米沢 長南の声なき声


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「忖度」と余談―ワンクリック詐欺
2017年04月04日

 「忖度」とは、「そうせよ」とか「そうしてほしい」と言葉で求められなくても、相手はそれを求めているな、と心(意向)を推しはかって、その意に沿おうとして事を行うこと、といった意味。「口利き」も、一言「よろしくね」と言われただけで(具体的に「こうこう、こういうふうに取り計らってもらいたい」と言われなくても)、意向を推しはかって応答し、事を行うが、忖度は何も言われなくても行われる。
 それは「以心伝心」などとともに、外国語には完全に一致する言葉はなく日本人・日本社会に特有の風潮なのだろう。(朝日新聞の「天声人語」によれば、最近、英紙フィナンシャル・タイムズの見出しはSontakuと記して、「まだ出されていない命令に、先回りして懐柔的に従うこと」と訳していたとのこと。)
 それを早大・水島朝穂教授は日本社会における構造的問題として「構造的忖度」と論じている。
 ところで、まったく別の話だが、この「構造的忖度」というものをネットで調べようとして、その漢字5文字を打って検索したら、幾つもの関連項目が羅列。まずは、その筆頭にあった「直言『構造的忖度』と『構造的口利き』-『構造汚職』の深層」をクリックして開いて読んだ。次いで、上記と同様の表題「『構造的忖度』と・・・・の深層」に「―・・・・(アルファベット4文字)のブログ」と付け加えられているのが二番目にあったので、それも見てみようとクリック。開いてみると、枠内の真ん中に右向きの△印がある大きめの枠があって、その」下には、小さなアダルト系の写真が幾つも並べられている、(アレっと思ったが、広告の類かとも思って)さらにその下をたどっていくと字句・短文は記されてはいるが、「構造的忖度」に関した語句は見られない。トップに戻って、もしかしてここにと、枠の△をクリックしてみたところが、いきなり「登録されました、登録料4万・・・・円」と出てきた。あわてて、その枠の×印をクリックしたら消えない。取り消し手順らしい字句もあったので、そこをクリックしたら「退会の手続き」とか幾つか出てきた中で、「誤作動の登録」を(これかなと思って)クリックしたところが、依然として消えず、出てきた枠内に問い合わせ電話番号あったので、かけてみた。ところが、相手の言うことには、「取り消しのためには30万・・・・千円を支払ってもらわなければならない、今日中に払えば20万・・・・千円は返金されます」とか。警察に相談に行ったら、それは「ワンクリック詐欺の手法だ」「この後は、向こうから催促電話などが来ても取り合ってはいけない」とのことだった。
 それにつけても、こういうネット詐欺もあるんだな・・・・くれぐれも気を付けなくちゃ!
 これに引っかかっている人はどれだけいるのだろうか?これもネット社会の構造的問題の一つには違いあるまい。
 「天声人語」には、「忖度」という言葉は、古代中国の「詩経」の中にこの言葉が見られるその一節の意訳から「もともとは悪いたくらみを見抜くこと指したのか」とも書いてあったが、それならば、この場合は、その詐欺を「忖度しなければ(見抜かなければ)ならなかった」という言葉の使われ方になるだろう。
 倉本聰氏は、報道ステーションで、忖度とは「本来は良い意味で使われる、相手を慮るという意味」なのだから、「財務省の皆さんは忖度を認めて楽になればいいのに」といった意味のことをコメントしていたが、それならば、財務省役人は、一「私人」だという首相夫人など特定の個人に対してでななく、納税者・国民に対してこそ最優先に忖度しなければ(国有地の8億円値引き売却に対して納税者はどう思うか、その国民の気持ちをこそ慮らなければ)ならなかったはずだ、と言わなかればなるまい。


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