に対抗し、その多数議席を切り崩して政権に終止符を打つためには、「一本化」調整がいつまでも難航してしっかりまとまれず、協力体制が整わないまま選挙に突入するようなことがあってはけっしてなるまい。


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