米沢 長南の声なき声


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「戦争やんだ!」ではなく「戦争するな!」と反戦の声を(追記あり)
2017年08月28日

 「戦争やんだ(嫌だ)」なんて、それは誰だって嫌だろう。今、叫ばなければならないのは「戦争するな!」だ。今、やられかかっているのは休戦中の朝鮮戦争の再開だ。
 北朝鮮は核・ミサイル開発をずうっと推し進めてきて、アメリカ・日韓はもとより、中ロも安保理で決議を重ねた制裁に同意して、阻止にやっきとなってきたものの止められず、今やアメリカ本土に達するICBM(大陸間弾道ミサイル)実験にも成功しかかっている(1~2年後には完成と見られる)。それに対してトランプ大統領は「北朝鮮がこれ以上米国を威嚇するなら、世界が見たこともないような炎と怒りに直面することになる」と。すると北朝鮮はグアムに向けミサイルを発射する計画を検討していると公表。米軍の統合参謀本部議長は韓国大統領を訪ね「外交努力が失敗した場合を念頭に、我が国は軍事オプション(選択肢)を準備している」と。
 これらに前後して、安倍首相はトランプ大統領と電話会談を行っているがその際、大統領は「9月9日(北朝鮮の建国記念日)にピョンヤンを空爆してやる」と言い、安倍首相は、「その時は、必ず事前に連絡してほしい」と言ったという(「週刊現代」がスクープとして報じている)。
 河野外相と小野寺防衛相が訪米して日米安保協議委員会(2プラス2)。そこで日本側は北朝鮮の核・ミサイル問題について「対話のための対話には意味がない」として対話による解決を否定、「日米韓が連携して、北朝鮮に対して最大限の圧力をかけていく必要がある」として米国の軍事的圧力強化を促している。
 米韓は8月21日から合同軍事演習―最新鋭迎撃ミサイル・システム(THAAD)の配備、北朝鮮首脳殺害の「斬首作戦」など。これに対して北朝鮮は「危険な軍事挑発を仕掛けた以上、無慈悲な報復と容赦ない懲罰は免れない」と。
 このように米朝双方の「挑発・威嚇合戦(応酬)」を展開、緊張の度が強まる一方(ピークに達して「Xデーが迫る」?「カウントダウンが始まっている」?)。
 このような時に際して、日本政府は専ら軍事的抑止力の増強と迎撃ミサイル配備などの軍事的対処法、それに住民の避難訓練(グアムに向けられた弾道ミサイルが上空を通過する市町村で、防災無線を利用した全国瞬時警報システムJアラート訓練など)にばかり意を注いでいる。マスコミも、このような状況・成り行きを静観し解説して伝えるだけで、関係国はどう臨むべきか、国民はどうすればよいのか、政府はどのようにすべきなのか、「他にやるべきことがあるはずだ」といった訴えや主張がない。そして我々も、それに唯黙って従っているだけ、とはいわないまでも、唯「困ったもんだ」と口説くだけ、「でも、しょうがない(成り行きにまかせるしかないか)」とつぶやくだけで、黙って見てるしかない。しかし、自然災害なら「やめろ」といってもやめさせることは不可能で、ただ被害を最小限にとどめるための対策を講じるか、あとは避難するだけだが、戦争はその気になればやめさせることができるはずのもの。人々が最小限できることは「戦争するな!」「話し合え!」とみんなで声を上げて叫び、或いは発信して訴えることだ。今我々国民が必要に迫られているのはそれだろう。北朝鮮もアメリカも韓国も日本も「戦争だけはするな!」と。
 アメリカと北朝鮮のどちらかが仕掛ければ、或は偶発的局地的に軍事衝突して開戦すれば、北朝鮮はたちまち崩壊する(制裁圧力強化でぎゅうぎゅう追いつめて苦し紛れの暴発・開戦を誘って一気に崩壊に導くというのも方法ではあるが)。しかし、その間に北朝鮮は「窮鼠猫をも噛む」で、死に物狂いで戦うだろう(生き残りをかけて、或いは自暴自棄的に「どうせこれ以上失うものはないんだから」とばかり)。それに対してアメリカは、圧倒的な軍事超大国で、遠く離れたアメリカ本土に北朝鮮のICBMが極くわずかな確率で届きはしても、ほとんどは無傷だろう。しかし、韓国・日本はそういうわけにはいくまい。
 まず、韓国はもろに戦災を被る―通常兵器だけでソウルは「火の海」、開戦後24時間以内に死傷者230万人、核兵器や生物・化学兵器が使われれば1週間で死傷者500万人。
 日本には米軍基地(三沢・岩国・嘉手納、東京周辺の横須賀・横田・・座間など)が弾道ミサイル攻撃され、或は東京(永田町付近)が核攻撃されれば直後に10万人、30日以内に32万人、計42万人以上の死者がでるだろう(これらは「週刊現代」に)。それに、以後、朝鮮国民の日本に対する根強い恨み(民族的反感)がさらに強まる結果となる(過去に日本によって過酷な植民地支配を受け、戦後は米ソ冷戦で半島は韓国と分断され、日本は韓国とは国交、同国に対しては賠償など過去の清算は済んでいるとされているが、北朝鮮とは未だに何の清算も行われてはいない。彼ら北朝鮮国民から見れば、日本の方が極悪・非道だという民族的反感がさらに強まることになる。)
 また、未だに残る拉致被害者は、この戦乱の中で、はたして無事でいられるか、というリスクも考慮しなければなるまい。
 だから、戦争(朝鮮戦争の再開)は、アメリカは韓国や日本の米軍基地にいて前線で戦う将兵に犠牲者が出る以外には米国民は大丈夫でも、日本と韓国はそういうわけにはいかないのである。

 ここにきてようやく軍事衝突を回避するための米朝間の直接対話、「核の破局を避けるため」の「前提条件なし(無条件で)の二国間会談」を求める気運・国際世論も生まれつつある。
 トランプ大統領が北朝鮮に対して強硬・過激な発言をすると、中国・ロシアの首脳や外相は「関係国は抑制を保ち、外交交渉を模索すべきだ」と対話による解決を呼びかけ、ドイツのメルケル首相も「この紛争に軍事的な解決はない」と強調、韓国の文大統領も(8月15日には)「北朝鮮が追加的な(これ以上の)核とミサイル挑発を中断してこそ、対話の条件が整えられる」と表明している。
 米政権内にも、米国が軍事的解決に向かえば「信じられないほどの悲劇がになる」(マティス国防長官)との言葉も聞かれるようになり、「対話」による解決を模索する動きも。ティラーソン国務長官も国防長官とともに、これまでは「対話の用意がある」とは言っても、北朝鮮に「非核化の意思と行動」がないかぎりダメだとしてきた、そのハードル(条件)を「これ以上の軍事挑発の停止」さえあれば対話に応じるというところまで引き下げて外交的解決を模索する姿勢を見せている。

 ところが、我が日本では、首相も外相も防衛大臣も「対話のための対話は意味がない」と言って対話は突っぱね「圧力一辺倒」、メディアには「反戦」の言葉はなく、国民世論に反戦の気運がないのはどうしたことであろうか。
 まったくもって北朝鮮は「困った国」だが、「話しても分からない国」だし、戦争になっても「しかたない、やるしかい、やってもらうしかないだろう」という気分の方が勝っているのだろうか。
 唯一つ、8月22日国会前(衆院第2議員会館前)で、「許すな憲法改悪!市民連絡会」・「平和をつくり出す宗教者ネット」などが呼びかけて開かれた集会で、「朝鮮半島を再び戦場にしないで」と銘打った集会があって、約100人の宗教者・市民が集まったとのこと。そこで「早急に最悪の事態を回避するために、6ヵ国協議を再開し、対話による平和解決を求めるべき」と。

<追記>8月29日早朝、北朝鮮は新型の中距離弾道ミサイルをピョンヤン近郊の空港から発射、日本の北海道襟裳岬上空を通過し太平洋上に着水した(最高高度550キロ、飛翔距離2,700キロ、飛翔時間12分、日本上空を通過するのは2016年以来5回目で、発射方向を事前に予告せずに発射したのは初めて)。
 発射して間もなくJアラートで伝えられた緊急情報に電車が運転を見合わせたり、学校を休校にしたりしたところが幾つかあった。
 この事態に、安倍首相はトランプ大統領と電話会談。首相は「北朝鮮に対話の用意がないことは明らかで、今は圧力をさらに高める時だ」と話し、大統領は「同盟国として米国は100%日本と共にある」と応じ、北朝鮮に対して米国には「全ての選択肢が俎上にある」(武力行使も)と。
 30日、北朝鮮側の報道では、これはこの期間中に行われている米韓合同軍事演習への対抗措置であり、「日本が慌てふためく作戦」で「日本に対する積年の恨みを晴らした」とも。
 (日本に対してこんな言い方をされると「怪しからん」「許せん」となるが、冷静に考えた場合、そもそも北朝鮮はいったい何を求めて、こんなことをやっているのか?それはひとえにアメリカとの間で未だに休戦協定に止まっている朝鮮戦争の和平協定実現と体制(北朝鮮国家の存続、キム政権維持)保証を求め、対等な立場で交渉できるようにしたいからにほかならないのだ、それ以上の対外侵略など無謀な野望があるわけではないのだということだ。)
 国連安保理は緊急会合が開き、北朝鮮を非難、発射の即時停止を求める議長声明を全会一致で採択とのこと。強硬な日米韓は、安保理に、先に合意した過去最大とされている制裁決議の上に、さらなる追加制裁を迫っている。
 こうして行き着くところは、いったいどこへ?制裁圧力から終には軍事衝突・戦争へか。だとすれば、吾人は北朝鮮・アメリカ・韓国それに日本も「戦争だけは、してはならないぞ!」と叫ぶしかあるまい。
 9月3日北朝鮮「水爆」実験 「成功」と。


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