米沢 長南の声なき声


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平和国家・民主国家・立憲法治国家の存立危機事態
2015年07月16日

①恣意的な解釈変更で実質改憲・違憲立法の強行―立憲主義(個人の人権を守るために憲法によって権力に縛りをかけることで、為政者・権力保持者は憲法に従って権限を行使しなければならず、憲法に定める以外のことを恣意によって執り行ってはならないという原則)の蹂躙
②不戦平和国家から(「平和国家ブランド」―日本外交の「資産」―をかなぐり捨て)対米従属の軍事国家へ変質―中国もさることながら、世界から「脅威の的」とされるアメリカをフォロー・補完して積極的「国際貢献」に乗り出そうとするアジアの一大軍事国家に変容。
③熟議なき多数決強行―対米公約(米国議会で「夏まで法案を成立させる」との約束)を先行、憲法学者大多数と内閣法制局長官OBも違憲見解、マスコミ各社の世論調査で反対が多数(60%前後―賛成の2~3倍)で、説明・審議不十分との受けとめが大多数(80%以上)、首相自身も「国民の理解が進んでいないのも事実」と認めていながら、「選挙で選ばれた私たちには、国民の命を守り、幸せな暮らしを守り抜く責任があるのだから」と強弁して審議を打ち切らせて採決強行し、「(かつて日米安保改定やPKO協力法を採決した当時は反対が強かったが、その後の実績を見て理解・支持されるようになったのと同様に)いずれ国民は理解してくれる」と都合よく弁明・合理化―民主主義の蹂躙(国民主権のないがしろ)
④集団的自衛権で高まる自衛隊リスク―子や孫が心配
 少子化が進む中、今の自衛隊(21万人前後)を維持するには、毎年一万人前後(?)の自衛官を採用しなければならず、25年後には新生児の30人に1人が入隊しなければならない計算だそうな(?)。
 集団的自衛権の行使容認の安保法制改変で、今後、自衛隊の任務と海外活動の範囲が拡大(それに伴い隊員の生命の危険も拡大)すれば、人員確保(隊員募集)は難しくなる一方だろう。そこで18歳成人に達した若者に兵役義務を課する徴兵制―それは憲法上、不可能と、安倍首相は今のところは言明しているが、またしても「憲法解釈の変更」によって可能にされないとも限らない。(石破大臣などは憲法上不可能とは言えないという考え。)それはともかくとしても、「経済的徴兵制」という手があるのだそうな。
 労働者派遣法の改定で低賃金・不安定雇用が拡大する中、「安定した仕事がある」「奨学金がある」と勧誘して志願させるアメリカ式の募兵方法だ。
 いずれにしても、若者、子や孫たちが心配だ。

 「国際平和・安全貢献」とあわせて「国の安全保障をより確実なものに」し、「抑止力を高めるため」のものだなどと、いくらいっても、軍事的抑止力では、抑止しきれないばかりか、その同盟協力体制の強化・法整備は中国・北朝鮮など相手側の軍事強化(日米に対抗する軍拡の正当化)をも誘い、軍事対決・緊張を高め、軍事衝突から戦争に発展・エスカレートする結果を招きやすくなり、国内外における過激派のテロ攻撃を招く(反米テロの矛先が日本にも向けられる)結果にもなる、その可能性がますます強くなるだろう。
 日本国民が、この後、再び戦争に巻き込まれ、テロに巻き込まれるリスクが高まる国になるのかと、心配でならない。

 これらのことこそが、まさに戦後日本の存立危機事態だろう。

⑤戦争法案に対する対案は平和法案で―国際平和と日本の安全は非軍事でこうやって確保するという対案。
 今、政府が押し通した法案は「平和安全法制」というが、それは戦争法案にほかならない。
 維新の党や民主党も「対案」なるものを提出したが、それらは修正案というべきもの。対案というなら文字通り非軍事の「平和法案」であるべきだろう。憲法(9条)に違背する軍事戦略ではなく、9条に忠実に率先垂範して、それを世界に普及・普遍化する国際平和戦略と自国の安全保障戦略及びそれに基づいた具体的な方策から成る対案である。
 例えば、ASEAN諸国を中心とした東南アジア友好協力条約の「北東アジア版」など
⑥明文改憲論への警戒
 引き続き警戒すべきは「集団的自衛権の行使容認もその法整備も抑止力として必要だが、それは憲法を正面から改正して堂々とやるべきだ」という明文改憲正当化論だ。


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