米沢 長南の声なき声


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マスコミの偏向(加筆版)
2015年09月02日

 8月30日のニュース―民放や海外メディアにひきかえ、国民から受信料を集めているNHKでありながら、この国民大衆の全国的な大集会・デモをろくに報じない―トップ・ニュースは数日来のタイのテロ事件関連、次いでスズキ自動車のフォルクスワーゲンとの資本業務提携解消問題。それらの後に安保法案関連として、その中でこの集会・デモをチラッと映して、自民党幹事長の会見・言い分で締めくくる、というやり方。政府の意向にそった意図的な報道姿勢。
 新聞は朝日・毎日・東京新聞・中日新聞などは翌日朝刊一面に掲載されたが、読売・産経・日経は一面扱いにはしておらず、その対照がきわだっている。
●マスコミ・メディア・ジャーナリストに対する「公正・中立」評価の基準は、それぞれがいったいどの立場に立って報道しているか、民衆か支配層か、多数派か少数派か、どっちかであり、それで見分けがつく。また、それを見て評価している自分自身はどの立場に立っているのかも、同じく自己評価されよう。
 商業ジャーナリズムなら、視聴率・購読部数の獲得―売れるか売れないか―に左右されて、多数派寄りになる。(読売系―日テレなど、産経系―フジテレビ・文春などはそれがはっきりしている方だが、それら以外の新聞社・放送局の場合は「公正・中立」原則を守っているポーズをとって、両論併記やバランスにこだわり、どっちつかずで曖昧なあたりさわりのない表面的な解説・論評になりがち。)NHKは経営員会人事や予算・決算、事業計画・報告など国会の承認を得なければならないため、政府・与党(多数党)の意にそうような報道の仕方になる。
 読売の安保法案に関する世論調査については、世論誘導的な手法が見られる。池上彰氏が8月1日の朝日新聞の「新聞ななめ読み」で、衆院の安保関連特別委員会で採決が行われた翌日(7月17日)の主要各紙の比べて論評し、次のようなことを書いていた。
 同法案については、各紙とも社説など社論(自社の意見)はそれぞれあるものの、朝日と毎日それに日経も(前2紙に比べ分量は少ないながらも)賛否双方の主張や論者の意見を紹介している(朝日は投稿欄でも賛否両論を載せている)。そうすることによって読者に判断材料を提供。
 ところが読売は賛成論only(反対論者たちの意見は紹介せず)、「幅広い議論の場の提供を放棄している」と指摘。
 しかも同社による世論調査は誘導質問的な設問の仕方をしている(設問は「法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に賛成ですか、反対ですか」というもので、小池氏は「こんな聞き方だったら、それはいいことだと賛成と答える人が大勢」になる、「設問で答えを誘導していると言われても仕方ないでしょう」と)。
 そんな読売の世論調査でも反対の方が多いのだ(賛成38%、反対51%)とのこと。

 読売・NHKとも、それらの新聞やテレビ・ニュースしか見ない人には、まるっきり政府広報的な(多数派政権の意向とその都合に合わせて取捨選択された)その情報でしか判断しようがなく、自ずから政権よりの見方をするようになるわけである。そしてそのような彼らによって多数派世論が形成され、内閣や政権党への高支持率が形成されることにもなるのだろう。
 尚、NHKに対しては、最近、市民団体が東京・渋谷の放送センターを包囲して抗議行動、「政権の広報をやめよ!」「”アベチャンネル”にするな!」「市民の行動を伝えろ!」などと訴え、大阪・京都・広島のNHK局前でもそれが行われている。


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