米沢 長南の声なき声


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安保法案「抑止力」論は独善
2015年07月13日

 朝日10日の声・投稿「安保法案は『危機管理法案』」は、北朝鮮の軍事力向上のことを挙げて、「敵国に攻撃された時」、「平和主義を唱えてさえいれば攻撃されないと言えるのか」として、それは「『抑止力』を最大化することによって国民を守る緊要な法案」だという主旨。
 北朝鮮は敵国で、いずれ我が国に攻撃をしかけてくるものとして、それに備えて「抑止力を最大化」しておくとの考えだが、このような軍事的抑止力論には、とかく独善的な思い込みや決めつけがあるように思われる。「抑止力」とは、相手がそれをどう思うかであって、こちらが思うように素直にその通り受け取って攻撃も軍備増強も控えるかといえば、そうとはかぎらず、日米側の軍事強化と見なし、さらなる脅威を感じて対抗心を募らせ、相互に「抑止力」強化合戦になって、かえって緊張を招き、危機を増幅させる結果になりかねない。それに北朝鮮が日本に攻撃をしかけるのは、台風や地震・津波のように必然的不可避というわけではなく、こちら(日米)側の出方如何によるわけである。
 「危機管理」と称して軍事的「抑止力」強化にばかり熱中するのではなく、憲法の不戦平和主義に基づく諸懸案の外交的解決と国交正常化の方に意を注ぐことこそ、緊要なのではあるまいか。


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