森友問題―①国有地のタダ同然の格安払下げ―どうしてそういうことが行われたのか。②交渉記録・決裁文書など公文書(国会から求められて提出した文書)改竄は誰が誰の指示で何故行ったのか。
憲法62条(国会の国政調査権)「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」
議院証言法―刑事訴追で罪に問われる恐れがある場合は証言を拒否することが認められている。但し、その場合は犯罪の構成要件に関わる事実か、密接に関連する事項に限られる。
佐川前理財局長の証人喚問―自身の関与は「刑事訴追の恐れがあるから」と証言拒否を連発(乱用)して関与を認めなかった(やましいところがあって「関与していない」とは言い切れないのだ)。
それにもかかわらず、首相夫妻や官邸からの「指示」「不当な働きかけ」はなかったし、「影響あったとは考えられない」と言い切る(根拠を示さずに)。要するに改竄の認識については証言を拒みつつ、官邸からの指示は明確に否定するというダブルスタンダード。(「指示」「不当な働きかけ」「直接関与」はないとしても、それ以外のなんらかの働きかけ、間接的関与はなかったのか?は不明。(政治家からの「問い合わせ」等、必ずしも「不当」とは決めつけられないかもしれないが、なんらかの働きかけはあるはず。「影響あったとは考えられない」といっても、それは佐川氏の主観にすぎない。)
結局、真相は何一つ分はからず、疑惑は深まるばかり。このような佐川氏の証言態度は誠実な態度とは到底言えまい。そこには政権にはひたすら忠義だて(前時代の「忠臣」根性)と、ひたすら自らをかばう「自己保身」根性がみられ、民主主義時代の公僕(国民全体の「奉仕者」)たるべき公務員精神とは程遠いと思わざるを得ない。
この種の事件の再発防止―どのようなことが必要か。
それは省庁の幹部と職員に法令順守など自覚を促すとか、公文書管理のあり方(システム)に手直しを加えるとか、その程度にとどまるとすれば、必ずまた起こるだろう。
必要不可欠なのは「忖度行政」(国民に対しての忖度ならいいが、国民をさしおいてトップや上層部に対して忖度)を廃すべく内閣官房人事局の見直し(或いは廃止)、もう一つは「一強」長期政権となっている現内閣を総辞職させて(自民党の元行革相・村上誠一郎議員いわく「佐川さんが一人で罪をかぶる姿勢は正しいか。最高責任者が責任をとらないのは一番の問題だ」と、それは安倍内閣は退陣すべきだということだろうが)内閣を一新し、新内閣の手で抜本的な再発防止策を講じるようにすること、そして(自民党の総裁だが)総裁任期を短縮する(連続3期9年を2期6年に戻す)こともあって然るべきだろう。
そうでもしない限り、このような事態はまた起きるだろう。この問題を、とかくすると単なるスキャンダル事件に過ぎないかのように考え、「こんなことばかりに、いつまでもこだわり続け、肝心のことを疎かにしている」などと言う向きもあるが、それは間違いだ。この問題は人事権・任命権を握る権力者に対して有利になるように、官僚(或いは司法官)が、その指示・働きかけに応じ、或は意向を忖度して行政処理(或は司法判断)が行われ、公文書の意図的な廃棄・不作成・隠ぺい・改竄が行われる事態にもなっていることがはっきりしているのに、その不公正・不法行為を曖昧にし、そのような事態を招いている官邸・内閣人事局による幹部人事の一元管理など政治権力の一極集中体制をいつまでもそのままにしておいては、行政処理も或は司法判断・国会審議も(正確な公文書・データが改ざんも隠ぺいもなく提示され、それに基づいているのでなければ)まともに行われるはずはなく、国民の公益は損なわれ、民主主義が大きく損なわれてしまうからである(現安倍政権は昨年の総選挙で大勝して成立しているが、その総選挙は安倍政権下での省庁における公文書記録の改ざん・隠ぺい等が行われている事実を国民は何も知らされないまま投票が行われたわけであり、そんな政権にはたして正当性があるのかだ)。