米沢 長南の声なき声


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法治国家なら自衛隊は非軍隊として憲法順守
2016年03月15日

 13日の朝日新聞の「声」投稿に「法治国家なら憲法改正は必要」というのがあった。それには自衛隊は事実上の軍隊であり、日米安保条約も軍事同盟だから違憲の疑いは濃厚、だが「日本が70年もの間、平和であり続けた要因に自衛隊と日米安保条約の存在があったことを多くの日本人が認識」しており、その現状を維持するのであれば法治国家として憲法改正が必要だと。
 ここで、自衛隊は「事実上の軍隊」というが、自衛の措置として武力行使は認められても交戦権は認められていない。また日米同盟とはいっても攻守同盟としての軍事同盟ではない(基地を提供する代わりに守ってもらうという防御同盟に留まり、双務的な集団的自衛権の行使は認められない)。だからこそ、最高裁はその存在を9条2項に照らして違憲ではないと断じてきた。
 これまで自衛隊は一人も殺し殺されることもなく、我が国が平和国家として認知されてきたのは、そのような9条2項あってこそだろう。
 その9条を改憲して自衛隊を軍隊として、また日米安保も軍事同盟として名実ともに認めるとなれば、我が国は公然と他国に戦争を挑み参戦できる国に化してしまうことになる。
 法治国家であることを理由にして、改憲し自衛隊を軍隊化してはなるまい。法治国家というなら、まずは現行憲法を順守させて、自衛隊は非軍隊に留め、我が国は非軍事平和国家に徹するようにすべきである。
 そもそも憲法は、国民の人権(平和的生存権など)を護るために権力を縛るためのものといわれ、立法・行政・司法に当たる為政者・公務員に「かくあるべし」という理念・原則を示して、(主権者・国民とともに)それを目指し守らせるようにしたもの。現状(現実)がそうなっていない(理念・原則のようにはなっていない)なら、そうなるように(それに近づけるように)務めなければならないものなのであって、それを、憲法の方を変えて現状(現実)に合わせ近づけるというのでは本末転倒。
 あの悲惨な戦争を体験したはずの日本人なら何より大切にしなければならないのは不戦・平和主義の国是であり、(憲法改正を党是にしている自民党などの)政党の党是ではあるまい。


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