米沢 長南の声なき声


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沖縄県民投票と米大統領宛の電子署名(加筆修正版)
2018年12月27日

 辺野古米軍基地建設のための埋め立てに賛否を問う県民投票。過半数を得た方の結果が投票資格者総数の4分の一以上に達した場合、結果を知事は首相及び米大統領に通知する。というそれだけのことのようだが、それには次のような意味がある。
 宜野湾市の普天間基地撤去は当然だとしても(そもそも普天間は米軍から無法に強奪された土地で、返してもらうのに移設先を提供せよなどと交換条件を付けるのは筋違いであって無条件撤去が当然)、その代替施設を辺野古の沿岸部を埋め立ててまで建設してよいものか、その一点についてだけ県民に賛否を問う。二者択一だが、その判断に際しては、その人が、国の安全保障政策の方が大事だという立場に立つか、安保政策のためとはいえ沖縄県民に負わされている過重・理不尽な基地負担はもう沢山だという立場に立つかで、立場が分かれるだろう。「普天間基地撤去のためには辺野古移設もやむを得ない」ということは国の安全保障のために沖縄のどこかでが引き受けるしかなく辺野古の「埋め立てもやむを得ない」ということで賛成ということになるし、賛成か反対かのどちらかであり、「どちらとも言えない」ということはあり得ないだろう。
 もし、賛成が反対を上回れば県民は国の安全保障の方が大事なんだということになり、反対の方が上回れば、県民は沖縄の平和な「美ら海」を守ることの方が大事なんだということになるだろう。
 投票結果には法的拘束力はなくても、反対の方が上回った場合、それを無視して埋め立て建設を強行するとなれば、沖縄県民にとっては「琉球処分」にも匹敵する屈辱の歴史を刻み、県民感情を大きく損なう結果となるだろう。
 この県民投票を一部の市町で、投票実施に要する経費を計上した補正予算案を議会が否決するという事態が起きている。それは首長が政権寄りで、議員も辺野古移設賛成派が多数を制している市町で起きているが、「県民投票つぶし」の政治的策謀にほかなるまい。県民投票は市民団体が9万人を超す署名を集めて請求し、それ応じて県議会が実施を決めたもの。投開票事務等の処理は市町村の選管が当たることになっているが、その県民投票の事務処理は市町村の法的義務となっていて、「議会の判断は重い」との理由でそれを行わないことは違法となる。市町民には辺野古基地建設に賛成であろうと反対であろうとその意志を表明する権利があり、その投票権が首長や議会によって奪われ、投票機会が剥奪されるようなことがあってはならない。このいわばボイコットが強行されたならば、それはその市や町の民主主義にとって消し去ることの出来ない汚点として歴史に刻まれるだろう。

 沖縄県外の人は投票できないが、米大統領宛の電子署名ならできる。オバマ政権以来ホワイトハウスにはネットで請願署名を受け付けるウエブサイトが設けられていて、署名開始から30日以内に10万人分集まれば、ホワイトハウスは60日以内に何らかの対応を行わなければならないことになっているのだそうだ。今回のそれは母方が沖縄出身でハワイ在住の日系4世ロブ・カジワラ氏が呼びかけたもので、「沖縄で県民投票がなされるまで辺野古・大浦湾の埋め立て停止を命じて下さい」というもの。1月7日(30日目)で(当方の一筆も含めて)20万筆に達したとのこと。トランプ大統領はこれにどう対応するのか不透明だが、たとえ無視で済まされたとしても、内外の著名人も呼び掛けに加わって沢山の心ある人々が署名を寄せメディアがそれを取り上げれば、少なくとも「あれだけの請願があった」「なのに大統領は・・・・」という事実は消去されず歴史に残るわけだ。


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