米沢 長南の声なき声


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改憲よりも順守が先
2016年05月11日

 憲法問題といえば、今は改憲が先にありきで、それに賛成か反対かという議論になっている。
 その改憲の理由は、憲法を一生懸命順守して諸政策を実行した結果、不都合を来たしたからではなく、為政者が憲法に抵触・背反するような政策を無理に合憲解釈してそれを積み重ねた結果、不都合・不合理を来たしたからにほかなるまい。とりわけ、9条の規定にもかかわらず、当初、政権はソ連が脅威だとして軍事的に対抗する再軍備路線を採り、自衛隊の名の下に軍事力保持。それに対して反対派は、戦争は絶対避けなければならないと9条厳守を主張した。その自衛隊も専守防衛から海外派兵も容認へと拡大、今は中国・北朝鮮が脅威だとなって、集団的自衛権の行使さえ限定的ながら容認、その9条拡大解釈は極限を超えたと見られ、その不都合・不合理から改憲の必要に迫られているのだ。
 現行憲法は70年経って、すっかり定着したかのようではあるが、はたしてその前文・各条文の通りやられてきたのかといえば、そうではあるまい。未だ中途半端できちんと実行されていないか、実現への努力が充分傾注されていない部分が幾つもある。9条以外にも、14条、21条・25条・27条・29条、それに99条(憲法擁護義務)など。
 改憲の前に、まずは現行憲法を、為政者にしっかりと順守させて、その通りやるべきことをやらせることが先決なのではあるまいか。
 それをせずに、今この段階で為政者の都合や思惑で改憲を許してしまうようなことになったら、現行憲法に掲げた崇高な理想は放棄され、二度と取り返せないことになってしまうだろう。


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