朝日新聞1月14・15日世論調査 支持54%、不支持26%
支持する理由―首相が安倍さんだから13%、自民党中心の内閣だから12%、政策の面24%、
他よりよさそうだから50%
政党支持率―自民39、民進6、公明3、共産2、維新2、社民1、自由0、日本のこころ0、
その他の党1、支持政党なし39、答えない・分からない7
このように安倍内閣と自民党の支持率が高い。
それでいて、個々の政策では、同じ世論調査でも、アベノミクスなど必ずしも支持が多い訳でもなし(半々か)、TPPも改憲も半々か、原発再稼働・安保法制・カジノ法などは反対の方が多い。又、雇用・労働問題、社会保障(年金・医療・介護・子育てなど)・教育問題など、現状に満足してはいない人は多い。なのに何故、そんなに安倍内閣と自民党の支持率が高いのか。
その訳は、結局それに取って代われるものがないから 、ということなのであり、それは野党の存在感が極めて薄いということなのだ。それは国民の視聴するメディアには、安倍首相(それに小池都知事)以外に野党とその党首はほとんど取り上げられることはなく、人々の目や耳に入ってこないからであろう。
このところ、ニュースはといえば、安倍首相のトランプ訪問、プーチン大統領を迎えての日露首脳会談、真珠湾訪問、4か国訪問など、ほとんど安倍首相の独壇場であり、野党の出る幕は極くわずか。
これらの外国訪問・首脳や要人との会談の度に記者会見、国会施政方針演説・答弁では自画自賛―「前政権に比べれば」などと民進党などの野党を揶揄しながら。NHKなどのニュースは、これらを無批判に垂れ流してくれる。
安倍首相とトランプ、それに小池都知事などはほとんど毎日取り上げられるのにひきかえ、野党共闘のことなどは、ほとんど取り上げられず、そんなこと(野党共闘の動きなど)は知らないという人の方が多いだろうし、選択肢として示されてもいない。
それにニュースでは、中国・北朝鮮などの脅威を感じさせるニュース、韓国における政情不安とともに慰安婦・少女像問題をめぐる「反日」の動き、イスラム過激派のテロなどが連日報道され、それらのニュースを見聞きするにつけ、「外敵」に対する不安と脅威を感じ、それらの「安全保障環境の厳しさ」に断固立ち向かえそうな「強いアメリカ追従政権」―タカ派政治家―と日米同盟を歓迎するムードが醸し出されている。そういったことも、民進党や共産・社民党のような「『弱腰』のハト派では頼りない」ということ(イメージ)で、タカ派である安倍・自民党の支持率を高める一因となっているのだろう。そもそも、内閣や政党を支持するも支持しないも、その判断材料はメディアからのニュース情報によって得るのだが、どんなメディアから得ているかといえば、一番多いのがテレビで50%、二番目にインターネット23%(若者が多くを占める)、新聞は少なく11%(NHK放送文化研究所の2015年調査)。
それにこれらのメディアでどんなニュースを見ているか(興味を持つ向きが多いのは)といえば、それは娯楽ニュースが多く、政治・経済の関するニュースをじっくり見ている人はいたって少ない、ということだ。(ロイター・インスティテュートによる調査―娯楽ニュースのほうにより興味あると答えた割合―26か国中最も多いのは日本で49%、アメリカは14%、18~24歳に限れば日本は58%、アメリカは23%。
つまり、日本では、そもそも国民には、内閣や政党を支持するも支持しないも、無関心な人が多いということだろう。
世論調査で調査しても、自民党は一時を除いては長期にわたって政権の座を占めてきて、有権者は子供の頃からその在りようを解っているのにひきかえ、野党については漠然としたマイナスイメージ(民進党については一時政権の座に就きはしたものの東日本大震災対応の困難も重なって失敗政権というイメージを引きつり、共産党はずうっと以前から作為的に作られてきた「自由がない」とか「何でも反対」とかのネガティブ・イメージ)しか分かっていない向きが多いのではないだろうか。自民党支持が各党の中では抜きん出て多いとはいっても、「支持政党なし」と「分からない」を合わせれば、その方が一番多いのだ。