米沢 長南の声なき声


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テロも戦争も人殺しであり、悪
2015年10月15日

 先の中学生の投稿、「空爆も人殺しにほかならない」。ISの残虐行為に対して「空爆する側は『正義』を掲げるが」、「空爆は「『非人道的で残虐』ではないのだろうか。それとも、『毒をもって毒を制す』という言葉の通り、残虐な行為に対しては、残虐な手段をとってもよいのだろうか」、「やってもよい人殺しは、この世に存在するだろうか」と。
 米国では原爆投下は必要やむをえなかったとして正当化し正義に適うものとする向きがあり、我が国では刑法犯罪の最高刑として死刑が認められているが、それらは感情的(復讐心を満足させる)或いは政治的戦略的・法的には「正義」だとしても、道徳的にはあくまで悪である。それに対してナイチンゲールや「国境なき医師団」のような行為こそが善行であり、我が国の現行憲法9条は、戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、(国際紛争を解決する手段としてはたとえ「正義」ではあっても)悪として避けなければならないことを定めたものと解する。
 道徳の根本原理は「己の欲せざる所を人に施すことなかれ」(論語)、「自分を愛するように隣人を愛せよ」(新約聖書)、「人を単に手段としてではなく、常に同時に目的として扱うように行為せよ」(カント)といった言葉で言い表されよう。この原理に照らせば戦争や空爆や死刑も人殺しであり悪なのであって、人として極力、避けなければならないことなのである。「汝、殺すなかれ」。それは、もし人を殺してもかまわないなら、自分も殺されてもかまわないことになるからにほかならない。
 「悪いことに対しては『悪い』と声をあげることが今、大切だ」との中学生に同感!


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