米沢 長南の声なき声


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自衛隊違憲論について私見
2018年09月11日

 「自衛隊は災害などでは活用するしかないが、違憲は違憲だ」というのと、「自衛隊は違憲だなんて言われないように憲法にはっきり明記して、災害など緊急事態には存分に力を発揮してもらえるようにしたほうがよい」というのとでは、どちらが分かりやすく共感しやすいか。それで自衛隊明記改憲に賛成か反対かと訊かれると、どうしても賛成の方が多くなるのでは?
 それに違憲論者に対する批判には、自衛隊は違憲だといいながら、災害等があるとそれに頼り、利用しようとするが、違憲だというなら、即時解体を主張してすべきなのに、それを言わないのはご都合主義であり欺瞞だという批判もある。
 そこで思ったのは、自衛隊は違憲だとアタマから決めつけ、丸ごとダメだと全否定するのではなく、戦争につながる違憲部分(自衛隊法では「主たる任務」とされている「防衛出動」など軍事の部分)もあるが、災害救援や領海・領空警備など(自衛隊法では「従たる任務」とされているが)違憲には当たらない部分もあるという二側面があることを峻別にして論じるようにするほうがよいのでは。そうすれば、「自衛隊は違憲、ならば即時解体」ということにはならず、違憲には当たらない災害救援や領域警備等の非軍事の部分は維持し活用して当然ということになる。(領域警備活動の行動基準・武器使用基準は海上保安庁等と同じ警察比例原則で
 ① 相手(侵犯者)の武器に比例―武器は相手と同等の武器まで可能―「大砲には大砲、戦車には戦車、戦闘機には戦闘機、ミサイルにはミサイル、潜水艦には潜水艦・・・・・」というように。
 ② 攻撃は相手を制圧(排除)するところまでで殲滅(殺す尽くす)までには至らず
 ③ 活動・追撃の範囲は自国領域から公海上まで。 )

 国民の多くが自衛隊を支持しているのは、その災害救援・領域警備活動等の部分に対してであり、それによって国土と国民を自衛隊が守ってくれていると感じているからにほかならず、中国や北朝鮮などが戦争を仕掛けてくるかもしれないからその際に米軍と一体になって戦ってもらえるからというわけでは必ずしもないのでは?
 ところが、安倍自民党が「自衛隊違憲論争に終止符を打ち、隊員が堂々と胸を張って活躍できるように」との理由で改憲しようとしているのは、自衛隊には9条に抵触する軍事の部分があるので、その条項に自衛隊保持を書き加えることによって自衛隊にやらせたい軍事など全てのことが憲法上認められるようにしたいがためにほかなるまい。我々が反対しているのは、そのような改憲に対してであって、自衛隊の災害救援や領域警備活動まで反対しているわけではあるまい。その非軍事部分の方はむしろもっと充実しても。
 尚、自民党の自衛隊合憲論は13条(生命・自由・幸福追求権に対する権利については国政の上で最大の尊重を必要とするという規定)を根拠として、自衛隊はそれら国民の権利を外敵から守るために9条の下でも例外的に武力行使が認められる実力組織なのであって違憲ではないとしてきたが、今度は他国に加勢する集団的自衛権の行使まで限定的とはいえ容認する解釈改憲をしたうえで、さらに9条に自衛隊を明記して加憲し、それまでも全て合憲化しようとはかっている。しかも、そのように改憲しても、「自衛隊は今までとはなんら変わることはないのです」などと言っている。
 その自民党の自衛隊全面的合憲論に対して、全面的違憲論ならぬ「部分的合憲論」ともいわれるような違憲論なのだが、如何なものだろうか。


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