米沢 長南の声なき声


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選挙・民主主義の問題点―偽装民主主義(選挙結果を加筆)
2014年12月09日

小選挙区制のマジック・トリック―相対的に優勢な政党が議席を総取りできる仕掛け―「有効投票総数の多数」を獲得した政党の勝利を極大化(得票率ではさほどでもないのに大幅な議席率を占め)、見かけ上「大勝」「圧勝」となる―多数決民主主義ならぬ「少数決民主主義」(少数の多数派が独裁)
   自民党に有利・・・・マスコミ予測「300議席で圧勝」(前回もそれに近い予測で、その通りになった)。実際の結果は290議席で単独過半数、公明党35議席と合わせ3分の2を裕に上回る。

  初めからこうなると分かっている・・・・投票しなくても→棄権が多くなる―前回は投票率は戦後最低で59%―今回はそれをさらに更新して52.66%。
 前回、自民党は有権者全体に占める得票率では小選挙区で24.6%だけで237議席、比例区では15.9%だけで57議席、合計294議席獲得―今回も自民党は有権者全体占める得票率は小選挙区では24.49%だけで222議席(占有率75.25%)、比例区では16.99%だけで68議席(37.77%)、合計290議席(全議席の61.05%)もかすめとった。
    いわば「合法的八百長選挙」ともいうべきもの
 かくて、1.7割(比例区での割合)の自民党支持者が6割の自民党議席を獲得して国会では「多数決」の形をとるが、実際はわずか1.7割の少数者が決定づける少数決となるのだ。 
マスコミ報道のやり方
 公示日前日(12月1日)の朝日新聞の「9党の公約」紹介記事は、各党に割かれているスペースが横幅は各党とも18.7cmだが、縦幅(cm)は自民35.6、民主30.3、維新28.2、公明26.3、次世代18.5、生活14、共産13.7、社民8.5、新党改革6.8ということで、現有議席(前回選挙で獲得した議席数)の多い順に差がつけられている。割り付けスペースの多い党の公約は詳しく、スペースの少ない党の公約は簡単なかいつまんだ表記になる。
 公示日のNHK「ニュース7」の「各党党首に聞く」などでも、安倍・自民党に23分、民主10分、維新8分、次世代・共産・生活に各6分などといったように、現有議席の多さで時間配分に差がつけられているが、それは党首の映像の下に示される発言字幕の行数を数えてみても、配分の多い少ないが分かる。自民党に一番多く、次いで「第二極」の民主、政権与党の公明、「第三極」(分裂)維新・次世代へと扱いがやや小さくなって、共産・社民はさらに小さく扱われる。
 なぜ現有議席数(前回選挙での獲得議席)を基に差を付けるのか、解散したからには、いっせいに各党ゼロからスタートさせるべきではないのか。
 権力から距離を置き、権力を監視し批判的立場に立つべき公器たる新聞社の中に、政党状況を「一強多弱」と称しながら、その一強に社説などで公然と同調し政権寄りの報道をしてはばからない新聞社が、最大発行部数を誇る読売新聞をはじめ幾つかある。これらを購読している有権者に政権党支持が多くなるわけである。(なお、今回の解散総選挙をアベ首相に促したのも読売のナベツネなのでは?―「世界1月号」に山口二郎教授が、石破大臣は「『総理は何一つ発言しておられないにも拘らず、一部のマスコミ報道によって端を発し急速にこのような雰囲気が醸成されつつあるのは、正直何とも不思議な気が致します』とブログで書いていた」が、「石破の言う『一部マスコミ』は読売新聞を指していると思われるが、・・・・読売新聞社幹部は政府与党の幹部よりも、よほど権力を持って安倍首相の判断を動かしているということか」と書いている。)

 最高裁の裁判官の国民審査が同時に行われることになっているが、そのメンバーはいったい誰なのか、経歴・実績等の情報が新聞・テレビではほとんど伝えられていない、という問題もある。
 投票日5日前の新聞に「一人一票実現国民会議」という団体が「先月26日の最高裁判決で一人一票に反対した3名の裁判官の名をあげ、不支持票(×印)を投じよう」という意見広告を出していた。そしてその翌日(投票日の3日前)になって県の選管から町内会・隣組を通じてようやく選挙公報とともに国民審査公報が届いて、それに審査対象となる5名の「略歴」・「関与した主要な裁判」・「心構え」が書かれてあるのを目にした。そして二日前になって朝日新聞はようやく何ページめかの半面を使って5人の略歴・考え・関わった裁判での意見など紹介。
 期日前投票をした人にとっては、もう遅いだろう。この投票用紙の名前に×も何も書かずに入れれば自動的に「信任」したことになるのだ。
 これまたいいかげんなやり方。(いまだかつて、この国民審査で罷免された裁判官は一人もいないのだ。前最高裁判事の須藤氏は「国民審査は形骸化していると言われます。その通りだと思います」と。)
国民(有権者)のリテラシー(知識・情報の獲得・選択能力・判断力)―能力はあっても、日々忙しく、よく調べて考える時間的余裕が保障されていない。そのうえ告示から投票日までわずか12日間しか与えられない(参院選の場合は15日間)―考える時間を与えずに、首相は『この道しかありません』と。
 結果的に、有権者・国民は熟考し深く考えることなしに簡単に判断してしまいがち―フィーリング(印象)や既成観念で判断したり、マスコミ情報を鵜呑みにしたり、「景気」とか目前の利害などカネ目で判断したり。
 無関心・投げやりなどで棄権が多くなる―投票率は欧米など先進諸国中最低、とくに若年層は30台→それが結局は他人任せになる―「お任せ民主主義」

 「衆愚政治」となりかねない―それが民主主義の欠陥

 これらが正されないかぎり、民主主義はうまくいかない―「多数派独裁」にもなる


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