本紙(朝日)「声」に最近載っている軍事肯定論(*)はいずれもが、どうも短絡的で論拠に乏しい。
東アジア地域は不安定で、中国や北朝鮮に穏やかならぬ動きが見られるとしても、それでどうして、その武力攻撃に備えて軍事を拡充・強化しなければならないとなるのか。
第一に、中国や北朝鮮などを脅威とみなして、日本が集団的自衛権行使を容認して自衛隊の活動を拡充・強化したら、先方も日本のそれが、アメリカとともに脅威だから、備えなければならないのでそうしているのだと言われれば、それは違うとは言えないわけである。
第二に、隣国に不穏な動きが見られるとしても、地震など自然災害のようにいつか必ず襲来するという必然性があるわけではあるまい。
個人レベルで言えば、世の中には「危ない人」はいるものだが、かといって誰もが襲われる必然性があるわけではない。仮にもし襲われたら、それに対して棒や石などそこにある物を使って抵抗し、逆に殺す結果になっても正当防衛として認められる。しかし、だからといって銃刀を所持することは我が国では禁じられている。所持を認めたら、それが使われがちとなり殺傷事件が頻発して、かえって物騒な世の中になってしまうからだ。それと同じように、国には、警察力なら必要だとしても、軍隊は必要とは限らず、コスタリカなど幾つかの国でも憲法で禁じているのである。*「自衛隊は国に必要な『軍隊』だ」(3月30日)、「憲法改正で自衛隊の存在明記を」・「日本は防衛軍を持つべきだ」(4月1日)、「軍隊による真の安全保障を」(4月8日)、「目に見える防衛力は必要だ」(4月18日)