米沢 長南の声なき声


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国を守ってきたのは平和主義
2015年07月10日

 本紙3日の「異論のススメ」佐伯教授の「国を守るのは誰か」に異論があります。教授は「日米安保体制によって国が守られてきた」「戦後日本の防衛の核は、実際上、米軍による抑止」「戦争は国家の主権的権利」だと。
 しかし、それには、日米安保の仮想敵国とされたソ連にしても中国・北朝鮮にしても、これらの国が戦争放棄を宣明した日本にわざわざ戦争をしかける蓋然性はいったいどこにあったというのか、その理由・根拠が示されていない。
 それに、米軍・自衛隊の強大な軍備と緊密な同盟協力体制を備えても、その運用・行使には意志がなければならず、国民に全面戦争の覚悟ないかぎり、その軍事的備えだけでは「張り子の虎」の抑止効果しかないわけである。大戦の深刻な反省から憲法に不再戦を誓った国民には戦争の覚悟などあり得ず、この不再戦の意志こそが、この国の平和を守ってきたのでは。
 これらのことを考えれば、我が国の平和を守ってきたのは米軍などではなく、平和憲法に基づく不再戦の意志のほかあるまい。
 自衛権は自然権として固有の権利ではあっても、戦争は国際法上違法と見なされているのである。個々人の正当防衛権はあっても、我が国では護身用に銃刀など武器を所持することは法律で禁止されているように、自衛権そのものは留保しつつ、戦力・交戦権を放棄しても、主権的権利を放棄したことにはなるまい。


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