米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


「国を守る抑止力」とは
2015年06月28日

 政府の立場では「国を守る」とは国家の存立基盤―国土、国家主権、産業・経済インフラ、国家体制―を守るということであり、軍事でそれを守る(攻撃・侵害を抑止する)ということだろう。その軍事的抑止力には物理的・システム的備えのみならず、それを運用(いざとなったら武力行使)する意思(戦争―国民犠牲―の覚悟)を必要とする。その軍事戦略でアメリカ等との同盟国と非同盟国(敵味方)を峻別して集団的自衛権に基づく同盟国への「隙のない」軍事支援協力体制を組めば、同盟国以外の国や勢力をさらに敵に回して「やるならやってみろ」と戦争やテロの危険を呼び込む結果ともなる。
 それに対して、国民にとって守るべきは生命と暮らし―平和的生存権と自由・幸福追求権を守るということであり、戦争などによってそれらが外敵から侵害されず、また自国政府から犠牲にされない、ということだろう。そのため政府にどの国、どの国民をも敵とせず、戦争だけはさせないというのが9条なのではないだろうか。それは戦争を自国政府にさせないということだけでなく、どの国にも我が国に対して戦争をしかけさせないという国際反戦の意思の宣明でもあり、それこそが国民にとっての抑止力となるのだ。


ホームへ戻る