米沢 長南の声なき声


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カジノ誘致は経済効果よりも倫理的問題
2018年12月03日

 朝日の「耕論」で「カジノ誘致の胸算用」についてお三方の見解が。お二方は肯定的に「欲望 税収・雇用につなげ」「地方 若者流出に歯止め」、お一方は否定的に「客争奪 もはや斜陽産業」と。
 いずれも税収・雇用・観光客などの経済効果とギャンブル依存症・治安悪化対策など社会的費用との損得計算でプラスかマイナスかの観点から論じられていたが、それが、たとえプラスだとしても、それならよいで済まされるのかだ。人心を堕落させる風俗産業や大麻などの麻薬産業、それに人殺しの道具を作って売る銃器・兵器産業などと同様、税収や雇用などの経済効果と身を護り国を守る上での有用性はあるとしても、その前に倫理・人道上はたして許されるのかで考えなければならないのでは。
 それらは他の誰かに損失・犠牲を負わせ、不幸・悲惨に陥れることになる必然性を前提にして自らの欲望を達成し、或はサバイバルを確保するというものだからである。
我が国では賭博は古来よりご法度とされ、戦後、最高裁判例では賭博を処罰する根拠として「健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」ことを指摘している。
 ところが戦後復興に際して財源確保のため「公営ギャンブル」として特例で認められてきた競馬・競輪・宝くじなどと、法的に賭博ではなく「遊戯」と見なして容認されてきたパチンコなどと合わせて、実質的に既に世界最大のギャンブル大国となり、ギャンブル依存症の有病率も最悪の国となってしまっている。かてて加えてカジノまでも容認されるとなれば、オリンピックと万博で観光客を呼び込み、カジノで税収や雇用が増えたとしても、それで得意がるような日本人だったのか、と思うのだが如何なものだろうか。


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