米沢 長南の声なき声


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安保法案はどうしても必要なのか
2015年09月09日

集団的自衛権行使の限定容認―憲法解釈の変更
安保法案①「平和安全法制整備法案(一括法案)」―武力攻撃事態法の改定、周辺事態法の改定→「重要影響事態法」、自衛隊法の改定、PKO協力法の改定、船舶検査法の改定など
    ②「国際平和支援法案」(海外派兵恒久法)
  (それらは「戦争抑止法制」「世界平和に貢献する『国際平和協調法制』」だという。が、かえって戦争やテロを呼び込み、紛争をこじらせ、激化させる結果にならないか?)
  具体的には―国連安保理決議がある場合だけでなく有志連合軍(多国籍軍)へ参加(参戦)―海外(戦闘地域)で米軍(先制攻撃して戦争を行った場合でも)への後方支援(兵站)―武器(ミサイルや戦車も)輸送、弾薬提供・補給、給油・役務の提供
     (戦闘中の支援活動は避ける?が、戦場に取り残された米兵の捜索・救出も)
     他国軍(米軍だけでなく豪軍・斑入りピン軍など密接な関係にある国の軍も)守る―これらの国々の軍が武力攻撃を受ければ、それに反撃し、防護(米軍基地をはじめ他国軍の艦船・戦闘機・ミサイルや武器を防護)―武器等防護は平時も地球上のどこでも、「存立危機事態」と認定しなくても(現場指揮官・米軍の指示で「撃つ」)。
     船舶検査活動は外国領域でも
     平時から共同で訓練・監視・警戒活動―切れ目のない対処
     PKO(国連でなくてもNATOなど国際機関の要請あれば)―駆付け警護(他国部隊を加勢)、治安維持(安全確保)業務―監視・検問・警護など―任務遂行(業務妨害する行為の排除など)に武器使用→戦闘、住民(戦闘員と区別つかず)に銃を向け、殺すことも
     在外邦人保護―警護・救出
     グレーゾーン事態―国籍不明の武装集団が離島に上陸or日本の民間船を攻撃
              などに対処
 これらは中国・北朝鮮の動向など「安全保障環境」の激変によって必要に迫られていると―中国・北朝鮮・過激派テロ組織による急迫不正の侵害(武力攻撃)の蓋然性が強まっている?―国の存立が危うくなり、国民の生命・自由・幸福追求の権利が覆される危険が強まっている?だから、これらは是非とも必要だと―本当にそうか?立法事実(その立法が必要される理由・事実)があるのか?(曖昧・不明―海外で紛争が発生し、邦人避難者を乗せて輸送する米艦を自衛隊が守れるようにしなければならないということを理由に、集団的自衛権の行使を容認する必要に迫られているとして、この法案の立法を求めているが、そもそも米艦には避難民を乗せるにも「①に米国籍を持つ者、②に米国永住許可証を持つ者、③にアングロサクソン系国民、④その他」という優先順位があり、日本人はあてにすることはほとんどできないし、事実、米国政府にその考えはないことがはっきりしている。中谷防衛大臣は「米艦に邦人が乗っているかいないかは集団的自衛権の絶対的条件ではない」と答弁している。
また、イランがホルムズ海峡を封鎖すれば、日本は石油危機に陥り、存立危機事態に陥る。だから、その時には自衛隊がそこへ行って機雷掃海をやれるようにしなければならないということを理由に、集団的自衛権行使を容認する必要に迫られているとして、この法案の立法を求めているが、そもそも、石油輸出国のイランがペルシャ湾の出口ホルムズ海峡に機雷敷設して封鎖することなどあり得ず、イラン当局者も封鎖を否定している。つまりその立法事実はないということ。)

 それら(集団的自衛権の行使容認と安保法制の改定)にはリスクをともなう―①違憲リスク―立憲主義に大きく損なうリスク、②国民のリスク―戦争やテロを招く、或いはそれらに巻き込まれるリスク(大森元内閣法制局長官は「集団的自衛権の抑止力以上に紛争に巻き込まれる危険を覚悟しなければならない」と)。それに徴兵制もあり得る(*)。③自衛隊員のリスク―戦死者が出る、④コスト(防衛費・増)―社会保障費など抑制・削減してまでも(オスプレイ17機購入企図3,600億円、社会保障費15年度削減分3,900億円)―「国民の命と暮らしを守るため」どっちを優先か
 それらのリスクを冒してまでも必要不可欠なものなのか?
 また、そのための改憲が(解釈改憲であれ明文改憲であれ)どうしても必要なのか?

 いまのまま(「専守防衛」―武力行使は我が国に対する武力攻撃がある場合に限る)では、どうしてもダメなのか

*「徴兵制になる」は誤解?
 憲法18条「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」
 安倍首相はこの憲法規定に基づいて、我が国で徴兵制はあり得ないという。
 漫画家の小林よしのり氏は徴兵制を国民の「自主防衛」として肯定する立場から「国の防衛にあたることは本来、崇高な職務」、「徴兵制の制度が整っていなかったとしても、必要になればわっと導入するでしょう。その時は『苦役にはあたらないのだと』と、時の政権が憲法解釈を変えるだけの話」と。
 また、法律家(日弁連憲法問題対策本部副本部長)の伊藤真氏は、それに徴兵制は憲法18条に反するから全くありえないというが、これは13条の「公共の福祉」で制限できるとも解釈されているのだと。
 大内裕和・中京大学教授は「経済的徴兵制」はあり得ると―アメリカは志願兵制だが、実態はそれ―「貧困層の若者が、大学の学費や医療保険費の肩代わりという条件に引き付けられて軍に志願し、戦場に送られている」―「経済的な事情から自衛官の道を選ばざるを得ない事態が日本でも現実になるのではないか」「重すぎる学費負担や奨学金の返還、正社員への狭き門など、若年層が直面する厳しい現実が、経済的徴兵制につながる社会的条件を作り出している」「また、企業の新規採用者を2年間、自衛官として任用する防衛省の『自衛隊インターン・シップ・プログラム』構想も明らかになっている」と。(朝日新聞9月2日「耕論」欄から)


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