米沢 長南の声なき声


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「抑止力高まる安保法案」というが
2015年08月11日

 8日の朝日新聞の投稿に「抑止力高まる安保法案に賛成」と。「ソ連などの脅威から日本を守った」のは米国の強大な軍事力。法案は中国やISなどの過激派組織の脅威に対して「抑止力」を高め、「いざという時に臨機応変に対応できる」ようにし、国際テロ組織に立ち向かうなど「世界平和への貢献」もできるようになるからだと。
 しかし、このような見なし方には、どうも一方的な思い込みや決めつけがあるように思われる。
ソ連には、米軍が日本の基地からソ連に出撃したならともかく、何の敵対行為もその意図もない日本に侵略・武力攻撃を加える必要性・必然性はどこにあったというのか、その根拠が示されず、検証もされていない。
 中国には尖閣や東シナ海の領土・領海をめぐって認識に対立があり、不当・不適切な行為に対して日本政府が非難・抗議するといったことはあるとしても、日米で軍事対応しなければならない必要性・必然性はどこにあるのか。過激派組織も、そもそも日本人に怨みがあるわけでもなく、日本政府がアメリカの軍事介入に加担しない限り、彼らに対して軍事対応しなければならない必要性などないのである。
 軍事対応力の強化で抑止力が高まるとはかぎらず、それは相手しだいであり、かえって相手の軍事強化を促し、軍事対決から軍事衝突ひいては戦争を惹起する危険性もある。
 また国際テロ組織に軍事で立ち向かうのが世界平和への貢献どころか、アフガニスタンやイラク・シリアなどの現実を見ればあきらかなように、それはかえって逆効果になって、事態を混乱させ長引かせることにもなるし、国際平和貢献はむしろ非軍事で行うほうが賢明なのだ。
 国民の安全保障や国際平和貢献は軍事力がないとできないわけではあるまい。


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