米沢 長南の声なき声


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軍隊にはネガティブリスト、自衛隊にはポジティブリスト
2016年01月20日

 国軍(軍隊)を持つ国々では、その軍隊はやってはいけないケースを定めた禁止規定(ネガティブリスト)を列挙していて、それ以外には軍隊は何をやってもいいことになっているが、憲法で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」として軍隊を禁じている我が国では、自衛隊を設けてはいても、その活動は基本的に武力の行使を禁じられ、例外としてこういう場合(我が国に対する急迫不正の侵害がある場合)は(それを排除するために必要最小限の実力を)自衛隊は行使できるというその根拠規定(ポジティブリスト)を列挙していかざるを得ない。そのリスト(自衛隊がやってもいいというケース)が一つ一つ定められてきた。それが自衛隊法・PKO協力法・武力攻撃事態法・周辺事態法等々の法律であり、新安保法は11本の法律から成るが、(そのうち10本はこれら自衛隊法などの改正法であり、「国際平和支援法」の1本だけが新設)、それらは自衛隊が今度から新たにやってもいいというケース(ポジティブリスト)を加増したものである。そこに集団的自衛権の行使容認など、憲法9条が許す範囲を越えていると見なされるケースが加えられた(今までは海外での武力行使や戦争に加担することはできなかったのが、今度からそれができるようになるということ)。
 (アフガニスタンやシリア・イラク等での米軍の作戦への後方支援活動やホルムズ海峡での機雷の掃海活動や南シナ海での対中警戒・監視活動など、現時点では政策判断上行わないとはいっても、やろうと思えばできるということになる。)
 今回はポジティブリストを増やす形で実質改憲が行われたが、明文改憲によって9条2項が削除されて、自衛隊が「国防軍」や「自衛軍」などの形で正式に軍隊として認められれば、ネガティブリスト方式で、戦時国際法(国際人道法)などでも禁じられている以外に自衛隊は(政府や国会が安全保障上その運用が必要だと判断すれば)何でもできるようになり、武力行使も堂々とできるようになるわけだ。


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