大国意識―優越意識
経済大国―アメリカに次ぐ世界第2の大国、しかし最近、中国に抜かれた。
それでアメリカに準じる軍事大国とも思う大国意識―「大国として相応しい軍事力」を持ち、「世界の警察官」たるアメリカに従って軍事的に国際貢献を果たして然るべきという意識。
世界第4の軍事大国(アメリカ・ロシア・中国に次ぐ)
軍事費では世界8位
集団的自衛権の行使容認と安保法制―自衛隊の米軍への支援協力・海外派遣
2016年度予算(総額96兆7218億円のうち)―5兆541億円―当初予算では自衛隊発足後初めて5兆円突破―前年度比740億円(1.5%増)
米軍再編関係費・米軍駐留経費・名護辺野古の新基地建設費など含む・・・
米軍駐留経費(「思いやり予算」)は1920億円うち特別協定分が約1,400億円
特別協定分を無くしただけで大学の学費を半額にできる(年間1,100億円の支出で国公私立大学の学費を10年間で半額にできるのだから)
米国製の最新鋭高額兵器の購入費
有償軍事援助(FMS)に基づく武器購入は16年度4858億円(安倍政権下で10倍に)
オスプレイ(4機447億円、18年度まで17機購入計画、米国側提示では総額3,600億円―社会保障機削減分に匹敵、或いは国立大学無償化できる金額、保育士増員など待機児童対策に要する予算規模約3,000億円を上回る)、
ステルス戦闘機(6機1084億円)、
早期警戒機F2D(1機260億円)、 滞空型無人機グローバルホーク(146億円)
対潜水艦用ヘリコプターSH60K(17機1026億円)
17年度以降支払いツケ払い額(新規後年度負担)2兆2875億円
水陸両用車11両、機動戦闘車36両、最新潜水艦「そうりゅう」型1隻建造
「宇宙基本計画」―情報収集衛星(軍事スパイ衛星619億円)
準天頂衛星―ミサイル誘導・艦船のナビゲーション
データ中継衛星など
しかし、「貧困大国」でもあるという実態があることに気が付いていない向きが多い
日本人の2割が年収200万円以下
子どもの貧困―6人に1人
社会保障費の自然増(高齢者の増加などにより毎年8,000~1兆円増える)を毎年5,000億円以内に抑え込む―16年度は4997億円に
生活保護―生活扶助基準引き下げ
診療報酬のマイナス改定(16年度は1%超引き下げ)
介護報酬引き下げ(17年度以後「要介護1・2」の人を保険から外す方向)
年金支給額削減
70~74歳医療費負担1割から2割へ引き上げ児童虐待問題(全国の児童相談所が虐待を認知した件数は年間9万人)
介護虐待問題
教育―それへの公的支出は先進国最下位(6年連続)(対GNP比はOECD32か国4.5%なのに日本は3.5%。途上国含めても下位。OECD加盟国の半数の国が大学の学費はタダ、ほとんどの国が奨学金は返済しなくていい給付制なのに日本は利子付貸与制)
文教科学関係費5兆3580億円(前年度比4億円減)
教職員3475人削減(少子化に伴う定数減を差し引くと375人の純減)
加配定数(いじめ・不登校、授業改善に対応する教員配置)は525人増にとどまる(広島県府中町の中学校―生徒数632名・20学級―で進学指導に際し、担任が1年時の他の生徒の万引き事実を本人と間違えて記録したパソコンの共有フォルダー資料を基に志望校に推薦できないとして生徒を自殺に追いやった事件―そこには教員同士の連携不足と生徒に対する心の通った指導の不徹底があると見られ、関西学院大学の中村豊学校教育学教授は「教員が多忙でゆとりがない」「部活動の指導や事務量の増加など『世界一忙しい』とされる日本の教員」実態を指摘している。)(昨年度児童生徒自殺―小7・中54・高169人)
少人数学級の拡大は棚上げ
国立大学運営交付金1兆945億円(前年度と同額)
幼児教育無償化―住民税非課税世帯の保育料無償化
多子世帯の第2子の保育料半額
第3子の保育料無償化
これらは低所得世帯のみ支援―多子世帯5.3万人、ひとり親世帯2.4万人だけ
待機児童対策の認可保育施設の増設費965億円
子育て支援対策(保育施設の増設・職員の給与改善など、1兆1,000億円の財源必要)4,000億円は不足、その財源が先送りされている。
*子供を保育所に入れるため「保活」したが、認可保育所も認可外保育所も全て断られた女性がネット上に「保育園落ちた日本死ね!!!」と投稿して話題に。国の安全(軍事的安全保障・軍事的抑止力)とか軍事的「国際貢献」など軍事にこだわるよりも、今日・明日・将来食えるか生きるられるかの死活問題のかかった分野に人的・物的資源(資金)の投入を優先すべき。
(安全保障も死活問題だと言えば言えるかもしれない。しかし中国や北朝鮮が攻撃を仕掛けてきて殺すか殺されるかという戦争が万一(万分の一の確率で)起こるかもしれないが、それは極めて不確実で台風や地震・津波などのように避けられないというものでもない。言うなれば戦争など応じなければそれですむこと。それにひきかえ、今、日本国民が直面している死活問題は非正規労働者の低賃金・不安定雇用問題、待機児童問題、下流老人問題、子どもの貧困、教育の貧困、高学費問題、介護問題など、直ちに予算措置を講じて手を打たないと、このままでは人は生きていけなくなって不幸な死を免れなくなるという事態が避け難く目の前に迫りくる、そのような必然的確実性のある問題なのであって、そのほうが緊急性・切迫性があり優先順位が高いとしなければならないのである。)大国とは言わないまでも、「普通の国」として「普通の軍隊」を持って然るべきだ、といった観念にとらわれる向きもあるが、我が国には「普通」とは言えない特殊事情があることを見忘れてはなるまい。
先の大戦でアジア諸国民2,000万人という世界史上未曾有の犠牲をもたらした戦争を引き起こしたその反省から戦争放棄を憲法に定めて世界に不戦を誓った国だという特殊性が先ずもってあるが、それ以外には、我が国は経済大国とか先進国とはいっても、相対的貧困率が高く(16%でOECD30ヵ国中27位、6人に1人が貧困ライン―年収125万円、月収10.4万円―を下回っている)、上記のような教育・福祉の立ち遅れがある。
それに我が国は世界に例をみない速度で高齢化が進んでいる高齢化大国である、といった特殊事情もある(「一人暮らし」高齢者は480万人、認知症の高齢者は500万人、その行方不明者は年間1万人、鉄道事故犠牲者は年20人)。
軍事的な国際貢献などにとらわれている場合ではないのである。