米沢 長南の声なき声


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自衛隊は自衛隊
2016年03月26日

 主権国家として軍隊を持つのはどの国でも当たり前のことであるし、自衛隊は国内外で事実上の軍隊として認知・定着している、にもかかわらず現行憲法では違憲の疑いが濃厚だから改憲して正式に軍隊として認めるべきだ、という改憲正当化論について。
 まず、主権国家には自然権としての正当防衛権(自衛権)はあっても、どの国にも交戦権(戦争する権利、他国に戦争を挑み、或いは参戦する権利)が認められているわけではない。即ち、どの国も自国が武力攻撃を受けた時以外にも武力を行使したり参戦したりできるというわけではないのだ。
 また、自衛隊は「事実上の軍隊」というが、現行憲法では交戦権は認められてはいない。安倍政権は最近になって自衛隊は「国際法上の軍隊」だという見解を表明したが、それでも「自衛の措置としての武力行使を行う組織」であって「通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」としている。要するに自衛隊は自衛権に基づく武力組織ではあっても普通に言う軍隊ではないのだ。それを自衛隊は既に「事実上の軍隊」なのだからと決めつけて、改憲して正式に軍隊とするように規定し直すべきだというのは、主権国家だから軍隊を持って当然だというのとともに論理の飛躍だろう。
 戦争を放棄している我が国の自衛隊を「軍隊」化してはなるまい。


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