米沢 長南の声なき声


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トランプ的現象→「ポスト真実」の風潮・蔓延の危険
2017年02月01日

 背景―グローバリズムと新自由主義(国内外にわたって人・物・カネが自由競争で動く)がもたらした諸矛盾、産業・社会構造の激変―「勝ち組」と「負け組」の格差拡大・固定化、中間層の没落→人々の憤懣・不安・苛立ち→チェンジ・「古きよき時代」(アメリカン・ドリーム)への回帰を求める
 トランプ氏が「忘れられた人たち・・・・私はあなたたちの声になる」と呼びかけ―グローバリズムの負け組―工場閉鎖で職を失った白人労働者など「忘れられた人たち」(中南米系・アジア系・アフリカ系移民から仕事を奪われ、取り残されたと思っている人たち)の存在は事実であり、彼らがトランプを支持したのは当然のことか。                
●「神の祝福」による自信―「自分は成功した。大金持ちになった。それは人々が自分を認めてくれただけでなく、神もまた自分を認めてくれたからだ。たしかに自分も努力したが、それだけでここまで来たわけではない。神の祝福が伴わなければ、こんな幸運を得ることはできなかたはずだ。だから自分は正しい。神もまた自分を祝福してくれているのだ」この根本的な確信が彼らを内側から支えているという(森本あんり・国際基督教大学教授―世界1月号)。
●ポピュリズム(大衆迎合主義)
  大衆の無知(衆愚)を利用、感情に訴え、煽る―建前(ポリティカル・コレクトネス政治的正しさ)(「そんなものでは食っていけない、そんなこと」)より本音(人が言えないようなことをズケズケと言ってのける)が受ける
  「アメリカ・グレート」・「アメリカ・ストロング」・「アメリカ・ファスト」
  など、威勢のいい言葉を多用
  内と外に敵を作って(分断)攻撃を煽る・・・・フェイト(憎悪)
    国内のマイノリティー(少数派)に対して。或はエスタヴリッシュ(既得権層)、或は自分を批判するメディアに対して(「フェイク・ニュース義情報」だと)
    外国・外国人に対して―排外主義
    タカ派的傾向―攻撃的・強硬的
●ツイッターをフル活用―拡散―有権者に直接訴える手法―威力・発揮
  大手メディアをエスタヴリッシュ(既存の支配層)の仲間と見なす向きには、そのようなメディア情報よりも、ツイッター情報の方を信じてしまう。しかし、ジャーナリズムによるファクト・チェック(検証)なしの一方的なツイッター情報だけでは、「大本営発表」を鵜呑みするようなもの、となってしまうだろう。   
●デマゴギー―フェイクニュース―嘘・偽りがまかり通る
  トランプ発言には「(01年の同時多発テロ時)世界貿易センタービル崩壊にイスラム教徒が歓声を上げた」とか「オバマ大統領がIS(過激派イスラム国)の創設者だ」などと根拠のない発言。
  ニュースにも「ローマ法王がトランプ氏支持を表明した」とか「ワシントンのピザ屋でクリントン氏が児童虐待に関与した」などと事実に基づかないニュースが流される。
●「ポスト真実」―真実か事実かなどは不問・度外視・こだわらない(不愉快な真実より、自分に好もしい断片的事実だけでよく、客観的な事実より、感情や個人的信条へ訴えかける力の方が重んじられる)。
 米国の政治家らの発言の正確性を評価するウエブサイト(ポリティファクト)によると、トランプ氏の発言(選挙後のものを含む)の7割が「ほゞ間違い」から「大うそ」に分類されるとしている。(ところが、メディアはこれらの発言に対して逐一事実関係を指摘したが、選挙結果に決定的な影響を与えるには至らなかった。米国ではテレビや新聞からニュース情報を得ている人の割合が少ないからだろう。調査機関ビュー・リサーチ・センターによると、日々のニュースを新聞から得ていると答えた人は20%で、テレビでニュースを見ていると答えた人は50~64歳は72%だが、18~29歳は27%と少ない。)(―毎日新聞が出しているネット情報サイトより)
 しかし、彼が自分の声は「民の声」、「民の声は神の声」、「神の声」は真実、間違いがあろうはずはなく、ファクトチェックなど無用、むしろCNNやニューヨーク・タイムズなどマスメディアの方が「フェイク・ニュース」を流している抵抗勢力なのだ、というわけか。
●我が国にも、それに近い減少が見られる。
 意表を突くか、とぼけた、はぐらかし発言―狡猾的話術―は小泉元首相から(「自民党をぶっ壊す」「自衛隊の活動している所が非戦闘地域」「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」など)
 安倍首相―(「福島原発事故の汚染水の状況は完全にコントロールされている」とか、「(消費税増税の再延期、その根拠を示さずに)これまでのお約束とは異なる『新しい判断』からだ」とか、「我が党は結党以来、強行採決しようと考えたことはない」、「不戦の誓いをこれからも貫いてまいります」とか。
   質問に対する答弁では、質問者の党を中傷攻撃してはぐらかす。
 トランプ当選直後真っ先に会いに行って、いわく「信頼できる指導者であると確信しました」と(それは「気が合う」、ウマが合いそうだということだろう)。
●反知性主義―知性も品性も軽視
●モラル・ハザード(道徳・倫理の欠落)―勝てれば善し―勝者が善
  こどもの教育への悪影響―いじめ・暴力・暴言・嘘・ごまかしが平気となり、その風潮が蔓延するようになる危険性。
●民主主義の陥穽(落とし穴・弱点)を利用―民主主義が正常に機能しなくなる
  民主主義には言論の自由は不可欠の要素だが、デマやウソの自由はあり得ない。
主権者・国民が、政治家や権力者の言うことが、真実・事実か嘘・作り話かわからないということでは、その主張・政策の適否を判断しようがないわけであり、民主主義は機能しないことになる。
  ぬけぬけと大きな嘘をつく。それがファクトチェック(検証)されることも、批判されることもなく、庶民はそれを真に受ける。ヒトラーいわく「大衆は小さな嘘より大きな嘘にだまされやすい。なぜなら、彼らは小さな嘘は自分でもつくが、大きな嘘は怖くてつけないし、まさかこんなことを嘘では云えないだろうと思い込むからだ」と。
 それがファシズムを招くのだ。


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